安定したアパート経営を行うためには、アパートの室内・外観のメンテナンスはとても大事。外壁の塗装は、塗料の種類や環境により違いがありますが、10~15年に一度塗り替えをしなければなりません。
これは見た目の印象だけでなく、アパートの寿命を延ばすためにも必要なことです。アパートやマンションの外壁塗装のポイントを見てみましょう。
アパートやマンションの外壁塗装費用
アパート経営のメンテナンスの悩みは、費用対効果があるかどうかわかりづらいことです。外壁塗装にこれだけの金額をかけたら、内見は増えるのか?入居者は増えるのか?家賃はあげられるのか?と悩みます。
アパートを探している人は同じ地域のアパートを比較、検討して、より希望にあったアパートを選びます。近隣に同じ広さで、設備も同じ・家賃も同額のアパートがある場合、外観の印象が良いアパートが選ばれます。入居者に選んでもらえる、入居率の高いアパートを維持するために、外壁塗装は定期的に行うことが重要です。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用は、主に2つの項目があります。
一つは、塗装費用、もう一つは塗装する時に必要な足場費用です。どちらも建物の大きさに比例して、高額になります。
外壁塗料の費用相場
外壁塗料の価格は、シーリングと下塗り・上塗りにわかれています。塗料の種類により塗料特性と耐久年数、価格が違います。外壁の状態によっては、下地処理や高圧洗浄の価格が含まれることがあります。
塗装費用の目安金額
シーリング
外壁材と外壁材の間の隙間の防水のために行う工事
打ち直し | 800~1000円/㎡ |
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打ち替え | 1000~1300円/㎡ |
下塗り
シーラー・プライマー・フィラーと言われる塗装工事。
1回塗り | 700~1000円/㎡ |
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上塗り
塗料の種類により塗料特性と耐久年数価格が違います。通常、中塗り・上塗りの二回。
アクリル系塗料 | 1,300~1,600円/㎡ | 耐用年数3~5年 |
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ウレタン系塗料 | 1,900~2,200円/㎡ | 耐用年数5~7年 |
シリコン系塗料 | 2,700~3,700円/㎡ | 耐用年数7~10年 |
遮熱塗料 | 5,000~6,500円/㎡ | 耐用年数15年~ |
外壁足場の費用相場
足場費用は、建物と敷地の間に80cmほどの余裕があれば「単管ブラケット足場」を使用します。単管ブラケット足場が施工できないほど狭い場合は、他の方法で塗装しなければなりません。足場及び塗装費用が割増しになります。
また、施工時には近隣やアパートの駐車場に塗料などの飛散を防止するために、飛散防止ネットを施工します。
単管ブラケット足場 | 700~900円/㎡ |
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飛散防止ネット | 200~250円/㎡ |
アパート
アパートの塗装工事を行った実際の金額をまとめました。(構造は木造又は軽量鉄骨造)
家の構造 | 外壁面積 | 価格 |
---|---|---|
2階建て1K6戸 | 約130㎡ | 120万円 |
2階建て2DK8戸 | 約480㎡ | 150万円 |
2階建て2DK8戸 | 約260㎡ | 140万円 |
金額にばらつきがありますが、理由は塗料の種類と現況の外壁の劣化具合により差がでるからです。
マンション
マンションの塗装工事を行った実際の金額例を集めてみました。(構造は重量鉄骨造又は鉄筋コンクリート造等)
家の構造 | 外壁面積 | 価格 |
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4階建て鉄筋コンクリート造 | 約360㎡ | 500万円 |
3階建て鉄骨造 | 約500㎡ | 365万円 |
5階建て鉄骨鉄筋コンクリート造 | 約1000㎡ | 650万円 |
金額にばらつきのある理由は、マンションの外観デザイン・塗料の種類・高圧洗浄の有無と現況の外壁の劣化具合により差がでるからです。
足場と屋根・屋上
外壁の塗装は、作業の安全と効率のために足場と飛散防止ネットを使います。この足場費用は、数十万円かかります。そのため、足場をかけないとできない工事を一緒に行うことで、メンテナンス費用の足場代が節約することができます。
足場が必要な工事は、屋根の塗装工事と屋上防水工事です。それ以外には2階以上の外壁に設置されている給湯器やエアコン室外機などもあります。足場を掛ける時には、他にメンテナンスがないか考えましょう。
色選びで入居率は変わるの?
