外壁塗装の塗料の選び方とおすすめメーカーを比較

外壁塗装の塗料の選び方とおすすめメーカーを比較

住まいの外壁をいつまでも美しく長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必要です。中でも外壁塗装はもっとも多く施工されているポピュラーなメンテナンスと言えます。

しかし、外壁塗装に使う塗料はどのようなものが最適かについては、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。

ここでは、外壁用の塗料の選び方や、各メーカーの特徴、耐久性の違いや費用の相場などをわかり易く解説します。是非、参考にして下さい。

塗料選びのポイント

外壁塗料を選ぶポイントは、塗料の素材、その素材の耐久性や機能性、価格などになります。それぞれについて詳しくみていきましょう。

人気の塗料は?

「ラジカル塗料」が発売されるまでは、圧倒的に「シリコン塗料」が人気となっていましたが、今では、ラジカルとシリコン、この二つが人気の塗料となっています。シリコン塗料は10年を超える耐久性と価格のグレードでは中間程度に位置していること、塗料の種類も多いことなどから人気のようです。

ラジカル塗料は、2015年ころから出始めた新しい塗料なのですが、耐久性の一番高いフッ素塗料にも近づくような15年超えの耐久性能を持っています。価格のグレードはシリコンとフッ素の間に位置しています。耐久性も気になる顧客層に人気のようです。

塗料の特徴と費用のバランスなどから、上記の二つが今のところは多く使われていますが、その他、価格でお手頃なアクリル塗料、ウレタン塗料、耐久性は20年になることもあるとされるフッ素塗料などがあります。フッ素塗料は耐久性は抜群ですが、その分費用はもっとも高めになります。

耐久年数と費用相場

外壁塗料それぞれの耐久性、費用の相場はどのくらいになるでしょうか。塗料の種類別に見ていきましょう。費用の相場は1坪あたり単価の参考価格になります。

種類 耐久年数 費用相場
アクリル 約3~6年 約10,000円
ウレタン 約7~10年 約15,000円
シリコン 約12~15年 約16,000円
ラジカル 約14~16年 約17,000円
フッ素 約15~20年 約22,000円

上記の通り、耐久性能が高くなると、費用も高くなっていく傾向があります。その分、塗料の持ちに違いも出てきますので、メンテナンスの頻度などともバランスのとれた塗料を選ぶようにすると良いでしょう。

油性塗料と水性塗料の違い

外壁塗料には、油性と水性のものがあります。その大きな違いは、主成分がシンナー系(油性)か水系(水性)かになります。

シンナー系はご存じの通り、匂いの強い塗料です。速乾で密着度が高いことから、扱いは比較的容易ですが、健康などの環境面も考慮すると、現在は環境に優しい水性の塗料が好まれています。

色だけでなく性能も比較しよう

外壁塗料には様々な種類があり、耐久性にも違いがあります。一番お手頃なものは古くからあるアクリル塗料ですが、耐久性は6年前後であり汚れやすい面もあり、ほとんど使われることはなくなりました。

約10年の耐久性がある柔らかいウレタン塗料は、万能塗料とされ、非常に使い易い塗料ですが、さらに耐久性のあるシリコン塗料や、ラジカル塗料が扱いやすい価格帯になってきたため、耐久性がより高い塗料が選択されている傾向があります。

塗料は防水性、耐候性、遮熱、断熱、防カビ、低汚染などの製品の特徴も比較しながら、予算も加味して塗料を選ぶようにしましょう。

塗料メーカーを比較

シリコン、ラジカルなどの塗料は、いろいろな塗料メーカーが取り扱っています。それぞれどのようなメーカーの特徴があるか、詳しくみていきましょう。

日本ペイントの特徴

日本ペイントは、塗料メーカーとして大変有名で代表的な企業です。住宅からビル、橋梁など公共的な建築物にも使われています。外装塗料では国内シェアの約3割が日本ペイント塗料を採用しています。

