引っ越しで荷物が破損や紛失した場合のトラブル対処方法

引っ越しで荷物が破損や紛失した場合のトラブル対処方法

引っ越しは、自分たちですべての家財道具を運べないため、プロの引っ越し業者に料金を払って依頼することがほとんどです。しかし業者も、毎日多くの引っ越しを扱っていると、どんなに気をつけていてもトラブルが起こってしまうことがあります。荷物の破損や紛失に気づいたときは、どう対処したら良いのか、防止策なども含めて紹介します。

荷物を落とした現場を目撃してしまった!

荷物を持つ手を滑らせ、目の前で落としたり壊してしまったりということがあります。引っ越し業者のスタッフが一生懸命に頑張ってくれているのを見ていたので、たとえ責めるつもりはなくても、そのまま見過ごすわけにはいきません。

正社員ならきちんとした対応をしてもらえますが、アルバイトや不慣れなスタッフでは、その場でどうして良いか分からず、呆然と立ち尽くすこともあります。高額なものなら、なおさらです。

すぐに現場の責任者に報告

壊れたものはそのままにして、まずは、当日のスタッフの取りまとめをしている現場の責任者やリーダー格の社員を呼んでもらいましょう。ちゃんとした社員教育のある引っ越し業者やベテランのスタッフなら、そんな場合の対応もそつなくこなしてくれるはずです。

しかし残念なことに、お客様の立場に立った対応ができない、思いやりにかけた業者もまれにあります。現場の責任者に任せておけないと感じたら、自分でも積極的に動いて、早い解決に向けた今後の方針を聞いておかなければなりません。

今回の引っ越しの窓口となった見積もり担当者に連絡をして、破損の事実と今やっておくべきこと、その後の手続きの流れについて確認を取ってください。とりあえずは引っ越しを終わらすために作業を続けることになりますが、その前にやるべきことはやっておきましょう。

事故報告書を作成してもらう

見積もりに来てもらった担当者に連絡を取り、荷物の破損があった事実を伝えましょう。現場のスタッフは保険会社の補償内容などをよく把握していないこともあり、事務手続きなどに精通しているわけではないためです。

破損があった日時と状況を記載した事故証明書を作成することになるでしょう。記載内容を確認して間違いがなければ署名や押印し、控えを保管しておきます。

自分でも写真を撮って記録しておくこと

破損したものをスマホやデジタルカメラで撮り、写真として残しておきます。もし対応に不安があるようなら、念のため、つぶれたりキズがついていたりするダンボールの状態も撮影しておきましょう。

客観的に荷物の破損の事実が分かるように記載した書面と写真が記録できれば、あとは引っ越し作業を継続してもらいましょう。その後の処理は、現場のスタッフとは別の部署で行われることになります。目の前で荷物が壊れたことはショックですが、とりあえずは気分を切り替えて、引っ越しに専念しましょう。

あとから壊れていることに気がついた

上記の例は、たまたま目の前で起こった破損事故であるため、責任の所在がハッキリしていて、正確に事故申告ができます。手続きも早く終わり、補償も早いうちにされるでしょう。その点では、不幸中の幸いと言えます。

しかし、引っ越しが終わってしばらく経って荷物の整理をしているときに、ダンボールの中の荷物の破損に気がついたときは、どうなるのでしょうか?

壊れて困る荷物は、すぐに開封して確認を

引っ越し当日に荷物の破損に気がつけば良いですが、夜遅い時間に作業が終わったあとで、すべての荷物を開封して破損の有無を確認するのは難しいでしょう。

しかし、せめて翌日には、壊れて困るものから優先的に破損の有無をチェックすることをおすすめします。それは、時間が経てば経つほど、作業中に破損したということの立証が難しくなってしまうからです。

引っ越し日から遅れてからの破損報告だと、「自分が使っているうちに壊してしまったのでは」などと変な疑いを持たれかねません。

季節外の家電などは、必要になってからでないとなかなか荷解きする気にならないかもしれませんが、高価なものはとりあえず正常に作動するか確かめましょう。

割れものも、早めに食器棚に収めるようにしましょう。ダンボールを開けたときに割れているものが見つかったら、そのままの状態で一度写真を撮り、注意深く梱包を開きます。その途中経過も写真に撮っておくと良いでしょう。

そして、ダンボールをぶつけたり落としたりした跡がないか、ダンボールをチェックしましょう。それらしい跡を見つけたら、全体が分かるものとアップにしたものを、それぞれ撮っておきます。

引っ越し後3か月以内に申告しないと無効に

高価で大事なものや割れもの、精密機器などの早めの荷解きをおすすめするのには、理由があります。それは、壊れていることに気がついても、90日以内に引っ越し業者に破損を申告しないと、「引越荷物運送保険」の補償期間外になってしまうからです。

