
集合住宅で生活していると、近隣住民とトラブルが起こってしまうことが良くあります。特に賃貸物件は壁や床の防音対策が万全でない場合が多く、生活音や騒音に悩まされる人も多いでしょう。
また住民が一緒に使うような共用部では、マナーが悪い人がいて困ってしまうこともたくさんあります。そんな時どのように対処していけばよいのでしょうか。
よくある隣人トラブルの原因
隣人トラブルの対処法を説明する前に、まずは隣人トラブルにはどのようなものがあるのかを知っておきましょう。
よく知られているのは騒音問題ですが、実はそれ以外にも、深刻なトラブルの原因になることはたくさんあります。
騒音問題
隣人トラブルで最も多いのは、やはり騒音問題です。騒音問題は隣人トラブルの中でも最も深刻で、悪化すると大きな事件へと発展してしまう恐れがあります。
騒音問題には、足音や掃除機の音、赤ちゃんの泣き声や子供の声、ペットの鳴き声など、生活しているうえで出てしまう生活音と、音楽や騒ぎ声、バイク音などの騒音の2種類があります。
特にトラブルとなりやすいのは、生活音よりも騒音の方。深夜に大きな音で音楽を聞いたり、夜遅くまでパーティーをしていたリ、改造バイクで深夜に出入りしたりなど、大きなストレスにつながってしまいます。
ゴミ問題
賃貸物件ではゴミ捨て場が共用で、住民が同じ場所にごみを捨てるというスタイルがほとんどです。でも中にはマナーが悪く深刻なトラブルを巻き起こしてしまうことも。
ゴミをきちんと分別しない、指定の袋に入れていない、夜出して猫やカラスが漁ってしまうなど、ゴミ問題にも色々あります。
分別されていなかったり、袋が違ったり、ゴミ袋が破れていたら、ゴミ業者が収集してくれないこともあり、景観の問題や衛生的な問題、異臭問題などに発展してしまいます。
タバコ問題
最近では嫌煙家が増えたことによって、喫煙者は肩身の狭い思いをしていますが、これは賃貸物件においても大きな波紋を呼んでいます。
子供がいる、壁紙が汚れるのが嫌など、家の中でタバコを吸うことができず、ベランダに出て吸うという人がたくさんいます。ベランダでタバコを吸われると、匂いや煙が家に入って来て嫌な思いをしているという人もたくさんいます。
またタバコをその辺にポイ捨てする、吸殻をベランダに溜め込んで臭う、きちんと鎮火できてなくてボヤ騒ぎを起こすなど、タバコに関する問題は山積みです。
ペットトラブル
ペットが飼える賃貸物件が増えてきた中で、ペットトラブルも急速に増加傾向にあります。一番多いのがペットの鳴き声。昼間鳴き声がやまないだけでも大きなストレスになりますが、中には深夜にうるさく鳴いてしまう犬や猫もいます。
またペットの糞尿トラブルも多く、犬が共用部分でおしっこをしてしまう、ベランダに猫のトイレを設置していて臭う、ペットの糞尿をベランダに溜め込んでいるなど、異臭トラブルもあります。
その他には、ブラッシングをベランダでする、放し飼いにしている、家の中で走り回るなどのトラブルも起こっています。
駐車場トラブル
物件に駐車場が完備されている場合には、駐車場でのトラブルも考えられます。
契約していない場所に駐車する、来客用駐車場に自分の車を停める、線からはみ出して駐車する、当て逃げ、改造車など、意外にもトラブルが起こりやすいのです。
特に駐車場関係のトラブルは、トラブルを起こすのも、トラブルを起こされてストレスに感じるのも男性が多いという傾向があります。男性同士で喧嘩になってしまうことも多く、隣人トラブルの中でも要注意です。
隣人トラブルの対処方法
前述したような隣人トラブルに巻き込まれてしまった…。このまま生活していくにはストレスだけど、できるだけ穏便に解決したい…。そんな時のうまい対処法を見ていきましょう。
まずはすぐ管理会社へ
近隣住民のことで何か気になることがあったら、まずはすぐに管理会社に連絡しましょう。
管理会社には、こういった隣人トラブルに対するマニュアルがあるので、できるだけ穏便に解決する方法を提示してくれます。
一つ気をつけたいのは、家主に相談するのはできるだけ避けるということ。もちろん適切な対応をしてくれる家主はたくさんいます。でも中には後先考えずにハッキリ言ってしまう人もたくさんいます。
名指しで張り紙を出したり、通報者の名前を出してしまうこともしばしばなので、できるだけ管理会社の方に連絡するようにしましょう。