外装塗料では、ウレタン塗料は「ファインウレタン」、シリコン塗料は「水性シリコンセラ」、ラジカル塗料は「パーフェクトトップ」、フッ素塗料は「ファイン4Fセラミック」などがあります。

それぞれ、つや有り、3分、5部、7部つや有り、つや消しなどのバリエーションも選べるものもあり、仕上がりの好みなどでもたくさんの種類を持っています。

昔からよく使われいるメーカーであり、品質も良く、取り合う店舗も多いため、塗料業者や一般のDIYなどでもよく使われています。

※参考:日本ペイントの建築用塗料

関西ペイントの特徴

関西ペイントは、日本ペイントと並ぶ有名な塗料メーカーです。国内シェアは約1割が関西ペイントを採用しています。家庭用などの取り扱いも多くあります。

外装塗料では、ウレタン塗料は「セラMウレタン」、シリコン塗料は「セラMシリコン」、フッ素塗料は「アレスダイナミック」などがあります。

それぞれ、つや有り、3分、5部、7部つや有り、つや消しなどのバリエーションも選べるものもあり、また、塗装する場所のコンディションによっても選べるなど、関西ペンイトも仕上がりの好み、質などでたくさんの種類を持っています。

主な塗料店で取り扱いがあり、塗装業者でも多く使われているメーカーとなっています。

※参考:関西ペイントの建築用塗料

アステックの特徴

アステックは、平成に入ってから設立された塗料メーカーです。遮熱性や防水性、低汚染など機能的な部分に力をいれた製品が特徴となっています。

防水性や耐候性に優れている塗料としては「ピュアクリル」が代表的で、建物自体にヒビが入っても600%伸縮する特徴を持っています。

また、従来のフッ素塗料をしのぐと自信を持つのが、「超耐候性・超低汚染リファイン」です。機能を重視した製品が多く、それにより価格は少し高めの設定になっていますが、耐久性が長いことによりメンテナンスの頻度は大幅に少なく済むというメリットがあります。

※参考:アステックの建築用塗料

エスケー化研の特徴

エスケー化研は、塗料を扱う大手のメーカーでもあり、建築の内装材、外装材も扱う業界では大変知られた企業です。塗料では、国内シェア約5割をしめ、最も使われているメーカーです。

外装塗料では、ウレタン塗料は「マイルドウレタン」、シリコン塗料は「水性セラミシリコン」「クリーンマイルドシリコン」、ラジカル塗料は「エスケープレミアムシリコン」、フッ素塗料は「クリーンマイルドフッ素」などがあります。

それぞれ、つや有り、3分、5部、7部つや有り、つや消しなどのバリエーションも選べるものもあり、また、機能別に豊富に製品の種類があるのが特徴です。

国内でシェアナンバーワンですが、一般家庭よりも建設業界のほうがメーカーとしてなじみがある印象です。

※参考:エスケー化研の建築用塗料

日進産業の特徴

日進産業は、機能性が特徴の「ガイナ」という塗料が代表的な製品になっています。「ガイナ」の特徴は、塗料でありながら塗るだけで寒さ、暑さ、消臭、防音などからブロックするという機能性塗料という部分です。

このガイナの効果により、室内での体感温度は冷房なら3度涼しく、暖房なら3度暖かく感じるとされています。

特殊なセラミック層で構成されたガイナ塗料は、熱の移動を抑えるという働きがあり、船舶の甲板や重要文化財などにも使われています。屋根面に使えば、太陽の熱を反射・放射し暑さ対策には期待できます。

※参考:日進産業の建築用塗料

水谷ペイントの特徴

水谷ペイントは、90年以上前から営業している老舗の塗料メーカーです。屋根・外装から床、防水、工業用塗料など様々な用途の塗料を取り扱っています。会社をあげて力を入れているナノテクノロジーの技術で高い品質と安心に取り組んでおり、特にフッ素塗料に関しての製品品質には自信を持っています。

ナノテクノロジーを駆使した製品として、ナノコンポジットという外壁塗料があります。特徴は、汚れにくく、色あせしにくい、また、燃えにくいという機能を持っている水性の高機能エコ塗料になっています。

