住まいにはメンテナンスが必ず必要になりますが、中でも外壁塗装のメンテンナスはどこの住まいでも定期的に行うものになっています。ここでは、塗り替えが必要と感じるタイミングはどのような時なのか、また、実際に塗り替えをするとしたら最適な時期はいつなのかなどについて紹介していきます。
外壁塗装を行うタイミング
住宅の外壁は常に紫外線や雨風などにさらされ、厳しい条件下におかれています。そのため、年数を重ねるごとに劣化が進行し、汚れの他にもシーリング材の劣化など、メンテナンスをしなければ内部の壁にまで影響が出てくる場合もあります。築10年が経過しているようなら一度現状を確認しておくことが必要です。
築10年が目安となる理由
多くの住宅が外壁に採用している「窯業系サイディング」は、セメントで造られ燃えにくく丈夫なものですが、デザインにもなっている表面の塗装やサイディングの接合部分に使われているシーリングは何十年と持つわけではありません。
経年劣化により、表面の塗装はもろくなり、シーリングも硬くヒビが入り、そこから水が浸入する場合もあります。こういった現象は10年前後で出てくることがほとんどになっています。
窯業系サイディングを扱うメーカー各社とも、7、8年を過ぎた頃から塗装やシーリングにメンテナンスが必要であることを告知しており、永く安心して暮らすために、おおよそ10年に一度の目安でメンテナンス対応を推奨しています。
劣化の兆候
メンテナンスが必要であるかどうかを自分で目視をし、確認することもできます。どのような部分に注意して点検すればよいか、また、どのような兆候があればメンテナンスが必要なのでしょうか。
塗装表面の劣化
外壁の塗装面は、新しい状態のときにはコーティング材などの働きにより雨や湿気をはじき、紫外線にも耐久力があります。しかし、経年劣化により表面のコーティングも徐々に薄くなっていき、段階的に症状が進行していきます。
劣化の進行を段階的に確認してみましょう。
- 初期・・・塗装の光沢が無くなっていきます。
- 中期・・・塗装の表面が粉状になるチョーキング現象になり、変色は進んでいきます。
- 後期・・・塗装の浮きやはく離が起こり下地の基材が露出し、吸水しやすい状態です。
上述のうち、中期のチョーキングが確認されたら、外壁塗装のメンテナンスを検討してみてもよいでしょう。チョーキングとは、外壁の塗装面を手でこすった時に、白い粉や塗料が指や手に多く付着してくる状態になります。地域により気象状況が異なるため一概には言えませんが、チョーキングが出始める時期は、おおよそ5年から10年経過を目安としましょう。
後期の塗装の浮きやはく離などの状態の場合は、塗装ではなく部分張り替えも検討が必要になってきます。
シーリング目地の劣化
サイディングとサイディングの間には「目地」があります。その目地にはシーリング材が入っており、年数とともにそのシーリング材はやせたりはく離したり、亀裂が入ったりします。
目地にシーリングが入っていることで、継ぎ目からの水分の侵入を防いでいますが、そのシーリングが劣化によりスキマが出来ると、その部分から内部に水分や湿気などが浸入し内部からの不具合が出てくる恐れがあります。
はく離しているかどうかを確認するには、名刺のような薄いものをサイディングとシーリングの間に差し込む方法があります。奥まで入っていくようなら補修が必要になってきます。補修の方法は一般的にはシーリング材の打ち替えなどになっています。
サイディングの亀裂
サイディングの壁材そのものに亀裂が発生する場合もあります。地震などで建物が大きく揺れた後などは、目視で点検してみるのもよいかもしれません。特に、ビスで固定されている周辺に注意をするとよいでしょう。
ヒビ、亀裂がごく小さい場合は補修でも対応できますが、大きなヒビや亀裂の場合は、その部分の落下の可能性もありますので張り替えが必要になってきます。
サイディングの反りやうねりなどの劣化
経年劣化により、サイディングの壁材そのものに「反り」や「うねり」などが現れる場合があります。塗装の塗り直しやシーリングの打ち直しのメンテナンスをしていても、サイディング材は永久的なものではありません。素材そのものの寿命の場合もあります。
また、施工精度が不十分であり、このような状況になる場合もあります。反りやうねりは目視で確認できるものです。落下などの危険が高くなる前に、メンテナンスが必要です。
季節別の外壁塗装の注意点
外壁の塗装を行う場合には、1年のうちいつの季節が適しているでしょうか。季節ごとにメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
春に行うメリットとデメリット
春といっても、その対象となる月は地域によって左右される場合があります。月の目安としては3月中旬以降、気温の目安としては日中の温度が10度前後になり始めた頃からが春の季節と言えるでしょう。
春のメリット
作業を行う日中は気温も高く、湿度はまだそれほど高くないため、塗料の渇きが早く作業しやすいことが考えられます。
春のデメリット
朝、晩の気温はまだまだ低い時期もありますので、温かい時間帯で効率よく作業をする必要があります。風の強い時期でもあるため、養生にも注意が必要です。
梅雨に行うメリットとデメリット
梅雨の時期は、おおむね6月頃から7月末頃が目安となります。
梅雨のメリット
気温でみれば、高い日が続きますので作業条件は良いと考えられます。また、日中の時間帯が長い季節ですので作業が進みやすい時期です。
梅雨のデメリット
雨の日が多くなりますので、作業計画が難しくなります。長雨などで工期も長くなることが考えられます。また、湿度が高いため塗料の渇きは少し時間がかかります。
夏に行うメリットとデメリット
夏の時期は、梅雨が明けてから、おおよそ9月上旬頃が目安となります。
夏のメリット
夏は気温も高く、渇きも早いため効率的に作業を進めることができます。また、日中の時間帯も長く短期間での施工が可能になります。
夏のデメリット
気温が高いので、作業をする人の疲労感は高くなりますので健康管理が必要です。また、養生は壁全部を覆うことになるため、窓は開けることはできません。家の中での熱さ対策が必要です。
秋に行うメリットとデメリット
秋の時期は、9月中旬頃から11月初旬頃が目安となります。
秋のメリット
気温もそれほど低くなく、乾燥している時期でもあるため塗装工事には適しています。また、気温が暑すぎず寒すぎずのため、作業員も効率的に対応することができます。
秋のデメリット
秋は日中の時間帯が短くなっていきます。作業時間が限られていき、工期が長くなることもあります。また、台風などの影響もあるため、変わりやすい天候に注意が必要です。
冬に行うメリットとデメリット
冬とは、おおむね11月下旬から3月上旬頃が目安となります。
冬のメリット
空気が乾燥している季節となるため、塗料の渇きは比較的早いと考えられます。
冬のデメリット
空気は乾燥していますが、気温が低い日が多いため、塗料の渇きにも影響が出る可能性があります。氷点下以下の気温になる地域や積雪のある地域では、温度管理や除雪の必要などが出てきます。また、日中の時間帯がとても短いため、作業時間が少なくなります。
季節に関係なく塗り替えできない条件
春、夏、秋、冬の季節とは関係なく、外壁塗装ができない条件もあります。どのような条件が塗装できないのでしょうか。
- 外気の気温が5度を下回る時
- 外気の湿度が85%を上回る時
このような条件の場合は、塗装をしても精度を低下させる恐れがあるため施工をしないことが推奨されています。
窯業系サイディングのメンテナンスは長く品質を保つためには必ず対応したい工事です。10年をひとつの目安に定期的にメンテナンスを行うことで、後々の内部的な劣化の心配も少なくなります。劣化の状態は目視でも確認できることもありますので、5年以上経過しているなら是非一度点検してみることをおすすめします。