住宅リフォームで所得税の控除や減額を受ける際には、確定申告が必要になります。会社員ならば年末調整の書類を会社に提出するだけで、確定申告はしたことがないという人が大半のことでしょう。
しかし、住宅リフォームで所得税の控除や減額を受ける手続きは、会社の年末調整ではできません。自分が税務署に行って確定申告を行う必要があります。となれば今まで確定申告をしたことのない会社員の人はさぞ心配になってくるのではないでしょうか。
そこで今回は住宅リフォームで所得税の控除や減額を受けるために確定申告をスムースに行ってもらうためにも、確定申告時に必要になってくる書類にはどんなものがあるのかを解説していきます。
控除や減税別の必要書類まとめ
住宅リフォームで受けられる所得税の控除制度は下記のとおりとなり、減税制度が適用されるのは住宅ローン減税のみとなります。
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 耐震リフォーム
これら所得税の控除と減税制度は併用が認められているため、利用できる制度が多い人ほど揃えなければならない書類は多くなってきます。これらから確定申告時に必要になってくる各書類を解説していきますので、直近で確定申告が必要になる人は特によく目を通しておきましょう。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームを行った際に確定申告で控除申請をするために必要になる書類と受け取り先は下記のとおりです。
- 工事請負契約書の写し 施工業者
- 増改築等工事証明書発行に必要な書類 施工業者
- バリアフリーリフォーム費用が確認できる書類(見積書など) 施工業者
- 増改築等工事証明書 建築士
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書 税務署
- 確定申告書 税務署
- 工事完了後の家屋の登記事項証明書 法務局
- 住民票 役所
- 源泉徴収票(給与所得者の場合) 勤務先
- 介護保険の被保険者証の写し(要介護認定又は要支援認定を受けている方) 所持
- ローンの年末残高証明書(ローン型減税を使う場合は必要) ローン契約業者
注意して欲しい書類
この中で聞き覚えがない書類といえば増改築等工事証明書になってくるでしょう。この書類は省エネリフォーム時の控除と住宅ローン減税でも必要となるので、どのようなものかを簡単に説明しておきます。
増改築等工事証明書とは増改築等で実際にリフォーム(バリアフリー・省エネ)をしたことを証明する書類で、発行には下記書類が必要になります。
- 増改築等の工事を行った家屋の登記事項証明書
- 工事請負契約書
- 設計図書その他設計に関する書類
- 改修工事費用が30万円超えであることを実証できる工事費内訳書や領収書等
- 証明書類(バリアフリー改修工事で補助金等や住宅改修費給付を受けている際)
これら書類は施工業者から得ることができますが、増改築等工事証明書の発行は建築士に委任することになります。しかし、請け負った建築士が所属登録していない場合は発行ができないため、所属登録している建築士に代行を依頼することになります。
その際には必要書類が全て揃っていれば25,000円程度の手数料で発行ができます。その場合にはおそらく施工業者から話があるかと思いますが、とりあえずこれくらいの金額で代行してもらえると頭の片隅に置いておきましょう。
省エネリフォーム
省エネリフォームを行った際に確定申告で控除申請をするために必要になる書類と受け取り先は下記のとおりです。
- 工事請負契約書の写し 施工業者
- 増改築等工事証明書発行に必要な書類 施工業者
- 省エネリフォーム費用が確認できる書類(見積書など) 施工業者
- 増改築等工事証明書 建築士
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書 税務署
- 工事完了後の家屋の登記事項証明書 税務署
- 住民票 役所
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)勤務先
- ローンの年末残高証明書(ローン型減税を使う場合は必要) ローン契約業者
注意して欲しい書類
この中の住宅特定改修特別税額控除額は先ほどのバリアフリーリフォームの必要書類にも含まれていましたが、難しい言い回しになっていますが、今回説明しているバリアフリーリフォームと省エネリフォームの所得税控除のことです。
この所得税控除にはローン型減税と投資型減税の2つのタイプがありますが、この住宅特定改修特別税額控除額は投資型減税のことを指します。よって、住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書の提出が必要になるのは、住宅ローンを組まずに自己費用で住宅リフォームを行った方のみになります。
