住宅リフォームでの所得税の控除や固定資産税の減税制度

住宅リフォームでの所得税の控除や固定資産税の減税制度

近年、住宅リフォーム費用は高額傾向にあり、新築並みの建築費用を用意しなければならないことも珍しいことではありません。頭金を用意しただけでは、住宅ローンの負担を軽くできない人も少なくないでしょう。

そこで是非とも利用してもらいたいのが国や自治体が行っている住宅リフォームの支援制度です。補助金の支給や減税措置によって、確実にリフォーム費用の軽減ができます。

しかし、用意されている支援制度には条件があり、全ての人が利用できるわけではありません。そこで今回はリフォーム費用軽減に利用できる減税措置に焦点を絞って、どんなものがあるのかその内容を詳しく解説していきます。

住宅リフォームで受けられる減税制度

住宅リフォームには知っておかないと損をする減税制度がいくつも用意されています。住宅リフォームをする際には両親や祖父母からの贈与が一般住宅で700万円、高性能住宅で1,200万円まで贈与税がかからないといったように、利用すれば大きな減税を受けられるチャンスがあります。

現在、住宅リフォームで受けられる減税制度は大きく分けると下記の3つです。

  • 所得税の控除
  • 固定資産税の減税
  • 住宅ローン減税

それではこれら減税制度はどのようなものなのか、その内容をじっくりと見ていくことにしましょう。

所得税の控除

住宅リフォームでは所得税の控除が受けられます。その控除方法は住宅購入資金が該当するタイプによって下記2つに分類され、控除条件が変わってきます。

  • 投資型減税…自己資金で住宅費用を賄う人向け
  • ローン型減税…住宅ローンで住宅費用を賄う人向け

そして、この所得税控除が受けられるのは下記リフォームを行った場合のみで、投資型減税とローン型減税で控除条件が定められています。

  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 同居対応リフォーム

それでは上記リフォームの控除条件を見ていくことにしましょう。

耐震リフォーム

改正前の建築基準法の耐震基準で建築された住宅を、現行の建築基準法の耐震基準に合わせる耐震リフォームを行った場合に適用される所得税控除で、減税対象はこれのみ投資型減税に分類される人のみとなっています。

その控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が1年間10%控除
※120㎡相当分までに限定

控除対象限度額

250万円
※改修費用と、国土交通省の工事費用相当額のいずれかの少ない金額

対象費用 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること

また、耐震リフォーム減税は、今回解説する他の投資型減税、固定資産税の減額と併用できる点も覚えておきましょう。

バリアフリーリフォーム

高齢者や要介護者、要支援認定者および、障がい者と同居する住宅所有者がバリアフリーリフォームを行った場合に適用される所得税控除です。

投資型減税

投資型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が1年間10%控除
※リフォーム後に居住を開始した年度分のみ

控除対象限度額

200万円
※改修費用と、国土交通省の工事費用相当額のいずれかの少ない金額

工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下

ローン型減税

ローン型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が5年間2%控除
※リフォーム後に居住を開始した年から

控除対象限度額

250万円
※改修費用と、国土交通省の工事費用相当額のいずれかの少ない金額

工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下
ローン要件

・返済期間5年以上の住宅ローン
・死亡時一括償還の保証がある住宅ローン
※双方必要

イメージとしてはローン型減税が5年間コツコツ減税還付を受け取り、投資型減税は1年で一気に減税還付を受け取るというものです。また、バリアフリーリフォームでは投資型減税、ローン型減税ともに他の所得税減税、固定資産税の減額との併用もできるのも見逃せません。

省エネリフォーム

要件を満たす省エネリフォームを行った場合に適用される所得税控除です。

投資型減税

投資型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が1年間10%控除
※リフォーム後に居住を開始した年度分のみ

控除対象限度額

250万円(太陽光発電システム導入の場合は300万円)
※国土交通省の定める工事費用相当額が対象

工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下

ローン型減税

ローン型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が5年間2%控除
※リフォーム後に居住を開始した年から

控除対象限度額 250万円
工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下
ローン要件 返済期間5年以上の住宅ローン

