家庭用蓄電池と電気自動車 どっちが家庭用蓄電池としていいの?

家庭用蓄電池と電気自動車 どっちが家庭用蓄電池としていいの?

夜間の安い電気料金の時の電気をためて昼間に使ったり、あるいは太陽光発電機で作った電気をためられたりするのが、家庭用蓄電池です。

停電時には頼もしい予備電源になりますし、ピーク時の使用電力を抑えてエコロジーを目指すこともできます。家庭用蓄電池に期待することはたくさんあります。

そんな家庭用蓄電池のメリットに注目して興味を持つ人の数は年々増えています。しかし、家庭用の蓄電池はまだ発展途上にあり、価格的にも性能的にも十分とは言えません。

今購入するのはちょっとまだ早いかなと思っている人も多いと思いますが、もう一つの選択肢があります。それは最近注目されてきている電気自動車を家庭用蓄電池として使う方法です。

家庭用蓄電池の現状

現在、家庭で使われている蓄電池は太陽光発電の有無、オール電化かどうか等の条件によっても異なりますが、年間を通して使うと2.5万円から6万円の節約ができます。

とは言え、現在普及しているタイプはまだ価格も高く、初期投資額と節約効果を比べてみると割高になってしまうため、電気代の節約のみで採算を取ることは難しいと思われます。

また、電池容量も7~12kWhとまだ小さく、停電時の非常用電源としては給電時間や供給量が不足している感は否めません。

電気自動車も家庭用蓄電池になるってホント?

現在、PHV(プラグインハイブリッド:バッテリーを充電できるハイブリッド車)を含む電気自動車の保有台数は平成26年度で11.5万台※と、プリウスに代表されるハイブリッド車の471.7万台に比べるとまだ一般的なものとは言えないかもしれません。

航続距離の短さなど、まだ発展途上ではありますが、走行時に排気ガスを出さないクリーンな点、走行コストの安さ、静粛性等のガソリン車に対する優位性と、バッテリー性能の向上、充電設備の拡大により、電気自動車の欠点は改善されてきており、この先さらなる普及が見込まれています。

※電気自動車、ハイブリッド車の保有台数
http://www.cev-pc.or.jp/tokei/hanbai.html
(一般社団法人 次世代自動車振興センター統計より)※

この電気自動車の普及に大きく寄与すると期待されているのが、「自動車を家庭用蓄電池として使う」という考え方です。

日産リーフなどの電気自動車やPHV車の三菱アウトランダーは、家庭での充電設備として、EVパワーステーションという充電設備を置くことで家庭用蓄電池として使うことができます。

EVパワーステーションを使えば、電気自動車にためた電気を、リアルタイムにモニターしながら家庭内で使うことができるようになります。

また、200Vのコンセントから充電するのに比べて最大2倍のスピードで充電できるため、通常8時間かかる充電が4時間程度でできるようになります。

家庭用蓄電池に比べて電気自動車のメリットは?

電気自動車の日産リーフは、標準モデルで電池容量が24kWhと、一般的な家庭用蓄電池よりも容量はかなり大きくなっています。つまり、計算上それだけ電気料金節約の効果は大きくなります。蓄電池として電気自動車が優れていると思う理由をみていきましょう。

コストパフォーマンスに優れている

初期投資額は電気自動車のほうが家庭用蓄電池より高いですが、蓄電量も多いため、kWhあたりで計算してみると、家庭用蓄電池が14.2万円なのに対してリーフは11.6万円と、初期投資の費用対効果でも電気自動車のリーフに軍配が上がります。

なお、電池は一般的な7Kwhの価格を100万円、電気自動車は日産リーフ24kWhモデルとEVパワーステーションの価格は補助金を含め280万円として価格を蓄電量で割って試算しています。

災害時の非常用電源として使える量が多い

災害時の電源としても、電池容量が大きい分、非常用電源として長時間使うことができます。

リーフがフル充電されていたと仮定すると、一般的な家庭で通常と同じように電気を使い、約2日分の電気を供給することができるので、いざという時に心強いですね。

太陽光発電や家庭用蓄電池の場合、同時に使うことができる合計電力が1500wとあまり大きくないため、一度に使える電気は限られます。たとえば、電子レンジと炊飯器を同時に使うことは難しいでしょう。緊急退避的な使い方するのであればこれで十分ですが、かなり不自由するのではないでしょうか。

