外壁塗装リフォームの工事単価の費用相場

外壁リフォーム前に知っておくことまとめ~相場費用・時期の目安

外装リフォームは内装リフォームと異なり、住まいの耐久性を左右する重要な工事です。しかし、その価格には、分かりづらい部分が少なくありません。

そこで今回は、塗装見積のしくみと費用相場、見積もりの正しい見方などを解説していきます。

外壁塗装の価格相場

塗装工事価格の主な部分を占めるのが、材料費(塗料、下塗り材)・架設費(足場・養生)・人件費です。以下、それぞれの費用について見ていきます。

塗料の相場

外壁塗装の見積書では、ほとんどの場合、塗料そのものの価格は明らかにされず、塗料と工賃を合わせた「材工」のかたちで示されます。

塗装面積(㎡)×材工単価(円/㎡)=塗装価格(円)

たとえば設備工事の見積などで、「材=システムキッチンやユニットバスの価格」と「工=組立、設備、電気等の工事価格」とを分けて示すのとは対照的で、塗装工事価格の分かりづらさの原因となっています。塗料の価格の調べ方については、後で触れます。

塗装価格の基本となる数量が「実塗装面積」です。実塗装面積とは、厳密には、外壁の総面積から、塗装しないドアや窓などの開口部等を除いた面積です。

「一式」や「坪」表記の見積書は論外ですが、開口部を含めた総壁面積を塗装面積として水増しする業者には警戒が必要です。

実塗装面積は、塗料の発注缶数決めるのに必要であるため、業者にとっても重要な数値であるにもかかわらず、意外とどんぶり勘定がなされているようです。

その理由としては、塗装では塗料が余るのが当たり前のため、足りなくなるよりは多めに発注するなど、ルーズな数値管理が習慣化しているからと想像できます。

施主は、相見積の依頼時に、各業者に平面図・立面図を提供すべきでしょう。見積書の面積の正確性から、業者それぞれの信頼度を推しはかることができるからです。

業者の言う数量を鵜呑みにせず、新築時の図面や見積書の「塗装面積」や「サイディング面積」、シーリングの長さ等を、事前に確認しておくとよいでしょう。

材工単価は、人件費と塗料の単価に分解できます。さらに塗料の価格は、使われている樹脂の耐久性能により異なります。

業者の見積書から塗料そのものの価格は明らかになりませんが、ネット上の塗料の通販サイトからある程度の相場を知ることができます。

塗料の通販サイト「ペイントシティーコム」によれば、標準的な塗料「エスケー化研/クリーンマイルドシリコン(ホワイト色)15kg」が\15,660(税込)で、2回塗りの場合で55㎡塗ることができると分かります。もちろん、業者の仕入れはこれよりも安い価格です。

さらに、下地ごとの下塗り材とその価格、塗布面積も検索できるため、塗装面積さえ分かれば、おおよその材料原価を割り出すことができます。

たとえば延べ床36坪、塗装面積140㎡の住宅を、クリーンマイルドシリコン(ホワイト色、エスケー化研)で塗装する場合に必要な材料は、上記のサイトから、塗料15キロ缶(\15,660)×3缶、下塗り材(マイルドシーラーEPO/モルタル下地の場合、\10,638)×2セットで、\68,256(税別)となることがわかります。

この材料原価を塗装面積で割ると、1㎡あたりの材料原価は、488円/㎡となります。これを覚えておいて下さい。

足場の相場

足場の価格は「足場面積(㎡)×単価(円)」で求められます。「足場面積」とは、外壁から50センチ離して家をぐるりと囲む足場の総面積のことです。

たとえば、一階が5×4間(20坪、1間は1.8m)、二階が4×4間(16坪)の二階建ての住宅なら、

  • 一階の足場の外周長:(5+5+4+4)×1.8+(0.5×8)=36.4m
  • 二階の足場の外周長:(4+4+4+4)×1.8+(0.5×8)=32.8m 

それぞれに高さ3mを乗じると、足場の総面積207.6㎡が求められます。

信頼性の高いビケ足場(昇降階段付き)の単価相場は650~800円/㎡なので、\134,940~\166,080となります。

養生シート(飛散防止シート、防護シートも同じ)の価格も、この足場面積を基に算出されます。屋根塗装がある場合は、転落防止のために二階外周を1m程度上にのばすので、面積も増えます。

人件費の相場

建築の分野では、建築工の人件費を表すのに、「人工(にんく)」という単位が使われます。「人工」とは、1人の職人が1日にこなす作業の量や、それに対する人件費を意味します。

「人工」は、大工なら2万5千円前後、塗装工なら2万円前後と、工種により異なります。

塗装の人件費の原価を知りたければ、業者に工期と現場に入る職人数をたずねてみるとよいでしょう。

「工期は10日で、毎日2人入ります」との回答なら、20人工で約40万円と人件費の原価が推測できます。

人件費は、塗装工事の場合、各工程間に「乾燥」の工程を挟むため、かならずしも塗装面積と連動しません。つまり、30坪の家も、40坪の家も、人件費はあまり変わらないのです。

