ある程度の現金がないと家が売れない場合がある

最終更新日：2021年08月02日

オーバーローンが原因で、マイホームの売却を断念する人も少なくありません。しかし、たとえオーバーローン状態だからと言って、絶対にマイホームを売却できない訳ではありません。

ここでは、オーバーローンだとなぜ売却することが出来ないのか？オーバーローンでも売却できる方法などについて解説していきたいと思います。

住宅ローンが払えず住宅を売ることも出来ない人が急増中

不景気の影響だったり、リストラや病気などで住宅ローンの返済が難しいという人もいるでしょう。一般的な考えだと、返済できないのであれば売却すればいいのでは？と思ってしまいがちですが、現実問題はそう簡単ではありません。

たいていの住宅がオーバーローン状態であり、売りたくても売れないという状況に陥っているからです。

オーバーローンとは？

そもそもオーバーローンの意味が解らないという人もいると思うので、そこから解説していきたいと思います。不動産売買における「オーバーローン」とは、住宅の売却価格よりも住宅ローンの残債務が上回っているケースのことをいいます。

例えば2500万円の住宅ローン債務が残っているのに、2000万円で売却した場合、この2000万円全額を返済に充てたとしても500万円の債務が残ってしまいます。このように売値よりも残債務が上回っている状態のことを「オーバーローン」といいます。

ただしこのようにオーバーローンでも、不足分の500万円を預貯金などの現金で返済することができるのであれば、何も問題なく売却することが可能です。

なぜオーバーローンだと売却出来ないのか？

オーバーローンで売却が出来ない理由は、融資を受けている金融機関が売却に同意をしてくれないからです。自分のマイホームなので、別に金融機関の許可なんて必要無いんじゃないの？と思われるかもしれませんが、住宅ローン返済中は融資を受けている金融機関の抵当権が付いています。

つまり、この抵当権が付いている状態では、いくら自分の家でも自由に売却することが出来ません。抵当権を外してもらうには、融資額を全額返済することが条件になっています。

返済も売ることもできない場合はどうなる？

住宅ローンの返済を滞納し続ける

住宅ローンの返済を滞納し続けると、融資を受けている金融機関からすぐに連絡が来ます。このとき事情を説明して返済を続けることが難しいことを相談すれば、返済期間を延長したり、月々の返済額を少なくするなどの対策を取れる可能性があります。

しかし、返済滞納の後ろめたさから連絡を取らずにいると、事態はどんどん悪化していき、最悪だと裁判所から差し押さえを受け、競売に掛けられてしまいます。競売で売却されることになれば、市場相場の半値くらいでしか売れませんので、それだけ多くの借金（住宅ローン債務）が残ることになります。

オーバーローン状態でも売却できる方法はある

実はオーバーローンの状態でも売却できる方法があります。それが俗に言われている「任意売却」という方法です。言葉だけは聞いたことがあるけど、その内容までは詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。

この「任意売却」とは、オーバーローン状態であっても融資を受けている金融機関と交渉をし、売却することに同意してもらう方法のことをいいます。

金融機関にしてみれば本当は満額回収したいというのが本音なのですが、競売で売却することになり、市場の半値ほどで売却するよりも、少しでも高値で売却することができる任意売却に仕方なく応じてくれるという考え方です。

任意売却をすることに同意してもらえれば、ほとんど市場の平均相場近くで売却することができますので、売却後の借金も少なくて済みますし、交渉次第では売却後の新居賃貸費用や引越し費用まで捻出してくれることも珍しくありません。

任意売却で売却する場合はプロの専門家に依頼する

個人でも金融機関と交渉をして任意売却に応じてもらうことは出来なくもありません。しかし任意売却ほど経験の差がでる売却方法はありませんので、やはり専門のプロに相談・依頼するのが一番効率よく売却する手段だと思います。

先ほども言ったように交渉次第では、新居の賃貸費用や引越し費用まで売却価格から捻出することも出来ますので、それらの交渉はプロにお願いするのが確実です。

一般的な不動産業者でも任意売却物件を扱っていることはありますが、1年間でせいぜい1軒か2軒くらいだと思います。それでは充分に経験があるとはいえません。やはり任意売却だけを専門に扱っている業者に依頼するのが一番ベストだと思います。

任意売却のデメリットを理解しておく

任意売却という選択肢を簡単に選ぶ人がいますが、それには反対です。任意売却という方法で売却するには、それ相応のデメリットを覚悟しなければならないからです。

どのようなデメリットがあるのか、一般的なものをいくつか紹介しておきます。

• ブラックリストに登録される
• 自分な好きな金額で売却することはできない
• 売却後も返済を続けなければならない

大きなデメリットとしては上記3つなのですが、その中でも「ブラックリストに登録される」という項目に注目して欲しいです。任意売却をするには、すでに在住宅ローン返済を滞納していることが条件となります。

つまり返済滞納という金融事故を起している状態なので、当然信用情報機関にブラックリストとして登録されてしまいます。任意売却を選択するということは、自己破産などをした人と同じ扱いになってしまうということを理解しておかなければなりません。

親兄弟を頼るかフリーローンを検討する

このように任意売却をすることでブラックリストに登録されてしまうのであれば、編集長的には多少無理をしてでも不足分の現金を用意して、通常の売却を選択することをおすすめします。

親兄弟に一時的に援助をお願いしたり、銀行などのフリーローンを利用して、不足分の現金を補うという方法もあります。この方法だと親兄弟に迷惑をかけてしまう恐れがありますが、ブラックリストとして登録されるよりも数倍良い方法だと思っています。

不動産業者によっては簡単に任意売却をすすめてくることもありますが、このようなデメリットがあることを充分に説明してくれる業者でなければ信用できません。

～まとめポイント～

オーバーローンの状態でマイホームを売却するのであれば、それなりのまとまった現金が必要になります。どうしても現金が用意できないのであれば任意売却という方法もありますが、それには相応のデメリットを受けることを覚悟しなければなりません。

ですので、今後のことを考えると親や兄弟に相談してお金を用立てたり、フリーローンなどで借入をして不足分を補うのが良いと思います。どうしても任意売却を利用するのであれば、近隣の動産業者に依頼するのではなく、任に売却を専門としている業者にお願いするようにしましょう。