住宅の外壁は、常に風雨や紫外線にさらされるているため、思った以上に傷みが進んでいるものです。さらに大きな不具合につながらないために、定期的なメンテナンスをしておいた方が安心ですね。
外壁に手をかけるような外回りの工事は、近隣への配慮も大事になり、思わぬトラブルに発展しないように注意しておかなければなりません。ここでは、外壁塗装でのトラブルの事例や、工事に入る前にどのように近隣挨拶をすればよいかなどについて紹介していきます。
よくある近隣トラブル事例
外壁塗装は外回りの工事のため、工事中はよく注意をしていなければ近隣に迷惑をかけてしまう可能性があります。どのようなケースがトラブルになりやすいのでしょうか。
塗料がまわりに飛ぶ
外壁の塗料が、近隣の車や自転車、隣家の植栽などに飛び散ってしまうことがあります。外壁塗装の施工方法として、ローラーやハケなどで塗るのではなく、吹き付けて塗装する場合にこういったケースが多くなります。
吹き付けの工法は、細かい粒子で散布されるため、近くにある車やバイク、自転車、植栽などは袋で包み、養生をしておかなければ、塗料の粒子が飛んでいき付着する可能性があり、トラブルの原因となります。
自分の住まいの車などはもちろんですが、近隣の車も心配な場合は養生をしておいた方が安心です。また、隣に月極め駐車場などがある場合も気を付けなければなりません。個人宅ではないからと、特に対処せずに塗料を飛ばしてしまった場合、不特定多数の相手に迷惑をかけてしまうことになり、賠償問題になる恐れがあります。
工事の音がうるさい
外壁塗装の多くは足場を組んで施工しますので、その足場を組むときや解体するときは、金属音がかなり響き音が気になりやすくなります。
春から秋にかけて、窓を開けている機会が多い季節は特に音が気になるかもしれません。足場を組む前には、近隣挨拶で説明をしておかなければ工事の音がトラブルの原因となります。
また、住宅街では工事の時間帯も注意が必要です。平日であっても早朝や夜遅くまで工事をしたり、休日でも通常通りの工事をしていたりすると、近隣から苦情がくる場合がありますので気を付けましょう。工期の都合でどうしても夜間や休日に工事を行う場合は、ご近所に事前に話しておいた方が良いでしょう。
ゴミが散乱する
工事をしていれば、廃材などのゴミが必ず出るものですが、風で飛ばないようによく注意して管理しておかなければ、近所に散乱してしまい、それがトラブルの原因となることがあります。
また、道路前も砂などを広げてしまった場合は、水で流しておくなどの対処をしておいたほうが丁寧です。特に、養生のビニールやダンボールの空箱、テープ、職人の食事のゴミなどが飛びやすく、廃材の専用ごみカゴがある場合は、しっかりとその中にいれておきましょう。
廃材のカゴに入れていても、強い風が吹くと上にあるものは飛ばされやすくなるため、重いもので蓋をするというような対応が必要です。特に、週末に工事が休みになる前にはチェックをしておいた方が良いでしょう。
工事車両が邪魔になる
密集した住宅街ほど、工事車両でのトラブルは多くなります。自分の家の敷地内に駐車出来る台数は限られていますので、どうしても敷地前の道路に駐車するケースが多くなってしまいます。
近隣の車が道路を通れなくなってしまったり、工事の車両が多くて、他の家の道路前に駐車することで苦情が来るケースはかなり多くあります。
工事の都合で、どうしても道路前の駐車をしなければならない場合は、必ず他の車が脇を通れるようなスペースを開けておく事や、他の家の道路前に駐車する場合は、一言声をかけるなどの対処が必要です。また、業者さんがそれぞれ相乗りで出来るだけ少ない車両で来てもらったり、近くの駐車場を確保するなどの配慮をしましょう。
近隣住民への挨拶する際のポイント
