「そろそろ、外壁の塗装をしたいな~」と思っても、どうしたらいいのか、何からはじめていいのか悩みます。
誰に頼んだらいいの?この見積り高くない?しっかり工事してくれるかな?色はこれでいいの?など不安なことがいっぱい。良い塗装業者に依頼して、外壁塗装工事を成功させるポイントをまとめました。
業者選びのポイント
外壁塗装工事を依頼する業者(会社)はいろいろあります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを知って、良い業者を選びましょう。
塗装工事を依頼する会社
少し前まで、外壁塗装工事を依頼する業者は近所の顔見知りの塗装業者が多いという傾向でした。最近は、地元工務店や住宅メーカー・リフォーム会社など依頼する会社が増えました。
外壁塗装工事を依頼する会社は主に4つあります。
- 地元塗装業者
- 地元工務店
- 住宅メーカー
- リフォーム会社
地元塗装業者
地元塗装業者は、塗装工事を専門とする業者で、自社の職人が工事を行います。
地元塗装業者のメリット
- 塗装の知識や技術が高い
- 何かあったら、直ぐに相談にのってくれたりかけつけてくれて、融通がききやすい
- 地域のこと(風や湿度などの特性)を知っているため良い施工ができる
(塗装工事は風速や湿度に施工が左右されるため)
地元塗装業者のデメリット
- デザイン力は住宅メーカーほどない
- 自社で塗装するため工事日を選べない、工期が延びたりする傾向にある
- 会社の規模によっては保証やアフターメンテナンスが不十分なことがある
地元塗装業者にお願いしたいけど不安がある場合は、契約前に確認しておきましょう。
- 施工仕上がりに不安がある時は、実際に施工した家を見せてもらう
- 保証やアフターメンテナンスは、契約前に書面で確認する
- 知人や友人が塗装工事をした評判の良い業者を選ぶ
- 必ず見積もりを取り、書面で契約をする。口約束で工事をお願いしないこと
地元工務店
地元工務店に外壁塗装工事を依頼すると、工務店の下請け塗装業者が工事を行います。地元工務店では、見積もりや色選びの打合わせ・施工管理・保証・アフターメンテナンスなどを担当してくれます。
地元工務店のメリット
- 地元工務店が塗装業者との間に入り、いろいろな調整(色選び・施工管理など)を行ってくれるから安心
- 下請け塗装業者の中から業者を決めるので、工事の日程はある程度融通がきく
- 工務店なので、外壁塗装工事の管理をしながら家に不具合があれば気付いてくれる
- 工務店なので、保証やアフターメンテナンスがしっかりしている
地元工務店のメリット
- 価格が地元塗装業者より割高(住宅メーカーより割安)
- 地元工務店の社員は、塗装の知識があまりないケースが多い
地元工務店に塗装工事を依頼する良いケースは、「家を建てた工務店」に依頼することです。家のことがよくわかっていて、信頼関係があるからです。
住宅メーカー
住宅メーカーに外壁塗装工事を依頼すると、メーカー専属の下請け塗装業者が工事を行います。住宅メーカーは、見積もり・外観デザイン検討・工事管理・保証・アフターメンテナンスなどを担当します。
住宅メーカーでは、専属で業者をかかえているため地元工務店と比較すると中間マージンが高く、工事金額は割高になる傾向があります。また、住宅メーカーに工事を依頼すると外壁塗装工事以外の工事(屋根塗装やバルコニー防水など)も見積もりしてくることがあります。
必要な工事なら一緒に見てもらえて安心ですが、担当営業がより多くの売上を上げるために提案してくることもあります。判断がむずかしいところです。
住宅メーカーのメリット
- 保証とアフターメンテナンスがしっかりしている
- 提案力・デザイン力はある
住宅メーカーのデメリット
- 価格が割高
- 他の工事も見積もりをしてくるが、本当に必要な工事がわからない
- 住宅メーカーの営業は、塗装の知識があまりないケースが多い
