不動産広告に騙されない3つのポイント

知らないとカモられる?不動産広告に騙されない3つのポイント

新聞のチラシやインターネットなどで、不動産の広告を目にする機会があります。

とても手の込んだものから、シンプルなものまで、さまざまな広告がありますが、本当に全ての広告を信用してもいいのでしょうか?

今回は、不当な不動産広告に騙されないための3つのポイントについて説明します。

プロと素人には情報の格差がある

私たち消費者は、直感で買う買わないの判断をつけているといわれています。近年進んで来た、行動経済学の研究のおかげで私たちの売買スタイルは科学的に分析できるようになりました。

それによると、営業担当者との相性や広告などのイメージ、内覧会によって、直感的に多くの人が人生で最も高額な買い物を決断しているのです。

見た目が大切といわれているように、私たちは、目から入った情報にひっぱられ、大きな買い物の決断をしやすいのです。住宅に限らず、市場には相場があります。物の値段は、相場を中心として決定されて行きます。

おそらく多くの人が、最初の大きな買い物として扱うであろう車を例にとり、市場価格について簡単に説明します。

中古車AとBがあり、それぞれ車種、走行距離とも同じと仮定します。しかし、Aは状態の良い車で、Bは状態の悪い市場価格未満の車です。仮に、中古車相場が100万円とすると、Aは本当なら200万円で売りにだしたいのですが、相場に引きずられて150万くらいの値をつけます。

一方、Bは、市場価格にみたない状態であるにもかかわらず、50万から100万の間の値をつけることになります。買い手にとっては、多少高いと感じても最初からAを買った方がいいのですが、AとBが並んでいた場合、車種や走行距離も同程度という外見が同じにみえるその2つの差を見つけることは困難です。

車や住宅は、外観以外に私たち消費者が自ら得られる情報が少ない点が似ています。プロと素人には、情報の格差があり、それを埋める事は困難です。

このように、住宅には、売り手が知っている情報でも買い手からは分からないことが多く存在するのです。ここまでお話しした内容をふまえて、次のトピックからは広告にだまされない目を持てるようにするための3つのポイントをお話しします。

1:良い広告は白黒シンプル

良い広告は、大規模物件を除いて、白黒のシンプルなものが良いです。なぜ白黒シンプルなのか?それは、心理的な要素と物理的な要素を加味して考えると理解頂けるとおもいます。そこで、売り手と買い手の心理を読み解けるように詳しく説明します。

よい物件をより安く買いたいのが、買い主の心理です。不動産を買いたい人は、個人だけでなく仕事として不動産売買をしている人までじつに様々です。つまり、不動産市場の買い手には、個人の買い主(知識としては素人)と不動産のプロが存在することになります。

素人の場合、プロと比べて不動産に関する知識がありませんから広告や内覧会などを利用してお目当ての物件をさがします。一方、プロの買い主の場合ならば、広告になるまえに掘り出し物をみつけたりすることが可能なのです。

では、広告等から不動産の情報をえる私たち素人がみてもよい広告とは、どのようなものでしょうか? 私たちがみつけられる掘り出し物は、売り主がなんらかの事情があって売却を急いでいる場合です。

例えば、「今現在売り主が住んでいて、次の物件も決まっているからできるだけ早く売りたい」というような事情がある物件を見つけることです。このような場合、売り主が早く売りたい現状があるため、広告作成に時間を取っていられません。

結果として、白黒のシンプルな広告になります。このような物件は、掘り出し物の部類ですから、買い手には、決断のスピードが求められます。

一方、カラフルで綿密に作られた広告は、売り主が売りたい物件です。新築物件なら広告に力を入れているのも分かるのですが、中古物件で作り込まれた広告に載っている物件は、見目を良くしないと売れない事情があるのかな?と慎重に判断できる目を持っておいた方がよいでしょう。

広告費は、買い主が払っているようなものですから、過度なコマーシャルは価格に跳ね返ってくるとみて間違いありません。

広告の費用

広告の費用について少し説明すると、マンションや戸建てなど分譲住宅を企画販売する会社の不動産事業収支計算表には、広告費があらかじめ計上されています。つまり、販売価格に転嫁しているのです。

新築分譲マンションでは、さらにモデルルームの費用やそれに伴い発生する人権費等の様々な費用が含まれています。

大規模物件で多く目にするタレントを起用し物件のイメージを作り出すCMやポスターなどを流通させるイメージ戦略の費用も販売価格に転嫁されています。

マンションの広告が戸建てに比べ多いのはなぜ?

