ソーラーパネルの選び方とリフォームの料金相場

ソーラーパネルの選び方とリフォームの料金相場

屋根にソーラーパネルを設置して発電する太陽光発電は、電気代が節約できて売電できるため、人気のリフォームです。

太陽光発電リフォームの検討には、安全な施工と正確な発電シュミレーション、それと発電にかかる経費算出が重要です。ソーラーパネルのポイントと選び方、料金相場を見てみましょう。

ソーラーパネルを選ぶ際の基準

ソーラーパネルは発電量や設備価格・メーカーだけで比較をしてしまうと、発電がうまくできずに節電にならなかったり、思ったより費用がかかってしまい採算性が悪いと感じてしまうことがあります。

太陽光発電を検討しているならば、まずソーラーパネルを選ぶ基準を理解しておくことが大切です。

発電量・施工方法・設置価格(イニシャルコスト)・発電経費(ランニングコスト)は特に大事ですが、もっと詰めていくと、設置する家の屋根形状や材質・各パネルの特徴・方位・経費など、たくさん検討する項目があります。

設置基準:発電

太陽光発電の発電量は、屋根の形状と方位、パネルの種類に左右されます。そのため、発電量に影響がある設置基準をまず検討します。

屋根の形状と方位

屋根の形状には、主に陸屋根・寄棟・切妻・片流れの4種類があります。陸屋根は平らな屋根、寄棟は四方向に傾斜がある屋根、切妻は2方向に傾斜がある屋根、片流れは1方向にだけ傾斜がある屋根です。

効率よく発電したい場合、発電量の多い方位に発電効率の高いパネルを数多く設置する施工計画をたてます。

発電量の多い方位は、真南です。真南に近い屋根により多くのパネルを設置すると発電効率が良くなります。

太陽光パネルの枚数がより多く設置できる屋根形状は、陸屋根・片流れ>切妻>寄棟の順になります。リフォームの場合、屋根の形状は選べません。まずは、自分の家の屋根は南面にどのぐらいの面積があるか確かめておきましょう。

屋根の勾配や地域によって発電量が変わる

次に、発電量は、屋根勾配と地域によっても変わります。一般的に、発電効率の良い屋根勾配は30度と言われていますが、屋根に多い勾配は3寸から5寸勾配です。これは、16.7~26.6度にあたります。つまり、一般的な屋根勾配は発電効率の良い角度より緩い角度となっています。

また、地域により発電効率の良い角度が変わります。例をあげると、真南の年間最適角度は仙台が35.5度、鹿児島が27.7度です。屋根勾配と地域の最適角度の両方を検討しましょう。

パネルの種類とサイズ

太陽光発電パネルには、種類と形状・サイズがあります。形状は台形・長方形など屋根の形に合わせて選び、より効率の良い発電ができるようにサイズと枚数を検討します。パネルの価格×枚数でパネル金額が大きく変わります。効率の良い発電が、少ないパネル枚数できることを確認しましょう。

また、パネルの種類は曇りの日でも発電効率が良いタイプや気温が高い日でも発電効率が良いタイプ・耐久性が良いタイプなど様々です。地域特性(台風や風・気温・晴れの日率など)に適したパネルを選ぶようにしましょう。

設置基準:施工方法

太陽光パネルを屋根上に設置する方法は、屋根に直接パネルを設置する方法と、屋根に太陽光パネル専用架台を取付け、その上に太陽光パネルを設置する方法があります。どちらの方法で設置するかは、屋根の勾配とパネルを設置するための下地の有無・屋根の素材により決まります。

専用架台を使用するかどうかは、太陽光パネルのメーカーにより違います。パネルにより施工の下地の位置が変わるからです。パネル取付けに必要な下地がない場合、専用架台での施工をすすめられます。専用架台を使用する場合、設置費用が割高になります。専用架台が見積もりにはいっていたら、理由を聞いて専用架台が必要ないメーカーも検討してみましょう。

