戸建ての家を賃貸で貸す?売却と比較してどちらがお得?

戸建ての家を賃貸で貸す?売却と比較してどちらがお得?

戸建て住宅を賃貸にするか、売却するかで迷っている人は少ないです。どちらかというと、分譲マンション所有者の方が、圧倒的に「売る」、「貸す」で迷っている人が多いです。

理由は明確ではありませんが、管理人が思うに、マイホームを手放そうという動機が関係しているのではないかと思っています。

マンションを売却か賃貸で迷っている人の多くは、その動機がマンションの買い替えや戸建て住宅への移り住みにあると思います。

しかし戸建て住宅の売却というのは、マンションのように買い替えや移り住みというのは少なく、遺産相続した実家や、住宅ローンの返済苦による売却というケースが多いのも事実です。また、離婚による資産分割のための現金化という理由もあります。

このようにマンションと戸建て住宅では、売却の理由がかなり違います。今回は戸建て住宅の売却と賃貸比較について考えてみたいと思います。

賃貸にする際の注意点

まずは、一戸建て住宅を賃貸として貸しだす場合から解説していきます。

売却というのは、売ってしまえば資産が減るだけで、それ以上のデメリットはありません。しかし賃貸となると、維持管理の問題や住宅ローンの返済リスクなど、さまざな不安要素が残ります。

そこで、まずは賃貸にする場合のデメリットを理解しておきましょう。この部分を理解することで、売却と賃貸を対等に比較することができます。

住宅ローンが残っている場合

住宅ローンの返済が月10万円だから、家賃10万円で貸すことができれば住宅ローンの返済分をカバーできる。と考えてる人が多いのですが、それはあまりにも楽観的すぎます。

ボーナス払いなしの月10万円の住宅ローン返済であれば、家賃を10万円に設定しておけば住宅ローン返済に充てることができますし、家賃12万円で貸すことができる物件であれば、毎月2万円もの不労所得が入ってくる計算になります。

しかしこの考えだと、毎年支払うことになる固定資産税、入居者がいないときの空室リスク、建物の修繕費、金利が上昇したときの返済額上昇などは考慮されていません。

これから先10年、20年と住宅ローンを返済していくなかで、あらゆるリスクを想定しておかなければなりませんし、毎年かならず支払うことになる固定資産税や賃貸管理費だけでも試算しておくことをおすすめします。

それらのことを考慮すると、住宅ローンの返済額プラス2万円。これくらい高めの家賃設定をしておかなければ、収入よりも出費が多くなってしまいます。

他人に貸すと固定資産税の軽減措置は受けられなくなる?
例え他人に貸したとしても、居住用であれば軽減措置は継続しますので、200㎡以内は6分の1、200㎡超は3分の1の軽減税率となります。

今後住む予定があるか?

売却と賃貸で迷っている人の多くが、将来的に自分たちがまた住む可能性があるため、それまで賃貸として運営して持ち続けていたいという理由です。

将来的にまたその家に住む予定がある場合は、それまでの期間、賃貸として貸しながら残しておくのは悪い方法ではありません。

しかしこの場合も上記と同じように、空室期間は住宅ローンの返済は自分たちでしなければなりませんし、毎年の固定資産税や入居者からの修繕依頼などにも対応しなければなりません。

ですので、もし住宅ローンが長く残っている場合には、将来的にまた住む可能性があるといっても、それだけの理由で賃貸にするのはリスクがあります。

そしてもう1つ覚えておいてほしいことがあります。それは、賃貸として他人に貸した場合、必ずしも自分たちが住みたいときに、その入居者が退去してくれる訳ではないということです。

2年後の8月から自分たちが住むと明確になっているのであれば、定期借家契約といって、期限を決めた賃貸契約も可能ですが、明確な時期が判っていなければ定期借家契約は難しいですし、なにより期間制限ありの賃貸物件は借り手が少ないのも現状です。

そう考えると、将来的にまた住む計画がないのであれば、早い段階で売却してしまったほうが楽ですし、将来的にまた住む可能性があるとしても、明確な時期がわかってないのであれば、不動産価値が下がる前に手放すのも一考だと思います。