マンションの販売戦略にまさにこの部分の費用を多くの世帯数で割れるからにほかなりません。もちろん、これらの広告戦略が悪いわけではありあせん。

確率したイメージがあれば、趣味や嗜好がある程度一致する住民が集まりやすくなるので、住民間の関係を良好に保ちやすくなります。

保守や設備の話し合いも同じ方向性を見ることのできる仲間となら、大規模物件という町を運営しやすい効果も期待できます。

しかし、多くの人の目を集めるためにおこなう様々な動きに伴って発生する費用が新築マンション価格に転嫁されているという事実を頭の片隅において置く事は大切です。

繰り返しになりますが、結論として、大規模物件をのぞいて、素人が見ても良い広告は、白黒のシンプルな物と理解しておいてください。

2:ネット上の物件はほんの一部

インターネットを通じたお買い物は、すでに日常のなかにとけ込んでいます。10年前なら考えられなかったことですが、ピアノのような高額な商品もインターネットを通じた売買が盛んに行われているほどです。

では、不動産に関してインターネットの情報は、どのような位置にあるのでしょうか?

家族向けの物件であれ、一人暮らし用の物件であれ、誰しもインターネットをつかって物件検索をする今、全ての物件がインターネット場に網羅されていると思うかもしれません。

しかし、インターネットにのっている物件は、ほんの一部です。なぜなら、「広告掲載承諾」を得る必要があるからです。一般の感覚では、紙の広告とインターネット上の広告を同じ感覚で捉えていると思います。

ちょっと不動産をはなれて考えてみるとよくわかるのですが、テレビドラマの宣伝で、情報誌には顔写真が出ていてもインターネット上には似顔絵で対応しているページを見たという経験がある人はおおいのではないでしょうか?

このように、紙媒体とインターネットでは、写真などの素材を利用できる範囲に大きな違いがあるのです。インターネットは、双方向性とコピーや改変が容易になるという特性があるため、契約時の注意事項が紙媒体と異なってきます。

このように、インターネット上の広告には、売り主が精通していることがキーとなるため、大手のデベロッパーの扱う物件は多くあってもそれ以外は載らないという傾向にあります。

売り主が個人である場合も、広告がなくても即完売という状況が一番望ましいと考えられることが多いため積極的にインターネット上に公開しようというインセンティブが働きません。さらに、不動産業者からすると、自分のところから売りたいと考えるため自分の会社で広告する以外は、広告の許可を出さないのです。

大手のデベロッパーが手がける事がほとんどの大規模新築物件は、ほぼ全てインターネット上に掲載されるので、戸建てや土地を探している場合は、インターネット以外の場、つまり、自分が住みたい街にある不動産屋のドアをたたくことがお気に入りの物件をみつけるための近道となります。

ネットだけ物件探しの落とし穴事

インターネットやスマホを利用した物件探しは、プラスもあればマイナスもあります。そこで、実際にあったトラブルから問題点をみてみましょう。

Q:インターネットで物件を探し、購入しようとしたところ、住宅ローンが借りられませんでした。どうしてでしょうか?

