二世帯住宅リフォームする際のポイントと費用相場

二世帯住宅リフォームする際のポイントと費用相場

「二世帯住宅」は、1つの家に二つの世帯が暮らす家です。二つの世帯は、親・子、孫の二世帯が一番多く・兄弟姉妹の二世帯・祖父母と孫世帯という二世帯もあります。

二世帯住宅のリフォームのポイントと費用相場を見てみましょう。

二世帯住宅のリフォームについて

「二世帯で一緒に暮らそう」と考える理由は、それぞれの世帯で違います。親世帯は、高齢になり毎日の生活が不安、倒れた時にどうしようなど身体的理由が多く、子世帯では、共働きで子育てに余裕がないから助けてほしいなどの理由で同居を望む夫婦が増えています。

メリットとデメリット

二世帯住宅のリフォームは、親世帯が住んでいる家に子孫世帯が引っ越してくるケースや、子世帯が住んでいる家に親が引っ越してくるケースが多く見られます。今まで違う場所で生活していた世帯が同じ屋根の下で暮らすことになります。

そのため、同居後に想像もしていなかったようなトラブルが起こる場合があります。リフォーム計画をする時からメリットやデメリットを知って、お互いが快適な同居生活をおくれるようにしましょう。

メリット1:親世帯の手助けができる

高齢の両親は、年と共に身体的不安が増していきます。階段の上り下りが大変・細かいところの掃除が大変・脚立にのる高い作業ができなくなる。また、親世帯が1人暮らしになった時は、不慮の怪我や病気が心配です。これらのことは、高齢になればどの世帯にもある悩みです。

同居をすれば、いつも誰かが近くにいる安心感と一緒に生活することで近くで見守ることができます。親世帯は生活の安心・子世帯は親の心配がなくなります。

メリット2:住居費が節約できる

お互い別々に暮らす場合、子世帯は新たに土地を購入して家を建てることになります。しかし、同居をすれば土地にかかる費用はかかりません。

また、バリアフリーにリフォームすれば、補助金や所得税減税が受けられる制度もあります。また、最近では3世帯同居に対する補助金がある市町村もあります。リフォームローンも親子で払えば早く完済できるでしょう。

メリット3:生活費が節約できる

二世帯同居では、生活費が節約できます。電気・ガス・水道などの水道光熱費は基本料金がひとつになります。また、固定資産税も二世帯で協力して支払えば、費用負担がお互い軽くなります。

メリット4:将来の相続に備える

平成27年度の相続税改正により基礎控除金額が引き下げられました。そのため、相続税を支払う人が増えています。二世帯同居で登記が一つの場合は、相続税を軽減することができる小規模宅地の特例が使えます。

軽減特例が使える条件には、相続する人が同居している又は別居でも相続する人(配偶者含む)が持家を持っていないことなどがあるからです。(注意:細かい条件があるので、税理士に要確認)

デメリット1:生活時間

親世帯と子世帯では、どうしても毎日の生活サイクルが違います。子ども(孫)が小学生低学年ぐらいまでは、親世帯とそんなに変わらない生活なのですが、小学生高学年ぐらいから変わってきます。

塾や部活・スポーツクラブで朝早く、夜遅いという生活パターンがでてきます。また、テストや受験勉強がはじまると夜遅い生活に変わります。

また、交代勤務の仕事をしている方は、どうしても夜の出勤・朝の帰宅・昼間の睡眠があります。夫婦2人ともフルタイムで共働きをしている場合は食事時間が遅くなりがちです。しかし、親世帯は年と共に決まった時間に食事を取るようになります。(投薬のためなど)

年齢と共に早寝早起・生活パターンが固定されてくる親世帯と子ども(孫)の年齢とともに生活時間が変化する子世帯とは生活時間が違ってあたり前です。お互いの生活を尊重することから、リフォーム計画をはじめましょう。

デメリット2:プライバシーの尊重

二世帯住宅のリフォームは、違う生活をしていた二世帯が一緒にそれぞれの生活スタイルで暮らすことです。どちらかの世帯がもう片方の生活にあわせて今までの生活スタイルを変えて暮らすわけではありません。それは、それぞれの年齢による生活スタイルがあるからです。

違う生活スタイルの二世帯が同じ屋根の下で暮らすのですから、多少の違和感や感覚のずれはあって当たり前です。どちらかの生活スタイルを強要することなく、お互いが助け合える距離感で生活できることが大事です。そのためには、過干渉にならない、生活に口出しをしないなどプライバシーを尊重しましょう。

デメリット3:お風呂問題

二世帯住宅でお風呂が一つの場合、いろいろな悩みが生じます。一つ目は、お風呂に良いタイミングで入れないという悩みです。今まで2人暮らしなら、一人30分・2人で1時間です。

