スーツケースやキャリーケース、ボストンバッグ、紙袋、プラスチックの収納ケースなどに荷物を詰め込んで、引っ越し業者のトラックで運んでもらおうとする人がいます。少量ならそれでも良いですが、基本的に引っ越しはダンボールに荷物を入れ、積み重ねてトラックで運んでもらいます。
ダンボールは、業者からの無償提供になっているところが多いです。しかし、これをめぐってトラブルになることもあるため、注意が必要です。
引っ越し業者のサービスで持ってきてもらえる
引っ越しを依頼すると、引っ越し業者は荷造りで必要な個数のダンボールを、自宅に運んでくれます。大手や準大手の業者なら、会社名やロゴ、キャラクターが入った専用のものをもらえます。業者の規模によっては、自社でダンボールを用意してないところもあるので、どうしたら良いか相談してみましょう。
「どこに行くとたくさん入手できる」「こんなダンボールがおすすめ」「●●が入っていたダンボールは止めてね」などの情報を教えてもらえることがあります。「使い古しでよければ」と、持ってきてくれることもあるようです。また、「タンスの引き出しや衣装ケースに入っている衣類、はそのままでいい」と言われることもあります。
引っ越し業者やプランにより異なる
標準的な引っ越しプランなら、「ダンボール何個まで無料サービス」という業者が多くあります。また、「キャンペーンや優待、特典としてダンボールを無料」とするところもみられます。
一方、全体的な荷物量が少ない、定価の安い単身パックでは、もらえないこともあります。新品のダンボールではなく、中古のリサイクルダンボールを貸し出している業者や「少しでも引っ越し料金を安くするために、ダンボールはお客様ご自身でご用意ください」としている業者もあります。
資材パックを有料で販売する引っ越し業者も
基本的には、水濡れがなくてつぶれないしっかりとしたダンボールなら、業者指定のものでなくても構いません。ただし、底の部分がワンタッチで互い違いに組み込めるタイプのものは、重いものを入れると中心に重心がかかって底が抜けやすくなるため、引っ越しには向きません。底が平に閉じられる一般的なタイプを探しましょう。
しかし、ダンボールを一つ一つ選別しながら、近隣のスーパーやホームセンター、ドラッグストアを回って少しずつ集めるのは、労力も時間もかかります。
引っ越しシーズン前ではタイミング次第では争奪戦になることが考えられますし、ダンボールの回収後すぐでは近隣店舗に残っていないこともあります。また、大量に残っていても、ダンボールは結構重いので、一気に全部運べるとは限りません。
引っ越し業者によっては、大小のダンボールとガムテープ、割れ物を包むための包装紙や緩衝材などをひとまとめにした「梱包資材のパック」を、有料で販売しているところもあります。困ったときは利用すると便利です。
「50箱まで無料」とする業者もあるが、成約済に限る
引っ越し業者の担当者が家財をチェックして、大が何個、中が何個、ハンガーボックス何個と、必要なダンボールの個数を見積もります。何個でもすべて無料とする業者もありますし、50個まで、30個までと事前に決めているところもあります。
これは、無料とはいっても、引っ越し料金の中に含まれるものです。つまり、その業者に引っ越しを依頼しないと、そのダンボールは使えません。何社もの業者の訪問見積もりをとり、その中の1社から無料のダンボールだけを受け取り、引っ越しそのものは安い他社に頼むということは御法度なので、注意しましょう。
家族4人の引っ越しだと、必要枚数はどれくらい?
一般的に、1人暮らしなら20枚、2人暮らしなら40枚、4人家族なら60枚程度を基準に考えます。あるいは、ワンルームなら20枚、2部屋なら50枚、3部屋なら80枚などと、部屋数に応じた荷物の量をざっくりと出す場合もあります。
この基準よりも細々としたものが多そうなら増やし、すっきり片付いていれば減らすなどして調整します。本や書類が多かったり、フィギュアやプラモデルなどを飾るコレクションケースがあったりする場合も、多めに見積もります。
ダンボールのサイズに違いはあるの?
