マンション管理組合の役員が順番で回ってきた時の断り方

マンション管理組合の役員は、自分の意見がマンションの維持管理に反映されやすいというメリットがありますが、時間的心理的負担から役員をやりたくないという人が多いのが現状です。

国土交通省の発表した「平成25年度マンション総合調査」によれば、管理組合の役員就任を引き受けない理由(重複回答)は、「高齢のため」が1位、「仕事等に忙しく時間的に無理だから」が2位、「本人、家族に病人がいる等の事情があるから」が3位となっています。

役員が順番にまわってくる場合は、役員を引き受けないと、周囲から良く思われないこともしばしばあります。どうしても引き受けられないときの断り方を紹介します。

断る際の理由まとめ

近隣住民とうまくやってゆくために、断る理由は周囲が共感できることが必要です。

健康上の問題

健康上の問題なら、一番角が立たちません。例えば、

「父親70代後半現在でも仕事をしています。毎日出勤の必要があります。母親は末期がんで現在も通院・投薬中です。本人は、会社の休みが不定期です。逆流性食道炎、糖尿病による治療中で、薬による副作用があります。発作が不定期に起こり、定期的な通院が必要です。完治する日時は不明です。両親の通院は、会社を休んで付き添っているので、理事会の出席による欠勤は難しいです」

このように、本人、近親者の心身の不調や介護ならば、周囲も納得してくれます。

健康上の問題が辞退の理由の場合は、マンションによって、病気に関する診断書の提出を依頼される場合があります。書類があれば周囲の人は一層納得してくれるでしょう。

何ができないのか明確にする

「高齢だから」という理由は、一見納得できる理由のようですが、実際は難しいようです。近年、マンション住人の高齢化が進んでいる物件が増えているため、自分だけが高齢者ではないケースが多いからです。

その場合は実際に何ができないのかを具体的に伝えましょう。例えば、

「現在、頻尿症を患って居ます。以前は投薬のため通院していましたが、現在は市販の薬を購入しているため、通院していません。しかし、この症状のため、外出は難しく、仕事以外では、外出を控えています」

「聴力が衰えてしまい、現在は、補聴器をしています。一対一の会話は聞き取れますが、会議などの大勢が会話する場所の会話は聞き取れません」

高齢であることを訴えるだけでなく、起こる症状、できないことを併せて伝えましょう。

仕事が忙しいから

仕事が忙しいのは誰もが同じです。なるべく細かく話をするようにします。例えば、

「通常は、シフト制の勤務で、休みは両親と自分の通院に充てています。仮に勤務の日に理事会があり、出席するならば、他の人に勤務を交替してもらわなければなりません。月1回の変更でも会社と他の方に迷惑がかかっています。役員会等は日曜日や休日が多いと思いますが、私の会社は、日曜や祝日が休みではありません。出席できるのは、平日の午前中に限定されてしまいます。夜勤明けなども加わると、平日の午前に睡眠を取らず会に出席し、 そのまま会社に出勤することになり、体力的に難しくなります。」

役員になった時を想定し、どうしてできないのかを分かりやすく伝えましょう。

役員を断る際の注意点

役員を断るときは「できません」と押し通すのではなく、角が立たないような話し方を心掛けましょう。

役員を自分で探す

役員を依頼する人は、断られたら、次の人に役員を頼まなくてはまなりません。役員を率先して引き受けたいという人はそう多くはないので、次の人を探すのは苦労を強いられます。

自分が引き受けることができない場合は、代わりの人を自分で見つければ、理事会も納得してくれる可能性が高くなります。

何年先なら引き受けられるかを伝える

役員を断るときは、代替え案があると円滑に話が進みます。

「来年は夫が転勤先から戻る予定なので、来年度なら引き受けます」
「来年ならば、子どもが2人とも学校に入学するので引き受けます」
のように、いつならできるかを伝えます。

そうすることで、相手は役員選びの目途が建ちますし、誠意を伝えることができます。自分にいつ役員が回ってくるか予想ができた段階で、早めに相談するのがよいでしょう。

強引に断ることは禁物です。白い目で見られないよう、役員ができる(できない)時期、できる(できない)内容を明確に理事会に伝えておきましょう。

どうしても引き受けなければならないときは

代わりの人が見つからず、引き受けざるを得ないときは、自分ができること、できないことを明確に伝えましょう。

たとえば
「親の通院に、兄弟が付き添える日ならば理事会に出席できますが、ほかにつき添える人がいない場合は出席できません」
「自宅での書類作成はできますが、日時が決められている会議は出席できない場合が多くなります」
のように、条件を詳細に伝えましょう。

役員の選出方法のメリットデメリット

役員の選任方法は、立候補か輪番制によることがほとんどです。立候補を募り、欠員を輪番制で補充する場合もあります。

役員の選任方法

輪番制

輪番制は、班長のように、順番に役員を引き受けてもらう方法です。この方法の場合、多くのマンションは、1年任期で役員の全数を改選しています。

全数を改選することは、後述するデメリットがあるため、現在、任期を2年にし、1年ごとに半数を改選するなどの試みが行われつつあります。

立候補制

役員になりたい人が立候補する制度です。立候補制の場合、いつも同じ人が立候補する可能性があり、役員の顔ぶれが毎年同じになってしまう可能性があります。

メリットとデメリット

輪番制の場合、マンションの戸数が少ないと、数年に1度役員が回ってきてしまいます。また、1年任期の場合は、すべての役員が入れ替ります。

運営に不慣れな人ばかりのため、運営が管理会社の言いなりになり、独自性が失われてしまう恐れがあります。

立候補制の場合は、役員になる人が毎年同じ人になる可能性が高くなります。議題を討論する際は、同じ人の意見が通るため、新しい意見が出にくく、保守的な運営に偏る可能性があります。

役員の仕事とはどんなもの

役員になったときにはどんな仕事があるのでしょう。

国で定められている管理組合の仕事とは

国土交通省の「マンション標準管理規約」で定められた管理組合の業務は次の通りです。

  1. 管理組合が管理する敷地および共用部分などの保安、保全、保守、清掃、消毒およびごみ処理
  2. 組合管理部分の修繕
  3. 長期修繕計画の作成または変更に関する業務
  4. 建物の建替えについての合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
  5. 売主の不動産会社から交付を受けた設計図書の管理
  6. 修繕などの履歴情報の整理および管理など
  7. 共用部分などについての火災保険その他の損害保険に関する業務
  8. 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
  9. 敷地および共用部分などの変更および運営
  10. 修繕積立金の運用
  11. 官公署、町内会などとの渉外業務
  12. 風紀、秩序および安全の維持に関する業務
  13. 防災に関する業務
  14. 広報および連絡業務
  15. 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
  16. 管理組合の消滅時における残余財産の清算
  17. その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務

具体的にはどんなことをするか

  1. 組合員の資格取得・喪失の手続き
  2. 管理会社への業務委託契約
  3. 年に1回以上開催される総会の運営・準備
  4. マンションに関するチラシ作成
  5. 具体的な議案についての話し合い

都度、話し合う議案は、インターネットプロバイダの選定や、ペット飼育のルールについて、ゴミや騒音問題の解決など実生活に密接に関係している事項ばかりです。

このように、役員の仕事は、毎年継続的に行う事務作業と都度、問題提起される議案についての話し合いが主なものとなります。

まとめ

マンションの役員に専門知識は不要ですし、理事会で発言すれば、自分たちの暮らしはもっとよくなるはずです。

役員は引き受けるべきですが、どうしても断らなくてはならないなら、周囲とトラブルにならないように、誠意をもって理論的に断りましょう。

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