4人なら、一人30分・4人で2時間です。それが6人になると全体で3時間かかります。今まで自由な時間にお風呂に入っていたのに、入れないということが起こります。

特に女性が多い、交代勤務の家族がいる、スポーツの部活や趣味があるなどの場合は、特に浴室の使用頻度が会がり時間も長くなります。計画をする時から考えておきましょう。

また、お風呂の脱衣場に洗面・洗濯スペースがある家が多いと思います。洗面や洗濯の時間を考えて脱衣場と一緒にするか検討しましょう。脱衣場には鍵が必要です。プライバシーのために付けておきましょう。

二世帯住宅のお互いが快適に暮らすためには、お互いの生活スタイルがあることを認識して、リフォーム後の生活をイメージしておくことが大事です。その際、お互いが同居することで楽しみにしていること、願っていることも話し合っておくとよいでしょう。

二世帯住宅で暮らす方法

二世帯住宅の暮らし方には、おおまかにわけると3つのスタイルがあります。どのスタイルが良いかは、家族構成・年齢により違います。それぞれのスタイルの特徴を知って、家族にあったスタイルを選びましょう

完全同居型

プライベート空間である個室以外の部屋を二世帯で共有して暮らすスタイルです。玄関・LDK・トイレ・洗面脱衣室・お風呂などを一緒に使います。このスタイルは、二世帯の交流が密な家族に適しています。

メリットは、二世帯の交流がしやすいため、お互い手助けしやすいこと。リフォーム費用を安くおさえられることがあげられます。注意したい点はプライベート部分への配慮が必要で、プライベートルームには鍵をつけたり、お互いの音が気にならないリフォームをすると良いでしょう。

また、光熱費を世帯ごと分けることができませんので、同居前に生活費の負担割合を話し合っておくと良いでしょう。

部分共用型

玄関や水廻りの一部だけを一緒に使う暮らし方です。玄関だけ1つや玄関・お風呂・脱衣室は1つなどご家族の生活スタイルにあわせて、共用部分を決めるスタイルです。リフォーム費用と二世帯住宅の暮らしのメリット・デメリットのバランスがとれたスタイルです。

メリットは、完全同居型と比較すると家全体が広く余裕のある暮らし方になること。それぞれの世帯のプライバシーが尊重されることがあげられます。

デメリットは、音への配慮が必要なことと一緒に使用する水廻りに配慮が必要なことです。部分供用型は、完全同居と比べ、交流が少なくなります。共用部分の悩みが起こらないように配慮しましょう。

玄関が一つの場合は、早朝・深夜の出入りの音への配慮が必要です。浴室や洗面を共用する場合は、使用時間や掃除の方法を同居前から話し合っておくと良いでしょう。

完全分離型

完全分離型は、二世帯が一緒に使用する共用スペースがないスタイルです。玄関も水廻りも全てそれぞれの世帯にあり、室内のどこかで行き来する場所があるスタイルです。親世帯も子世帯も若く、現役で仕事をしている家族や個々の世帯のプライベート空間を大切にしたい家族に適したスタイルです。

メリットは、同居前の生活スタイルのまま二世帯で暮らすことができます。生活時間や習慣の違いによるトラブルがおきにくいというメリットがあります。また、光熱費の請求を分けることができるので、生活費のトラブルもおきません。

デメリットは、家全体の広さが必要でリフォーム費用がかることと。工事期間が長くなること。完全分離型なので、意識して交流をしないと同居したのに話をすることがあまりないというデメリットもあります。二世帯が気軽に交流できるサブリビングやプレイルームなどを設けると良いでしょう。

どんな同居スタイルにするのが良いかは、ご家族により違います。それぞれの世帯にはそれぞれの生活スタイルがあることを認識して、リフォーム後の生活をイメージしておきましょう。その際、お互いが同居することで楽しみにしていること、願っていることを話し合いましょう。その上で、どんな同居スタイルにするか決めると良いでしょう。

二世帯リフォームの費用相場

リフォームの費用は、二世帯住宅のスタイルとリフォーム規模により変わります。

完全同居型の費用相場

完全同居型は、リーズナブルに二世帯住宅にリフォームすることができます。メインになるリフォームは、子世帯が使用する部屋の内装リフォーム・照明やエアコンの取替えがメインになります。人数が増えますので、玄関収納の収納量を増やしたりトイレの増設工事も必要です。

2階の内装のみリフォーム(床面積15坪) 約30万円~
2階のエアコンや照明の取替え(3室) 約20万円~
2階押入れをトイレにリフォーム
(大工・電気・水道・内装・便器取付)
約20万円~
玄関収納の増設 約10万円~
2階にDKを増築(8帖) 約80万円~
2階にユニットバスと洗面を設置 約150万円~