※参考:水谷ペイントの建築用塗料

ロックペイントの特徴

ロックペイントは、車両用の塗料や建築用、工業用の塗料、DIY用塗料などを扱う会社です。建築用の塗料では、フッ素系塗料にも力を入れており、環境にも配慮しながら美粧性を維持する品質の高い製品を取り扱っています。

フッ素塗料の最高級製品としては「サンフロンシリーズ」があり、シリコン系塗料の「ユメロックシリーズ」などとともに業界の牽引役となっており、塗料の高機能・高耐久においての開発を続けています。

※参考:ロックペイントの建築用塗料

AGCコーテックの特徴

AGCコーテックは、大型建築物の建築塗料の他、住宅用塗料、工業塗料、橋梁などの暴食塗料など小さなものから大型のものまで対応できる幅広いバリエーションをもっています。

住宅部門の塗料としては、フッ素樹脂の「ルミステージ」をメインとしており、その技術にはAGC旭硝子が開発したフッ素樹脂ルミロンを使用するなど様々なグループネットワークを駆使して製品開発を行っています。

ルミステージは、フッ素塗料の高い耐久性を持ち、その原料はホタル石と呼ばれる天然石を主成分とし紫外線に強い塗料となっています。

※参考:AGCコーテックの建築用塗料

オスモ&エーデルの特徴

オスモ&エーデルは、ドイツ生まれの自然塗料です。成分は自然の植物油と植物ワックスから生成され、人体、動植物に安全な塗料となっています。自然素材を扱う注文住宅などでは使われることが多くあります。また、無垢を取り扱う家具造作店などでも利用されています。

一般的な塗料は、匂いの強いシンナーやアルコール成分が含まれいていることが多くありますが、オスモ&エーデルの塗料はそういったものを使っていません。そのため口に含んでも害がないと認められ赤ちゃんの玩具にも採用されています。

自然素材でできている塗料ということで、「木」の呼吸を妨げないという特徴があります。また、塗料のカラー展開も豊富にあり、調合によって様々なカラーを作り出すことも可能です。浸透性のある塗料のため、一般的なコーティングとしての塗料とは違った価値観で判断する必要があります。

※参考:オスモ&エーデルの建築用塗料

塗料の種類と費用相場

外壁の塗料には、様々な種類があります。その特徴や費用の相場などを紹介します。

アクリルやウレタン

アクリル塗料は、20年以上前に製品となった塗料です。当時の住宅はモルタルの外壁が多く、劣化によるヒビ割れへの補修としてよく使われていましたが、耐久性が短いため現在はほとんど使わることはなくなりました。平米単価では、1,000円~1,200円あたりが目安となります。

ウレタン塗料は、使う場所を選ばず、施工も比較的に容易で扱いやすいため、万能塗料として重宝されてきました。耐久年数は7~10年ではありますが、シリコンなどが登場すると性能が劣るということで、現在はあまり使われていません。

しかし、外壁以外の部分に関しては、今でも使われている場合もあります。平米単価では、1,800円~2,000円あたりが目安となります。

シリコン

シリコン塗料は、現在、外壁塗料で多く使われている種類になっています。機能性やカラーなどの種類も豊富にそろい、ほとんどのメーカーさんでたくさんの種類の製品を出しています。

そのため、シリコン塗料といっても、安いものから高価なものまで幅広くあるために、耐久性にも幅が出てくる可能性もあります。また、塗料のシリコン含有率には規定がないために、例えば少量のシリコンが含まれている場合でも「シリコン塗料」としている場合もあります。

水性シリコンなのか、溶剤系シリコンなどかでも耐久性や価格が変わります。塗装業者さんがどのような塗料を使うかには注意が必要です。

シリコン塗料の耐久年数は12年~15年ほどと言われています。メーカーさんがシリコン塗料の種類をたくさん取り揃えているのは、使われている外壁によって、もっとも適正な塗料が微妙に違っているからということもあります。

