多くの人が一生一度の大きなお買い物と考えているのが「マイホーム購入」です。最も大きな悩みの一つが「中古マンションにするか、新築マンションにするか」です。大切なマイホームを買うのに、失敗はしたくないですね。
そこで、マンションを購入するにあたって、新築マンションにすべきか中古マンションにすべきか、メリット・デメリットを考えながら検証してみましょう。
新築マンションのメリット
まずは新築マンションの場合にどんなメリットがあるかを確認しましょう。
1.長期ローンが組める
新築物件の場合、最大35年の住宅ローンが借りられます。これは特に若い方(まだ収入がさほど多くない方)には月々の返済を抑えるために、とても有効です。
特に金利の低い現在、変動金利なら0.539%~(借入条件クリアの場合)固定金利でも平均金利が1.74%と非常に借入しやすい状態といえるでしょう。
参照:http://kakaku.com/housing-loan/rate.asp
2.仲介手数料・リフォーム代は不要
不動産売買にはつきものの「仲介手数料」ですが、新築マンションの時には、購入者側にはかからないケースが多いです。これは、仲介会社が物件を売りやすくするためで、売り主からはもちろん手数料をもらっています。ただし必ずしも全ての物件で無料ではありませんので、確認はしっかりしましょう。
また最新の設備が整っているため、当たり前ですがリフォームの必要がなく、購入にあたって必要な金額が一目瞭然。そのため、余分な費用がかからないので資金計画が立てやすいです。
3.住宅ローン控除が受けられる
所得合計が3,000万円以下で取得住宅の床面積が50㎡以上の場合、借入期間が10年以上のローンを組むと10年間の所得税減税措置を受けられます。この減税措置は借り入れの上限が4,000万円で、年1%の減税が受けられますので、4,000万円借り入れた場合、10年間で最大400万円の減税が受けられる計算になります。
シミュレーションとしては、初年度ローン残高が2,000万円なら、1年目の控除額は20万円です。所得税納付額が20万円に満たない場合は所得税を控除した後、住民税からの控除を受けられます。ただし、最大136,500円です。2年目以降からは年度末のローン残高の1%が同じように減税される仕組みになっています。
参照:http://www.jhf.go.jp/customer/hensai/syokai_yoken.html
給与所得者の場合、初年度は個人の確定申告が必要ですが、2年目からは事業所に書類を提出すると年末調整で自動的に計算され、所得税が還付されます。この減税措置は中古マンションでも受ける事ができますが、その場合の条件は新築とは異なります(中古マンションのデメリットの項に記載)
新築マンション購入のデメリット
続いて、新築のデメリットは以下です。
1.周辺地価の相場に比べると割高
周辺地価の平米辺りの単価と比べてみると、総じて割高です。たとえば2014年の首都圏での新築1戸当たりの平均価格は4,653万円で平均専有面積は63.16㎡。一方、中古マンションの1戸当たりの平均専有面積は63.01㎡で平均価格は2,710万円となっており、新築マンションの坪単価は243.5万円に対し、中古マンションの坪単価は142.2万円です。
これは販売デベロッパーの人件費・宣伝広告費・土地の購入時期による地価の違い、建設コストの高騰等が分譲分に分割されて乗っていますので、ある程度仕方がないと思いますが、売り出し価格分の価値があるかどうか、しっかり考えた方が良いでしょう。
参照:http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/82hakusyo-syuto.pdf
2.購入したその日から中古
当然のことながら、いくら新しくても引き渡しされたその日から中古市場の価格となります。あるデータでは築後19年ぐらいまでの下落率は高く、坪単価にして約100万円もの価格差が生じますが、その後の下落は緩やかになり築20年から40年までの20年間に生じる価格差は7.8万円となっています。
万が一、購入後、あまり使用することなく売却せざるをえない事態に陥った場合、バブル期のようにどんどん地価が高騰するような時期でないかぎり、立地条件にもよりますが築浅だからといって考えているほど高くは売れないと思っておいた方が良いでしょう。
参照:https://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2012_07.html
そもそもの価格が1で述べたように周辺地価より割高ですので、購入してすぐに手放すようなことにならないようにしてください。
3.今後の消費税によって変化
消費税率が10%に上がったら、それだけで購入価格は2%上がります。契約時期と支払い時期が1年以上後の場合もあり、油断していると消費税アップと重なってしまう可能性もあるので、新築マンションは購入時期をよく考える必要があります。
中古マンションのメリット
