断熱性能の高い家に住めば、一年中、快適な室温で過ごすことができ、それが冷暖房費の削減やヒートショック予防にもなります。
結露しづらい家になるので、カビやダニの発生を抑えることもできます。そこで、住宅を新築する上で、大切な要素である、断熱材について紹介していきます。
注文住宅に使われる断熱材
まずは、断熱材の差によってどんな変化があるのか、満足度が変わってくるのかを解説していきます。
断熱材の違いで何がどう変わるのか
断熱性能が悪いと、外気の影響を大きく受けてしまうため、冬には室内が寒く、夏には暑くなります。
そのため、最悪のケースでは、「ヒートショック」を引き起こす原因となります。
「ヒートショック」は、暖かい場所から寒い場所へ行き、また暖かい場所へ行く、などの急激な体温変化により、心臓に負荷をかけてしまいおこります。
冬場にお風呂に入る時などに起こる事象で、これも断熱性能の高い断熱材にしていれば、外気の影響を小さくすることができるので、予防することができます。
外張り断熱と充填断熱の違い
断熱方法として、外張り断熱と充填断熱の2つがあります。
外張り断熱は、一般的にプラスチック系の板状断熱材で、柱の外側をすっぽり包み込む工法で、充填断熱は、柱と柱のあいだに断熱材を充填し、シートで防湿する方法です。
充填断熱は壁を厚くすることで、いくらでも断熱材を厚くすることができますが、外張り断熱の場合は断熱材を介して思い外壁材を固定しなければならないので、断熱材の厚さは5~6センチが限界です。
また、価格面において、グラスウールやロックウールによる充填断熱は最も安価な断熱工法で、住宅1件当たり材工で約30万円ほどですが、外張り断熱だと100万円ほどかかります。
断熱材の種類
概要がわかったところで、ここからは各断熱材の特徴を解説していきます。
断熱材選びの参考にしていただければと思います。
繊維系断熱材
グラスウール
最も人気で一般的な断熱材です。グラスウールなどの繊維系断熱材を使用する場合は、防湿層を設けることが「結露の発生を防止する対策に関する基準」の条件です。
防湿層は、室内からの水蒸気の流入を防止する部材でポリエチレンフィルムがよく使われます。
ハイグレードグラスウール
上記で説明したグラスウールよりも、さらに薄く軽い、ハイグレードグラスウールというものがあります。
吹き込みグラスウール
こちらは、天井用に使用するグラスウールの商品となります。
ロックウール
原材料である玄武岩、鉄鋼スラグなどを高温で溶かし、細かい繊維状にした断熱材です。性能と価格はグラスウールと同レベルです。
セルロースファイバー
古新聞を原料とし、綿状にしたハイクオリティなエコ素材です。
高い断熱性能だけでなく、防音・防虫・防火・結露に強く、素材も良く、素材を施工するにも「吹き込み」という作業が必要となるので、グラスウールの3倍前後の費用がかかります。
発泡プラスチック系断熱材
ビーズ法ポリスチレンフォーム
ポリエチレン樹脂に発砲剤と難燃剤を加えてビーズ上にしたものを、上記で発砲させます。水や湿気に強く強く、軽くて緩衝性の高い断熱材で、施工法にも優れています。
一般には「発砲スチロール」とよばれ、梱包材としても広く使われています。また、「EPS」と呼ばれることもあります。
押出法ポリスチレンフォーム
ポリエチレン樹脂に炭化水素などの発泡剤を加えて押出成型する断熱材です。断熱・耐水性に優れ、ボード上なので気密性の確保がしやすいのが特徴です。
価格はグラスウールの2倍程度します。
フェノールフォーム
フェノール樹脂と硬化剤、発泡剤などと一緒に加熱して作られる発泡体の素材です。
断熱性が高く、発泡に特定フロンガスを使用しないので環境にやさしく、経年変化も少ない。価格はグラスウールの3倍程度します。
硬質ウレタンフォーム
大工さんなどが施工するグラスウール系の断熱材と違い、吹き付けるタイプの断熱材は専門の吹き付け業者が責任施工で行うため、どんな住宅でも均一の性能が担保される点がメリットといえます。
天然素材系断熱材
羊毛、炭化コルク
羊毛や炭化コルクに代表される、天然素材系断熱材は、近年様々な素材が商品化されています。環境や人体への負荷が少ない反面、断熱性能の割には高価なところが欠点となります。
熱伝導率比較表
熱伝導率比較表とは、各素材の熱伝導率を記載しているものです。また、熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを数値化したものです。この値が大きければ多いほど、熱が伝わりやすい素材ということになります。
ここで数値を示されても、まったくピンと来ないと思うので、各素材を比較したものが、熱伝導率比較表になります。下記に記載していますので、確認をしてみましょう。
断熱材の選び方
断熱材を選ぶ基準は、一つだけではありません。多方面から検討して、最も自分に合った断熱材を選びましょう。
熱伝導率で選ぶ
熱伝導率を基準とすることはとても大事です。断熱材ですから、熱を伝えにくいほど性能が良いので、熱伝導率の数字は小さいほうが良いです。
家づくりを検討していて、迷って仕方がない、という方は熱伝導率の小さいものを選ぶのも良いでしょう。
断熱材の厚さで選ぶ
当然のことですが、断熱材は厚ければ厚いほど良いです。熱伝導率と併せて考えると良いでしょう。
エコポイントが付くかで選ぶ
住宅版エコポイントというものがあり、それが得られる条件として、断熱性能の等級が4でないといけない、というものがあります。それを基準にして、性能の良いものを選ぶことも検討しておきましょう。
コストカットの為に、見た目にはあまり関係のない断熱材をただただ安いものにしてしまい、後悔するケースは多々あります。
非常に大事な要素なので、しっかりと検討しましょう。