賃貸物件を契約する初期費用の中で、やたら目につくのが「鍵の交換費用」という言葉。鍵の交換費用って何のために払うんだろうと疑問を抱いている人も多いはずです。
なぜ鍵の交換が必要なのか、この費用は本当に支払う義務があるのかどうかなど、鍵交換に関する様々な疑問を解決していきましょう。
部屋を借りる際の鍵交換について
賃貸物件の契約において、鍵の交換費用を請求されるというのは一般常識になりつつあります。特に入居前に支払う初期費用に含まれることが多く、特に説明もなく知らない間に取られていたという人も少なくありません。
とはいえ鍵交換は、賃貸物件においてとても重要な役割を果たしています。その理由と、鍵交換の相場について詳しく見ていきましょう。
鍵交換の必要性について
賃貸物件で入居者がかわるたびに鍵を交換するというスタイルができたのは、比較的最近の話です。一昔前までは、入居者が変わるからと言って、いちいち鍵を交換することは珍しい事でした。
ではなぜ突如、鍵を交換するというスタイルが出来上がってしまったのでしょうか。それはある卑劣な犯罪が急増してしまったためです。その犯罪とは、前の入居者による家宅侵入です。前の住人があらかじめ合鍵を作っておき、新しい入居者が住み始めたことを見計らって、窃盗や強盗、強姦などの目的で侵入する事件が多発しました。
家主から預かった鍵はすべて返却しなければいけませんが、返却する前に合鍵を作ることは容易なことです。さらに合鍵を作るショップも急増したことから、こういった卑劣な犯罪が急増してしまいました。
つまり入居者が変わるたびに鍵を変えるということは、犯罪を未然に防ぐために必要不可欠な条件になってしまったのです。
鍵の種類と交換費用相場
鍵を交換する際の費用相場はいくらくらいなのでしょうか。
鍵の交換費用は、実は鍵の種類によって違います。賃貸物件に使用される鍵の種類は大きく分けて3種類。それぞれの特徴と交換費用の相場を見ていきましょう。
シリンダーキー
シリンダーキーは日本国内で最も多く使われている一般的な鍵のことです。特に賃貸物件はシリンダーキーを使っているところが多く、誰にでもなじみのあるごく普通の鍵です。
シリンダーキーには形状によって細かく種類が分かれていて、ディスクシリンダー、ピンシリンダー、マグネットシリンダー、ロータリーシリンダーなどがあります。どれもシリンダーキーの仲間なのですが、形状によって交換費用が若干違ってきます。
シリンダーキーの交換費用相場は、1万円から1万2千円程度。形状によっては1万5円ほどかかる場合もありますが、他の鍵に比べて安く交換ができます。
カードキー
カードキーとはカードの抜き差しや、スライドをすることで施錠・解錠できる鍵のことです。最近ではかざすだけで鍵を操作できるものも増えてきていて、まさに最先端というイメージです。ホテルの客室などで利用されることが多い鍵ですが、ピッキングされにくく、合鍵も簡単に作ることができないという点から、賃貸物件での使用も増えてきています。
最先端技術というと、さぞ鍵交換も高額なんだろうと気負いしてしまいますが、実は交換費用相場はシリンダーと変わらない1万円から1万2千円程度。交換も気軽に行えます。
ディンプルキー
ディンプルキーとは、鍵の表面に丸い穴が開いていて凹凸が付けられている鍵のことです。ピッキングされる心配が少ない事で注目され、新築戸建てや新築マンションなどで多く取り付けられています。賃貸物件でも新しく建てられたところでは使われることが増えてきているので、これからどんどん普及が進むと考えられています。
ディンプルキーのメリットはセキュリティの高さですが、複雑な構造をしている分、交換費用は高めです。相場は1万5千円から2万円程度。およそ5千円ほど他の鍵より交換費が高くなってしまいます。
鍵交換に関する疑問
賃貸物件では鍵交換を行う必要があるという事は重々理解できたと思いますが、問題はその費用を本当に入居者が負担しなければならないのかどうかという点です。
まだ住んでもいない部屋の鍵を交換するためにお金を払う…自分の安全のためとはいえ、いまいち納得できませんよね。本来は誰が負担すべきお金なのでしょうか。
費用は誰が負担するのか?
実は国土交通省が定めたガイドラインによると、賃貸物件の鍵交換費用は家主が負担することが妥当と定められています。これだけはっきりとしたガイドラインがあるにもかかわらず、なぜ入居者に請求されてしまうのでしょうか。
その理由は、ガイドラインは法律とは違うためです。ガイドラインはあくまでトラブルを防ぐために定められた一つの指針というだけのものなので、ガイドラインに反していたところで何も悪くはありません。となれば当然入居者に請求されるようになりますよね。こうして鍵交換は入居者が負担するという事が一般化されてしまったのです。
でも交渉次第では鍵交換費用を減額・免除してもらえる時もあります。もしも自分で負担するのは納得いかないと思うのであれば、一度交渉してみてもいいかもしれません。ただしあまりにもやり過ぎると入居を拒否されてしまう恐れもあるので慎重に進めていきましょう。
自分で鍵交換はできるの?
「鍵の交換費用を請求されているけれど、どう考えても相場よりも高い…」こんなトラブルに巻き込まれてしまう事があるかもしれません。物件自体は気に入っていて入居を決めたいのだけれど、鍵の交換費用が高くて悩んでいるという場合は、自分で鍵交換をする旨を伝えてみましょう。
中には定められた業者でなければ受けられないと断られてしまう場合もあるかもしれませんが、鍵さえ交換してもらえれば構わないという家主も多いので、自分で業者を手配することを認めてくれるかもしれません。
鍵交換が不要な場合もある
賃貸物件の契約には必ずしも鍵交換費用が必要というわけではありません。例えば、前に住人が退去時に鍵交換を行っている場合や新築物件の場合です。
退去時に鍵を交換しているのであれば、入居時に再び交換する必要はありませんし、新築物件は前の住人がいないので当然鍵を交換する必要はありません。
ただ不動産会社の中には、こういったケースでも不当に鍵交換費用を請求してくる場合があります。さりげなく初期費用に含まれてしまっている可能性があるので、しっかりとチェックして無駄な支払いをさせられないように気をつけましょう。
まとめ
鍵交換の費用について見てきました。注目すべきポイントは次の3つ。
- 賃貸物件の鍵交換は必要不可欠
- 鍵交換費用は交渉の余地あり
- 鍵交換がいらないケースもある
初期費用をできるだけ抑えて、安く引っ越したいという気持ちはあるかもしれませんが、防犯のために鍵交換は絶対に必要です。ただし交渉次第で安くしてもらえたり、自分で安い業者を手配することもできるので、うまく交渉してみましょう。