住宅ローンを借りる際の団体信用生命保険の審査基準

住宅ローンを借りる際の団体信用生命保険の審査基準

民間金融機関の住宅ローンを利用する際に必須となるのが団体信用生命保険です。しかし、既に住宅ローンを組んで団信に加入している人の中にも、保障内容などを詳しく把握していない人も多いのではないでしょうか。

今回は団体信用保険とはどういうものか、また団信の種類や審査基準、団信加入後の保険の見直しなどを解説します。

団体信用生命保険(団信)とは

住宅ローンは長期にわたって支払いを続けることになるため、完済までに債務者に万が一のことがあると残された家族がローンを支払うことになり、支払えない場合は住み慣れた住宅を手放さなければならなくなる可能性もあります。

そのようなことのないように、債務者が死亡もしくは高度障害になった場合、保険会社が債務者に代わって残債を支払い、ローンの完済をする制度が機構団体信用生命保険特約制度(団信)です。家計を支える人に万が一の事態が発生しても、残された家族は家に住み続けることができる大きな安心となる重要な保険制度です。

団体信用生命保険の種類と保障内容

団体信用生命保険は、死亡や高度障害になった場合に債務者に代わってローンの完済をする保障(通常の団信)の他に、特約としてがん保障特約付きや3大疾病保障付き・7大疾病保障付き・8大疾病保障付きといったもの、また持病があっても加入しやすいワイド団信などがあります。

※高度障害とは、両眼の失明、言語・咀嚼機能の失墜、神経障害によって終身介護の必要な場合、両上肢を手間接以上で失うかその用を永久に失った場合、両下肢を足首以上で失うかその用を永久に失った場合、一上肢(手首以上)と一下肢(足首以上)を失うかその用を永久に失った場合、一上肢の用を永久に失くし一下肢を足首以上で失った場合などです。

がん保障特約付き

がん保障特約付き団信は通常の団信の保障に加え、生まれて初めてがんに罹患し医師によって診断が確定された場合に保障される保険です。

3大疾病保障特約付き

3大疾病保障付団信は、通常の団信の保障に加え、がん・脳卒中・急性心筋梗塞を発病した際にも保障される保険です。所定の加入資格を満たした人が所定の団信特約料を支払うことで、3大疾病の発病から60日以上所定の状態が継続したと診断された場合に保険料が支払われます。

7大・8大疾病保障特約付き

7大疾病保障付団信は、3大疾病のがん・脳卒中・急性心筋梗塞に加え、高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変が保障内容に含まれます。8大疾病付団信は、さらに慢性膵炎も保障されます。

ワイド団信

ワイド団信は通常の団信より加入条件が緩和されたものです。通常の団信は加入できない場合でもワイド団信なら加入できる可能性があります。

団信の審査基準

民間金融機関のローンを利用する場合は、団信に加入できるかもローン審査のポイントになります。他の生命保険と同じく団信でも必ず審査があります。審査基準は健康状態が一定の基準を満たしていること、また年齢が満15歳以上70歳未満の人が加入対象になります。

健康状態の審査では、告知書の質問事項に正直に回答しなければなりません。もし告知義務違反が発覚した場合は保険金が支払われなくなるため注意しましょう。

告知書は金融機関によって多少の差がありますが、概ね以下のような質問になります。

  1. 最近3か月以内の医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)・投薬の有無。
  2. 過去3年以内の指定された病気や手術の有無、または2週間以上に渡り医師の治療や投薬を受けたことがあるか。
  3. 手や足の欠損または機能障害の有無、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・咀嚼機能の障害の有無など。

告知事項がある場合は、詳細に告知する必要があります。

団信の審査に通らない場合は?