延べ床36坪、塗装面積140㎡の住宅の塗装に、40万円の人件費がかかるとすると、人件費の単価は2,857円/㎡となります。

これは、塗装工事のみではなく、下塗り、上塗り、養生、高圧洗浄、シーリング、下地調整、清掃等々、足場を除いた一連の塗装工事すべての人件費を含みます。

この項まとめ

塗装価格は塗料・足場・人件費から成ることは、冒頭で触れました。

塗料のおおよその原価は488円/㎡、人件費の原価は2,857円/㎡であることが分かりました。

したがって、シリコン塗装(下塗り1回、上塗り2回)の材工原価は、塗装面積140㎡の場合、

(488+2,857)×140=468,300円

業者が30%の利益を見込んだ場合は、
468,300÷(1-0.3)+134,940~166,080=803,940~835,080円
(足場代/上記参照、原価ではなく業者の利益を含みます)

これに、雑塗装(雨樋、木部等)、消耗材(シーリング剤、マスカー、養生テープ)、機材損料(ローラー、刷毛、Vカット丸刃)、諸経費、現場管理費などを加算すればおおよその工事価格が求められます。

見積書の見方と注意点

見積書の見方について考える前に、どのような業者に見積を依頼するかが重要です。

結論からいえば、工事契約する業者と、実際に工事をする業者が、同じならリーズナブルな工事となります。

そうでない場合、契約した業者から下請け・孫請けと、外注により工事価格は膨らんでいきます。

ハウスメーカーやリフォーム会社には、営業や技術スタッフのみで、建築工はひとりもいません。

塗装の相見積もりを取る場合、ハウスメーカーやリフォーム会社のみでなく、地元で評判の良い塗装専門会社を加えるべきでしょう。

見積書の見方と注意点については、すでに触れていますが、以下、おさらいしておきます。

見積書の数値が正確であるか

悪徳業者でなくとも、塗装面積を水増しして、価格をつり上げるケースは少なくありません。

かならず引渡し時の書類から外壁の実塗装面積や、足場面積、シーリング長等を確認しておきましょう。計算方法は、すでに解説したとおりです。

あなたが業者に図面を提供しており、事前にいくつかの重要な数値を把握しているなら、業者見積の数値から、工事をまかせるべきでない業者を判定することができます。

必要な情報が盛り込まれているか

見積書には決まった書式がないため、業者によっては、知らせたくないことを書かないケースが見受けられます。

塗料や下塗り材のメーカーと商品名は明確でしょうか。「フッ素塗装」「シリコン塗装」とだけ書かれているなら、銘柄を訊いて、上記の『ペイントシティーコム』等のサイトで性能を確認してみましょう。

「クラック補修」とのみ記載されていたなら、「V(またはU)カット後、プライマー及びシーリング)」の意味なのかを確認しましょう。

「サイディング目地シーリング補修」のみの記載なら、「打ち替え」なのか、「増し打ち」なのかを尋ねましょう。

「何をするのか」が明確に分かること、また、「何をしないのか」も明確に分かる見積書が理想です。

工事単価の目安

延べ床面積と塗装面積とは、相関関係はありません。しかし、工事単価の目安を知る手掛かりにすることはできます。

前述の計算例では延べ坪36坪で、塗装価格が803,940~835,080円(税別)だったので、坪単価は22,332~23,197円/坪となります。

つまり、シリコン塗装(下塗り1回、上塗り2回)の相場は36坪の場合、坪単価は約22,000~23,000円となります。

かさねて強調しておきますが、これは、あくまでも雑塗装(の材料)、消耗材、機材損料、諸経費、現場管理費、消費税を除いた単価です。

坪数が多くなれば坪単価は小さくなり、少なくなれば坪単価は大きくなります。また、樹脂のグレードにより増減します。

まとめ

塗装工事について指南するサイトは多くあり、情報のクオリティも玉石混交です。その運営者のほとんどは、リフォーム業者などによるもので、最終的に受注を呼び込むことを目的としています。

相場価格を検討する場合、原価から積み上げていく方法が最良ですが、業者にとって原価に触れることはタブーであるため、市場価格例などから説明するケースが多いようです。

しかし、その市場価格といえば、30~300万円と価格に異常な幅があるため、「高すぎず、安すぎない塗装を選びましょう」といった結論で締めくくられています。

ここでは、複数の見積を比較するという以外の方法で、塗装価格を客観的に判断する方法として、施主が塗装の原価を求めるためのヒントを示しています。

最後に、塗装工事の前に閲覧すべき中立的なサイトをご紹介して、この解説を終わります。

参考:見積チェックシステム(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

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