引っ越しにまつわるトラブルには、様々なものが考えられます。なかでも、引っ越し業者が開始予定時間になっても来ないのは、多くの人が不安に思うトラブルではないでしょうか?実際に起こった際に慌ててしまわないように、どう対処すれば良いのかを知っておきましょう。
引っ越し業者が来ないことってあるの?
意外かもしれませんが、実は引っ越し業者は多くの場合、作業開始時間ぴったりに来ることはありません。時間通りなのは、その日の一番初めの仕事になる「午前便」だけです。午前便以外の場合、ほとんどが、他のお客さんの引っ越し作業を終えてから来ます。
そのため、作業の遅延や道路の状況などで、時間がオーバーしやすい傾向にあります。特に繁忙期は、数時間など大幅に遅れることも珍しくありません。つまり、しっかりとした時間指定のある午前便以外の引っ越しについては、作業開始の予定時間に業者が来なかったとしても、トラブルではなく普通のこととしてみなされます。
多くの場合は、契約時にそうした説明があるので、クレームを出せるものではありません。引っ越しとはそういうものだということをあらかじめ理解して、当日の予定を立てましょう。
引っ越し業者が開始時間に来ない場合は…
とはいえ、開始時間になっても引っ越し業者が来ないと、不安に思うのは仕方がありません。そんな場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
午前便の場合
午前便で時間指定されている場合、その時間までに業者が到着しなければ、業者側の遅刻ということになります。道路状況などにより5~10分程度は許容範囲だとしても、30分も遅れるようなときは、遅刻とみなして良い範囲です。
この場合、本来なら業者から連絡があるはずです。交通事故などで予想できなかった渋滞があったとしても、携帯電話で「遅れる」と連絡することはできます。そうした連絡もないまま30分以上遅れているときは、こちらから問い合わせてみましょう。
このような事態に備えて、契約時には、現場の作業責任者の連絡先を聞いておくと便利です。その人に連絡ができれば、起こっている状況を把握することができます。聞いていない場合は、管轄の支店や事務所に連絡します。
そのほかの場合
午前便以外なら、引っ越し業者が遅れていたとしても、それは業者側に非があるわけではありません。ただし、本当に来るのかどうか不安になるほど遅れている場合は、やはり確認したいところです。この場合、「大幅な遅れ」と言えるのは2時間程度でしょう。
開始予定時間から2時間経っても何の連絡もないときは、こちらから問い合わせる必要があります。もしかすると、手配ミスがあったり、引っ越し作業があることを忘れていたりするかもしれません。現場の作業責任者や管轄支店に連絡をして、状況を聞いてみましょう。
もしも、業者から事前に2時間以上遅れる旨の連絡があったら、待つしかありません。この場合は、たとえあなたのスケジュールに支障が出るとしても、怒鳴ったりぐちぐちと文句を言ったりしてはいけません。特に繁忙期には、遅延は起こりやすいものだということを覚悟しておきましょう。
大幅な遅延があった場合、業者からの値引きなどはあるか
交渉してたとえ値引きに応じてもらえなかったとしても、その場で高圧的な態度をとることはおすすめできません。引っ越し作業で大事な荷物を扱うのは、そのスタッフたちだからです。怒鳴ったり厳しい言葉を投げかけたりすると、荷物を大切に扱ってもらえないかもしれません。
業者側のミスが明らかな遅延があった場合は、その業者の本部に連絡し、現場の作業責任者の名前を伝えながら、正式なクレームを出しましょう。
値引きを求められるケース
午前便で30分以上、それ以外で2時間以上、連絡もなく遅れている場合、もしくは連絡があったとしても、常識の範囲を超えるかなり大幅な遅延の場合は、値引き交渉をしてみても良いでしょう。必ず値引きしてもらえるわけではありませんが、多少応じてくれることが多いです。
また、大幅な遅延のために、その日に引っ越しができなかったというトラブルが起こることもあります。この場合はしっかりと値引きしてもらうなど、何らかの誠意ある対応を求めましょう。
値引きをしてもらえないケース
一方で、大幅な遅延があっても、値引きが期待できないケースもあります。ここでは2つの例を紹介します。
「フリー便」で申し込んだ場合
フリー便とは、時間の指定がないプランのことです。契約時に予定時刻は一応お知らせされるものの、その時間に来る保証はありません。その代わりに、安く引っ越しできるという利点があります。
フリー便を申し込むと、「大幅な遅延があってもいい」と同意したことになります。そのため、値引きを要求することはできません。手配ミスや作業員の過失により、その日のうちに引っ越しができなかったという万が一の場合のみ、クレームを出せます。
極端な悪天候や災害があった場合
あまり雪の降らないような地域や時期に突然雪が積もったり、台風が来たり、地震が起きたりなど、予想できない悪天候や災害により遅延してしまった場合も、値引き交渉はできません。これらの状況は、業者の過失にはならないからです。
このような理由で引っ越しがキャンセルになれば、全額返金、もしくは後日に延期になります。どうしようもないことなので、予定通りに引っ越しできなかったとしても我慢せざるを得ません。
引っ越し業者が時間通りに来ないことは、珍しくありません。もしもの遅延のときにも焦らないように、引っ越し当日は、なるべくほかの予定を入れないようにしておきましょう。