これは、見積もり時に受け取った「標準引越運送約款」に記載されているはずです。ただし、国土交通大臣が許可している引っ越し業者が独自に取り決めた約款があれば、そちらが正式なものとして認められます。

この場合、破損の申告期限がもっと早いものがあるかもしれません。必ず確かめて、期限後の申告にならないようにしておきましょう。ただし、高額すぎるものや貴重品、美術品は、「自分で運ぶこと」とされている種類の荷物のため、申告せずに運んでもらった場合、破損や紛失の補償対象外となってしまいます。気をつけましょう。

※参考:国土交通省「標準引越運送約款」

全額弁償にはならない

破損の程度により、対処が異なります。修理ができそうなものに関しては、引っ越し業者の修理担当者が出向いて補修します。それで対応できないようなら、荷物を預かって、専門業者に修理を依頼することになるでしょう。

修理ができない場合は、同じものが手に入れば購入して弁償するか、類似の代替品になるか、現金で弁償するかは、破損したものの価格や使用年数、そして引っ越し業者や保険会社の考えにより異なります。少額の弁償ですむなら、保険会社を通さないこともあります。

ただし、弁償と言っても、安い食器などでない限り、購入時の価格そのままの金額で補償されるわけではありません。耐用年数と使用可能期間に応じた減価償却の差額に、見舞金を多少上乗せした額になることが多いようです。購入時の価格よりも価値のあるものと自分では思っていても、全額弁償にはならないことを理解しておきましょう。

また、自分で荷造りしたものの梱包状態が悪かったと判断されてしまうと、補償が受けられない場合もあります。壊れて困るものは、しっかりした梱包材に丁寧に包みましょう。

どうしても荷物が見つからない?

確かに荷造りしたのにダンボールごと見つからないものがあったら、紛失や盗難の可能性があるかもしれません。長距離の引っ越しなどでは、荷物の少ない家庭と一緒に混載便にして運ぶことがあります。混載便は基本的に、お互いの荷物が混ざり合わないよう、きちんとした管理をしたうえで積み込むものですが、何かの拍子に取り違えられた可能性も否定できません。

また、引っ越しの最後には、依頼主がトラックの荷台に残りの荷物がないか確認するようになっています。このとき、「暗がりでよく見えなかったものの、形式的にほんの少し見ただけでサインをしてしまった」ということも考えられます。運が良ければ見つかる場合もあるので、引っ越し業者に連絡を取り、調べてもらいましょう。

思い違いでないか、すべてのダンボールを確認

ジャンルや場所別に箱詰めしていても、最終的に隙間が空いているようなダンボールには、他のものを追加で入れてしまうことがあります。よく思い出してみましょう。記憶が不確かなうちは引っ越し業者に連絡せず、まずは、すべての荷物を確認することが大切です。

ただし、決められた期限内に確認しなければ、保険の補償が受けられなくなるため、それまでに確かめるようにしましょう。

どうしてもない場合は、引っ越し業者に届け出を

あちこち探しても見つからないときには、業者に届け出をしましょう。どんなものがないかリストにして、思い出せるだけ詳しく特徴などを記載しておきます。そうすれば、持ち主不明のダンボールが見つかったときに、中身が相違なければ、自分のものと認めてもらえるでしょう。

場合によっては、警察への届け出も

見当たらないものは、どのようなものですか?ブランドのバッグやアクセサリーだった場合、ダンボールに「ブランド品」などと書いてはいなかったでしょうか?そういうものに限って数箱見つからないときは、盗難を疑ってしまうかもしれません。

大きなダンボールをいくつも堂々と持って行くことはなかなかないでしょうが、ダンボールのガムテープが剥がされた跡を見つけるなどすると、穏やかではいられません。引っ越し作業中に玄関や部屋のあちこちのドアや窓を開け放っているときに忍び込まれたり、トラックの荷台から持ち去られたり、可能性はいろいろあります。

なくなったことに気づいたら、すぐに警察に届け出た方が良い場合もあります。引っ越し先の地域でたまたま空き巣や車上荒らしなどの被害が頻発しているときには、何かの手がかりになるかもしれません。

荷物の紛失防止のために

ダンボールに内容物を記載するときに、高価なものが入っていると分かるような書き方をするのは避けましょう。自分だけが分かる暗号のようなものや略語を使用することをおすすめします。また、ダンボールに通し番号を振っておくと、荷物が足りないときにすぐに気づくことができます。当然、総数も把握しておきましょう。

実際に荷物の破損や紛失があると、解決までに相当の日数を要するケースもあります。なかには、なかなか返事がもらえなかったり、担当者と連絡が取れなくなったりすることもあるため、きちんと保険の補償期間内に解決できるのか不安に思う人もいるようです。

引っ越し業者により、対応にかなりの差が見られることから、料金の安さに惑わされず誠実な業者を選ぶことが一番と言えそうです。


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