とくに戸建て住宅というのは、人が住めば住むほど、かならず建物は傷みだし、それだけ不動産価値は下落することになることも頭に入れておきましょう。

空室になるリスクを考慮する

賃貸として貸し出して一番怖いのが、この空室リスクです。元不動産会社の営業マンという立場から忠告しますが、どんなに良い物件でも空室リスクはかならず起こります。

一般ファミリー層の賃貸居住年数は、平均で3年程度だと言われており、2割近い人は2年以内に退去するというデータがあります。つまり、平均的にみると2年~3年に一度の割合で、入居者は退去する可能性が高いということです。

その都度、新しい入居者が決まるたびにクロスの張替えや、畳の交換を家主負担で実施しなければなりません。

これまでは、そのような費用は入居者が負担するのが一般的だったのですが、昨今は原状回復義務は家主側にあるとされています。国のガイドラインでもそう書かれているので、今後は家主負担というのが一般的になってくるはずです。

つまりこの原状回復費用(15万円~20万円、畳の交換費用3万円~5万円、ハウスクリーニング費用3万円~8万円)を、入居者が変わるたびに家主が負担しなければ、次の入居者を迎えることも難しくなるということです。

さらに、最悪のケースだと、次の入居者が半年も1年も決まらないこともありえます。特に戸建て住宅の場合、次の入居者が早々に決まる物件と、なかなか決まらない物件がハッキリしています。

理由は、家主業に慣れておらず、近隣の家賃相場が低下しているのに、次もまたこれまでと同じ家賃で貸せると思っている家主が多いことや、先にも言ったように、戸建ての原状回復費はアパートやマンションと比べて高額なので、資金的な問題で入居者を迎える準備が整わないことにあります。

厳しい言いかたをしますが、経済的な余裕がなければ、今後戸建て住宅の家主業は相当厳しい時代になると思います。

固定資産税や修繕費を払う必要がある

固定資産税は、土地の広さや周辺の不動産価値によって違ってきますので、年間どれくらい払うことになるかは物件によって様々です。

一般的には、土地と建物に軽減税率が設けてあり、それらの優遇を受けることで、年間10万円~20万円程度を納めるケースが多いと思います。

修繕費の問題も考慮しておかなければなりません。

不動産会社の営業マンという経験から言いますが、3年間賃貸として貸しておいて、なにひとつ修繕費が発生しないという物件はほぼありません。

比較的費用が安いところでいえば、「トイレが壊れた」、「エアコンが壊れた」などがありますが、高いものになると「ガス給湯器の交換」や、「雨漏り被害」なども考えられます。

トイレの修理やエアコンの修理でも、2万円~5万円くらい掛かりますし、給湯器やエアコンの交換となると15万円~30万円くらいの出費になります。

毎年、確定申告をしなければならない

会社員として働いている人の中には、これまで確定申告を自分でしたことないという人も多いのではないでしょうか。

雇用状態にあれば、基本的に会社が年末調整でやってくれるので、自分で税務署へ出向き確定申告をする必要はありません。

しかし、家賃収入を得れば、毎年自分で確定申告をすることになります。もちろん、税理士にお願いして代行してもらうこともできますが、代行費用として毎年5万円~10万円ほどかかります。

代行費用が高いと思われるかもしれませんが、それほど自分で確定申告をするのが難しいということです。

確定申告をする以上、ただ書類を提出するだけでは終わりません。サラリーマンの人が家賃収入を得て確定申告をするのであれば、当然家賃収入分の所得税を納めることになりますので、毎年給料収入とは別に税金を支払うことになります。

