借りた部屋でシックハウス症候群になったらどうする?

借りた部屋が原因でシックハウス症候群になってしまったらどうする?

シックハウス症候群という言葉をご存知でしょうか。ここ十数年の間にテレビや週刊誌などのメディアに大きく取りあげられているので、誰でも一度は耳にしたことがあるかもしれません。

シックハウス症候群とは、室内の空気が汚染されることで引き起こされる健康被害のこと。改善されてきているとはいえ、まだまだ完全には解決されていない問題です。もしも自分が借りている賃貸物件でシックハウス症候群を引き越してしまったら、どうすれば良いのでしょうか。

シックハウス症候群とは

シックハウス症候群という言葉を何となく耳にしたことがあっても、実際にどのような病気なのか詳しく知っているという人は少ないでしょう。実際に被害に遭った人でなければ、それほど関心を寄せる問題ではないので、知らなくても当然です。

でも自分が被害者になってしまった場合のことも想定して、シックハウス症候群というものがどういうものなのかを知っておくことはとても大切なことです。もしもの時のために、正しい知識を身に付けておきましょう。

シックハウス症候群の原因と症状

シックハウス症候群とは、建築材料などの化学物質が原因で室内の空気が汚染され、様々な健康被害を引き起こしてしまうという病気です。ではシックハウス症候群の原因と症状を詳しく見ていきましょう。

シックハウス症候群の原因

シックハウス症候群の原因となる化学物質には次のようなものがあります。

  • ホルムアルデヒド
  • トルエン
  • キシレン
  • パラジクロロベンゼン
  • クロロビリホス

これらの化学物質は建築材料に使われることが多く、主に新築物件で室内に溜まってしまうことが問題となっています。特にホルムアルデヒドは発がん性があるとされ、大きな健康被害が引き起こされてしまいます。

アメリカをはじめとした世界各国でシックハウス症候群が問題視されはじめ、2003年に日本でも厳しい基準が設けられるようになりました。新築物件に使用される材料の制限や、室内の基準値の設定などが行われているため、現在の新築物件でシックハウス症候群を引き起こす可能性は著しく低下しています。

シックハウス症候群の症状

シックハウス症候群とは、いったいどのような症状が引き起こされてしまうのでしょうか。

軽い症状
  • 集中力の低下
  • 睡眠障害
  • 鼻や口などの粘膜の乾燥
  • 鼻の奥やのどの痛み
  • 疲れ
  • 倦怠感
  • 神経過敏
  • 重篤な症状
重篤な症状
  • めまい
  • 吐き気と嘔吐
  • 頭痛
  • 発熱
  • 腹痛
  • 呼吸器疾患
  • アレルギー
  • 癌(がん)

特に新築物件やリフォームしたての物件は、化学物質の濃度が高くなってしまうため、このような症状を引き起こしやすくなります。

軽い症状だけしか出ない場合は、気づかずにそのまま生活してしまうこともあり、長期間にわたって化学物質を吸い続けてしまうという最悪の事態を引き起こしてしまいます。

ホルムアルデヒドの発がん性は、濃度に関係なく引き起こされるという事がラットの実験によって証明されているので、気づかないうちにがんになってしまうという危険性も秘めています。

引っ越してから何だか体調が優れないと思ったら、たいしたことないと放っておかずに一度医師に相談してみましょう。

賃貸会社は保障してくれるのか?

もしも賃貸物件でシックハウス症候群を発症してしまったとしたら、どうすれば良いのでしょうか。業者や家主に治療費の請求や敷金・礼金・仲介手数料・家賃の返還など、被害に対する賠償請求はできるのでしょうか。

その答えは「難しい」です。実はシックハウス症候群はとてもデリケートな問題です。シックハウス症候群の原因は様々で、先ほど紹介した化学物質だけでなくカビやハウスダストなどでも同じような症状がみられます。

さらに建材だけでなく家具に使われる材料にも同じような化学物質が使われているため、シックハウス症候群の原因がすべて物件のせいだと特定するのが難しいのです。

また国で定められた基準値内であっても、体質によっては同じような症状を引き起こしてしまう可能性があります。これを「化学物質過敏症」と言います。

不動産会社が適正な材料で建設した物件であったとしても、過敏に反応してしまう人のことを総称してこう呼びます。この場合は業者や家主に落ち度はないとされ、請求は不可能です。

リフォーム物件は基準値が定められていない

リフォーム物件に関して言えば、まだ基準値すら定められていません。新築物件に関しては基準値があるので不動産会社も基準値内で建設を勧めますが、中古物件のリフォームは基準がないので特に気にせず工事してしまう業者も多いです。

ですが、違法性はないので、この場合も業者側に落ち度はないという事になってしまいます。

新築物件に関してのみですが、どうしても業者や家主に賠償請求をしたいという場合は、保健所や検査に依頼して、室内の化学物質を測定してもらう必要があります。

基準値を上回る化学物質が検出された場合は、確実に業者に落ち度があったと証明できるので、賠償請求が認められる可能性が高くなります。

シックハウスを防ぐ賃貸物件選び

もしもシックハウス症候群になってしまえば、健康は害され、引越しを余儀なくされ、さらに業者や家主に請求もできないという最悪の事態になってしまいます。そうならないためには、あらかじめシックハウスを避けることが大切です。

シックハウスを避けるためには、次の3つのポイントに気を付けて行きましょう。

2003年以降に建てられた物件を選ぶ

シックハウス症候群に関して厳しい規制が敷かれるようになったのは2003年です。それ以降に建てられた物件は、すべて国で定められた基準値内で収まっているはずなので、シックハウス症候群になる可能性は低くなります。

気密性の高い物件を避ける

建材から発生した化学物質は、部屋の空気が入れ替わらないことで、ますます濃度を高めてしまいます。気密性が高ければ高いほど化学物質の濃度が高くなりやすいので、できるだけ避けるのが無難です。どうしても気密性が高いマンションを選択するのであれば、24時間換気システムが設置されている物件を選ぶようにしましょう。

換気しやすい物件を選ぶ

シックハウス症候群を防ぐためには、部屋の換気が欠かせません。そこで換気がしやすい物件を選ぶというのも重要なこと。いつでも窓が開けられることなどをチェックしてみましょう。騒音や大気汚染などの理由で窓を開けづらいという物件は要注意です。

シックハウス症候群は、いつ誰の身に起こってもおかしくない身近な問題です。問題視され始めてから減少傾向にあるのは間違いありませんが、まだ安心はできません。自分の身を守るためにも、しっかりと慎重に物件選びを進めていきましょう。


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