設置基準:設置価格と回収期間

太陽光発電リフォームの価格は、設置費用に対して出力保証(発電量)と回収期間がどのぐらいになるかで変わります。

太陽光発電は電気を売ること(売電)ができます。設置費用が安くても売電が思うようにできなければ、高いリフォームとなってしまいますが、設置費用が高くても発電量が多ければ、10年後には費用を回収できるかもしれません。

そのため、メーカーが保証する出力量(発電量)と設置費用分を売電できる期間(回収期間)の確認が大切です。回収期間が短いほど、早く元が取れる状態となります。設置価格と発電量・回収期間をしっかりと確認しましょう。

設置基準:発電経費

太陽光発電は、発電中に経費がかかります。かかる経費は、電気代、パワーコンディショナー、税金です。電気代は自立式のため発電中は発電でまかないますが、夜間や待機電力には電気代がかかります。パワーコンディショナーは消耗設備で、10~15年で交換になります。

税金は固定資産税と売電した金額にかかる所得税があります。10kw以上事業用規模の発電の場合、特に確認が必要です。

発電経費も含めた回収期間を確認して、太陽光発電リフォームがお得な設備かどうか確認しましょう。

設置基準:点検とメンテナンスなど

太陽光パネルを検討する時には、メーカー・施工会社の点検、メンテナンス、保証、補償も検討しましょう。太陽光パネルは屋根上に設置するため、トラブルに気づきにくいです。定期的な点検や保証・補償・メンテナンスの体制を確認しておきましょう。

点検は、1年目無料点検。その後は、依頼があれば行う施工会社が多いです。保証は、設備の保証と発電保証があります。太陽光パネルはメーカーが10年の保証を付けているところが多く、15年のメーカーもあります。(特に10kw以上の設備の場合)パワーコンディショナーの保証は10年又は15年です。

発電保証は、メーカーにより差があります。だいたい、10~20年です。初期設備費用の回収期間と発電保証期間を比較して検討しましょう。

補償は、自然災害や盗難に対する補償です。メーカーやパネルの設置場所により補償内容が変わりますので確認しておきましょう。点検時や台風や地震の後に確認してもらえる体制があるか、施工会社のメンテナンスも確認しましょう。

太陽光発電の料金相場

太陽光発電のパネル価格、補助金、買取り価格(売電金額)は、この数年下がっています。太陽光パネルの価格は安くなって、補助金も少なくなり、同時に買い取り価格(売電金額)も下がっています。特に、補助金と買い取り価格は年度ごとに変更されているので、注意が必要です。

一般的住宅の屋根の広さに載せる太陽光パネルは、5kwの発電容量が多く見られます。パネル数はだいたい30枚前後です。5kw太陽光発電パネルの標準施工費を含む価格は、各メーカー150~200万円前後になります。

施工方法や現場の状況(足場がかけられないなど)、屋根の材質により、施工価格が変わります。また、メーカーのパネル形状やサイズによっても違います。比較するためにも、必ず2社以上で見積もりをとりましょう。

メーカー別ソーラーパネルの特徴

メーカー別のソーラーパネルの特徴を、発電量の多いメーカー・売り上げの多いメーカーを中心に見てみます。

発電量は東芝・パナソニック・ソーラーフロンティア、売上はパナソニック・京セラ・ソーラーフロンティアが上位です。その他に人気のある長州産業・シャープの特徴についても解説します。

パナソニック

太陽光パネルは熱に弱く、温度が上がると発電量が下がるというデメリットがあります。パナソニックのパネルは「高性能パネルHIT」。熱に強いアモルファスシリコン結晶シリコンを挟み込んだハイブリットパネルで、熱に強く発電量の多いことが大きな特徴です。また、パナソニックの太陽光パネルは軽いため、リフォームには最適です。

高いと言われていた価格も発電効率が良くなることで下がり、「発電効率が良くて割安感がある」と言われています。また、太陽光パネルのシステム保証が無償15年であることも大きなメリットです。

