契約書を隅々まで読む人はあまりいません。しかし賃貸の契約書には大事な要点だけを抜粋している「重要事項説明書」という書類が貼付されているはずです。ですので、この重要事項説明書だけでもしっかり目を通してから署名・押印するようにしてください
重要事項説明書の大切さ
先にも言ったように契約書の大事な部分を抜粋しているのが「重要事項説明書」という書類になります。ですので、契約書を隅々まで読めとは言いませんが、この「重要事項説明書」だけは絶対に目を通しておくようにしてください。
とくに賃貸の契約書は、その不動産会社のルールに沿って作られていることが多いので、例えば敷金3ヶ月という物件の場合、契約書に「退去する際には退去後の清掃費用などとして、敷金2ヵ月分を差し引いた額を返還する」という条項が盛り込まれていたりします。
俗に言う「敷引き」という制度のことです。このような契約書に同意をしてしまうと、戻ってくるはずの敷金も戻ってこなくなる可能性があります。
他にも契約更新時のことなどについても書かれているはずです。2年後ごとに契約更新を行うこと、その際には契約更新手数料として家賃○ヵ月分を支払うことなどが盛り込まれているはずですが、通常は家賃1ヵ月分程度です。これが2ヶ月分や3ヵ月分となっているのであれば、ちょっと再検討する余地があるかもしれません。
このように不動産会社や家主の都合の良いように作られた賃貸契約書は決して珍しいことではありません。ですが当然これらの項目も重要事項説明書に抜粋されて記載されています。何ページもある契約書を読むのは苦痛ですが、数ページの重要事項説明書であれば、あまり苦痛に感じることなく隅々まで目を通すことができるはずです。
難しい言葉や専門的な用語を並べたて、難しいく書いてあるのが契約書です。ちょっと不明な点やわからない言葉があれば、その都度説明を受けるようにしてください。
重要事項説明書の中でも「特約」に注目する
そもそも重要事項説明書は契約書のなかでも大事な部分だけを抜粋している書類なので、そこに書かれている項目すべてが重要なことなのですが、そのなかでも一番注目して欲しい項目が「特約」と記載されている部分です。
この「特約」という部分に記載されていることの多くが、特別にこのようなルールを決めていますよという内容なんです。極端な例ですが、家賃の支払日などに関しては重要事項説明書の「家賃等の支払い条件」などの項目内に書かれているのですが、特約部分に「家賃滞納を2ヶ月過ぎると強制退去させられても意義申し立てしません」などと書かれていたりします。
このように不動産会社と家主側で特別に決めているルールや取り決めなどが、この「特約」という欄に書かれているケースが多いので、そこは真っ先にチェックするようにしてください。
もちろんこの時点で契約書に疑問を感じ、契約をキャンセルしても違約金やキャンセル料を取られることはありませんので、ちょっとでも怪しいなと思ったらすぐに署名・押印せず、誰かに相談するなり日を改めることをおすすめします。