省エネリフォームでは投資型減税、ローン型減税ともに他の所得税減税、固定資産税の減額との併用ができ、バリアフリーリフォームと同様にローン型減税が5年間に分けて減税還付を受け取り、投資型減税は1年で一気に減税還付の受け取りとなります。

しかし、太陽光発電システム導入による減税は投資型減税のみの適用となります。太陽光発電システムの導入を検討している方はよく覚えておきましょう。

同居対応リフォーム

同居対応を目的に要件を満たすリフォームを行った場合に適用される所得税控除です。

投資型減税

投資型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が1年間10%控除
※リフォーム後に居住を開始した年度分のみ

控除対象限度額 250万円
工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下

ローン型減税

ローン型減税の控除内容は下記のとおりです。

リフォーム期間 平成33年12月31日まで
控除割合

リフォームの翌年度からの所得税が5年間2%控除
※リフォーム後に居住を開始した年から

控除対象限度額 250万円
工事費要件 費用から補助金等を控除した額が50万円を超えていること
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下
ローン要件 返済期間5年以上の住宅ローン

同居対応リフォーム減税は投資型減税、ローン型減税ともに他の所得税減税、固定資産税の減額との併用ができます。

固定資産税の減税

住宅リフォームでは固定資産税の減額が受けられますが、その減額対象は下記リフォームを行った場合に限定され、減額幅が変わってきます。

  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム

それでは各リフォームによる固定資産税の減額条件がどうなっているのかを見てみましょう。

耐震リフォーム

原稿の建築基準法に基づく耐震リフォームを実施した場合、下記の条件で減税措置を受けることができます。

リフォーム期間 平成30年3月31日まで
減税期間

翌年度固定資産税の1年分
※自治体が避難路に指定する道路の沿道に住宅がある場合は2年間

減税割合

50%
※120㎡相当分までに限定

工事費要件 リフォーム費用が50万円を超えていること

バリアフリーリフォーム

要件を満たしたバリアフリーリフォームを行った場合、下記の条件で減税措置を受けることができます。しかし、貸借人が賃貸住宅をリフォームした場合には、この減税措置を受けられので注意が必要です。

リフォーム期間 平成30年3月31日まで
減税期間 翌年度固定資産税の1年分
減税割合

3分の1
※120㎡相当分までに限定

工事費要件 リフォーム費用が50万円を超えていること

省エネリフォーム

要件を満たした省エネリフォームを行った場合、下記の条件で減税措置を受けることができます。しかし、バリアフリーリフォームと同様に貸借人が賃貸住宅をリフォームした場合には、この減税措置を受けることはできません。

リフォーム期間 平成30年3月31日まで
減税期間 翌年度固定資産税の1年分
減税割合

3分の1
※120㎡相当分までに限定

工事費要件 リフォーム費用が50万円を超えていること

住宅ローン減税

住宅ローン減税は住宅購入におけるローン金利負担を軽減する目的の制度で、住宅のリフォームを行った場合に下記条件にて減税が実施されます。

リフォーム後の居住開始日 平成33年12月31日まで
減税期間 翌年度固定資産税から10年間
減税割合 毎年度末の住宅ローン残高、または住宅取得金額のいずれか少ない方の1%
最大控除額

400万円(年間最大40万円)
※長期優良住宅、低炭素住宅の場合は500万円

工事費要件

リフォーム費用が100万円を超えていること
※補助金は控除

床面積要件 50㎡以上
ローン要件 返済期間が10年以上
所得要件 合計所得金額が3,000万円以下

この住宅ローン減税はリフォーム物件だけでなく、新築購入、中古物件購入にも利用できるので、覚えておいて損はない減税制度と言えるでしょう。

まとめ

住宅購入に限らず、住宅リフォーム時には国からの補助金だけでなく、今回の減税制度を見直すことが、費用負担軽減につながる一番身近な手段となってきます。しかし、受けるためには明確に利用条件をクリアしておく必要があります。

後でちょっとした工事を行っておけば減税制度が利用できたのにと後悔しないためにも、リフォームを行う際にはどんな減税制度があるのか、条件に合いそうなものにはどんなものがあるのかをよく理解し、最終的にメリットのあるリフォームとしなければなりません。

そのためにもリフォーム業者等の専門家との打ち合わせを密に行い、メリットの高いリフォームとなるようにして下さいね。


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