【インタビュー】土地探しから建て始めまでの注意点

【インタビュー】土地探しから建て始めまでの注意点

これから注文住宅づくりを始める方にとって、実際に家づくりをしている人の意見はとても参考になります。実際に体験したからこそわかる大変だったこと、家づくりのポイントなどは貴重な情報です。

そこで今回は、注文住宅づくり真っ只中のにゃんくろうさんに、家づくりに関するインタビューをしました。

にゃんくろうさんは、「はじめてのいえづくり」というブログを立ち上げ、今現在取り組んでいることや考えていること、トラブルなど、たくさんの情報を発信しています。

これから注文住宅づくりをする方にとって、とても参考になることをお話してくださいました。注文住宅を検討している方はこのインタビューを参考にして、これからの家づくりに役立てて下さい。

土地探しで注意したことはなんですか?

私たちは当初、義理の実家を建て替えて二世帯住宅にする予定にしていましたので、土地探しとは無縁と思い、家づくりをはじめた2016年春から夏頃は、義母と住宅展示場をまわっていました。

生活環境の違い等もあり、二世帯住宅に暮らすことは難しいと判断し、義理両親の「好きにしなさい」との言質をいただいた2016年冬頃から、主人と2人で土地探しをはじめました。

土地探しをはじめた当初は、土地が必要になるとも思っていなかったので、勉強したこともなく、何から始めてよいのかもわかっていませんでした。

まずは予算を決めるためにも、家本体がどのくらいの値段で建てられるのか、私たちが借りられる住宅ローンはどのくらいなのか、そこから計算して土地にかけられる予算はどのくらいかをざっくりと把握しました。結果、全体予算3000万円、家本体2000万円前後、土地1000万円以内としました。

その後、住宅メーカーが持ってきてくださった土地や、不動産屋に探してもらった土地等を見てまわりましたが、何が良いのか悪いのか判断ができませんでした。

そこで、主人と2人で土地に対する希望の項目の優先順位つけを行いました。細かくは覚えていませんが、ピックアップした項目は以下の感じです。

  • 価格
  • 広さ・形
  • 通勤時間
  • 方角(南向き等)
  • 周辺環境
  • 子どもの学区、通学時間

以上の項目を元に、主人と私のそれぞれで第3希望まで相談せずに発表しました。結果、主人は「通勤時間、価格、周辺環境」。私は「価格、子どもの学区、通勤時間、通勤時間」でした。

そこで、以下の条件で土地探しを行うことにしました。

  • 価格(諸経費込1000万円以内)
  • 職場までの距離
  • 小学校までの距離(徒歩15分以内)
  • 狭くてもOK

そして4つの土地が候補に上がりましたが、1つ目は790万(55坪)で小学校まで徒歩8分、主人の職場まで車で20分の新規分譲地と好条件でしたが、義母から「土地柄が悪い(隣の地区が昔部落だった)ので絶対反対」ということでNG。

2つ目は街のど真ん中、890万(29坪)で小学校まで徒歩7分、主人の職場まで車で5分徒歩10分という、狭いこと以外は良い条件でしたが、手付金払おうか、と言う直前で、接道が私道だったということと、水道が近くまで来ていないので引き込みに別途いくらかかるかわからないということが判明し、主人の友人の不動産屋に「やめた方がよい」と言われナシに。

3つ目は860万(37坪)で小学校まで徒歩11分、主人の職場まで車で10分の南西道路の角地。4つ目は400万(32坪)で小学校まで徒歩4分、主人の職場まで車で15分の変形地。

最終的にこの3つ目と4つ目で悩みましたが、4つ目の土地はとても安いけれどもスーパーやコンビニが若干遠いということもあり、主人が「3つ目が良い。4つ目は暮らし始めてから不満が出そう。倍近くの値段だけど、その価値はあると思う。」と断言したため、3つ目の土地に決めました。

3つ目の土地でほぼ心が決まっていたのですが、最後の踏ん切りがつかない時に、ある工務店の営業さんにこのように言われました。

「土地探しで掘り出し物はありません。100満点の土地もまず見つかることはありません。80点の土地が見つかれば良い方です!80点の土地を逃してしまい後々後悔して結局決められないというお客様を多数見てきました。土地は一期一会です。」

この営業さんのひとことで、現在の土地を購入することに踏み切れました。まだ暮らしていませんが、後悔はありません。

住宅ローンを組む時に注意したことは?