耐震リフォーム
耐震リフォームを行った際に確定申告で控除申請をするために必要になる書類と受け取り先は下記のとおりです。
- 工事請負契約書の写し 施工業者
- 証明書発行に必要な書類 施工業者
- 耐震リフォーム費用が確認できる書類(見積書など) 施工業者
- 住宅耐震改修証明書 建築士
- 住宅耐震改修特別控除額の計算明細書 税務署
- 確定申告書 税務署
- 家屋の登記事項証明書 法務局
- 住民票 役所
- 源泉徴収票(給与所得者) 勤務先
注意して欲しい書類
この中で注意しておいてもらいたいのが住宅耐震改修証明書です。住宅耐震改修証明書は増改築等で実際に耐震リフォームをしたことを証明する書類で、発行には下記書類が必要になります。
- 申請家屋の所在地、建築年月日の確認できる登記事項証明書等
- 耐震基準に適合した改修を実施したことが確認できる耐震改修工事の設計書等
- 申請者が負担費用額が確認できる耐震改修工事費用の領収書
また耐震リフォーム時の所得税控除は投資型減税となるので、住宅ローンを組んで耐震リフォームを行った人は控除を受けることはできないことも合わせて覚えておきましょう。
住宅ローン減税
省エネリフォームを行った際の確定申告で、住宅ローン減税の申請をするために必要になる書類と受け取り先は下記のとおりです。
- 工事請負契約書の写し 施工業者
- 増改築等工事証明書、耐震改修証明書発行に必要な書類 施工業者
- 補助金、介護住宅改修費等の額が確認できる書類 施工業者
- 増改築等工事証明書 建築士
- 耐震基準適合証明書の写し 建築士
- 耐震改修証明書(要耐震改修住宅の場合) 建築士
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署
- 確定申告書 税務署
- 工事完了後の家屋の登記事項証明書 法務局
- 住民票 役所
- 源泉徴収票(給与所得者の場合) 勤務先
- 介護保険の被保険者証の写し(要介護認定又は要支援認定を受けている方) 所持
- ローンの年末残高証明書 ローン契約業者
注意して欲しい書類
この中の住宅借入金等特別控除額は難しい言い回しとなっていますが、住宅ローン減税額のことを指します。以前の住宅借入金等特別控除制度は住宅部分のローンにしか対応していませんでしたが、今では敷地の取得にも利用することができます。この点はしっかりと押さえておきましょう。
住宅ローン控除確定申告は代理申告も可能!
今回解説した内容を理解して必要書類は集めたものの、そのあとはどうすればいいのと心配になる人は少なくないでしょう。個人事業主ならばいざ知らず、確定申告なんてしたことのない会社勤務の方ならなおさらのことです。
そんな人には税理士や会計士に代理申請を依頼することもできます。代理申請を依頼すれば、必要書類を郵送するだけで確定申告書の作成から申告までを代行してくれます。
手数料はどれくらいかかるの?
それでは住宅ローン控除の確定申告を依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのかを紹介しておきましょう。
費用は依頼先によって変わってきますが、下記金額を1つの目安とすればいいでしょう。
(住宅ローン控除確定申告の代行料金)
- 住宅ローン名義が1名 10,000万円(税別)
- 住宅ローン名義が共同名義 18,000万円(税別)
- 不動産登記簿謄本と住民票の代理取得が必要な場合 別途3,800円(税別)
上記金額はとある税理士事務所の代行料金となりますが、これ以外にも住宅ローン減税にも対応しています。費用は決して高額なものではありません。要見積とはなりますが住宅ローン減税の申告もできるので、何もわからず時間と労力をかけるよりもお得となるでしょう。
しかも、1度確定申告しておけば、翌年度からは会社の年末調整で対応できるので、費用がかかるのも1度きりです。となれば尚更、専門家に依頼した方が断然メリットは高くなるでしょう。
まとめ
耐震リフォームの所得税控除と住宅ローン減税は住宅の購入方法によって利用できる人が限られてきますが、それ以外の所得税控除はローン購入でも自己資金購入でも利用できます。
所得税控除なら最大で250万円、住宅ローン減税なら最大で400万円と、住宅購入時には費用負担を大きく軽減することができる特別措置です。確定申告するために多くの書類を集めるなど作業負担は大きいですが、2年目からは年末調整でOKとなります。
今回解説したように主要な専門書類は施工業者に依頼すればOKですし、申告方法がわからないと言うならば代行で依頼することもできます。まずは今回の内容を参考にして、申告時にバタバタしないように、余裕を持った準備を進めるようにして下さい。