リフォームの見積書には内訳明細書が記載されているものがあります。この内訳明細書の内容が工事の種類(工事種別)別に積算され、諸経費などが加算されたものが、リフォーム工事の総額見積りとなっています。
内訳明細書には建築的な用語も多く、何に使われるものなのか全てをすぐに理解するのはなかな難しいものがあります。ここでは、リフォームの見積書の項目の見方や最低限チェックしたいポイントについて紹介していきます。
見積書のチェックポイント
リフォームの見積書は、工事の規模によって、内訳明細書が何枚も添付されていたり、または1枚のみであったり様々です。どのような工事の規模であっても、工事の種類ごとには記載されているのが一般的です。金額に係る部分ですので、ひとつひとつ確認してみましょう。
また、見積書はあくまで「見積書」であって、「請求書」ではありません。「一切追加工事の発生はありません」というようなやり取りが無い限り、実際の工事途中での追加工事が発生する可能性も考慮しておきましょう。
見積書の作成日と有効期限日
リフォームの施工会社によって書式は違いますが、見積書には作成日が必ず記載されます。この作成日は、見積書がいくつも存在する場合に重要になってきます。
最初の見積書提示から、予算の関係で何度かやり取りをする場合があります。都度見積書を提示してもらうことになりますが、その際、どの見積書が最新なのかはしっかりと確認しましょう。
また、追加工事や仕様変更の増減を見積書で提示してもらうこともありますが、幾度かやり取りしていると、どれが最終の打合せのものか混乱することもあります。こういった場合には「作成日」や「見積作成番号」でどれが最新なのかを確認することができます。
作成日とともに、有効期限日が記載された見積書もあります。有効期限日とは、「この見積書に記載された内容は、○○年○○月○○日まで有効ですよ」という意味があります。
例えば、見積書を提示してもらったお客様が「検討します」と一度持ち帰り、2年後に「この見積書の内容でお願いします」と依頼してきても、設定の有効期限が過ぎていれば同じ金額では工事を請けることはできません。
2年後ともなれば、材料費も施工費も同じ原価ではない可能性があります。こういったケースもあるため、有効期限日を設けている施工会社もあります。多くは3ヶ月から半年後に設定されています。
工事内容の項目
一番わかりにくいのが、工事内容の項目の部分です。リフォーム工事の規模にもよりますが、工事の種類ごとに記載されている部分ですので、大変でも一通りは確認しましょう。
自分でもチェックできる部分としては、記載されている項目が工事の流れと合致しているかどうかという点です。例えば、解体が記載されていれば、解体が必要な工事の流れなのかなど、イメージできる範囲で合致させてみましょう。
また、設備機器の部分は、品番までしっかりと確認することが必要です。別途に設備の仕様プレゼン書などで画像で確認することが出来ない場合は、自分で品番で調べ、希望のものと合致しているか確認してみましょう。
その際、価格が適正であるかどうかもチェックするのもおすすめです。ネットなどで調べた場合でネットが安い場合もあるかもしれませんが、仕入れの量などで増減もありうるということも想定しておきましょう。
諸経費の割合
車を購入する場合でも、「諸経費」という明細項目があります。リフォーム工事も同じように「諸経費」や「工事管理費」という部分が記載されることが多くあります。
リフォーム工事での諸経費とは、工事に係る事務的な経費や手続きにかかる交通費、人件費などになり、おおよそ工事費の10~15%程度で計上されます。
20%程度までは、通常ありえる経費計上といえますが、それ以上の経費計上がある場合は、どのような経費内訳であるか確認してみても良いでしょう。
数量、単価、金額
見積書は専用フォーマットで作成されることが多いため、合計金額などの計算部分には信用性がありますが、そもそも数字を入力しているのは「人」です。数量や単価の入力ミスがあれば、おのずと計算額も変わってしまいます。
内容に絶対入力ミスがないとは言い切れませんので、受け取る側も数量、単価などはチェックすることをおすすめします。特に、変更がある場合はきちんと反映されているか確認が必要と考えます。
見積書で出てくる建築用語
見積書の中には、建築的な用語もたくさん使われています。何の工事(工程)を表しているものかポイント的に確認していきましょう。
仮設工事
仮設工事とは、工事を行うときに必要な「仮設トレイ」や「足場」「柵」「廃材ゴミ箱」などの費用になります。また、家財を保護するために使う養生シートや養生テープ、緩衝材、絨毯、シートなども含まれます。完成クリーニング費用を含める場合もあります。
実際の工事の材料や施工費とは別のものですが、工事を進める上では必要になる重要な費用です。
左官工事
左官工事とは、左官壁(塗り壁)の施工の他にも、土間、モルタルの仕上げ工事なども含みます。例えば勝手口の土間をモルタル仕上げにする場合、左官工事費に分類されます。その他、タイル工事を含める場合もあります。
基礎工事もコンクリートなどを扱うのですが、通常は左官と基礎工事は別々に分類されることが多いでしょう。
給排水衛生工事
衛生工事と聞くと耳慣れないですが、トイレやキッチンなどの水回りに関連する「水道工事」というイメージです。給排水に関する部分はこの工事に分類されます。
一式工事
見積明細のなかで、「一式」と表示されることも多くあります。一式とは、「全てまとめて」というような意味合いを持っています。
例えば、トイレの交換工事が一式○○円と記載されているとすると、通常は既存トイレの取り外し、新しいトイレの器具、新しいトイレの取り付け、取り付けの工賃を全て含んでいると解釈できます。
一式という表示は便利ではあるのですが、場合によっては、内訳の配分がよくわからず、妥当かどうかの判断は出来にくいともいえます。
「一式」と記載されていて、何となく疑問を感じた場合は、相手方に内訳を確認してみてもよいでしょう。
材工共、材のみ、工のみ
適用などに記載されることが多いのが、「材工共」や「材のみ」などの表記です。「材工共」は、材料とその工賃も含んでの費用となり、「材のみ」は材料だけの費用、「工のみ」は工賃だけの費用ということになります。
リフォームの見積りの内訳では、この3種類が様々に使われます。例えば、トイレの器具だけを施主支給したとすると、トイレの交換工事は工賃のみになりますので「工のみ」となります。
坪、㎡(平米)、㎥(立米)
リフォームの場合、単位も様々に使われます。「坪」とは畳2畳分のスペースを表し、大工さんの工賃などの単位で良く使われます。
「㎡」も良く使われます。1坪は約3.3㎡(平米)となり、材料の数量でも工賃でも良く使われる単位です。
「㎥」とは、わかり易く表現すると「体積」を表すものとなり、例えば砂利や土などの量を表すときに良く使われます。基礎工事や外構工事などで出てくる単位です。
㎥(立米)が砂利などの体積を表すものですが、木材の体積を表すものとして、「石(コク)」を単位として使う場合もあります。「1石」は1尺×1尺×10尺の体積を表します。
まとめ
聞きなれない項目や単位などが含まれるリフォームの見積書ですが、時間をかけてひとつひとつ読み込んでいけば必ず理解できます。一番避けたいのは、見積の合計額だけを確認して進めてしまうことです。
予算内であっても、内容はしっかりと確認しなければ、あとあとのトラブルにも繋がりかねません。見積り提示を受けたら一度時間を置き、自分だけで不安な場合は、知人や親族に相談することも検討しましょう。