屋上やバルコニーを設置する際の費用相場と注意点

新築住宅に屋上やバルコニーを設置する際の費用相場と注意点

これから注文住宅を建てたいと考えた時、「屋上も使えたらな」「ルーフバルコニーがあると楽しそう!」というイメージをもつ人は多いのではないでしょうか。特に狭小住宅などでは床面積が広くとれないだけに、屋上部分を活用した施工事例やルーフバルコニーを設けた施工事例は気になりますね。

そこで今回は、屋上やルーフバルコニーを設けた場合のあれこれについてまとめてみました。

屋上とルーフバルコニーの違いは?

同じ意味ではないかと混同されがちですが、屋上とルーフバルコニーとは別のものです。
屋上は最上階からさらに階段などで上がっていく場所です。ルーフバルコニーは最上階と同じ位置に設けられるため階段などを設けずそのまま出入りできる場所をさします。

屋上やルーフバルコニーの活用を取り入れるというのは注文住宅だからこそ選択できるといえますが、実際の費用はどれくらいかかるものなのでしょうか。屋上とルーフバルコニーとをそれぞれ見てみましょう。

屋上

屋上を設けるということは2階の天井部分を活用してスペースをつくることになりますから、雨漏りしないように防水工事を徹底して行う必要があります。また強度も屋根を設ける場合よりしっかり確保しなければいけませんので、それだけの補強工事が加わることになります。さらに屋上へと向かう内階段の増設も必要です。

屋上を設ける広さや住宅本体の構造の種類にもよりますが、木造であっても鉄筋コンクリート造であっても約200万円前後の追加費用がかかると考えておくといいでしょう。

ルーフバルコニー

ルーフバルコニーも防水工事や床面の補強工事が一般の住宅よりも加算されるという点は屋上と同じです。こちらも広さや構造の種類によりますが、約100万円前後は加算されることが多いようです。

屋上やルーフバルコニーを設けるメリット

施工事例を見ると広くて開放感のあるイメージの屋上やルーフバルコニー。実際に設けた場合のメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。

BBQなど家族やゲストとくつろげる環境ができる

屋上やルーフバルコニーの最大のメリットは、やはり非日常的なスペースができる点でしょう。青空が頭上に広がる、風を直接感じる、こうした感覚は屋内空間では味わえない特別なものです。

また屋内だとにおいや汚れが気になるBBQも心置きなくできますね。屋内のリビングだとつい気になってしまうゲストの人数も、簡易チェアだけ準備しておけばあまり気にしなくてもいいと言えます。

一部分に人口芝生を敷いて子どもが遊んだり大人がのんびり過ごせるスペースをつくるのもいいでしょう。視界が360度開ける広々としたスペースは屋上やルーフバルコニーだからこそ確保できると言えるでしょう。

家庭菜園やガーデニングを楽しめる

屋上やルーフバルコニーは屋根を設けませんので、晴天時には太陽光がかなり長時間当たることになります。隣家との距離が近くて庭にほとんど太陽光が当たらないといった場合は、屋上やルーフバルコニーを家庭菜園やガーデニングのスペースとして活用できます。

プールやジャグジーの設置

屋外ならではの開放感を味わう究極の方法はプールやジャグジーを設けることです。夜の星空を見ながらのリラックスタイムは何物にも代えがたい贅沢な時間になります。浴槽を洋風タイプにするとホテルのような、和風タイプにすると露天風呂のような雰囲気を味わえるでしょう。

浴槽にジャグジー設備をつけてリラクゼーション効果を高めるというのもひとつの方法です。ただし木造の場合は下階に振動が大きく伝わる可能性がありますので、給排水配管を含め施工に慣れた業者に依頼するのが鉄則です。

屋上やルーフバルコニーを設ける際の注意点

リビングや浴室が増えたような感覚で活用できる屋上やルーフバルコニーですが、いざ設置するとなると注意しておきたい点もあります。次のような項目を事前にしっかり検討しましょう。

用途を明確にする

せっかく建築費用を増やしてまで屋上やルーフバルコニーを設置したとしても、ほとんど使わなければ意味がありません。

特に屋上の場合は最上階からさらに階段などを使って上り下りしなければいけませんから、建築当初はよくても長年住んで年齢を重ねてくるとこの動作が面倒になり、やがて使わなくなってしまうというパターンは多いです。

屋上やルーフバルコニーで何をするのか、何をしたいのか、用途を家族全員で明確にして必要かどうかをよく考える作業は不可欠です。

導線を考えて設計することが大事

たとえば屋上につながる階段に行くのに廊下を大きく迂回しなければならない場合、普段の生活の導線からずれているので「わざわざ回らなければならない」という心理的負担から屋上を使わなくなるケースは珍しくありません。

またルーフバルコニーの場合も、たとえば出入口を夫婦の寝室だけに設けると夫婦以外の家族は使用しづらくなります。最上階にリビングがあるならそこから、もしくは廊下から直接などルーフバルコニーに出入りする際の導線が家族やゲストで共有できるかをしっかりチェックしておくことが必要です。

雨漏りしないように防水工事をしっかり行う

屋上やルーフバルコニーを設ける際にもっとも注意したいのは防水。屋根がなく雨がダイレクトに床面を打ちつけますから、一般住宅以上に高い性能の防水工事をより丁寧にしておかなければいけません。

通常住宅の屋根部分の防水はFRP防水になりますが、FRP防水の保証期間はおおむね10年間です。つまり10年が近づくと防水工事の費用がどんとかかってくるということになりますから、10年おきにメンテナンス費用がかかることをあらかじめ計算しておくことが重要です。

プライバシーや安全性をきちんと確保する

隣が住宅ではなくマンションなど背が高い建物だった場合や、住宅団地で隣家や数軒先の住宅が自宅よりも高い位置に建っているといった場合、屋上やルーフバルコニーが丸見えになってしまいますので視線をカットする工夫が必要です。

テントをつけられるよう金具をあらかじめ設置してもらっておく、背が高いフェンスをつけるといった方法を考えましょう。

また落下事故が起こらないためにも手すりは必須アイテムです。小さな子どもがいる場合、横桟タイプはよじ登る危険性がありますから、足をかけられない縦桟タイプを選びましょう。
高さは小さな子どもが上がりにくく、大人がガーデンチェアに座った際の目線の高さである90㎝は最低でも必要です。視線カットが主な目的なら120㎝前後までの高さがあれば圧迫感はありません。

手すりではなく、フェンスをつけるのもおすすめです。プライバシーと安全性の確保を両方得られるため一石二鳥です。

定期的にメンテナンスが必要

建築時に丁寧な防水工事を施してもらっていても、天候等の条件によって劣化スピードは変わってきます。また単にセカンドリビングとして過ごす場所なのか、本格的な家庭菜園をつくることで水がかりが多い場所になるのかによっても劣化の程度が変わってくるでしょう。

いずれにしても屋根がないわけですから、定期的な清掃やパッキン部分のチェックなどを欠かさないよう努めたいものです。

屋上やルーフバルコニーを設置すると一般住宅とは少し違った日常生活を送ることができるのは確かです。建築予算とのバランスを見ながら、またライフスタイルや家族構成を考えながら設置後の活用法をシミュレーションしてみることをおすすめします。


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