この質問のような事態は、広告だけの情報を信じて購入した場合、実際におこりえるのです。この低金利時代になぜと思うかもしれません。そこには、こんなからくりがあります。

住宅ローンを組むときには、借入する個人の審査と物件の審査を行います。ここでは、物件の審査のみを説明しますが、物件の審査とは、言い換えれば転売したときにいくらで売れる見込みがあるのかを見極めることです。

しかし、担保となる家に流通性がなかったとしたら、それは、金融機関からお金を借りづらい物件ということになります。

個別具体的に審査は行われますが、ひとつの指針として土地が40㎡未満かどうかがポイントです。40㎡未満の場合、建物を大きくできない=流通性が無いと判断されることが多いのです。

つぎに、40㎡以上の土地であっても、法令に違反している建築物の場合も融資を受けづらくなります。この点、特に中古住宅において気をつけるポイントです。

中古物件の場合は、他にも注意点があります。増改築により建ぺい率や容積率を超過している物件です。この場合も、大手の金融機関の審査に通りづらくなります。こういったポイントは、専門知識が無いと見破ることができません。

A:先ほどの質問に対する答えは、購入を決断する前に専門家に相談することです。

不動産広告には、多くの法的制限がありますが、それでもなお不動産業界以外の人間にとって見えないことばかりだからです。

3:ルール違反の広告は避ける

不動産広告は、「宅地建物取引業法」や「不当景品類及び不当表示防止法」という法律により公正な取引のためのルールが厳密に決められています。不動産をとりあつかう業者は、このルールに違反すると業務停止という行政処分が下され、なんと監督官庁により公表されてしまうのです。

不動産業者としては、自社の信頼を保つために行政処分は避けたいと考えるので、ルールを守る会社かどうかは、信頼性のリトマス紙として使えます。そこで、このリトマス紙にあたるルールをつかって業者を見分ける一手として利用しましょう。

次にあげる6つのルールに違反している広告からは公正な取引が期待できないと判断できるため不動産広告を見る際の参考にしてください。特に広告有効期限は、忘れられがちな事項ですから、ここをまで守れている会社の姿勢は評価できると考えられます。

  1. 建築確認が許可されていないと、新築物件と表記できない。
  2. 坪表記と平方メートルを併記しなければならない。
  3. 同仕様施工例については、対象の物件が完成していない場合、対象建物と規模、形質、外観が同一でなければ掲載してはならない。
  4. 学校区域は、距離も表記する。
  5. 有効期限は、掲載しなければならない。
  6. 月々返済額は、金融機関名や提携ローンもしくは紹介ローンの区別、融資限度額、利率、固定金利などの内容を表記しなければならない。

すこし聞き慣れない文言がありますが、この6つの基準で広告を振り分ければ、おのずと目にしてよい広告にしぼる事ができます。

個人間の不動産取引が始まる?

インターネットは、オークションなどの個々人間取引にもスピードと利便性を与えました。今、不動産の購入を考えている人は、ほとんどインターネットを利用しています。そうすると、不動産にも個人間取引の時代がくるかもしれないと考えられますし、実際に来てくれた方が多くの人に利をもたらすでしょう。

飲食店や美容院を集めた総合サイトがあるように、いずれ、インターネットを利用した不動産の直接売買も可能になるでしょう。

近い将来、中古車のオークションに似た形で始めに中古不動産のオークション取引ができる時代がくると筆者は考えています。

そんな新しい市場がきたときでも、目の前の情報が本当かウソかを見分ける目がとても大切です。すべてを疑ってかかれと言っているわけではありませんが、自分の目にゆるぎない尺度をもつか、信頼できる人に尺度となってもらうかの自衛手段は必要不可欠です。

多くの人にとって一生に一度の大きな買い物を成功裏に収めるために、情報をたくさん得ると同時に、まどわされないようにしましょう。

まとめ

ここで紹介した3つのポイントを頭のすみに置きながら広告をみていくと、信頼できる業者かどうかの判断がつきやすくなります。

信頼できる業者を見つけたら、そこから得た情報と自分が探した情報とを両手に持ち、最高の不動産売買市場というリンクにたつことができます。

最後の決断は、自分でしなければなりません。そのためにも、プロと話せば理解できるという状態に自分を高めておきましょう。


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