団信の審査が通らない場合は住宅ローンを諦めるしかないのか…と考えてしまいますが、方法はあります。
その一つが団信の種類の中にあるワイド団信です。ワイド団信は、高血圧症・糖尿病・肝炎・うつ病などの持病があっても加入しやすくなっています。ただし一般的な団信に加入する場合よりも住宅ローン金利が0.3%程度高くなります。

また、フラット35のローンを利用すれば、団信へ加入しなくてもローンを組むことができます。しかし、健康に問題のないときに相当額の生命保険に加入している場合は安心ですが、そうでない場合は万が一のとき、残された家族がローンの支払いを続けることになるため十分に考慮する必要があるでしょう。

さらに、夫婦共働きの場合で、妻が正社員なら妻の名義でローンを組み団信に加入することもできます。

団信の保険料の目安

ほとんどの民間金融機関で金融機関側が団信の保険料を負担してくれることが多いため、契約者は無料になっています。しかし一部の金融機関やフラット35を利用した場合、ローンの金額に応じた保険料を支払う必要があります。

団信に加入すると、保険料は総額でいくら支払うのか気になるところだと思います。そこで一般的な団信と3大疾病付団信の保険料を住宅金融支援機構(フラット35)でシミュレーションしてみました。

例えば、3,000万円(借入)の35年ローンを組み、金利1.1%の場合の団信の保険料をシミュレーションしてみると、総支払額の目安は1,984,500円となり1年目の支払いは104,400円となります。

3大疾病付団信加入の場合、上記と同じ条件(3,000万円借り入れ、35年、金利1.1%)でシミュレーションしてみると3,118,400円となり、1年目の支払いは16,4000円です。

※上記のシミュレーションは平成29年9月30日までに申し込みされた方の保険料です。平成29年10月1日以降の申し込みは、新フラット35となり民間金融機関と同じく保険料が毎月の金利に上乗せされるようになりました(上乗せされる金利は0.28%程度)。

大手銀行などは通常の団信は銀行側で負担するケースが多くなっていますが、3大疾病付団信やワイド団信は借入金利に0.3%程度上乗せされる場合が多いようです。また8大疾病付団信の場合は、加入時の年齢や借入条件で決定されます。

※団信の1年間の特約料(保険料)=借入残高×特約料率 

 団信の特約料の総額=各年の借入残高×特約料率を合計した額

団信加入後の保険の見直し方

団信に加入した場合は、住宅に対する備えはできていることになります。以前から加入している生命保険があれば、団信加入を機会に見直しをおすすめします。

生命保険と保障内容が重複する場合がある

生命保険に加入する目的の多くは、家計を支える人が万が一の場合に残された家族の生活を守るためではないかと思います。生活を守るということは、現状の生活を維持するだけの経済力が必要になります。

生活費には住居費や教育費・食費・光熱費・交通費など様々なものが含まれますが、団信に加入していることで住居費は安心です。
もし現在加入している生命保険が、住居費の額も含まれているなら重複しているということになります。

本当に必要な保障額について

本当に必要な保障額は、家族構成や世帯の年収によって異なってきます。必要保障額の計算方法を以下に解説します。

  1. 現在の年間生活費×70%×必要年数(配偶者の年金がもらえるようになるまでなら年金受給年齢-現在の年齢、末子が独立するまでなら子供の独立年齢-現在の年齢)を計算する。
  2. 別途必要になる資金を計算する(子供の教育費・相続費用・葬儀費用・その他子供の結婚費用の援助など)。
  3. 収入の見込みを計算する(遺族年金・死亡退職金・預貯金・配偶者の収入など)。
  4. 1+2-3=必要保証額となります。

もし、算出した額よりも現在加入している生命保険の保障額が大きければ、無駄があるかもしれません。見直してみることをおすすめします。保障額が大きいほど良いというものではなく、保障額が大きいほど毎月の保険金も高額になります。本当に必要な保障額の保険だけにして、その分を住宅ローンの繰り上げ返済に回すなど、賢く資金計画を立てたいものです。

まとめ

団信は、家計を支える人が万が一の場合に、住宅ローンをカバーする保険です。当然ですが住まいは確保されてもそれだけで万全ではありません。その他の保険と上手に組み合わせて、様々なリスクに備えることが大切です。

健康に問題のない働き盛りの方なら、死亡保障に対して保険料が格安な収入保障保険などの加入も検討してみるといいでしょう。通常の生命保険は保険金が一括で支払われますが、収入保障保険は毎月定額を受け取れる保険です。

「保険は種類が多くて理解するのも面倒…」という方も、住宅を取得しローンを抱えることになったら、家族のためにも保険の知識を持ち、団信にプラスする必要最低限の保険を上手に選び、リスクに備えておきましょう。


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