工事や庭の手入れなどで自宅を訪れ、長時間作業をしてくれる人たちに、途中でお茶やお菓子などを差し出す人は多いのではないでしょうか?
引っ越しも、旧居の荷物の運び出しと新居への荷物の搬入で、時間のかかる作業になるので、何かお礼をした方が良いのでは…と悩んでしまいがちです。そこで、引っ越し業者へのお礼のチップや心付けについて、相場や注意点などを説明します。
誰もが悩む引っ越しスタッフへの心付け
引っ越し料金を支払う以外に、当日来てくれた作業スタッフへの心付けをどうしようか、と悩む人は多くいます。気持ちばかりのお礼を渡す人もいれば、引っ越し料金を払っているのだから必要ないと思う人もいます。
引っ越し業者ではどう思っているのか
そのような世間の悩みの声に応えるべく、引っ越し業者のホームページではよくある質問として、スタッフへの心付けに関することが記載されています。それによると、ほぼすべての業者が「心付けは必要としない」と回答しています。
なかには、受け取ることを禁じている業者もあります。謝礼の有無にかかわらず、引っ越し作業はどこも平等に丁寧にしているので安心してほしいという理由が挙げられています。
現場の作業スタッフの本音は?
業者のホームページでそのように説明されていても、何らかの謝礼を用意する人はいるでしょう。実際に現場のスタッフたちは、どう思っているのでしょうか?
「今日はお世話になります」、「よろしくお願いします」と頭を下げて心付けを手渡されて、不快に思うスタッフはいません。また、「今日は本当にありがとうございました」と感謝して差し出された謝礼に対して、悪い気持ちがする人もいません。
つまり、金額の大小に関係なく、スタッフを労う気持ちで用意してくれたものなので、率直にうれしいと感じているスタッフがほとんどです。しかし、引っ越しはお金がかかることだから申し訳ない気持ちにもなる、飲み物だけでも十分と思っているスタッフも多くいます。
依頼主としてはどうしたいのか
引っ越し業者の方針はどうなのか、世間ではどうしているのか、などにこだわらず、自分がどうしたいのかで決めれば良いといえるでしょう。例えば、荷物が少量で引っ越し料金も格安の場合は、作業時間も短いため、渡さなくても良いですし、飲み物だけでも構わないでしょう。
トラックが目の前に止められなかったり、階段作業なのに重量物があったり、荷物が大量だったりして申し訳ないと感じるのであれば、その思いを形にして渡せば良いです。迷っている場合は、引っ越しが終わったときに感じた気持ちで決めようと臨機応変に考えるのも、一つの方法でしょう。
渡すならどんなものが喜ばれるの?
心付けやチップ、謝礼というぐらいですから、やはり現金が多いのでしょうか?定番の飲み物から、お礼には向いていないものまで、それぞれチェックしていきましょう。
飲み物が定番!ペットボトルが便利
自分の荷物を一生懸命汗をかきながら運んでくれるスタッフを目の前で見たら、やはり何かせずにはいられないと思う人は多いようです。夏でも冬でも、飲み物は作業スタッフへの差し入れとして定番です。
特に夏は、エアコンも取り外して暑い中での作業となるため、熱中症対策の意味でも水分は補給してもらいたいものです。クーラーボックスなどに保冷剤と一緒に冷やしておくと、リフレッシュできて喜ばれるでしょう。
甘い果汁のジュースや乳酸菌の飲料などより、水やお茶、スポーツ飲料が好まれます。また、コーラやエナジードリンクなどの炭酸飲料は、若手スタッフを中心に人気です。一度に飲みきれる大きさの缶でも良いですが、飲みきれないときにその辺に置いているとこぼす心配も出てくるため、500mlサイズのペットボトルが何かと便利です。
チップというからには現金?いくらが適当?
一人一人に手渡すなら、大の大人に小銭というわけにはいかないと思う人もいるでしょう。すると、それなりの金額を包んだ方がいいのでは、いくらが妥当か…と悩むことになります。
世間では、500円~2,000円ぐらいの金額が多いようですが、作業内容や引っ越しの総額にもよります。一人1,000円でも十分だといえるでしょう。単身の一人暮らしなら飲み物だけでも十分ですし、それでは気がすまないということであれば、500円程度でも良いでしょう。
渡した瞬間に小銭とわかると、気まずいのでは…と心配するなら、コンビニやファミリーレストランなどで使用できる500円分のクオカードが便利です。ぴったりサイズの封筒に入れてくれるので、じかに渡すこともありません。
渡すのに向いていないものは
引っ越し作業がちょうどお昼を挟む場合は、お昼ご飯を何か準備した方が良いのではないかと悩む人もいます。しかし、人には好みがありますし、アレルギーがあるかもしれません。大食漢もいれば、少食の人もいます。肉体労働中には、スタミナのつくものを食べたいと思う人もいます。
近くに飲食店があればそこですませたり、コンビニやスーパーでお弁当を購入してトラックの中で食べたり、気持ちの良い季節なら公園で食べたり、移動中なら休憩がてら高速道路のサービスエリアで食べたりすることも考えられます。
手作りのものを振る舞いたい人もいるようですが、冷蔵庫も電源を落としている、エアコンも取り外しているときには、食材の保管にも気を使いますし、そこまでは必要ありません。
渡すのにふさわしいのは、作業前?作業後?
心付けを渡しやすいのは、作業開始前にスタッフ全員がそろって挨拶するときか、作業後に挨拶して引き上げるときです。荷物を持って移動する作業中に、追いかけて渡すようなことは控えましょう。ここでは、それぞれのタイミングのメリットについて見ていきましょう。
作業前が良い理由
きちんとしたマニュアルのある業者では、家に上がり込む前に玄関先でスタッフ全員が並んで、挨拶をするものです。そのときに「今日はよろしくお願いします」といって、現場のリーダーから一人ずつ順に手渡しても、個別にそれぞれ袋に入れてあることを示し、まとめてリーダーに渡しても良いでしょう。
なかにはリーダーが一人で着服してしまうこともあるので、必ず全員がそろっているときに渡すようにしましょう。最初に渡しておけば、気持ちよく仕事してくれるかもしれませんし、その後のコミュニケーションがスムーズになるメリットもあります。
作業後が良い理由
引っ越し作業が完了した後に、それまでの作業状況を見て感謝の気持ちをもって渡すのも一つの方法です。期待していた作業内容とは違って、がっかりしてしまったというときは、もちろん渡さない選択肢もあります。最初に少額を渡してしまうと、こんなものかと思われはしないだろうかと心配するなら、最後に渡しても良いでしょう。
ただし、作業が夜遅い時間になってしまったときに、よそでの引っ越し作業を一足早く終えたチームが合流して、応援にきてくれることがあります。
そのときには人数が2倍になっているので、朝からいてくれた人だけに謝礼を渡すのも気まずいものがあります。そんなときはひとまとめにして、スタッフ全員の前でリーダーにキリの良い金額をまとめて渡しても良いでしょう。
お礼のチップや心付けについて、決められたルールはありません。まして引っ越し業者では不要としているものなので、あくまでも臨機応変に、自分の気持ち次第で構わないといえるでしょう。
割れ物や精密機器が多いなら、最初に心付けを渡し「厄介な荷物が多く大変だと思いますが、どうぞよろしく」と、一言念を押しておく形でも良いかもしれません。