かねてより噂されていたマンションの2020年問題がすぐそこまで迫っています。今回はこのマンション2020年問題について、いま一度考えてみたいと思います。
マンション2020年問題といえば真っ先に思い浮かぶのが2020年に開催される第二回東京オリンピックとの関係です。テレビや雑誌などのマスメディアでもこの問題をよりクローズアップして特集されていたりしますので、一度くらいご覧になったり、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし真のマンション2020年問題は東京オリンピックによる価格変動だけではありません。じつはその背景にもっと深刻な問題が数多く隠されていたことが次々と判明してきているのです。
東京オリンピックと2020年問題
いま東京都心のマンション価格は上昇の一途を辿っており、東京都23区の新築分譲マンション価格は平均値でも6000万円を超えています。この価格は東京オリンピック開催が決定する直前と比べても約2割近く上昇していることがわかります。
東京オリンピックの開催が正式に決定したことで、いま都心部では急ピッチであらゆるインフラ整備が進められており、より利便性の高い街づくりが行われています。
このようなインフラ整備が進めば当然周辺の生活環境が大きく向上しますので、それがマンション価格上昇へと繋がるのはごく自然な流れだと言えます。ですが、これらの多くが東京オンリピックありきの計画であることを忘れてはなりません。
そのためオリンピック開催まではマンション価格は上昇と停滞を繰り返しながら、ゆるやかに上昇するだろうという見方をするのが一般的ですし、多くの専門家も東京オリンピックまでは「都内のマンション価格は上昇し続けるだろう!」と予測しています。
しかし2020年の東京オリンピックまでに上昇し続けたマンション価格はいったいどうなっているでしょう?
きっと東京オリンピック開催が決定する前に比べると、とんでもなく上昇していることだと思います。この段階ではあくまでも予測しかできませんが、ある一部のメディアでは都内の新築分譲マンション価格は7000万円を突破するのではないかとさえ言われています。
そして東京オリンピック閉会と共にオリンピックバブルが弾けることが懸念されおり、大幅なマンション価格の暴落を招く恐れが高まり、これらがマンション2020年問題として紹介されています。
しかし真のマンション2020年問題は、もっと奥深くに隠れているのだと警笛を鳴らす専門家も多くいます。
東京オリンピック後に忍び寄る本当の2020年問題とは?
もし上記で説明したように東京オリンピック閉会と共にマンション価格が下落傾向に転じた場合どうなると予想しますか?
多くの売却在庫を抱えるマンション販売業者は、外国資本を頼ることが想像できます。
いま日本の不動産は外国人投資家たちに絶大な人気を誇っています。東京オリンピックに向けて価格が上昇していることも理由の1つですが、それ以外にも円安による価格の手頃感や継続した賃貸収益を期待する外国人投資家も少なくありません。
その例が中国人投資家だったりします。中国では個人で国内に不動産資産を持つことが許されておりません。そのため個人資産として日本の不動産を買う中国人が多くいます。「チャイナマネー」や「爆買い」というフレーズでもお馴染みだと思います。
実際に東京オリンピックの開催が2013年9月に正式決定しましたが、翌2014年度の外国人や外国企業による日本の不動産取得額は1兆円にも増加しており、これは2013年度の3倍に値する数字だそうです。
こうした外国人投資家や外国企業へ向けた販売が行われる可能性が高まりますよね。そうなると予想もしてなかった問題を抱えることになるのです。その問題の1つして懸念されているのがマンションの維持管理問題です。
外国では日本のように修繕積立金や管理費という概念がない国も多く存在します。極端にいえばこれらの制度は日本独特の制度だと言っても過言ではありません。
管理費や修繕費が支払われない物件が急増する
マンションの中には半数近くの世帯を外国人投資家や外国企業が保有しているものさえあります。このようなマンション物件が急増すると管理費や修繕費の問題も他人事ではなくなってきます。
もしあなたが住むマンションの5分の1が外国人投資家や外国企業が所有していると仮定します。さきほども言いましたが、このようなケースでは管理費や修繕積立金を支払わないケースがこれまでにも目立っており、深刻な問題となっています。
そうなると当然マンションの管理は十分に行き届かなくなりますし、必要な修繕や補修を行うことさえ出来なくなってしまいます。管理や修繕が十分でなければマンションの価値も大幅に落ちることになるでしょう。
都内ではこのようなマンションが急増するという見方をする専門家も多く、それらの問題を話し合うべく東京都都市整備局(都市整)が主導する形で不動産の専門家を集め審議会まで開いております。(正式名称=東京都住宅政策審議会)
この審議会の内容を報告するレポートにも「管理組合の機能が低下することにより、管理不全に陥るマンションが増加し、周辺地域のスラム化を引き起こす可能性がある」とまで言っているのです。
こうしたスラム化が起これば、外国人投資家たちは一斉に売りに転じることでしょう。彼らはリスクを最小に抑えることを念頭に動きますから例え投資にマイナスが生じたとしても一刻も早く売りぬけようとしてきます。
つまり外国人投資家や企業たちがマンション価格を崩壊させることで都心部のマンション価格は一気に下落し、まさにバブル崩壊と同じ減少が起こる可能性が考えられています。
少子高齢化社会へと進む日本
そして最後に2020年問題に関係している少子高齢化について話をしておこうと思います。
日本の人口は2016年現在だと約1億2000万人ですが、2050年には1億人を大きく下回るというデータがあります。そして人口減少の境を迎えるのがまさに2020年だといわれているのです。
すでに2008年から日本の人口は減り続けていますが、それでも東京などの都心部では人口が増加していました。しかし日本経済新聞によれば全て都道府県で2020年度から人口が減少すると言われています。
人口が減少すればそれだけマンションを購入する買い手側の絶対数が減ることになります。マンションの建物じたいは減ることはほとんどなく、毎年新築マンションを建てるので、さらに棟数(戸数)が増加していきます。完全に供給と需要のバランスが崩れるのも2020年というわけです。
このようにマンションの2020年問題というのは、さまざまな要因が重なることで起こる問題であり、決して東京オリンピックだけの問題ということではありません。ただ東京オリンピックが重要なカギを握っていることだけは間違いありません。
「東京オリンピックの閉会後も都内のマンション価格は上昇し続けるだろう」と予想する人は皆無に等しいです。
もし今現在、マンションの売却を検討しているのであれば、やはり東京オリンピックが開催される2020年というのが1つの節目になることは確かですので、可能であればいち早く行動に移しておくか、万全の準備を進めておくことを強くおすすめします。