住宅ローンについても、事前知識ゼロで挑みました。我が家は家づくりに使える貯金がゼロだったため、フルローンの予定です。

はじめての仮審査は、前述の土地探しの時に予算を考える際に、「私たち夫婦がいくら借りられるのか」を知るために行いました。あまり考えずに、現在の家賃と水道光熱費等から計算し、営業さんに言われるがまま出した3000万円での事前審査でした。

3000万円借りることはできても、本当に問題なく返済できるのか、不安な気持ちはありましたが、後々、キャッシュフロー表を自分で作ったこともあり少し安心すると共に、節約を心に誓いました。

細かすぎて内容は見えないかと思いますが、この先50年の年間収支を細かく分類して計算した表です。年間収支マイナスの年がありますが、全体を把握していると今からの貯金がどのくらい重要かわかり、気が引き締められます。

その後、土地がほぼ決まり、実際に住宅ローンを借りる段階になり、ようやく金利等について勉強を始めました。変動金利と固定金利のどちらが良いのか悩みましたが、完全な変動金利は今のスーパー低金利のご時世にはもったいないのでは?と思い、全期間固定もしくは期間固定金利を選択することにしました。

最初は、金利が安いけど手続きが面倒と言われるネット銀行等も検討したいと思っていましたが、我が家にはネット銀行は不可能。というのも、我が家は共働き。また、主人の職種が特殊な上に、私の給与の方が多いため、夫婦合算での住宅ローンを想定していました。

しかし、私が産休・育休取得中であり、対象年度の源泉徴収票がほぼゼロでした。もう1年前の源泉徴収票で審査してくれる銀行も一部ありましたが、産休前の妊娠期間中にいろいろなトラブルがあり、ほとんど出勤できていなかったため、満額もらっている月がほぼなく、こちらも希望額には到底届かないような源泉徴収票しかありません。

ということで、これでは現時点で住宅ローンを借りるのは無理ではと思いましたが、地方銀行の審査はとても柔軟で、「妊娠前の満額の給与明細でOKですよ!」との神の声をいただき、地方銀行を検討することにしました。

家づくりを遅らせることで金利の安い住宅ローンを選択するということもできましたが、私たちの中では、今が一番の家づくりタイミング!どうしてもゆずれませんでしたので、少しの金利の高さはサポート代と割り切って考えることにしました。

地方銀行でも3つの銀行を候補に挙げて検討しましたが、驚いたことは、パンフレット等に書いている金利には保証料や団信分が含まれていないことです。パンフレットの下を見ると小さい字で「保証料+0.3%」等が記載されています。なので、この保証料や団信の金利を考慮した上で検討する必要があります。

結果、団信無料キャンペーンをしていたある地方銀行の、全期間固定金利1.2%+保証料0.3%(融資手数料別)にすることにしました。この時点では金利は1.5%です。

実は、ここでも1つトラブルがありました。それが団信の割合についてです。申込み時点では、団信は好きな割合でかけられると聞いていました。私たちは夫婦合算でのローンを考えていたため、同じ割合での団信をかけることにしていました。

ですが、土地の決済日が数日後に迫る直前で、担当営業さんから「団信無料キャンペーンでは割合が決められず、どちらか一方に100%しか団信をかけられないそうです・・・僕も知りませんでした。今日中に決めてください。」とのお電話がありました。

団信が片方にしかかけられないのであれば、もう一方には別途保険等をかける必要があります。でないと、万が一の時に収入はゼロにもかかわらず住宅ローンは満額残るという恐ろしい事態が起きてしまいます。

このタイミングでの告白に私は憤慨し、もう変えられないのはわかっていましたが、ありえない。保険料分月々の支払金額が上がる。と実際の数値を挙げて、きつく叱咤しました。

すると、住宅ローン申し込みの日にかなり上の上司の方が出現、なんと金利を「もうこれが限界ですが・・・」と言って0.1%金利を下げてくださいました。

我が家の場合は担当者のミスも含む、かなり特殊な例とは思いますが、この0.1%で生涯払う金額はかなり変わります。最後の最後まで粘って良かったです。

住宅会社を選ぶ時に気をつけたことは?