2階を使って、完全分離型の二世帯住宅にする場合は、玄関を2つにリフォーム、2階部分はキッチン・ユニットバス・洗面・トイレの設置、フルリノベーションして間取りを変更するなどで「約500万円~」。

1階と2階を一部増築して、完全二世帯住宅にする場合は「約100万円~」が相場となります。

業者によって得意なリフォームの分野が異なるので、同じリフォームだとしても業者によって安く施工してもらえる場合があります。ですので、費用を少しでも安くしたいという方は、複数社から見積もりをとることをおすすめします。

二世帯住宅のリフォームのポイント

二世帯住宅のリフォームは、単世帯のリフォームと違った工事の流れや補助金・税制、家の広さの上限があります。リフォーム後に後悔することがないように知っておきましょう。

リフォームの流れ

二世帯住宅のリフォームは、以下の流れで進んでいきます。

  • リフォームの計画
  • 見積もり
  • 工事請負契約
  • 片付け又は引越し
  • 工事着工

小規模なリフォームなら1ヶ月程の工事ですみますが、規模の大きな工事になると3~4ヶ月かかることがあります。

リフォーム工事をスムーズに行い引越しをするには、家の中の片付けが重要なポイントになります。同居後の生活スペースが狭くなる場合が多いため、親世帯も子世帯も生活用品の見直しが必要です。

補助金や助成金

二世帯住宅へリフォームをする場合、受けられる補助金や助成金があります。主に、各自治体が補助金・助成金制度を行っています。いくつかの自治体の例をあげます。

神奈川県海老名市

市内にある戸建て住宅やマンションを3世帯同居にリフォームした場合、工事費用の1/2の助成金がもらえます。

神奈川県横須賀市

親世帯が横須賀に持家があり、子世帯が横須賀市へ転入する形で同居する2世帯住宅リフォーム工事で受けられる補助金。工事費用の1/2・上限20万円の助成金が支給されます。

千葉県千葉市

同居から3年にわたり、補助金を支給してくれます。1年目はリフォーム費用に対して50万~上限100万まで支給。2.3年目は固定資産税と都市計画税の相当額に対して15万円を上限に補助金が支給されます。ケースによっては、3年間で最大130万円の補助金が支給されます。

その他には、バリアフリーにリフォームすることで受けられる補助金・助成金もあります。

自治体により補助金・助成金制度の概要や受けられる対象要件が違います。また、着工前に申請をする必要があります。工事会社とよく相談をして確実に受けられるようにしましょう。

建ぺい率や容積率

二世帯住宅は、床面積が広いほどゆとりのある生活ができます。そのため、リフォーム計画では床面積が広くなりがちです。しかし、床面積は建築基準法で上限が決められています。2つの面積規定を理解しておきましょう。

ひとつは、建ぺい率です。敷地に対する建築面積の割合の上限です。用途地域(住居地域とか工業地域など)により割合が違い40~80%となっています。特に、1階の床面積を増やす場合には注意が必要です。

もうひとつは、容積率です。敷地に対する延床面積の割合の上限です。やはり用途地域により割合が違い、低い所では60%となっています。2階でも増築する場合は注意しましょう。

建ぺい率も容積率も細かい規定がありますので、増築する場合には建築士に相談しましょう。

贈与税の注意点

二世帯住宅で同居を始める場合、『贈与税』に注意が必要です。親名義の住宅に子の資金でリフォームをする場合、その資金が贈与税とみなされるからです。また、子がリフォームローンを組んで支払いをしても、住宅ローン減税は受けられません。

贈与税がかからないようにする手続きの方法は主に2種類あります。一つは子が出す資金額に応じて土地の名義を変更する方法です。この場合、子に贈与税はかかりません。住宅ローン減税は受けられるようになります。しかし、親には土地の譲渡税がかかります。贈与税より少ない税額になる方法です。

もう一つは、自宅の名義を資金を出す子の名義に変更する方法です。名義を変更する時に「相続時精算課税」の手続きを行います。これは、親子間に限って2,500万円まで無税で財産贈与できるという制度です。(実際の相続時には手続きの必要があります。)

贈与税に関しては、細かな要件や土地の評価額の算出や登記変更など手続きがあります。必ず、税務署や税理士に相談して手続きしましょう。

二世帯リフォームは、家族みんなが助け合って暮らしていくためのリフォームです。しっかりと話し合いの時間を設けて、リフォーム後の生活もイメージしながら、家族みんなが安心して暮らせる、満足のいくリフォームをしましょう。

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