警察に相談する
例えば毎晩深夜まで騒ぎ立てる、違法駐車している、のぞき、ストーカー行為、暴力などの隣人トラブルは、法律に触れるほど深刻なトラブルです。
こういった法律に触れるほどのトラブルが起こってしまった場合は、すぐに警察に相談する必要があります。隣人だからと警察を呼ぶことを躊躇してしまうのは絶対にNGです。
問題が悪化してしまう前に、すぐに警察に相談してみましょう。特に騒音や違法駐車は、その場で警察を呼んで注意してもらうこともできます。警察も通報者を明かすことはないので、安心して相談できますね。
また法律に触れるほどではなくても、迷惑行為に当たるという場合には弁護士に相談してみるのもおすすめです。隣人トラブルを専門的に扱っている弁護士もいるので、ぜひ活用してみましょう。
役所や保健所に相談する
ペットやゴミなどの異臭に関するトラブルの場合は、役所や保健所に相談してみるのも一つの手です。
実際にトラブルの原因となる部屋を訪れ、ゴミの整理整頓を促したり、ペットの飼い方の指導を行ったりと、問題解決に努めてくれます。
また地域によっては市役所や区役所に、近隣トラブルの相談窓口があるところもあります。うまく活用してトラブルを解決してもらいましょう。
自分で解決はNG?
隣人トラブルを解決するとき、わざわざ誰かの相談するまでもなく、自分で解決しようと思う人もたくさんいます。
でも怒りに任せて解決しようと先走るのは絶対にNG。問題を大きくしてしまうか、深刻な事件へと発展してしまう恐れがあります。
壁ドン・床ドンは×
うるさいときについついやってしまいがちな壁ドンや床ドンですが、実はこれはやらない方が身のため。それで当事者が反省してくれればいいのですが、中にはうまくいかないことも。
実際にあった例では、隣人がうるさいので注意のつもりで壁ドンをしていたら、逆に騒音で管理会社から注意勧告をされてしまったというケース。管理会社にはこちらが迷惑な住人と認定されてしまいました。
また、音楽がうるさいので壁ドンしたら、ヤンキー風の男性が数人で乗り込んできて、怖い思いをしたというケースもあります。
何とか迷惑に思う気持ちを伝えたいと思っての行動ですが、逆にトラブルが大きくなってしまう可能性があるので、安易にやらないようにしましょう。
貼り紙や手紙も×
トラブルを避けるために、誰が注意しているのかわからないようにしたいという思いはわかりますが、差出人不明で貼り紙や手紙を出してしまうのもお勧めできません。
特にドアに貼り紙をしたり、掲示板に勝手に貼り紙をすることは、逆に民事上の不法行為に当たってしまいます。また書いた内容によっては名誉棄損、侮辱罪などに当たってしまうことも。
手紙に関しても、怪文書として取り扱われたり、内容によっては脅迫と受け止められる可能性もあります。トラブル回避のために行ったのに、逆に余計なトラブルを招くことになってしまうので、できるだけこのような行為はやめましょう。
最適なのは穏便な話し合い
自分で解決したいと思ったら、一番なのは穏便な話し合いです。「こういう理由で迷惑を受けています。ご理解ください。」という低姿勢で話し合いに臨むことで、相手も納得してくれることがあります。
この時、絶対に怒りに任せて怒鳴ったりわめいたりしてはいけません。できる限り優しい物言いで、相手に理解してもらえるように努めましょう。
ただし直談判はどう頑張っても角が立ってしまいます。できれば自分で解決しようとせずに、どこか相談してみることがおすすめです。
まとめ
隣人トラブルは、本来ならば一番くつろぎの場である自宅で起こってしまうため、巻き込まれるととても大変です。
生活していくうえで、誰にも迷惑をかけないという事は出来ないので、ある程度はお互い様だと我慢したとしても、あまりにもひどいと精神的にも参ってしまいます。
そんな時は、周りの協力をうまく得て穏便な解決を目指していきましょう。大切なのは誰かに相談するという事。まずは相談できる相手を見つけることが大切です。
隣人トラブルを相談できるところ
- 管理会社
- 警察
- 弁護士
- 市役所や区役所
- 保健所
各機関には、気軽に相談できるよう相談窓口が用意されているので、絶対に一人で抱え込んで解決しようとしないようにしましょう。