公立の小中学校なら最寄りの学区内の学校となるため、自由に選ぶことはできませんが、私立の転校を考えるなら、まずは情報収集を急がなければなりません。ここでは、それぞれの小中学校の一般的な転校手続きについて説明します。
公立の小中学校の転校手続きの流れ
市区町村立の小学校と中学校の転校手続きは、ほぼ同じような流れになります。ただし、公立といっても国立や都道府県立の学校では、それぞれの学校により手続き方法が異なります。
まずは通学先の学校に連絡を
在学中の学校の担任に、引っ越しによる転校について連絡します。そして、転校届を提出し、「在学証明書」と「教科書給与証明書」を受け取ります。これらは、自治体により名称は異なる場合があります。
そして、引っ越しして2週間以内に住民票の届け出をしたら、上記の2つの書類を持参して、自治体の学校関係の担当部署の窓口で、転入学の手続きを行います。そこで「転入学通知書」を受け取り、「在学証明書」と「教科書給与証明書」とともに、転入先の学校に提出します。
転入先の学校を訪れる際は、事前に転入の連絡をし、都合の良い時間帯を聞いてから出かけると、担任に挨拶することもできます。特に、春休みや夏休みの長期休暇中に訪問する際は、日時を決めてから出向くようにしましょう。当直の職員では転校手続きができない場合があり、二度手間になってしまう可能性があるからです。
訪問の際は車を使用せず、子どもと一緒に安全確認しながら通学路を歩いて行くことをおすすめします。引っ越しても現在在籍する学校に引き続き通学したい場合は、役所の相談窓口に問い合わせましょう。子どもの登下校の安全が確保でき、近隣の学校との人数格差などの問題がなければ、学年によってはそのまま通学できることがあります。
国立大学附属校や都道府県立校などの転校手続き
人気が高い国立大学附属校や都道府県立校にやっとの思いで入学できても、引っ越しによって在学中に転校せざるを得ないこともあるでしょう。引っ越し先の近くに評判の良い国立大学附属校や都道府県立校を見つけたからといって、簡単に編入できません。
まず、希望する学校のホームページで編入学に関する募集要項を確認し、募集枠があるかどうかを確認する必要があります。希望する学年の募集か、一般の編入学を認めているか、附属間交流のみの限定としているか、応募資格の基準を満たしているかなどを確かめ、それぞれの学校で決められた手続きを行います。
私立の小中学校の転校手続きの流れ
公立と異なり私立の場合は、小中学校により手続き方法が異なります。転編入の時期が決められているところもあれば、随時受け付けている学校もあります。学年による募集人数や試験科目などは、各都道府県の私学協会や私立連合会などに問い合わせましょう。
私立の転校は事前の情報入手がカギ
在籍している学校の担任に転校する旨を届け出て、転校先の相談をしてみましょう。内部の情報に詳しい先生から話が聞けたり、希望する学校の合格見込みなどを相談にのってもらえたりします。
行きたい学校が決まっていれば、その学校のホームページの「転編入の募集要項」を確認します。どんな学校があるか知りたい、どこの学校で転編入の募集があるか教えてもらいたい、というときは、各都道府県の私学協会のホームページで確かめてみましょう。
参照URL:
日本私立小学校連合会
都道府県私学協会
転編入の応募条件を満たせば、その学校に直接連絡し、見学の申し込みをします。実際に見ないとわからないことは、たくさんあります。子どもに合いそうか、馴染めそうか、学校の理念や設備、生徒や先生の様子などをよく観察しましょう。
近くに通えそうな学校がない、転編入の空きがない、という場合は、学区内の公立小中学校への転校手続きが必要です。自治体の役所に問い合わせ、速やかに手続きを行いましょう。
同じ都道府県内の私立から私立への転校は難しい
私立の小中学校への転編入が認められるのは、基本的には家族そろっての引っ越しであることが条件です。さらに、過去に受験したことがある人は対象外になったり、同じ都道府県内での転編入はできないとするところもあります。
そうでないと、入学選抜試験の意味がなくなってしまうからです。受験をしたけれど不合格になった人が新たに入学できてしまうことや、他の学校の部活動の方が強いからなどと、入学後に安易に転編入をくり返すことを禁止するためです。
学校別に情報を集めることが大切
公立の小中学校と違い、私立は都道府県の教育委員会の運営でないため、かなり自由な校風と理念、設備などを掲げ、他の学校との差別化を図っています。有名な難関校なのか、部活動に力を入れているのか、人間教育に特化しているのか、様々なカラーがあります。
制服や持ち物にもそれぞれの特色を出しているので、女子ならその辺も気になるところでしょう。ただ、有名で評判が良いからという理由だけでは、本当に子どもに合っているかどうかまではわかりません。
その先の進路が内部進学なのか外部受験なのかによっても、見方は変わるでしょう。気になる学校については、それぞれ個別に情報を集めましょう。
何校か訪問して比較検討したい
できれば時間が許す限り、学校見学ができると良いでしょう。どこも一長一短あり、なかなか選びきれない場合は、案内してくれた先生の対応が素晴らしかったという点が決め手になることもあります。比較材料が多いほど、自信を持ってこれから通う学校を選べるでしょう。
子どもの気持ちも尊重すること
新興住宅地の公立の学校のように、転入生が頻繁で人数がどんどん増えていく学校とは違い、私立の学校はめったに転入がありません。そのため、すでにできあがっている友達関係の輪の中に入っていくのは、かなり勇気がいることです。
大人の目から見て素晴らしい理想の学校でも、子どもにとっては、気後れしてしまって馴染めそうにない…と感じることもあります。「ここに入れば間違いない」と誘導するようなことはせず、子どもの率直な感想を冷静に聞いてみましょう。
ダメ出しや反対ばかりしていると、子どもも意固地になってしまいます。引っ越しを控えてナーバスになっているときに、話し合いをこじらせて長引かせるのもよくありません。念のため学区内の公立校も見ておくと、後悔なく選べるでしょう。
子どもにとって転校は、その後の人生を左右するかもしれない大きな出来事です。引っ越しまでに手続き方法を調べるなど準備を万全にし、子どもに安心感を与えましょう。新しい学校を見学する際は、良い部分を見つけ、これからの学校生活に希望が持てるようにフォローしてあげることが大切です。