管理手数料がかかる

賃貸として貸すのであれば、管理費用の出費も考えてく必要があります。

周期的な物件まわりの清掃、入居者からのクレーム対応などを管理会社に依頼すれば、当然それらの管理費用を毎月支払うことになります。

一般的なマンション、アパートの管理費用の相場は、家賃の5%程度なのですが、戸建て住宅の場合は10%くらいの管理費に設定している管理業者もあります。

これは定期的な清掃などがあるため、入居者がいない空室の状態でも発生することになります。

家賃120,000円で貸している場合、管理費として毎月6,000円~12,000円を管理会社に支払うということは、かなり大きい出費となります。

一番怖いリスクは家賃滞納とゴミ屋敷化

賃貸業で一番怖いのは、家主滞納をする入居者と、ゴミ屋敷化してしまう入居者です。管理人は不動産会社の営業マン時代に、どちらの物件も体験しています。

家賃滞納する人は、長い人だと何年も滞納を続けます。例え1年~2年と家賃滞納している入居者でも、その物件から追い出すことは法律的に相当難しいです。

退去させるためには裁判を起こし、裁判所主導で解決していくしかないので、退去までに裁判開始から1年以上かかってしまうケースも珍しくありません。

ちなみに、滞納分の家賃を強制的に徴収するためにも裁判をしなければなりませんし、例え裁判で勝ったとしても相手に支払うだけの収入がなければ泣き寝入りになってしまいます。

そしてもう1つ。最近は高齢者の一人暮らしも増えています。ゴミ屋敷化するのは比較的高齢の方に多いので注意が必要です。

これも家賃滞納と同じで、ゴミ屋敷だからといって強制退去させることは難しいです。

上手く退去してもらったとしても、ゴミ屋敷となっていた家は大幅なリフォームが必要で、その費用も相手に請求することは難しいケースが多いです。

しかもゴミ屋敷だったことは、周辺の住民も知っているので、その物件を売りに出しても買い手も探しにくくなります。

賃貸と売却どっちがおすすめなのか?

ここまで説明したように、戸建て住宅を賃貸として貸すには、いろいろな出費や手間が掛かり、大きなリスクがあることを理解しておきましょう。

それらの内容を理解して、はじめて賃貸として貸すだすのが良いのか、それとも売却してしまうのが良いのか、という比較検討ができます。

賃貸がおすすめのケース

賃貸に向いている戸建て住宅というのは、物件の広さや新しさではありません。管理人が思う、賃貸に向いている戸建て住宅というのは、とにかく立地に恵まれている物件だと思います。

「駅に近い」、「清閑な住宅街」と言うだけではなく、「今後も継続して入居者の重要が増え続ける地域か」、という意味です。つまり、今後その街が発展し続けるのかが、賃貸には欠かせない条件となります。

少子化や核家族化の問題もあり、ほとんどの街では人口が減少しているはずですで、今後街が発展し、人口が増え続ける地域というのは相当限られてしまいます。

そんな恵まれた地域に戸建て住宅を持っており、なおかつ経済的にも少し余裕があるならば、戸建て住宅の賃貸に向いているといえます。

売却がおすすめのケース

単純に、上記の条件に該当しなければ、売却するほうが得策だと思います。

記事中でも説明しているように、不動産価値というのはマンション・戸建て住宅に関係なく、東京の特殊な地域を除いては、基本的に下落する傾向にあります。

少しでも早い段階で売却を決断すれば、それだけ好条件で売りにだすことができ、結果として買い手もみつけやすく、高値で売却できる可能性が高くなるということです。

まとめ

断定はできませんが、管理人のこれまでの経験からすると、賃貸と売却で迷っている人のほとんどが売却した方が良いケースばかりです。

賃貸の方が良いというケースの物件については、ほとんどの人が売却と賃貸で迷うこともなく、賃貸として貸すことを決めています。

つまり賃貸と売却で迷っている時点で、その多くが賃貸ではなく売却の方がいい物件ということだと思います。

もし売ると貸すで迷っているという人は、まず当サイトでおすすめしている一括査定サイトで複数の不動産会社に家の査定をしてもらい、どれくらいで売却できるのかの相場を把握した上で、持ち続けるか売却するかの計画を立てましょう。

計画を立てる際は、当記事で解説した賃貸のデメリットもしっかりと考慮した上で、どちらの方が自分の理想に近いのか判断してください。


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目次一覧

家を売却するまでの流れ

高く売るために重要なポイント

売却理由別の注意点

特に気をつけたいポイント

よくある質問