今、ネットショップや通販を利用したことがない人のほうが少ないほど、通信販売は私たちの生活に欠かせないものになっています。でも、その一方で運送業界の人手不足や過酷な労働は酷くなる一方です。荷物が届いてもなかなか自宅にいなくて受け取れない場合にはまた出直してもらわなければいけませんが、これは心苦しいですよね。
そこで、最近脚光を浴びているのが不在でも荷物が受け取れる宅配ボックスです。一度使うと、便利でやめられません。
宅配ボックスとは?
宅配ボックスとは、一言で言えばその住宅に住んでいる人が専用で使えるロッカーのようなものです。宅配業者は配達先が不在の場合、荷物をそのロッカーに入れ、受取人は帰宅したところでロッカーから荷物を取り出します。
なぜ宅配ボックスが必要になっているのか
今日本では運送業者の過重労働が問題になっていますが、やはりこれはネット通販が大きな理由になっているでしょう。重いものやかさばるものを自分で持って帰ってこなくても、ネットでぽちっとやれば玄関まで届けてもらえる上に、多くの場合実店舗で買うより安かったりするので、これは利用しますよね。
しかも、最近ではネット通販業者も早さを競うようになり、下手をすると注文した当日や翌日に届くのですから、これは便利です。しかし、その一方で一人暮らしや共働きの場合、昼間に家にいて荷物を受け取るというのはなかなか難しいですし、防犯上の理由から子どもだけでお留守番をしている時には誰が来ても応答しないように言っている人も多いです。
一昔前なら向こう三軒両隣で荷物を預かってもらうなんてことも普通にありましたが、今はあまりないですよね。こうなると、同じ家に何度も配達に足を運ばなければいけない運送業者の負担にもなりますし、重い荷物をトラックに積んだまま走り回るわけですから、エコにも反します。そこで、救世主として登場したのが宅配ボックスなのです。
宅配ボックスの仕組み
宅配ボックスには、最初から建物に作りつけられているものと、ワイヤーなどで固定する後付けのものがあります。もし、住んでいる部屋に備え付けの宅配ボックスがなくても自分で買うという手もありますね。宅配ボックスの中には印鑑を入れるスペースや、受取印を捺す装置があります。
自分で鍵をかけるタイプは、業者が荷物を入れた後で鍵をかけておきます。他にその都度業者が暗証番号を入力し、暗証番号を記入した配達票を郵便受けに入れるタイプや、部屋ごとにあらかじめ暗証番号が割り当ててあるタイプ、さらにカードキーで開錠するタイプなど様々です。
宅配ボックスのメリット
何度も荷物を抱えて往復してくれる運送業者に申し訳ないと感じる必要がないというのが最大のメリットだとは思いますが、他にもメリットがあります。
顔を合わせる必要がない
女性の一人暮らしの場合、なんとなく玄関先まで男性配達員に来てもらうのは嫌だなと感じる人はいるかもしれません。また両親がいなくて子どもだけでお留守番をしている時には、誰が来ても応答しないように教えている人も多いでしょう。そんな時、顔を合わせることなく、また建物に部外者を入れることなく荷物の受け取りができて便利です。
発送ができることも
受け取りだけでなく、自分が宅配便で発送する時も、自力で取り扱い店舗まで運ぶか、家まで取りに来てもらわなければいけません。中には宅配ボックスに入れておけばクレジット決済で持っていって発送してくれる業者もあるので、これは利用しない手はありません。
今、日本では運送業者も廃業や業務転換があったりして大きく動いているので、どうなるかは先行き不透明な部分も多いです。できるかどうか電話して聞いてみるといいでしょう。
宅配ボックスのデメリット
基本的にそれほど今の宅配ボックスには大きなデメリットはないと思いますが、住民のモラルによってはトラブルの種になってしまうこともあります。
家賃、管理費が若干高いかもしれない
今は運送業者が独自に会員向けに宅配ボックスを用意することも稀にありますが、まだそれほど多くはありません。多くの場合、宅配ボックスはマンションや建物のオーナーの負担で設置されます。その分若干家賃や管理費が高いかな、と感じることもあるかもしれません。
暗証番号を忘れると困る
部屋ごとに暗証番号が割り振られている場合、自分の部屋の暗証番号を忘れてしまうと開けられません。暗証番号は入居時にもらった書類の中に必ず書いてあります。慌てず騒がず探しましょう。「入居時の書類なんて失くしてしまった」「捨ててしまった」なんていうのは論外です。
古いタイプは盗難の恐れも
旧型のその都度配達員が暗証番号を設定するタイプの場合、配達員は配達表にその暗証番号を書いて郵便受けに投函しますが、これを郵便受けから盗み出し、勝手に開けて荷物を持って行ってしまうというトラブルは結構あります。
これは完全に窃盗なのですが、配達票ごと持って行かれてしまうので、配達業者と「届けた」「届けない」のトラブルに発展することもあります。部屋ごとにあらかじめ暗証番号が割り振られていない旧型の宅配ボックスなら、郵便受けも必ず施錠しましょう。
また、そういうタイプはトラブルがあることを見越して使用しない運送業者もいます。これは向こうのルールで決まっているので、文句を言ってもしょうがないですね。
入らない荷物もある
当然のことながら、大きいものは入りません。また、生ものだとわかる荷物は、配送業者のほうで入れないでしょう。以前は「宅配ボックスに入れてください」と書かないと入れない業者も多かったのですが、今はほとんどの業者が説明なしで入れておいてくれるようになりました。心配なら、業者の営業所に電話をして相談しておくといいと思います。
住民のモラルが悪い
最近多いのが、宅配ボックスをめぐるトラブルです。住民みんなの共有設備なのですから、一般的な常識を持って使用する分にはトラブルにはならないでしょうが、中にはよく理解していなかったり、目的外使用をするモラルの低い人も残念ながらいます。
目的外使用で専有化する
たとえば、ペットボトルの水をケース買いした時に、自分の家まで運ぶのが面倒だとか、家の中に置いておくスペースがないという理由で宅配ボックスに入れて、そこから使うたびに一本ずつ持って行くようなとんでもない人もいます。
宅配ボックスは個人の物置ではありません。自分では「うまくやっている」つもりでも、管理組合の理事会などでは絶対クレームが出ていると思います。大家や管理会社との関係性はこうなると間違いなく悪くなりますね。
なかなか受け取らない
長期間留守にしているのか、ずっと荷物を入れっぱなしの人もいます。当然そうなると他の人の荷物を入れられなくなるので、宅配ボックスを利用するなら、基本は当日中、遅くても翌日には荷物は取り出しましょう。
ちゃんとリセットできない
使い方を理解していない人もまだまだいます。宅配ボックスを開けて、荷物を取り出したらそれで終わりだと思うかもしれませんが、多くの場合閉めた後に完了ボタンを押してリセットしないと、次の人が使えません。意外とこれを忘れる人が多いです。
まとめ
通販好きの人にとって宅配ボックスは一度使うと二度となしでは暮らせないと思うほど便利なものです。また、運送業者にとっても現在のパンク寸前の状況を改善してくれるかもしれません。
家賃はやや高くなるかもしれませんが、もし不在がちだったり、あまり知らない人に玄関先まで来てほしくないと考えるタイプだったら、宅配ボックスは強い味方になってくれると思います。