住宅会社選択時、最初は何の迷いもなく、住宅展示場に行きました。私たちは家づくり=ハウスメーカーという選択肢以外を知りませんでした。

はじめて行ったハウスメーカーのモデルハウスは、古い実家やアパートでしか暮らしたことのない私たちには夢の世界でした。最新の設備に心が躍りました。
しかし、いろいろ調べてみると、ハウスメーカーの坪単価の高さが気になります。どう考えても私たちには分不相応です。次にローコストメーカーと呼ばれる会社へ行きました。ここでは先ほどのハウスメーカーと違い、驚くほどの安さで家が建てられます。

なぜそんなに安いの?と営業さんに聞くと「薄利多売だからです」と言われましたが、後日調べてみると、安いのは当初の見積もりだけで、オプションでどんどん金額が上がることや、メーカー固定の設備以外使用できないことがあるということがわかりました。

一生に一度の家づくり、妥協するにも納得して妥協したいです。さらに深く調べていくと、家づくりの住宅会社には大きく分けて3パターンあることがわかりました。ハウスメーカー、工務店、設計士との家づくりです。

ここでようやく、地方の工務店を訪れてみました。各社それぞれの特色があり、お値段もハウスメーカーとローコストメーカーの間で建てられ、設備等も柔軟に対応できる。私たちには良いことばかりです。地方の工務店は打合せをして図面を書いてくれることになりました。

ここで驚いたことですが、実はローコストメーカーは図面の提供1度もなしに契約を迫られていました。常識を知らないのは怖いです。私たちはそれが普通と思っていました。今となっては一体何を契約しようとしていたのかわかりません。本当に契約しなくて良かったです。

地方の工務店2社に図面を書いてもらい、検討する一方、私は設計士さんとの家づくりも気になっていました。というのも、私は少々作業が大変でも、とにかく全て自分で納得して物事を進めたい性分なのです。そんな私には設計士さんとの家づくりがピッタリではないか?と、主人の友人の不動産屋さんが、よくお世話になっている設計士さんを紹介してくださいました。

この設計士さんとの打合せ時に、ご自宅を訪問させてもらったところ、とてつもない自由度の家に驚きました。今まで見てきたモデルハウスはどれも同じような間取りだったのに対し、設計士さんの家はその家族のための家そのものでした。

そこで、設計士さんにファーストプランの作成をお願いすることにしました。ファーストプランの作成には費用がかかります。今まで他の会社でもプラン作成に費用がかかると言われましたが、ことごとく断ってきた私たちでした。

しかし、ここで設計士さんのファーストプランを見ることなく他の会社に決めた場合、後悔する気がする!との判断で、ファーストプランを作成していただくことにしました。

後日、出てきたファーストプランを見て、私と主人は即決で設計士さんにお願いすることにしました。私たちの要望を叶えた上で、とても柔軟な発想。玄関ホールなし、壁一面の本棚、中二階のトイレ、二階に洗面・風呂を持っていくことで実現できる広いリビング。思いもよらないアイディアばかりでした。

坪数は27坪とどの提案よりも小さい家でしたが、私たちの必要十分を満たしています。おそらく、私たち家族以外には暮らしづらい家かもしれませんが、私たち家族にとっては、そこに暮らしている未来が想像できる図面でした。

画像は、契約後にファーストプランを模型にしてくださった写真です。こうやって模型がいただけることも設計士さんとの家づくりならでは!憧れの模型!でした。

検討していた他社の工務店の図面が悪かったわけではありません。工務店はきちんとした見積もりも作成してくださり、私たちの要望も全て叶えていましたが、設計士さんのプランへのトキメキには敵いませんでした。

設計士さんのプランでは本当に自由度が高く、見積もりも存在しません。本当に予算内でできるの?と少し不安も残ります。

ですが、私たちの予算と要望を踏まえた上でのプランを作成してくださっていたことと、設計士さんから「譲れないものにはお金をかけてでも実現するけど、こだわりがない部分について削って調整すれば大丈夫です」と言われ、これは私の性格に合っているな。と思ったこともあり、設計士さんとの家づくりを決めました。

家の設計で一番大変だったことは?

