喫煙していた部屋はニオイ汚れを落とす修繕費用がかかる

喫煙していた部屋はニオイ汚れを落とす修繕費用がかかる

2020年の東京オリンピックに向かって今日本では嫌煙、分煙の嵐が吹き荒れているような状態です。外で吸えないのはもちろん、子どものいる家庭は禁煙なんていうとんでもない条例案が出たりして、愛煙家の居場所はどんどん狭まっていきます。

せめて自分の家の中くらいでは好きに吸わせろよと思うかもしれませんが、それはそれで賃貸住宅の室内で喫煙するのは、ある種の「覚悟」が必要かもしれません。

タバコを室内で喫煙するデメリット

タバコは体に悪いのは当然です。タバコには数百種類ともいわれる発がん性物質が含まれているそうです。がんだけではなく、動脈硬化や心臓病など、タバコが引き起こすとみられている病気はたくさんあります。でも、自分の体なんだから好きにいじめたっていいじゃないかという考え方もあります。

それは一理ありますが、お部屋へのデメリットは避けられません。

部屋が汚れる

俗にいうタバコの「ヤニ」とはベトベトしたタールという油です。これがクロスにつくと黄ばんできますし、さらに粘着性があるので部屋のホコリを抱き込んで一緒に固まってしまうと、ちょっと素人では手を出すのが難しい、プロでも苦戦するような頑固な汚れになります。

しかも煙は上に行きますから、手が届かない壁の上部や天井に汚れがつくので、思い立って掃除しようと思っても大変です。

ニオイがとれない

汚れよりもある意味ダメージが大きいのがニオイです。クロスにニオイが染み付いてしまうだけならクロスの張替えでなんとかなりますが、長年同じ部屋でヘビースモーキングを続けていると、その下のボードにまでニオイが染み付くこともあります。

これがやっかいで、一見きれいに見えても下からもわっとニオイが上がってくることもあります。もし、あまりにもひどくてボードごと取り替えになると、大変な出費になりますね。

壁の黄ばみやヤニのニオイと原状回復との関係性

原状回復とは、賃貸住宅を出る時に自分の過失で汚したり壊してしまったものを自分の負担で直す義務があるということで、これは法律で定められています。ただ、どこまでが原状回復なのかということはあまり知られていないようです。

原状回復の誤解

きれいにして返すのが基本ですが、別にそれは新品同様にしろということではありません。たとえば日光による日焼けや冷蔵庫の後ろの電気焼けなどは、普通に暮らしていてもできるものですから、これは借主には修繕費用を払う義務はありません。あくまでも日常生活による損耗や、経年劣化は借主の責任ではないのです。

タバコは日常生活?

それなら部屋でタバコを吸ったって、法律違反をしているわけじゃなし、それでクロスが汚れたとしても日常生活の範囲内じゃないか、と言うかもしれませんが、残念ながらそれは通りません。

タバコを吸わなければそんな汚れもつかないわけで、タバコによる汚れは借主の責任だというのが現在の判断です。ここは文句を言ってもしかたがありませんね。

敷金を上回ってしまったら?

普通、壁のクロスを自分の過失で汚してしまった場合には全部の費用ではなく、1平方メートル単位で考えますが、タバコのヤニの場合はある一部分というよりも、部屋全体にまわっているので、クロスの張替えとなると、すべて張替えが必要です。

さらにその下のボードの取り換えになったら、敷金だけでは足りなくなる場合があります。そうなった時には敷金が戻ってこないどころか、追加で請求がきます。

クロス張替えの費用相場

クロスの張替えは当たりまえですが、業者によって随分費用に差があります。これが自分で業者を探すのであればネットなどあらゆる手段を使って相見積もりを取り、一番安い業者にしますが、問題は費用は借主が負担するのに、業者を探すのは大家側だということです。

まあ、普通は「どうせ自分が払うんじゃないから」と適当に不動産業者からの紹介や付き合いで決めるでしょう。下手をすると業者からのキックバックを期待するなんていう悪い人もいないとは言い切れません。

基本的に一般的に賃貸住宅で使われるようなクロスは、1平方メートル1,000円前後くらいだと思います。これが2,000円を超えてくるようなら、ちょっとおかしいと思ったほうがいいかもしれません。

普通の1DK程度でも、10万円を超えてくる請求をされることもありますが、そもそもこのあたりは大家さんの人間性次第というところがあります。「入居者負担だから全部張替えちゃえ」という場合も結構あるので、おかしいと思ったら明細をもらった上で敷金鑑定士など、プロの力を借りたほうが安くすむこともあるでしょう。

壁の黄ばみやヤニのニオイを落とすには?

あまりにもひどい場合は張替えしか手がないかもしれませんが、自分で掃除する程度でなんとかなる軽い汚れなら、がんばってみるという手もあります。

ヤニ汚れの基本

ヤニ汚れを落とすのに、一番大切なことがあります。それは部屋全体を均等にきれいにすることです。壁も点ではなく、面で考えるようにしましょう。そうでないと、白くしたところと黄色いままのところがむらになって、かえって汚らしくなります。

基本は汚れを浮かせて水拭きです。ただし、土壁、珪藻土、紙のクロスなどは水拭きができないので、もしそうならあきらめましょう。一般的な賃貸住宅で使われているビニール製のクロスなら、水拭きできます。

おすすめヤニ掃除

ヤニ汚れにおすすめなのが、100円ショップでも最近は売っているセスキ炭酸ソーダです。これはアルカリの力で油汚れを浮かす効果が重曹より高く、また重曹より水に溶けやすいという非常に使い勝手がいいものです。

この粉状のセスキ炭酸ソーダをスプレーボトルに入れ、水道水で溶かし、スプレーしながら拭いていきます。ただし、使う際には薄い濃度のものから始めてください。いきなり濃い濃度で始めると、拭きムラになる可能性大ですから。

また、壁紙と壁紙のつなぎ目は拭き掃除の際の水分ではがれやすくなるので、注意しましょう。メラミンスポンジは部分的なヤニ汚れに絶大な効果を発揮しますが、ムラができやすいのであまりおすすめはできません。

室内でタバコを吸うには

一度でもヤニ汚れと格闘をした経験がある人なら、二度とこんな思いはすまいと強く心に誓うと思います。そこで、部屋でタバコは吸いたいけれども壁は汚したくないという矛盾したことになるわけです。

空気清浄機

最初にベストな方法から言ってしまえば、これよりいいものはありません。最近の空気清浄機は性能がいいので、その前でタバコを楽しんでいれば一人が一本吸うくらいなら、ニオイもヤニも吸い取ってくれます。多少お金はかかりますが、クロスの清掃費用や張替え費用のことを考えれば、「安いもの」の部類ではないでしょうか。

換気扇

換気扇の下という手もあります。昔ながらの上のほうについているプロペラ式のものは難しいかもしれませんが、フード式のものならこれも一人が吸うくらいなら大丈夫でしょう。

ベランダ

今はベランダでタバコを吸う「ホタル族」への風当たりは強いです。近隣の部屋には、その一本がとてつもなく迷惑に感じる人がいるかもしれないので、やめておいたほうがいいでしょうね。

現代、タバコを吸うことは健康だけでなくお財布にもダメージになります。いっそのことやめてしまうのが一番いいとも思うのですが、もし無理ならニオイや煙が出ないタイプの電子たばこに変えてしまうのも一つの手です。


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