例えば、サイディング外壁に合うものやモルタル・ALCに合うものなど、外壁の素材によっても最適な塗料は変わってきます。

シリコン塗料の平米単価は、2,500円~3,500円程度となっています。広く使われている塗料でありますが、耐久性を偽って使われることのないよう、信用できる塗装業者さんに依頼するようにしましょう。

ラジカル

ラジカル塗料は、シリコン塗料以上の耐久性を実現し、価格もシリコンより少し高くなる程度ということで、近年急速に広がっています。耐久性は14年~16年ほどといわれており、メンテナンスの軽減にも期待できる塗料です。

ラジカルとは、塗料の中の顔料が太陽の光を吸収し発生するもので、塗料を劣化させる原因とされていました。そこで、ラジカルを抑制するものとして出てきたのがラジカル塗料です。エスケー化研や日本ペイント、関西ペイントなど国内シェアを多く持つメーカーから製品化されています。

2012年ころから出始めている塗料のため、耐久年数である10年を超える現場がまだ出てきてはいないのですが、その性能はとても注目されています。

ラジカルと言えば日本ペイントのパーフェクトトップが有名で、無機系のパーフェクトセラミックトップとともにたくさんのバリエーションがあります。また、エスケー化研はエスケープレミアムシリコンを、関西ペイントはアレスダイナミックTOPをラジカル製品として取り扱っています。

ラジカル塗料の平米単価は、2,500円~3,000円程度となっており、まだまだ使われて間もない塗料のために、ラジカル塗料の施工経験のある業者さんを選ぶと安心できるでしょう。

フッ素

フッ素塗料は、耐久年数が15年~20年と抜群の性能を誇りますが、今現在は製品価格が高価であり、予算のある場合におすすめできる塗料です。

その耐久性を活かして、今は公共的な建築物に多く使われています、例えばスカイツリーやレインボーブリッジなどは、このフッ素塗料で施工されています。こういった建築物はメンテナンスを容易にできないために、フッ素の耐久性が必要ということになっています。

一般住宅の外壁では、フッ素も高価になりますが、屋根の施工にはフッ素塗料が向いています。屋根がさらされる自然条件は外壁よりも厳しく、劣化も進行しやすくなります。塗り替えも何度も行えないため、屋根に使われることも多くなっています。

フッ素塗料の平米単価は、3,800円~4,800円程度となっています。予算に合わせて検討してみると良いでしょう。

光触媒

光触媒塗料は、塗料が太陽の光で汚れを分解し、その汚れを雨で洗い流すという特徴を持っています。セルフクリーニングという言葉を聞いたこともあるでしょう。

光触媒塗料の国内シェアはTOTOがほとんどを占めており、ハイドロテクトコートという技術で外壁を美しく保ちます。セルフクリーニングという画期的な製品なのですが、太陽光が不足する場合は、汚れの分解機能も低くなるということもあるため、採用する場合には建物の立地条件も加味する必要があります。耐久年数は15年~20年と言われています。

光触媒塗料の平米単価は、4,200円~5,000円程度となっています。光触媒塗料の施工経験のある業者さんを選ぶと安心です。

無機

無機塗料は、無機物と合成樹脂などの有機物を混合して作られたものです。

無機物は紫外線などで劣化が進行しないものであり、半永久の耐久性がある素晴らしいものですが、無機塗料は混合物であり、また、無機物の含有率に規定がないため、その程度の無機物が含まれているかは注意が必要になります。

耐久年数は20年~25年ともいわれており、光触媒のようなセルフクリーニング機能もあります。無機塗料の平米単価は、4,500円~5,500円程度となっています。

まとめ

外壁の塗料にはたくさんの種類、メーカーなどがあります。それぞれに特徴もあり、機能性を持たせたものなどもありますので、実際の住まいの問題点や予算、求める耐久性などをよく検討して選ぶようにしましょう。

また、施工業者さんからの説明で不明なことがあれば、十分に確認することをおすすめします。


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