家を建ててくれた住宅メーカーに依頼する場合は、家の構造のことに詳しいところにメリットがあります。住宅メーカーで家を建てたが、他の会社に塗装工事を依頼する場合、注意が必要です。新築した時の保証がなくなるケースがあります。新築時の保証書で保証内容を確認しましょう。
リフォーム会社
外壁塗装工事を行うリフォーム会社には、2種類のタイプがあります。一つは、今まで水廻りなどのリフォーム工事をやってきたが、最近外壁塗装工事も行うようになった会社。
もう一つは塗装工事を専門にやってきたけど、最近他のリフォーム工事も行うようになったという会社です。
リフォーム会社に外壁塗装工事を依頼する場合は、どちらのタイプのリフォーム会社か見極めておきましょう。リフォーム会社に外壁塗装工事を依頼する時は、塗装工事を専門にやってきたリフォーム会社に依頼するとメリットがあります。
塗装業者だったリフォーム会社の場合、社員である塗装職人が実際に工事を行うケースがほとんどです。そのため、塗装の知識・技術が高く、価格も割安で安心です。また、リフォーム会社のため、保証やメンテナンスも完備されています。
ただし、外壁塗装以外の工事がある場合は、その他の工事も得意なリフォーム会社に依頼するとメリットがあります。リフォームに関する専門知識が高いため、提案・見積もり・工事技術・管理にバランスがとれています。
リフォーム会社のメリット
- 塗装業が前身のリフォーム会社はリーズナブルで、知識・技術が高い
- 総合リフォーム会社は、他のリフォーム工事がある場合リフォーム技術が高いため全体のリフォーム工事がスムーズにできる
- リフォーム会社のため、保証・メンテナンスはしっかりしている
リフォーム会社のデメリット
- リフォーム会社にも得意・不得意があるため選定がむずかしい
- リフォーム会社によっては、価格が割高になるケースがある
リフォーム会社に外壁塗装工事を依頼する時は、リフォーム会社の特徴(塗装工事が得意かどうか)を理解した上で依頼しましょう。
自分にあった業者を選ぶ
外壁塗装工事の業者は、自分にあった業者を選びましょう。選ぶ基準は、価格だけではなく、現在の外壁の状態・家の構造・提案力・他のリフォームは必要ないかなども考慮しましょう。
また、今回の工事でどんな塗装をしたいのかよく考えましょう。外壁塗装工事でいちばんに望むことをはっきりさせ、それを実現してくれる業者を選びましょう。
業者(会社)選びの例
- とにかく、安い金額で塗装したいし知人に塗装屋がいる
⇒地元の塗装業者や塗装工事が得意なリフォーム会社 - 築年数が古くて、塗装といっしょに家の状態をみてほしい
⇒総合リフォーム会社や地元工務店 - 地元工務店で新築してから10年経って初めての塗装。工務店はアフターによく来てくれている
⇒地元工務店 - 住宅メーカーで家を建てた。最近、バルコニーの下が雨漏りしている。塗装しながら直したい
⇒住宅メーカー - もう、塗装も3回目。塗装工事に慣れている
⇒地元の塗装業者や塗装工事が得意なリフォーム会社 - 外壁の塗装をしながら、外観のイメージを一新したい
⇒外観デザイン力・提案力のある会社
悪質業者の手口に注意
外壁塗装工事の会社には、少なからず悪質業者がいるのは事実です。営業の方法や宣伝文句・見積もりの内容・保証内容・メンテナンスに特徴があります・悪質業者の特徴を知っておきましょう。
不安をあおる営業
リフォームの営業方法に、不安をあおって工事をすすめる営業手法があります。
「屋根がずれていて雨漏りがしています。点検させてください。」「白蟻がいるみたいです。床下見せてください。」「外壁にひび割れがあります。塗装で直しませんか」などの不安のきっかけを作って営業する方法です。
本当にメンテナンスが必要だったらと不安になってその営業を信じてしまう方もいます。
こんな営業にあったら、一度家族や友人に相談してください。不安をあおって営業するのは良い営業ではありません。話を聞いてもすぐに見積もり・契約などしないで、他の業者に相談しましょう。
