子供部屋が必要とする親もいれば、不要と言っている親もいます。ただ、小学生の頃は不要でも、中学生や高校生になると自分だけの部屋が欲しくなってくるものです。その場合の対策として、自宅をリフォームして子供部屋を作る必要があります。
自宅をリフォームして子供部屋を作る際のポイントや費用など、気になる点について解説しています。将来的な事も考えてリフォームを行わないと、失敗する可能性があるので注意して下さい。
- 子供部屋のリフォームと間仕切り設置での費用相場
子供部屋のリフォームについて
住宅メーカーでは新築提案に当たり、将来予測されるリフォームを、事前に設計プランに折り込むのが一般的です。
たとえば、将来グランド・ピアノを購入する計画があるなら、ピアノ室までの搬入を考慮した玄関や廊下のスペース構成、設置する床の補強などを提案します。
多く見られるのが子供部屋のケースです。施主家族に小さな子供が二人いるなら、やや広めの共用の子供室を設け、将来の分割に備え以下のような提案をします。
- 出入り口ドアをあらかじめ2か所つくっておく。
- 照明とそのスイッチ、電源コンセントなどを2室用に均等に分散する。
- 2室へ分割した後に増設するエアコンのため、壁の下地補強、専用コンセント、冷媒管用に壁の穴開けをしておく。
このような用意があれば、2室への分割は簡単です。2室への分割の費用については後で詳しく述べます。
リフォームのポイント
子供の成長に合わせて子供部屋も成長します。家具など成長に柔軟に対応できるものを選ぶとよいでしょう。
特に収納は、増えていくさまざまな形と大きさの趣味の道具や、衣類が納まるよう自由度の高い、充分なスペースを確保したいものです。
収納ベッドや収納式のライティング・デスクは空間を効率的に使うのに有効です。しかし、収納ベッドが出しっぱなしとなる例も多く、よく検討してから導入すべきでしょう。
また、学習机の上にロフトベッドを一体化したシステム家具も秀逸なアイデア商品ですが、ベッドに横になった時の天井の圧迫感について、よく検討する必要があるでしょう。「天井の高さ-ベッド面の高さ」を見るのではなく、枕に頭を置いた時の眼の位置と、天井との距離を見ることです。
子供部屋は子供が成長し家を出れば、その役割を終えます。役割を終えたスペースをどのように使うかを考え、復元・再生しやすいプランをつくることが大切です。
壁紙や床材の選び方
子供が小さいうちは、汚れを落としやすい壁材・床材がよいでしょう。特殊フィルムをラミネートした壁紙や、フッ素樹脂をコーティングした床材があります。
階上に子供部屋があるなら、透過音が階下に響くのを防ぐ防音床材を選ぶとよいでしょう。床材の床衝撃音低減性能は「ΔL(デルタエル)等級」で表され、等級の数字が大きいほど性能が高くなります。
建築基準法では、床材や壁紙のホルムアルデヒドの放散量によって使用面積に制限を設けています。F☆☆☆☆(エフフォースター)は放散量が最も少なく(5μg/㎡h=0.005mg/㎡h以下)、安全性が高いとして制限外となっています。
化学物質の放散の心配がないのが自然素材です。床材では無垢材や竹・コルクタイル、壁材では珪藻土や漆喰の塗り壁、和紙の壁紙などです。自然素材は工業製品にくらべメンテナンスコストがかかります。得失をよく理解した上で採用すべきでしょう。
リフォーム費用の相場
とかくリフォームの価格はわかりにくいと言われます。その理由は、原価に上乗せする利益が適正な優良リフォーム会社から、残念ながら原価の何倍もの見積もりを出す悪質な会社が混在しているのが原因のひとつです。
もうひとつには優良な会社でも、元請け・下請け・孫請けと工事に関わる業者の数が増えることで、最終的にリフォーム価格が膨らむことが挙げられます。
たとえば原価が10万円のリフォーム工事に、利益率20%の業者3社が関わる場合は
100,000(円) ÷ 0.8 ÷ 0.8 ÷ 0.8 = 195,312(円)
と、原価の約2倍の価格にはねあがってしまいます。
費用が分かりにくいということは、業者選びを慎重に行う必要があります。具体的には複数の業者の工事内容や見積もりを比較するのがおすすめです。
間仕切り以外の工事
間仕切り設置では、解体の工程がありませんでした。解体はその規模により、人件費が加算され、比例して産業廃棄物処分費が加算されます。
「壊す」こと、「捨てる」ことにお金がかかるのです。
壊した物を運び出したり、資材を運び込んだりするのが「搬入・搬出」。運ぶ途中に廊下などを傷つけないようにするのが「養生」。いずれも人手や資材に経費がかかります。
大規模な工事では多数の業者が関わることになり、それら業者を工程に沿って適切に配置する役割が必要となります。工程に遅れが生じたら、その都度、その後のスケジュールを調整します。これに係る費用が「現場管理費」です。
自分では作業をせず、全体を見守るだけの人も重要なのです。
まとめ
子供部屋は、親の教育目的を達成するための道具にすぎません。このことを忘れると、子供部屋そのものが目的化してしまいます。
家の中に子供のための空間が新しくできると、それまでの家族のコミュニケーションのかたちが根底から変化します。これに対応したルールをつくり、新しく、より良いコミュニケーションのかたちを創ることが大切です。
子供部屋を使いこなすのは子供ではなく、親なのです。