引っ越しをする際、「役所で住民票の転入届さえ提出すれば、他の公的なものの住所変更手続きは必要ない」と思っている人もいるようです。しかし、車やバイクに関する住所は、自動的に変更されるわけではありません。運転免許証と住民票の住所が異なると身分証明ができないこともあるので、早急な手続きが必要です。
運転免許証の住所変更の手続きについて
引っ越しをしたら、住所変更の手続きを速やかに行いましょう。原則として、本人が最寄りの警察署や運転免許センター、運転免許試験場に行き、「運転免許証の記載事項変更届」を提出します。
インターネットや電話で、受付日と時間を確認してから出かけましょう。大きな運転免許センターでは、土日などの休日も受け付けているところがあります。手数料は無料で、変更内容は運転免許証の裏面に記載されます。
手続きに必要なもの
手続きの際は、以下に挙げる書類が必要です。ただし、地域により若干違うこともあるため、必ず最寄りの機関の手続き内容を確かめておきましょう。
- 運転免許証:現在の持っている運転免許証をそのまま使うことになるので、住所を黒く塗りつぶしたりハサミを入れたりせず、持参する
- 身分証明書:健康保険証、年金手帳、社員証、学生証、官庁発給の資格者証など
- 新住所が分かるもの:マイナンバーが記載されていない住民票、新住所が確認できる公共料金のお知らせ、新住所が書かれた消印付きの公的機関発行の転送郵便物など
- 運転免許証記載事項変更届:窓口で受け取り、必要事項を記入する
外国籍の人は、在留カード、特別永住者証明書、旅券などが必要です。
住所変更を失念してしまうと…
変更を忘れていると、免許更新時のお知らせハガキが届かなくなってしまいます。有効期限に気づかずに失効したままだと、無免許運転という重大な違反になってしまうので気を付けましょう。
また、引っ越し先の地方銀行の口座を作るときも、写真付きの身分証明書が必要になります。その際に運転免許証の記載住所が正しいものでないと、身分証明書として認められないこともあります。
自動車の住所変更の手続きについて
普通自動車と軽自動車では、手続きをする場所が異なります。夫と妻のそれぞれが普通自動車と軽自動車を一台ずつ所有する場合は、一箇所で同時に手続きができません。また、普通自動車の車庫証明と変更登録の手続きは、それぞれ必要です。
道路運送車両法では、住所の変更があった日から15日以内に変更登録の申請をしなければならないと定めています。
普通自動車の車庫証明
まず、管轄の警察署に出向き、車庫証明の手続きをします。自宅のある場所ではなく、車庫として自動車を保管する場所を管轄する警察署です。市区町村をまたいでしまっている場合は気を付けましょう。
稀に、普通自動車でも車庫証明が不要な地域があります。山間部や交通の便が著しく悪い地域など、都市部から離れた場所であることが多いです。引っ越し先がそのような地域なら、準備にとりかかる前に管轄の警察署に問い合わせてみましょう。
手続きには、以下の書類が必要です。ただし、届け出する警察署により手続き内容や必要書類が異なる場合があります。必ず事前に確認し、不備がないように申請しましょう。ほとんどのケースでは、提出したその場ですぐに証明書が発行されません。後日受け取りに行くか、郵送してもらうことになります。
- 保管場所使用承諾証明書:月極駐車場や土地の所有者、賃貸物件の貸主または不動産管理会社に発行してもらう。賃貸借契約書のコピーなどで代用できる場合もある。自分の土地を使用する場合は自認書が必要
- 車庫証明申請書:警察署に置いてあるほか、webからダウンロードすることもできる
- 保管場所の所在図・配置図:自宅と駐車場が2km以上離れていると認められない
- 印鑑
- 車庫証明申請手数料、標章交付手数料:警察署により異なる
- 自動車検査証か写し:登録内容と合っているかを確認する
普通自動車の変更登録
車庫証明書が発行されたら、管轄の運輸支局か自動車検査登録事務所で、住所と保管場所の変更登録の手続きをします。引っ越し前の管轄と異なる場合は、ナンバープレートの地名が変わります。新しいナンバープレートを発行してもらうには、車の持ち込みが必要です。全国の運輸支局は、国土交通省のホームページで調べられます。
参照URL:国土交通省 全国運輸支局等のご案内
手続きに必要な書類は、次の通りです。不明な点や、代理人が届け出る場合の手続き方法は、管轄の運輸支局や検査登録事務所に問い合わせましょう。
- 申請書:窓口にあるほか、webからダウンロードすることもできる
- 手数料納付書:自動車検査登録印紙を添付する
- 住民票:3か月以内に取得した、マイナンバーが記載されていないもの
- 自動車検査証
- 印鑑
- 自動車保管場所証明書:警察署から発行された車庫証明書
- 登録手数料:350円