見積もりの特徴
見積りに以下の傾向があったら、注意が必要です。
- 見積もりを見ても、高い理由がわからない
- 面積などの数量がなく、何でも一式見積もりになっている
- 見積もりの説明内容がよくわからない
- 大きな値引きやサービス工事
- 初めの見積もりが極端に高く設定されているケースがあります。つまりサービスではないということです。
- 見積もり内容を説明できない営業自身も要注意
- 見積もりはメモをとりながら説明を受けましょう。
安い価格のちらしの注意点
外壁塗装工事のちらしを見たら、安かったので見積もりを頼んでみた。でも、ちらしの価格ではできなかった。こんなケースがあります。
ちらしは安い価格で集客をしています。なので、一概に悪徳業者とはいえませんが、ちらしの価格にならない理由を確認しましょう。その際、正直に「ちらしの価格が希望」と伝えてみましょう。できない理由に納得ができなかったら、工事後にトラブルになります。他でも見積もりしてみましょう。
契約をせかす営業
見積もりをお願いしたら、今月キャンペーンなので契約してくださいと言われた。こんなことがあります。キャンペーン自体は悪いことではありませんが、キャンペーンでもお得にならない、いつ工事をするのかまだ決めてない、執拗に契約をお願いしてくる場合は注意しましょう。
あくまでも契約はお客様主体で行うものです。お客様のことを考えた上でキャンペーンや契約をすすめてくる営業か見極めましょう。
手抜き工事
手抜き工事をする業者を見極めるには、見積もり内容の明瞭性や施工した家を見て確かめます。
見積り内容に不明瞭な項目が多かったり、工事中の養生や塗装回数の記載がない場合は注意しましょう。工事の内容が不十分な場合があります。
また、塗装する住宅を見積もりのために確認にこない業者も要注意です。
外壁の塗装工事は現状の状態を確認して、必要な工事を見積もりすることが鉄則です。外壁洗浄の要・不要や樋・雨戸・軒などの塗装、塗装面積等の確認は現場をみなければわからないからです。そこを手抜きする業者は工事も手抜きするかもしれません。
実際に施工した家を紹介してもらい、施工状況を確認しましょう。施工した家を紹介してもらえない、施工内容の質問をしてもはっきりした答えが返ってこない場合は要注意です。
オリジナルの遮熱塗料?
外壁の塗装に遮熱塗料を使用すると、省エネになり補助金をもらえるケースがあります。それを利用して「高額な自社オリジナルの遮熱塗料」をすすめてくる業者がいます。しかし、このケースは注意が必要です。
遮熱塗料の性能保証や補助金をもらえる性能には、指定の検査機関による厳密な検査が必要で簡単にできるものではありません。そのため、他の遮熱塗料より少し安いからと使用して、性能も十分でなければ補助金ももらえなかったというトラブルが近年増えています。
塗料に特殊な機能があって高額なものは、性能を保証する検査データーと保証書のコピーを提示してもらいましょう。補助金をもらう場合は、その旨契約書に明記し確実に履行してもらいましょう。
業者選びは工事中の補償と工事後の保証がポイント
塗装工事は、工事中の工事補償と工事後の性能保証があります。良い業者はこの2つを用意しています。それぞれ、どのような内容か見てみましょう。
工事中の補償
工事会社は工事保険に入り、工事中の損害に対して補償をしてくれます。塗装工事で補償が適用される事例をあげます。(注意:加入している保険により補償内容は違います。)
- 強風で養生がめくれて、隣家の車に塗料がついてしまった。
- 足場を解体する時に、隣地のブロックに傷をつけてしまった。
- 塗料がフェンスについてしまった
これらのトラブルは保険金を使って対応しますので、円満に解決することができます。
工事後の保証
工事後の保証は、塗装性能に関する保証になります。保証内容は各会社により異なるため、契約前に書面で内容を確認しましょう。
保証内容は以下の5つの点を確認しましょう。