なんと言っても「減額調整」です。設計士さんとの家づくりは、まずは設計士さんと打合せを行い、間取りや設備を決めていきます。法律を遵守さえすれば、全てが自由です。

もちろん予算はあるので、過剰な設備は採用できませんが、自由です。この時間は夢の時間でした。私たちにこだわりがない部分については、設計士さんが素敵なことを提案してくださいます。

夢の時間が終わり、ほとんどの設計ができあがり、施工していただく工務店に見積もりを依頼します。ここで初めて、家の金額がわかります。好き放題追加した設備は当たり前に予算をオーバーしています。予算に収めるためには200万円の減額をしなければなりません。

何を削るかを話し合っていく作業では、すんなりと納得できたものもありましたが、どうしても納得できず、なんとかして他の項目を削って対応できないか、設計士さん・工務店さん・施主の私たちの3組が何度か打合せして調整していきました。

我が家には不釣り合いなほどに高級だけど、どうしても採用したい海外製食洗機ですが、もちろんのごとく、真っ先に減額対象にされていました。ですが、どうしても残してほしいと海外製食洗機への愛を語り、全員が知恵を絞ってなんとか残すことができたのは(私たち以上に設計士さん・工務店さんが)大変でしたが、とても嬉しかったです。

設計士さんが知恵を絞って提案してくださった「減築」が以下の図になります。これは床面積が変わるので大幅に減額することができました。今まで多大な時間をかけて作ってきてくださった図面をもう一度作成し直すため、手間がかかるにも関わらず、嫌な顔ひとつせずに対応してくださって感謝しています。

ちなみに、主人は減築した間取りの方が気に入っています。結果オーライです。

現段階までで何か予想外だったことはありましたか?

外構工事の価格の高さに、工事費の見積もりを別途にしてしまったことです。

前述の減額調整で減額項目としました。私たちの希望としては、ただ駐車場に土間コンクリートを敷くだけがしたかったのですが、この「土間コンクリート」だけが思った以上に金額がかかります。外構費をあまり考えていなかったので、予想外でした。

このままでは外構が何もない状態になってしまうので、当初の予定とは変わってしまいましたが、住宅ローン外で貯金を崩して対応することにしています。

また、当初は設計士さんにお願いする予定ではなかったので、竣工時期が大きく先に延びることとなりました。ローコストメーカーで打合せをしていた頃は、「早くて2017年のGWには引越しできるかと思います!」と言われていましたが、今の予定は2018年4月竣工予定です。今のアパート代も、土地等のつなぎ融資手数料も多くかかってしまうことになりました。

最後に、設計士さんとの連絡手段についてです。当初、メールでの連絡をしていましたが、本当に返信が遅い!返事が半月後等はザラで、イライラするレベルで遅かったです。ある時、「LINEで連絡しませんか?」とお願いし、グループLINEを作成したところ、なんと、サクサクと物事が進むようになりました。LINE=プライベートとの認識があったので、ビックリしました。

これから注文住宅を建てる人にアドバイスをお願いします

まだ着工すらしていませんが、ここまでの工程をどれも楽しく進められています。面倒なことが嫌いな方はあまりお勧めしませんが、私と同様に細部まで知りたい方は設計士との家づくりをお勧めします。

それぞれ人に合った形で楽しみながらの家づくりで、そこで暮らす未来を想像しながら進めてみてください。毎日がわくわくしてきます。少なくとも、私はわくわくしています。

また、無知は怖いです。ほとんどの方が家づくりは初めてだと思いますが、今はネット上にいろんな情報も落ちています。ブログ等で他の方の家づくりの情報を見るのは勉強にもなりますし、面白いです。

もちろん鵜呑みにはできませんが、知らないではなく、調べてみた上で、一緒に家づくりをしていく住宅会社さんと二人三脚で取捨選択し進めてみてください。選択肢は無限にありますが、時間とお金は有限です。妥協内容に納得できて、満足できる家づくりをなさってください。

まとめ

にゃんくろうさんには、現段階までで体験してきた中での状況についてお話していただきました。家を建て始める前までにも、色々な決め事や考えなければいけないポイントがあるんですよね。

土地探しは本当に大変で、にゃんくろうさんのように優先順位を明確にして、妥協点を見つけることが大事です。家を建ててもらう住宅会社選びも、自分の理想を叶えてくれる会社に相談するようにしましょう。

これから家造りを始める方は、このインタビューを参考に、どんなところに注意していけばいいのかしっかりと考えながら、注文住宅づくりを進めていきましょう。


にゃんくろう
注文住宅づくりブログで、土地探しから住宅会社選び、設備の導入による体験談など、家づくりの過程を発信中。

はじめてのおうちづくり

この記事の更新日:2021年08月02日
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