外壁塗装の工事中は、出来るだけ近隣トラブルがなく、スムーズに進めていきたいですよね。そのためには、ご近隣への事前の挨拶は欠かせません。いつ、どんなふうに近隣挨拶をすればよいか、挨拶のポイントを紹介します。
挨拶するタイミング
近隣挨拶をするタイミングは、必ず工事に入る前に行いましょう。1週間前程度から遅くとも前日までに完了するようにしてください。工事日当日や工事期間中に挨拶にいっても、あまり良い印象は与えません。むしろ、「遅すぎる」という印象を与えてしまいます。外壁塗装での様々なトラブルを防ぐ意味でもタイミングは重要です。
また、工事前といっても、数週間前など、あまりにも前に挨拶をすると相手も忘れてしまいますので気を付けましょう。
範囲はどこまで
近隣の挨拶はどのくらいの範囲にすればよいかというと、基本的には、敷地に接しているお家には挨拶をしなければいけないと考えておいた方が良いでしょう。つまり、自分の家の両隣と後ろに家がある場合は後ろの家も該当します。敷地に接しているのが、3軒だけとは限りません。
また、昔から「向こう3軒、両となり」という言葉があるように、向かいに家がある場合は、向かいの家とその両隣の家にも挨拶をしておきましょう。その他は、立地条件により対応したほうが良い家の数がかわりますが、他の家でも迷惑がかかりそうだと感じる場合は、多少多く挨拶をしても良いでしょう。全部で8軒や12軒になる場合もありえます。
粗品とのし紙をつける際の注意点
近隣の挨拶に行く場合は、のし紙をつけた千円程度の粗品を持っていくのが一般的になっています。
- 日持ちのする菓子
- タオル
- 洗剤パックなど日用消耗品
高価なものを用意する必要はありません。5百円から千円以内で準備できるようなもので、消費できるようなものが好ましいでしょう。お菓子の場合なら日持ちできるような袋入りの煎餅やパイなどが良く使われています。
粗品につけるのし紙は「白赤の蝶結び」のもので、表には「御挨拶」と書き、下には「名前(苗字)」を書き入れます。
挨拶文の書き方(見本)
挨拶に伺っても留守だったり、保護者ではなく、子供に渡す場合など直接話が出来ない時は、挨拶文を添えると丁寧な対応ができます。
挨拶文の一例をあげておきます。
挨拶文の例
ご近隣の皆様へ
◯◯年◯◯月
◯◯◯◯工事のご挨拶
季語 皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、この度、◯◯宅にて◯◯工事を行うこととなりました。
◯◯月◯◯日より工事を行う予定となっております。
作業員、工事の車両、工事の音などでご迷惑をおかけすることもございますが、十分に注意しながら作業をいたします。
どうぞ、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
◯◯工事予定期間
◯◯年◯◯月◯◯日~◯◯年◯◯月◯◯日
作業時間◯◯:◯◯~◯◯:◯◯
連絡先
施主~~
業者~~
業者も近隣挨拶するの?
基本的には、業者と施主が一緒に挨拶にまわります。相手方からすると、どんな業者が出入りするのかは確かめておきたいところですし、もしもの時の連絡先などを知っておきたいと思っています。
挨拶に伺う場合は、粗品は施主が渡し、業者は名刺を渡します。とても丁寧な場合は、施主、業者それぞれが粗品を用意する場合もあります。
外壁の工事は、足場を掛けたり、シートを掛けたりと見た目には大掛かりな印象を与えることが多く、ご近所からも注目をされやすくなります。お互い様とは思いながらも、よそのお家で行う工事の場合には厳しい目で見てしまうのが実際のようです。
ふだんから親しくしている間柄でも、きちんと工事の前に挨拶をし、工事内容を伝えることで、トラブルを失くす、また、もしトラブルがあったとしても円満に解決することができるということが期待できます。
また、万が一迷惑をかけてしまったときのために、保証できる保険内容についても工事の業者さんとよく相談しながら進めていくと良いでしょう。