引っ越し業者のダンボールサイズには、それぞれ違いがあります。大きさも3種類くらいに分かれています。また、市販されているダンボールも、それぞれ大きさや厚みが微妙に違います。
引っ越しで使うダンボールは、「1人で両手で持ち上げたときに、無理なく歩いて運べる程度の大きさ」であることが肝心です。よく言われるのが、縦32cm×横44cm×高さ32cmのみかん箱のサイズで、中サイズやMサイズと言われます。特に重たい本や食器などの壊れ物は、このサイズまでのダンボールに詰めましょう。
これよりも大きいダンボールに目一杯詰め込んでしまうと、持ち上がらず、運んでいる途中に底が抜けてしまうこともあります。運ぶときのスピードが遅くなるので効率が悪く、疲労度も大きくなります。大きいサイズには、衣類やぬいぐるみなどのかさばるものだけを入れるようにしましょう。
また、宅配便や通販サイトで小物を購入したときに使われる小さいダンボールは、引っ越しには小さすぎて向いていないので、使用は控えましょう。
契約前にはダンボールを受け取らないこと
引っ越し業者が無料で置いていったダンボールをめぐり、トラブルになることがあります。国民生活センターや消費生活センターでも、相談の事例が多くあります。どのようなことがトラブルになりやすいか、注意点を紹介します。
「無料だから」と無理やり置いていこうとする業者は要注意
引っ越し業者が無料のダンボールをサービスと宣伝していても、無料になるには条件があります。それは、「引っ越しを成約したお客様に限る」というものです。そのため、どの業者にしようか迷っている段階では、絶対にダンボールを受け取らないようにしましょう。
訪問見積もりの際に「無料だから」とダンボールを無理やり置いていこうとする業者の狙いは、「金額もそう変わらないのであれば、ダンボールがあるからここにしよう」、「断りづらいから、ダンボールを置いていった業者にしよう」などと、迷っている消費者の心理を利用して契約をとることにあります。
契約しなければ、買い取ったり有料で返却したりする必要がある
ダンボールを置いていった業者と契約しなかったときは、そのダンボールを無料で使って良いというわけにはいきません。「不要になったので、引き取りに来てほしい」と言うと、「玄関先に置いたままで保管状態が悪く、新品ではないので買い取ってもらう」などと、高額の引き取り代を請求されることがあります。
また、「自分で営業店の窓口まで運んでほしい」と言われる可能性もあります。ダンボールの束を乗せられる車があれば良いですが、ない場合は移動手段を考えて自分で運ぶか、送料を払って宅配便で送る必要が出てきます。いずれにしろ後味の悪いものなので、契約前にダンボールを受け取ることは避けましょう。
ダンボールが足りなくなったらどうなるの?
壊したくないものを厚めの緩衝材で丁寧に梱包していると、業者の見積もり担当者が概算で出したダンボール個数では、足りなくなることが往々にしてあります。途中で足りなくなったら、どうしたら良いのでしょうか?
リサイクルダンボールを貸し出してもらえる
まずは、足りなくなりそうな時点で引っ越し業者に連絡をして、どうしたら良いか相談してみましょう。引っ越し業者としては、自社の大きさの揃ったダンボールで統一してもらった方が、積み込み作業がやりやすいです。そのため、申告すると追加のダンボールを無料で持ってきてくれたり、比較的きれいなリサイクルダンボールを回してくれたりします。
追加で購入することもできる
新品のきれいなダンボールが良ければ、ホームセンターや通販サイト、ダンボールの専門業者から取り寄せる方法もあります。引っ越し業者に相談すると、有料であっても安く販売してくれるかもしれません。
まとめ
大手や準大手のような名の知れた引っ越し業者の一般的なプランなら、たいてい無料でダンボールをサービスしてくれるところが多いです。とはいえ、ダンボールが無料の業者の中から選ぶ必要はありません。引っ越し先が近隣で荷物が少量なら、地元の安い業者で十分でしょう。
荷物が多く、遠くになるほど、引っ越し料金は高くなります。サービス面を重視するか、価格を重視するか、まずは引っ越しの「一括見積もりサイト」などで、業者の候補を絞ってみるのもおすすめです。