集合住宅に住む場合、1階部分がどうなっているかは住み心地に大きく影響します。特に純粋に住居として住んでいる人だけなのか、オフィスが入っているのか、あるいは飲食店、コンビニなど食料品を扱う店なのか、それによって似たようなマンションでもがらっと雰囲気が変わります。特にコンビニや飲食店が入っている場合は、それなりの心構えが必要です。
1階部分がコンビニや飲食店だとこんないいことが
自分の部屋から降りるだけで食料品が調達できてしまうコンビニや飲食店があると便利だなあと思う人も多いのではないでしょうか。確かに1階部分にコンビニなど食料品を扱う店が24時間開いていたり、ちょっと食事できる店があれば、言うまでもなく圧倒的に生活の利便性が高まります。
忙しい人でも食事に困らない
一番のメリットはなんと言ってもこれです。仕事が忙しくて毎日帰宅が終電間近になってしまうような人は、お休みの日しかまともに買い物ができないかもしれません。そんな人でも今日の夕食がぱっと買えたり、そこで食べられたりするのはありがたいものです。
雨の日の買い物が楽
日々の買いものに自転車を利用している人は、傘をさしながらビニール袋を提げて歩いて帰ってくるのは面倒に感じることもあるでしょう。ほとんど雨に濡れず、傘も持たずに買ったらそのままエレベーターに直行だったら、どんな天候でも苦になりません。お米など、重たいものもへっちゃらです。
この二つのメリットは誰でも思いつくことだとは思います。中には「1階にコンビニがあるから冷蔵庫はいらない」なんていう剛の者もいるほどです。しかし、こういった便利さの反面、避けては通れないデメリットがあることも知っておきましょう。
害虫、害獣問題があるかも
1階に食料品を扱う店舗が入っている場合の最大にして最悪の問題がこれでしょう。ゴキブリやネズミと無縁でいるのは、なかなか難しいかもしれません。
新築でも安心はできない
1階部分にレストランがあるけど、新築だから大丈夫と甘く見てはいけません。ゴキブリには羽があり、どこからでも飛んできます。おいしいニオイや食べ物、それに夜間でもこうこうと点いた灯りは、彼らにとってもレストランのネオンサインのようなものです。
また、都会には信じられない大きさのネズミが信じられないスピードで走り回っています。渋谷の南口からハチ公口まで雑踏の中を駆け抜けていくネズミを見たことがある人は結構いるのではないでしょうか。いずれにせよ、彼らに移動手段がある以上、新築であろうがなかろうがやってくると覚悟しておいたほうがいいでしょう。
安住の場所がある
ネズミやゴキブリにとって、ビルの配管スペースはパラダイスです。一年中温かく、外敵も入ってこられません。彼らは自由自在に配管スペース伝いに、あらゆる場所に忍び込むことができます。
実は隙間だらけ
家は隙間だらけです。自分の家ではせっせと防虫剤や殺虫剤を使って防御していても、次から次へとご新規さんがやってくるのではらちがあきません。たとえば、玄関ドアの下に細い隙間はありませんか?ゴキブリにしてみれば、隙間のあるドアなんて開けっ放しと変わりません。ウェルカムと言われているようなものです。
住む前にチェックしよう
まず、できる限り彼らと顔を合わさずに生活したいなら、内見段階でのチェックが必要不可欠です。
配管の隙間に注意
キッチンの流しや洗面所のシンクの配管パイプはどうなっていますか?もし、雑に穴があいていて、そこにパイプが通っているだけなのであれば、彼らの出入り口も同然です。いくら対策をしても、パイプスペースをつたって彼らはやってきます。
1階店舗のゴミ出しをチェック
飲食店やコンビニは事業系のゴミなので、専門の業者が収集に来るはずです。その際、ゴミ出しはどうなっていますか?しっかりとカラスや猫に襲われないように蓋のついたゴミ箱に入れていますか?もし、むき出しのビニール袋のままそのへんに放置しているようなら、そこは彼らの格好の住処になっていると思ったほうがいいでしょう。
押入れやクローゼットをチェック
ある程度入居者がいなかった部屋なら、いちいち内見のたびに隅々まで丁寧に掃除をすることはないかもしれません。内見の際には懐中電灯を持って、押入れの隅まで念入りにチェックしましょう。もし、黒い米粒のような糞や卵が一つでも発見できたら、その部屋にはもう先住者がいます。おそらく。
騒音問題があるかも
1階がコンビニや飲食店の場合、もしかしたら騒音問題になやまされることになるかもしれません。それが自分の許容範囲かどうか住む前に確かめて考えてみましょう。
トラックの出入り
コンビニは一日に何度も補充のためのトラックが来ます。音に敏感な人は、夜間や深夜のトラックの排気音や、商品の搬入音が気になるかもしれません。特に大型の店舗で、大きなトラックで複数人で作業をしているような場合、静かな住宅街ならトラックのバック音や作業の際の騒音は意外と響きます。
人の声
コンビニの場合、深夜にたまり場化している恐れがあり、中には勝手にマンション部分に入り込んで非常階段などにお菓子やカップ麺のゴミを置きっぱなしにされて困っているというマンションもあります。入り込まれないまでも、路上で一晩中騒がれたらたまりませんよね。
さらにもっとひどいケースでは、お酒を出す飲食店が入っていると、酔っぱらった客が大声で騒いだり、喧嘩などのトラブルがあるかもしれません。
ニオイの問題も
最初はいい香りだなあと思っていても、毎日毎日同じ香りをかがされていると人は次第にそれを悪臭に感じるようになります。たとえば、パン工場の焼き立てのおいしそうなパンの香りにだって、「悪臭が耐えられない」と訴える人がいるのです。
香りを甘くみない
香りは基本的に24時間そこにとどまるものだと思ったほうがいいでしょう。そうなると、それこそ鼻の休まる暇がありません。たとえば、たまには贅沢して持ち帰りの寿司折りを買って食べようという時、階下のカレー屋のニオイがしてきたらげんなりしませんか?
ゴミの始末が悪くて生ごみ臭がするなんていうのは論外です。
飲食店以外でも注意は必要
俗に言う「雑居ビル」のように、さまざまな業態の商用目的の部屋と、住居目的の部屋が混在する場合があります。特に都心で比較的お手頃な家賃の部屋はこういった「雑居ビル」形式の物件が多いですね。
食べ物を扱う店でなければ影響はないと思う人もいるかもしれません。一般のオフィスなのであれば、朝始業して夜には従業員は帰ってしまうところが多いので、自分の生活には関係ないと思うようです。
しかし、住居用とオフィス用のエレベーターが分かれているような高級物件ならともかく、住人もオフィスの従業員も来客者も同じエレベーターを使う場合には、部外者の侵入がたやすくなります。
よって、空き巣などの思わぬ被害が出ないとも限らないので、しっかりと施錠をする、防犯カメラがきちんと作動している物件を選ぶなどの自衛策は必要かもしれません。同じように、階下でネイルサロンやエステなど、不特定多数の人が訪れる店も要注意です。
階下にコンビニや飲食店など、食べ物を扱う店が入っている場合、害虫やニオイの他に、油の飛沫で洗濯ものが汚れたり、排気ダクトから出るタバコの煙に悩まされることになるかもしれません。
くれぐれも契約をする前に大丈夫かチェックしましょう。