30坪以下の狭小住宅を建てる際の間取り例と注意点

30坪以下の狭小住宅を建てる際の間取り例と注意点

注文住宅といえば、ゆったりとした敷地に大きな家のイメージが強いかもしれませんが、近年はライフスタイルの多様性から、住宅に対する考え方にも変化がみられるようになりました。狭小住宅(コンパクトハウス)に魅力を感じる方が増加しているようです。

広大な土地を持つアメリカでも、数年前からタイニーハウス(小さな家)と呼ばれる住宅が注目を集めています。何故小さな家が注目されているのでしょうか?狭小住宅の魅力やデメリット・注意点とともに、間取り例などについて解説します。

狭小住宅(コンパクトハウス)とは

「狭小住宅って、狭小な土地に建てられた狭小な住宅ということはわかるけれど、一体どのくらい狭い家のことをいうの?」と疑問を持たれる方も多いと思います。

狭小住宅に定義はありませんが、一般的には15坪(50㎡)以下の土地に建てられた住宅のことをいいます。

狭小住宅の魅力

まずは、何故狭小住宅が注目されているのかを知るためにも、狭小住宅の魅力やメリットを挙げてみました。

少ない予算でも都心の暮らしが実現

狭小住宅は、まず土地代が安く済むのが大きな魅力。小さい土地ですから当然ですが、15坪程度の土地の場合、用途が限られてくるため一般的な土地の相場(坪単価)より安く購入できます。また変形地の場合はさらに安くなる可能性もあり、少ない予算でも都心の暮らしが実現します。

固定資産税などが安い

狭小地は、200㎡以下の「小規模住宅用地」に該当するため、固定資産税や都市計画税などの負担が少なくなります。

無駄のないシンプルライフ

無駄がなくシンプルに暮らせることも魅力です。狭小住宅の場合は建物に使用する資材も少なくエコで経済的。さらに冷暖房効率が良いため、ランニングコストも抑えられます。

数年前から断捨離やミニマムがブームになっていますが、多くの物を持たなくても豊かな暮らしを目指す方には狭小住宅はピッタリといえるでしょう。

家族を身近に感じる

狭小住宅では、家族の距離が縮まるのも魅力。昔の住宅のように、6畳間に川の字になって親子が寝るなんてことは、最近のご家庭ではかなり珍しくなってきましたが、お子様が小さい場合、子供にとって両親が身近にいることは大きな安心です。狭小住宅では家族の絆も一段と深まるのではないでしょうか。

狭小住宅のデメリット・注意点

狭小住宅のデメリットは、やはり狭小な土地(場合によっては変形地)に住宅を建てるわけですから、快適に暮らすためにはかなり工夫が必要になります。

「やはり住みにくい…」では狭小住宅を建てた意味がありません。事前にデメリットを理解した上で、デメリットを軽減させるためのプランを立てることが大切です。狭小住宅のデメリットや注意点を以下に挙げてみました。

隣家との距離が近い

狭小住宅の場合は、庭もなくスペースに余裕がないため隣家との距離が近くなります。窓を開ければすぐ隣の家ということになり、防音対策と同時に外部からの視線対策も必要になります。

間取りの自由度が少ない

狭小地では奥に細長い形の土地が多くなるため、玄関の位置は正面ということになり、
間取りが難しく自由度が乏しいこともデメリットになります。

建築坪単価が高くなる

狭小地の場合、工事の際に仮置きする資材置き場などがないため、近所にある空き地などを一時的に借りるなどの対策が必要になることも。また、狭い路地にある敷地の場合は工事車両が入らない可能性もあり、その分運搬などに人手が多く必要になります。

さらに、狭小住宅では3階建てや地下室といった間取りにすることが多く、構造的な強度を確保するため、鉄筋や鉄骨造りを採用する場合もあり、一般的な木造住宅よりコストがかかります。

建築後、外壁などのメンテナンスが難しい

住宅は必ず10~15年ごとに外壁のメンテナンスが必要になりますが、狭小住宅の場合は隣家との幅が狭く一般的な足場を組み立てることが困難な場合もあり、メンテナンスがしにくいといったデメリットもあります。

足場にも色々な種類があるので、全くメンテナンスが不可能ということではありませんが、費用が高くついてしまいます。

狭小住宅の間取り例

狭小住宅だからこそ、個性的でこだわりがいっぱいの間取りやデザインを検討したいもの。狭小住宅でもアイデアや工夫次第で快適に暮らすことができます。以下に狭小住宅の間取り例を挙げてみました。

ビルトインガレージのある3階建ての家

狭小住宅で、ガレージを確保する場合はビルトインタイプのガレージになります。1階は玄関とガレージが大半の面積を占めることになるため、LDKは2階、寝室や子供部屋は3階になるケースが多いですね。1階のガレージを分離(壁で見えなく)すると、どうしても1階の通路や階段部分に圧迫感があります。

1階を狭いだけの通路にしないためには、壁の替わりにガラスサッシやFIX(はめ込み)ガラスを採用しましょう。家の中から愛車を眺められるだけでなく、開放感アップの効果も期待できます。

屋上庭園でガーデニングを楽しむ家

狭小住宅のデメリットの1つは庭がないことです。しかし屋上やルーフバルコニーをミニ庭園にしてしまえば、趣味のガーデニングも楽しめます。ルーフバルコニーを採用する場合は、3階をリビングにして、リビングから続くルーフバルコニーにすれば物干しスペースや、開放感のあるもう一つのリビングとしても活用できます。

ルーフバルコニーや屋上庭園を採用する場合は、防水対策をしっかり行うことが重要です。

階段もオブジェに!見せる階段で開放感アップ

狭小住宅では、階段スペースも有効に活用したいものです。階段は安全性のためにも勾配や踏板の大きさなど、ある程度決められているため(踏み面は15cm以上、蹴上は23cm以下)最低でも1坪(2畳)程度のスペースが必要です。

狭小住宅によく採用されているのが螺旋階段などのリビング階段。デザイン性が高くリビングにマッチした階段を空間のポイントにするのも素敵です。シースールーの階段ならさらに開放感がアップ。

しかし、リビング階段には冷暖房効率が悪くなるなどのデメリットがあります。家全体の断熱・気密性能も含めて検討してみましょう。

スペースを最大限に活用、ロフトのある家

フロアを広くフル活用するためには、ロフトがおすすめです。ロフトをベッドルームにしたり、子供部屋にしたり、また収納スペースとしても活用できます。特にリビングと繋がったロフトは眺めもよく、子供の遊び場所としても最適なため、お子様も大喜びするでしょう。

リビングも広く開放感が生まれ一石二鳥といったところ。しかしロフトは屋根に近く夏は暑くなりやすいため、子供部屋やベッドルームに使用する場合は、断熱性能の優れた断熱材の採用をおすすめします。

まとめ

狭小住宅には、メリットもデメリットもありますが、メリットは最大限に活用し、デメリットを軽減させるプランニングが重要になります。狭さを感じさせないためには、間取りの工夫やプランニングとともに、インテリアのテクニックも必要です。

例えば、大きな家具や背の高い家具はなるべく置かない、広くすっきり見せる色使いをする、自然光を多く取り入れる(明るい部屋は広く感じる)、可能な限り窓などの開口部を大きくとる(視線を外に向けることで視線の抜けをつくる)、空間をなるべく仕切らない(壁、間仕切りなどを使用しない)などです。

是非、あなたの個性がキラリと光るような素敵な狭小住宅(コンパクトハウス)のプランを立ててみてくださいね。


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