では次は中古マンションのメリットです。
1.同条件の新築と比べると平均して2~3割は安い
築年数にもよりますが、平均して、2~3割安。周辺相場、築年数を考慮して、高いと思えば値切り交渉も可能です。そもそも値切りを考慮に入れて金額を設定していることが多いので、とりあえず言い値で買わずに値切り交渉をすると良いでしょう。その近辺の適正価格で購入する事ができます。
2.個人の売買なので消費税がかからない
中古マンションの場合、持ち主が個人であることが多く、その場合は消費税対象物件ではありません。個人の売買の場合は消費税増税時期を考慮に入れる必要もなく、購入したいときが買い時になります。ただ、業者が中古マンションを買い入れて販売という場合もあり、その場合は消費税が発生するので注意しましょう
3.立地条件が良ければ資産価値は保たれる
マンションは立地条件と管理体制の良さで資産価値が変わります。地域のよって異なりますが、駅近(徒歩10分以内)、管理会社がしっかりしている(清掃その他メンテナンスの良さ)などは新築、中古物件関わらず資産価値を高める重要なポイントになります。
条件が揃っていれば築年数が古い物でもそれほど値崩れしていない物件もあります。このような良い条件のマンションをより安く買うことができれば、新築より格段に利回りが良くなります。
中古マンションのデメリット
最後に中古マンションのデメリットです。
1.築年数によってローンの借入期間が変わる
金融機関にもよりますが、ローンの設定期間は50-築年数(上限35年)というのが一般的で、この数式に当てはめると築30年のマンションならローン設定期間が20年になります。ローン設定期間が短くなれば、月々の支払いが多くなります。
たとえば35年ローンで2,500万円借りた時の返済額(変動金利0.6%で計算)は60,726円/月、同じ金額を20年で払い終わろうとすると、101,722円/月になり、借り入れを受ける方の年収にもよりますが、想像以上に返済が苦しくなるかもしれません。
2.仲介手数料、リフォーム代金などがかかる
中古物件は、ほぼ、不動産仲介業者によって仲介されて購入という形になります。その際にかかるのが仲介手数料(物件の3%+6万円)です。そのうえ、古い物件だとそれ相応のリフォームなども必要になり、それらが経費として上乗せされます。
3.住宅ローン控除が受けられる条件が厳しくなる
新築マンションのメリットで述べたように、住宅ローン控除は中古物件でも受けることができます。中古物件の場合、新築物件についている条件の他に、築20年以内(耐震・耐火構造25年)という条件があります。ですから、物件によっては住宅ローン控除が受けられないこともありますので、要注意です。
あなたの状況や要望に合わせて、どちらが適切か考えよう!
皆さんがマイホーム購入しようと考えるタイミングってどんな時でしょうか?ここで私の実体験を交えながら、新築・中古のどちらが自分に合っているのか考えてみます。
- 結婚したとき?
- 子供が生まれたとき?
- 子供が少し大きくなって、それぞれの個室が必要になったとき?
- 結婚、出産はなくても家賃を毎月払い続けるのもばからしいと感じ始めたとき?
- 子供も独立し、広い家が不必要になり、住み替えたいなと思い始めたとき?
私はバブル期に新築マンションを購入し、売却に苦労した経験から、長年マンション購入は考えていませんでした。しかし、賃貸マンションの家賃も馬鹿にならず、定年まで15年しかなく、老後のことも考えて、現在の家賃分×15年で購入できる金額の中古マンションを買おうと探し始めました(年齢も考え、当初ローンを組まないで買うつもりでした)。
しかし手持ちの資金で購入できる中古物件を上記のように比較検討した結果、自分の満足のいく物件は見当たりませんでした。
そこで、もしローンを組めるのであれば低金利の今は借りた方がお得(手持ちの現金をローン利息より高い金利で運用することも不可能ではない)ですし、手持ち予算より高額な物件を購入できて立地条件の良いものが購入できる。新築の方が借り入れもしやすそうです。
金額は中古相場より高くなるのですが、10年間住宅ローン減税を受け、15年で定年を迎えたのち、住宅ローンの支払いがもし厳しくなった場合でも、売却となると築20年までなら次に購入される方も住宅ローン減税が適用されるので、新築マンションの購入することにしました。
とはいえ、築5~6年の中古マンションの掘り出しものに出会えていたら、そちらを購入していたかもしれません。新築、中古マンションには、それぞれのメリットデメリットがあります。どちらを選ぶかは購入する人が何を優先するか、重視するかによって変わってくるものです。
新築か中古かというのはそう簡単に決められるものではなく、「マンションを購入しよう」と考え始めたタイミングでどんな物件に出会えるかによっても考えが変化していくものです。上記のメリット・デメリットを天秤にかけながら、より良い物件を見つけることができますよう、色々と検討してもらえたらと思います。