- どこの会社(団体)が保証してくれるのか
- どこの部位を保証するのか
- どのような状態になると保証されるのか
- 施工後、何年保証されるのか
- 保証されない免責事項はどのような内容なのか
保証内容の例
- 保証する会社:施工会社の自社保証
- どこの部位:外壁
- どのような状態:塗膜のはがれ・膨れ
- 保証期間:窯業系サイディングの上にウレタン塗装の場合3年
- 免責事項:施工会社以外の作業が原因によるはがれ・自然災害によるはがれ・建物の構造的欠陥による膨れなど
保証内容に関する注意点
保証内容は会社により違います。保証内容に関する注意点をまとめました。
保証書の発行と連絡先
保証は、まず誰が保証してくれるのか確認しましょう。施工会社が自社で保証するケースや塗装業界団体の保証・塗料メーカーの保証など様々です。施工会社により保証会社(団体)が異なります。
保証内容の確認は契約前に書面で行い、施工後には保証書を発行してもらい、保証会社(団体)の連絡先窓口を確認しておきましょう。
施工後、保証対象となる部位や状態
施工した部分はどんな状態でも保証してもらえるわけではありません。保証対象になる部位と状態を確認しましょう。外壁の塗装工事には外壁以外に外階段の鉄部や軒裏などの木部・雨戸・玄関ドアなど一緒に塗装する部位があります。
保証対象の部位に施工する鉄部や軒裏などの木部・雨戸・玄関ドアがあるか確認しましょう。
保証対象になる主な状態は、塗装のはがれ(塗膜の剥離)・ふくれ(浮き)・変色があります。この中で変色は対象外になるケースが多々あります。(変色は色合いや濃度・直射日光の影響があるため対象外になっています。)
保証対象外になるケース
保証対象外になるケースはいろいろです。一般的な事項をみてみましょう。
- 自然現象(地震・洪水・台風・豪雨・積雪・地盤沈下など)が原因の場合
- 火災や爆発など外部からの要因が原因の場合
- 戦争や内乱・暴動などが原因の場合
- 工事請負会社(契約会社)以外の作業が原因の場合
- 建物の構造的欠陥が原因の場合
- 施主からの支給品が原因の場合
- 施工会社が倒産してしまった場合
- 藻や苔の発生・変色・色褪せ・ヘアークラックなどは保証されないケースがほとんどです
保証期間の目安
保証期間は、塗装場所と素地の種類・塗料の種類・塗装方法により異なります。保証期間の例をみてみましょう。
保証期間の例
塗装場所 | 素地 | 塗料の種類 | 保証期間 | 保証内容(状態) |
---|---|---|---|---|
外壁 | 窯業系サイディング | ウレタン塗装 | 3年 | 剥がれ・膨れ |
外壁 | 窯業系サイディング | シリコン塗装 | 5年 | 剥がれ・膨れ |
外壁 | ALCセメント板 | ウレタン塗装 | 5年 | 剥がれ・膨れ |
外壁 | ALCセメント板 | シリコン塗装 | 5年 | 剥がれ・膨れ |
軒裏 | 木部 | アクリル塗装 | 3年 | 剥がれ・変退色 |
外階段 | 鉄部 | ウレタン塗装 | 3年 | 極度な錆・剥がれ・変退色 |
雨樋 | 硬質塩化ビニール | ウレタン塗装 | 3年 | 剥がれ・膨れ |
雨樋 | 硬質塩化ビニール | シリコン塗装 | 2年 | 剥がれ・膨れ |
玄関建具 | 鋼製 | ウレタン塗装 | 3年 | 剥がれ・膨れ・変退色 |
玄関建具 | 木製 | ウレタン塗装 | 2年 | 剥がれ・膨れ |
※この表はあくまでも保証例です。保証内容は施工会社に確認しましょう。
外壁塗装は、定価がなく見積もり金額の妥当性がわかりづらい工事です。また、施工方法や工事の精度も一般にはわからないものです。だからこそ、業者(会社)のそれぞれの特徴を理解し、自分にあった会社に工事を依頼しましょう。
工事をする時にはよく打合わせをし、意思疎通をはかりましょう。打合わせを重ねることで、色々なことがわかり、結果外壁塗装の工事を成功させることができます。