一方リーフの場合は、一度に使える電気の量が最大で6000wと大きいため、普段の生活とほぼ変わらない量の電気を使うことができます。

災害時、電気を調達する手段がある

PHVの三菱アウトランダーの電池容量は12kWhとリーフに比べれば小さいものの、充電した電気を使い切ってしまった場合でも、ガソリンがあれば車のエンジンを発電機にして充電することもできます。

また、当たり前ですが普通の自動車としても使えるので、局地的な停電の場合、充電可能な施設まで運転していって、そこで電気を充電して帰ってこれるというのは災害時に最大の強みとなるかもしれません。

純粋に車として燃費が節約できる

車として使用した場合のガソリン車との燃費の比較
ガソリン車:5円(ガソリン代 1ℓ:100円 燃費 20km/ℓで計算) 
EV:1.3円

電池容量24kWhのうち16kWhを家庭内で使うと仮定しましたので、使用条件、バッテリーの状態等で変化しますが、残りで60kmほど移動用で使用できます。

電気自動車のデメリットは?

家庭用蓄電池と比べてメリットばかりのように感じる電気自動車ですが、初期投資の費用が高額になることや、純粋に車として考えた場合に航続距離が普通のガソリン車の半分以下と短いこと、まだ充電できる設備が少ないこと、選べる車種が限られることなど、デメリットもあります。

家庭用蓄電池に比べて場所をとる

自動車ですから、当然車一台分の駐車スペースと小さなエアコンの室外機程度の大きさのEVパワーステーションを設置する場所が必要です。

移動手段としても使うため、制約がある

車として利用している時は、当然ですが蓄電池の機能は果たしません。また、走行で電気を使った分だけ家庭内で使う電気は減ってしまいます。

逆に家庭内で電気を使いすぎると、車として使うことができない場合もあります。さらに当然車としても使うことから、事故、故障等のため、予定通り使えなくなることも考えられます。

生活に使う車としても発展途上

航続距離が短いこと、外で充電できる設備が限られていることなどを考えると、近所までちょっとという使い方はできても、ドライブ旅行にはまだ不向きです。

長く使い続けることができない

これは蓄電池全般にも言えることですが、電池性能の劣化のため、現段階では10年以上は使うのが難しいでしょう。

電気自動車を家庭用蓄電池としてよりお得に使うには

家庭用蓄電池にせよ電気自動車にせよ、現段階では収支の採算は取れません。しかし、初期の投資額は電気自動車の方が多くなりますが、コストパフォーマンスがよく、移動手段としての自動車に蓄電池の機能がプラスアルファされたと考えれば、通常の家庭用蓄電池より負担感は低くなると思います。

また、電池の容量が大きいため、災害時の電源確保手段として期待できますし、電気自動車を普段の足として利用しながら家庭用の蓄電池として使うのが、現状で家庭用蓄電池を導入する場合、最良の選択だと思われます。

少しずつではありますが充電設備のついた駐車場ができています。これをうまく利用し、電気自動車が家にある時は車から電気を供給し、充電は深夜の電気と外出中の駐車場という流れができれば、電気代の節約効果は高くなるでしょう。

おまけ~蓄電池と電気自動車(リーフ)の比較計算

1年間の蓄電池、電気自動車による節電効果金額(1年間)
(電池容量) 17Kwh 16kWh
太陽光発電と併用(オール電化) 235,000円 79,000円
オール電化の場合 349,000円 112,000円
オール電化でない場合 362,000円 141,000円

※1蓄電池は、現在最も標準的な7kWh、電気自動車は日産リーフ24kWhモデルとし、その電池容量のうち約70%の16kWhを家庭内で使うものとする。
※2太陽光発電との併用の場合は、シングル発電(太陽光パネルが発電している時には、蓄電池からは給電できない)にて計算。
※3蓄電池電気自動車の蓄電された電気は、電気代の高い昼間時間に使うものとする。

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