- ナンバープレート交付手数料:管轄外からの引っ越しの場合に必要で、2,000円前後
軽自動車の変更登録
軽自動車は、普通自動車とは手続き場所が異なり、軽自動車検査協会で住所変更の登録をします。引っ越し前とナンバープレートの変更がなければ、手続きは無料です。引っ越し前の管轄と異なり、ナンバープレートが変更になる場合は、車の持ち込みが必要になります。
軽自動車の場合、都市部などの一部地域では車庫証明が必要です。ただし、普通自動車のように事前に車庫証明書を発行してもらうのではなく、検査協会で住所変更の手続きをした後に、警察署に届け出る形になります。新居の住所地を管轄する事務所や支所は、検査協会のホームページで確認できます。
参照URL:軽自動車検査協会 全国の事務所・支所一覧
手続きには、以下に挙げる書類を持参しましょう。
- 自動車検査証
- 自動車検査証記入申請書:検査協会事務所や支所の窓口にある
- 印鑑:所有者と使用者が異なる場合は、両方の印鑑が必要
- 住民票:3か月以内に発行された、マイナンバーが記載されていないもの。印鑑証明書でも可。いずれもコピーでもOK
- ナンバープレート交付手数料:管轄外からの引っ越しの場合に必要で、2,000円前後
- 軽自動車税申告書:検査協会事務所や支所に隣接する地方税窓口にある
バイクの住所変更の手続きについて
バイクの住所変更の手続きは、排気量別に異なります。大きさ別に3種類に分かれていて、届け出る場所も方法も違うため、注意しましょう。引っ越してから15日以内の届け出が必要です。
原付バイクの変更登録
原動機付自転車と呼ばれるもので、50cc~125ccのクラスのものです。これに限り、市区町村の役所で手続きをします。同じ市区町村内の引っ越しなら、特別な手続きは不要です。引っ越し後に転居届を出すことにより、自動的に住所変更の手続きが終了します。
他の市区町村に引っ越す場合は、引っ越し前にナンバープレートを返納して廃車手続きをすることができます。また、新居の住所地で、廃車手続きと同時に登録手続きをすることもできます。手続きには、次のものが必要です。
- ナンバープレート:新しい住所地の役所で返納することにより、廃車手続きができる
- 標識交付証明書
- 印鑑
- 身分証明書
- 軽自動車税申告書
- 新住所を確認できるもの:住民票の場合、マイナンバーの記載のない発行後3か月以内のもの。各自治体により異なる
軽二輪バイクの変更登録
排気量が126cc~250ccまでのバイクを、軽二輪バイクと言います。このクラスのバイクは、引っ越し先が同じ市区町村の場合でも、管轄の運輸支局か自動車検査登録事務所での手続きが必要です。
- 軽自動車届出済証
- 住民票:マイナンバーの記載のない、発行後3か月以内のもの
- 自賠責保険証明書:有効期限内のもの
- 軽自動車届出済証記入申請書:同じ管轄の場合に必要。売店で販売している
- 軽自動車届出済証返納届:別の管轄の場合に必要。売店で販売している
- 軽自動車届出書:別の管轄の場合に必要。売店で販売している
- 印鑑
- 軽自動車税申告書:申告だけで、その場で税金を納付する必要はない
- ナンバープレート:別の管轄の場合は返納する
- ナンバープレート交付手数料:地域により異なるが、1,000円前後
小型二輪バイクの変更登録
251cc以上のバイクは、すべて小型二輪バイクとなります。引っ越し先の住所を管轄する運輸支局か自動車検査登録事務所での手続きになります。同じ管轄内の引っ越しでも、住所変更の手続きが必要です。
- 車検証
- 住民票:マイナンバーの記載のない、発行後3か月以内のもの
- 申請書:売店で販売している
- 手数料納付書:窓口にある
- 検査登録印紙:ナンバープレートが変更になる場合は、車検のステッカーの再交付に300円の印紙が必要。売店で販売している
- 軽自動車税申告書:申告だけで、その場で税金を納付する必要はない
- 印鑑
- ナンバープレート:別の管轄の場合は返納する
- ナンバープレート交付手数料地域により異なるが、1,000円前後
まとめ
いずれの場合も、必要書類を揃えて効率よく手続きしましょう。運転免許証と原付バイクの手続き以外は、記入例を見ながらその場で書き込もうと思っても、よほど慣れている人でなければなかなか難しいことがあります。
すべてを書き終わるのに、かなりの時間を要するでしょう。間違いのないように落ち着いて書きたいと思うなら、事前に書類を手に入れて、自宅でゆっくりと丁寧に記入してから足を運ぶことをおすすめします。
ただし、引っ越しの繁忙期は、高校生が自動車免許を取得して車を購入する時期と重なるため、どこも混み合います。ホームページで混雑予想カレンダーなどを掲載しているところもあるので、事前に確認して計画しておくと良いでしょう。