パナソニックのデメリットは、「高性能で高価格」というイメージから見積もりが高くなりやすいところです。適正価格で見積もりとなるように交渉をしましょう。

※参考:パナソニックのソーラーパネル

CIC長州産業

長州産業は、国内で唯一、自社で太陽光パネルの製造から販売すべてを行う会社です。太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する変換効率は国内トップです。

システム保証は、無償15年。施工補償(雨漏り保証)もついています。施工補償は他の国内メーカーではないことも大きなメリットです。また、長州産業の太陽光パネルは軽いためリフォームにも最適です。

デメリットとしては、パネルサイズが大きいことです。そのため、小さな屋根により多くのパネルを載せることがむずかしいケースがあります。

パネル枚数が少なければ、比例して発電量も少なくなります。パネルの敷き方・量をよく検討する必要があるでしょう。

※参考:CIC長州産業のソーラーパネル

SHARP シャープ

シャープの太陽光パネルは、「ブラックソーラー」。高い発電能力と変換効率が特徴です。パネル形状が4種類あり、色々な形状の屋根に対応できるため、リフォームに適しています。システム保証は、無償10年と有償15年があります。

シャープのデメリットは、ラインナップが多く、モデルチェンジが頻繁でわかりにくいため、価格の検討が煩雑になりやすいところです。そのため、設備費用やどのぐらいで回収できるのか比較しづらいため、慎重に考える必要があります。

※参考:シャープのソーラーパネル

東芝

東芝の太陽光パネルは「バックコンタクト方式」。高出力のパネルで、小さなスペースも有効に利用できるシステムで、業界トップの発電量を確保しています。また、施工の直接指導を行うことで品質を高めています。リーズナブルな価格帯のパネルを揃え、発電効率の高さと価格のバランスが良いメーカーです。

保証は、無償システム保証15年、パネル出力保証25年となっています。

デメリットは、太陽光発電の業界では後発メーカーのため知名度が低いことと、太陽光パネルはアメリカのサンパワーの供給製品(OEM)で、東芝の自社製品ではないことです。

※参考:東芝のソーラーパネル

ソーラーフロンティア

ソーラーフロンティアは、パネルを国内で生産している数少ないメーカーです。そのため、高性能・発電量あたりの価格が安いパネルとなっています。

保証は、出力保証20年と機器補償は無償10年・有償15年があります。

デメリットは、発電効率が低いため、発電量を確保するために広い面積が必要なことです。特に4kwなどの小さな発電に不向きです。

※参考:ソーラーフロンティアのソーラーパネル

京セラ

京セラは、住宅用太陽光発電のパイオニアです。日本で初めて販売したメーカーであるため、長期販売の実績と信頼があります。

また、初めて販売をしたメーカーであるため、日本の住宅の屋根に適したパネルの形状を数多くラインナップしています(17種類)。このため、複雑な屋根形状にも対応できるためリフォームに適しています。保証は、システム保証10年と自然災害補償がついています。

デメリットは、他社メーカーと比較して年間発電量が若干少ない傾向にあること。発電量は、パネルの種類の多さでカバーできているケースもあるので、比較してみましょう。

※参考:京セラのソーラーパネル

太陽光パネルには、その他に海外メーカーもあります。中国の「カナディアンソーラー」は安い価格が特徴です。環境大国ドイツの「Qセルズ」は、低照度(曇りの日)に強く、晴天率の低い地域に適しています。

外国産の太陽光パネルは、リーズナブルなものもありますが、日本の屋根に対応できないための施工不具合や、アフターメンテナンスが不十分などのトラブルが懸念されます。最悪の場合、その会社が倒産してしまうケースさえ考えられます。外国産でも信頼できるメーカーなのか、施工実績はあるのかなどは要確認です。

太陽光発電リフォームは、生活する上で便利になった、暮らしやすくなったという実感をともなうリフォームではありません。電気代が安くなる・売電できる・災害時の安心が得られるリフォームです。

リフォームをする際は、見積もり・発電効率・回収期間・保証などを検討して、太陽光発電リフォームをするメリットを最大限得られるようにしっかりと計画していきましょう。


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