外観の印象は、入居率をあげるためにとても大事こと。きれいに見える色合いや明るい色合いは、アパートの印象を良くします。誰でも家に帰ってきて暗い気持ちになるのはいやなものです。どんなことをポイントにして色選びをしたらよいか、まとめました。
アパートに入居してほしい方の性別や年齢を考慮する
高級志向のアパートなら、落ち着いた外観イメージが良いでしょう。ブラウン系の色が好まれます。
大学生向けのアパートなら、明るくカジュアルな雰囲気。ポイントにアクセントカラーでグリーンやオレンジ・ブルー等の色を使うと明るく元気な感じの外観になります。
女性をターゲットにする場合は、暖色系のカラーが好まれます。オレンジ系やイエロー系を入れてデザインすると良いでしょう
男性ターゲットにする場合は、かっこいい・クールな外観が良いでしょう。紺やブラックを中心にデザインすると良いでしょう。
ファミリー向けの場合はあたたかい・やさしい雰囲気が好まれます。
近隣のアパートの雰囲気と最近人気のデザインを検討
近隣のアパートを見て回り、どんな外観があるか確認しましょう。同じ様なでデザインは避けましょう。
近隣に同じデザインのアパートがあると、何件か見てまわる内見で印象に残りません。外観でこのアパートいいなと良い印象を残せるデザインを目指しましょう。
また、外観デザインには流行があります。最近、人気のデザインも研究しましょう。ネットや近隣の新しいアパートを見てみましょう。
イメージを良くするアクセントポイント
外観のイメージをよくする塗装は、メリハリとアクセントポイントにあります。玄関ドアやバルコニー・階段の手すりなどにアクセントとなるカラーを使って、メリハリをつけましょう。
ネット映えする外観デザイン
最近のアパート選びはネットが使われています。それは、入居者だけでなく不動産仲介業者も同じです。
ネットに掲載されている写真を見て、内見しようか、紹介しようか、まず検討するようになっています。そのため、外観の写真が明るく、きれいでなくてはいけません。ネット映えする外観デザインを考えましょう。
外壁塗装は修繕費と資質的支出どっち?
外壁塗装の費用はアパートのメンテナンスとしては高額な費用です。外壁塗装費用は経営や税務上、修繕費なのか資質的支出のどちらなのでしょうか?
経費として計上するか、資質的支出として計上するかは、帳簿の付け方、決算処理が違ってきます。よく、理解しておきましょう。
修繕費として計上できるケース
「修繕費」とは、塗装費用をメンテナンスした決算年度で一括して必要経費として計上できる費用です。不動産所得から一括して差し引かれることになります。その年の課税所得は大幅に減ることになります。
では、どのようなケースなら修繕費になるのでしょうか?
建物に塗装汚れやへこみ、コーキングの劣化などを修繕したり、建物の状態を維持するための外壁塗装は「修繕費」となります。原状回復する費用とみなされる場合にあたります。また、少額(20万円未満)かつ短い周期(おおよそ3年以内)での塗装は「修繕費」として認められます。
資質的支出となるケース
「資質的支出」とは、塗装費用が資産として計上され、何年かにわけて決算時に減価償却費として計上する費用です。数年をかけて、決算処理で費用として不動産所得から差し引かれます。
「資質的支出」の判断は、建物の資産価値があがる塗装かどうかで判断されます。塗料のグレードを上げたり、入口に外壁にタイルを貼ったりすると、資産価値があがる、耐久性があがる塗装と判断され、「資質的支出」となります。
外壁塗装する際の入居者・近隣への注意点
外壁の塗装工事を行う時は、入居者や近隣への配慮が大切です。塗装工事は3週間以上かかります。大きなマンションなら1ヶ月以上かかるケースもあります。工事中はどうしても、入居者や近隣の方にストレスがかかります。トラブルを未然に防ぐように、注意点を知っておきましょう。
工事のお知らせは1週間以上前に終わらせる
暮らしているアパートで、朝突然、足場を組みはじめ、窓の外に職人さんの姿が見えたら、誰でも驚いてしまいます。外壁塗装工事のお知らせは、2、3週間ぐらい前からはじめ、1週間前には完了させるようにしましょう。お知らせをするのは、入居者だけでなく、隣地の方はもちろん、職人さん車の出入りが頻繁になる近隣にもお知らせしましょう。
外壁塗装の工事では、自転車の移動やバルコニー・玄関前の片付け・業者の駐車が必要になります。心よく協力していただくためにもお知らせは早くから出しましょう。
工事期間中のお知らせとお願いの内容とは?
塗装工事中は、普段通りに生活はできません。入居者には、工事期間中に気を付けて生活していただくことと、協力していただくことを明確に伝えましょう。
工事中のお知らせの内容
- 工事期間(長目に設定)
- 天候(雨や多湿・強風)により工事期間が延びる可能性があること
- 毎日の工事時間(例 朝9時~夕方5時まで)
- 土日祝日の工事はあるか
- 職人さんの駐車位置
- 緊急連絡先
工事中のお願いの内容
- 窓が開けられないこと
- 洗濯物が外に干せないこと
- バルコニー・玄関前の私物を部屋の中にしまってもらうこと
- 自転車など工事中に移動させてもらうことがあること
- 自動車などにカバーをかけさせてもらうこと
- 塗料には匂いがあること(小さなお子様が多いアパートでは特に大事です)
トラブルがおきた時のために事前にやっておくこと
車や自転車に塗料がついてしまったというトラブルは、外壁塗装でよくあります。入居者の車だけでなく、隣地の車やフェンス・外壁にも風向きにより注意が必要です。トラブルがおきた時のために、事前に写真を撮っておくとトラブルを客観的に早期に解決することができます。風が強い地域や季節は、得におすすめします。
業者が工事保険に加入しているか確認しましょう。責任感があり、工事経験の長い業者は保険に加入している方がほとんどです。トラブルの内容によっては、保険で補修費用が払われますので保険の加入の有無を確認しておきましょう。
アパートやマンションの外壁塗装は、築年数が古くなるほど大事な工事です。建物の維持のためはもちろんですが、アパートの印象が良くなり入居率が高くなります。長く安定したアパート経営をするためにも、計画的に費用を準備し、塗装工事を行いましょう。