ロフト付きのアパートやマンションを借りる際の注意点

ロフト付きのアパートやマンションを借りる際の注意点

ロフト付きの物件は人気があります。なかなか予算の関係上、広々としたところに住みたいと思っても思い通りにはいかない人にとって、部屋のようなのに部屋じゃない、自由に使えるおまけスペースがあるロフト物件は魅力的ですが、何事にもいい面も悪い面もあります。ロフトについて、よく知っておきましょう。借りてしまってから後悔しないために。

ロフトって何?

まずは基本のき、ロフトとはどういうもので、どういう部屋が「ロフト付き」になるのか、おさらいしておきましょう。

ロフトの語源

ロフトは本来、屋根裏部屋という意味です。きちんと天井が張られていない、屋根の形状がそのまま見えるような家の中の一番上の部分です。当然暑さ寒さに弱く、居住空間には適していないので物置にするのが一般的でした。また、童話の世界では、虐(しいた)げられた子どもは屋根裏のロフトで暮らしているという設定が多いですよね。

超高級ロフトとは

元々のロフトがあまり快適な住環境ではない代わりに安い部屋というイメージなのに対して、アメリカ、特にニューヨークなどには「ロフトアパートメント」と呼ばれる物件があります。アメリカの都会で、かつて倉庫や工場として使っていた建物の中を全部リノベーションして、住居やアトリエ、スタジオ兼住居にしたものが「ロフトアパートメント」です。

たとえば、場所が至便な割には老朽化した倉庫やビルばかりだったマンハッタンのトライベッカは、次々に大きな倉庫が超高級住宅に生まれ変わって超人気エリアです。ちなみに俳優のロバート・デ・ニーロはここの生まれですが、今では彼が出しているレストランや映画祭もあり、アメリカでも屈指の高級おしゃれエリアになったと言っていいでしょう。

「トライベッカのロフトに住んでいる」なんて言ったらほぼ間違いなく「あなたの職業はなに?」と尋ねられると思います。

日本のロフトは?

日本で言うロフトは、貧しい屋根裏部屋でも超高級アパートでもありません。中二階のように、天井が高い部屋の中ではしごや階段で昇り降りできるスペースがある物件のことです。狭い部屋を少しでも広く使おうという、国土が小さな日本人の知恵ですね。

ロフトの住み心地はどうなの?

おそらくロフト付きの物件は不動産広告に必ずそう書いてあるでしょうし、不動産屋の営業マンも「ロフト付きですよ」と推してくると思います。そんなにロフトっていいものなのでしょうか?

ロフトがあるとこんないいことが

確かにロフトは専有面積に含まれないおまけのスペースなので、ちょっと得した気分になります。

生活のメリハリがつく

ロフト部分に布団を敷いたりマットレスを置いたりして寝室スペースにすれば、普段食事をしたり勉強をしたり仕事をするスペースと完全に分けることができます。

ワンルームでは、すべて同じ場所に生活スペースがあるので、なんとなく時間の使い分けがしにくいとか、だらだらしてしまいそうという人は、お手頃な家賃で寝室感覚に使えるのはありがたいでしょう。また、ロフト部分を書斎にすれば、より集中して仕事や勉強ができるかもしれません。

急な来客時に便利

あまり部屋の掃除が得意ではない人のところに、「今駅にいるけど15分後に遊びにいくから」なんて電話が友だちからかかってきたら、焦りますよね。部屋中をきれいに掃除するのは、15分ではとても無理です。そこで、ロフトがあればとりあえず散らかっているものは全部ロフトの上に放り投げておけば、なんとか形は作ることができます。

収納スペースになる

季節ものの家電や服、読まなくなった本など、長い間使わないことがわかっているものをとりあえずしまっておけるのはとても便利です。ロフトを収納空間にすれば、下の生活スペースに無駄なものを置かないですむので広く使えますし、収納がない物件でも収納家具を買わずにすむかもしれません。

ただし、出したりしまったりする時の苦労は覚悟しましょう。たとえば、コタツセットなどは上に上げるのも下ろすのも、女性一人ではちょっときついかもしれません。

秘密基地感覚

ロフト付き物件を選ぶ人の理由は、実はこれが一番多いのではないでしょうか?子どもの頃、狭い押入れの中に自分だけの秘密基地を作って遊んだあの感覚が確かにロフトにはあります。来客もそんなに上がってくる場所ではないので、思う存分一人の時間を楽しむことができますよね。

ロフトにはこんな落とし穴が

上に書いたメリットは多くの人が思いつくと思いますが、ロフトにはメリットと同じくらい、いえ、使い方によってはそれ以上のデメリットもあることを知っておきましょう。

暑さ寒さに極端に弱い

ロフト付きの部屋は天井が高いので、常に暖かい空気は上に、冷たい空気は下にあることになります。となるとこれはどうなるかというと、暑い夏にはとても暑くなり、寒い冬は下のスペースが底冷えでとても寒くなります。ほんの数メートルの差ですが、実際にロフトで生活したことがある人は実感していることだと思います。

夏にロフト部分にまで届くようにガンガンにエアコンを利かせると、当然光熱費は高くなります。特に最上階で直射日光が照りつけるような部屋なら、暑くてちょっとロフトにはいられなくなるかもしれません。

冬に下で暖を取ろうとすると、ホットカーペットや小型のヒーターなど、サブ的な器具が必要になることも多いです。シーリングファンがついていればまだましですが、それもない場合、サーキュレーターの導入を検討したほうがいいかもしれません。

サーキュレーターは扇風機の親戚のようなものですが、扇風機が直接風に当たって涼むためのものであるのに対して、サーキュレーターは直線的に強い風を送り、部屋の空気を循環させるためのものです。

落ちる

特にはしご式のロフトの場合、かなりの数の人が一度は落ちていると思います。お酒に酔っぱらっているときなどはなおさらです。階段式の使いやすいロフトもありますが、その分スペースもとるし、家賃もそれなりだと覚悟しなければいけません。

面倒

当たり前ですが、昇り降りは結構面倒くさいです。風邪をひいて高熱を出して、フラフラで寝ているときにトイレのためにはしごを昇り降りするのは危ないですし、布団干しも一苦労。ロフト部分を書斎にしている場合、資料や飲み物、おやつなどをいちいち持って上がって、また下ろすのは、毎日やっているとストレスになるかもしれません。

メンテナンスが大変

掃除をする時に掃除機を上げ下ろしするのも大きいタイプなら大変なのでハンディクリーナーのようなものは必須になるでしょう。ロフト部分で派手に飲み物をこぼしてしまった場合、大量の濡れ雑巾を持って行くか、水の入ったバケツを上まで上げるか、ちょっと悩みます。

さらに天井が高い場合、電球の取り換えが大変なことも知っておきましょう。普通の人は脚立なんて持っていませんよね。テーブルの上に椅子をおいて、さらにその上に立って電球を取り換えるなんて、かなり怖いですよ。最近は切れにくいLED電球が多いといっても、あれも切れないというわけではありません。

ロフト付きの物件は、狭いスペースを広々と使いたい人には人気です。ただし、実際に暮らしてみるとわかりますが、暑さ寒さが想像以上だったなど、住んだことがない人にはわからない部分もたくさんあります。できれば借りる前にロフト付き物件に居住経験がある人に話を聞けるといいですね。


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