外壁塗装を自分でやる際のDIYの方法と費用、注意点

外壁塗装を自分でやる際のDIYの方法と費用、注意点

DIYの達人でも、さすがに後ずさりするのが外壁塗装。理由は、工事が長期にわたる、天候に左右される、作業が過重、など取り組みにくい工種だからです。

さらには、イニシャルコストの低減効果はすぐに目に見えても、肝心の耐久性については、素人の工事ゆえ年数を経た後でしか評価できないのも悩ましいところです。

ここでは、それでも外壁塗装のDIYにチャレンジしたいという人のために、有益な情報をご紹介します。

自分で行う外壁塗装

DIYは、小さなものから大きなものへ、単純なものから複雑なものへと、反復により熟練します。日曜大工で椅子を作ってみる、やがて多くの木工の経験を経て、間仕切り工事やログハウスを自作することができるようになります。

しかし外壁塗装については、そのような成長をたどるのは困難です。犬小屋の塗装を何度くりかえしても、住宅の外壁塗装に役立つ高度な経験は得られないからです。

10年から20年に1度の工事を一発勝負で自力でやりとげようというなら、周到な準備が必要です。

外壁塗装の流れや期間

DIYの塗装も、プロの業者の塗装も、工程の流れは同じです。しかし、DIYとプロの塗装とは、作業時間や熟練度の差から、期間は大きく異なります。

通常なら35~45坪の住宅で、プロの塗装工なら2人で実働10日前後の工期となりますが、素人が週末の1~2日のみを充てる作業では、3か月以上の工期を見込むべきでしょう。

流れは以下の通りです。

1. 塗装計画作成・予算出し

塗料や塗装仕様、作業計画を立てます。工程表をつくり、工程を落とし込んでみましょう。  

2. 足場架設

足場だけは素人が組むのは不可能です。足場専門業者に依頼して下さい。

工務店などに依頼すると中間マージンにより割高となるため、依頼するのは足場専門の業者が最適です。

2階建なら「3段組み、ステップ(階段)、メッシュ付き」で見積を依頼して下さい。屋根塗装をするなら、落下防止のためさらに1段上げ、軒より高い位置に手すりを設けます。

はしごや脚立足場を移動しながらの作業は、「足場ムラ」と呼ばれる塗り斑(むら)が生じ、仕上がりが良くないばかりでなく、大変危険です。決してやってはいけません。

3. 洗浄

ブラシとホースで外壁を水洗いします。家庭用高圧洗浄機があれば便利です。

北側の壁などに多く見られるのが、カビのような緑色の藻類。ブラシで落とせない場合は、市販の専用除去剤が有効なので利用するとよいでしょう。

外壁が蔦(つた)に覆われている時は、それらを取り去った後、根をバーナーで焼くと塗装後の発芽を防ぐことができます。

4. 下地補修

幅0.5mm以上の外壁のクラック(亀裂)があればVカットし、プライマーを塗りシーリング剤で埋めます。「Vカット」とは、細いクラックをV字型の溝に削りひろげることで、シーリングを打ちやすくする下地処理です。

クラックゲージがあれば、クラックの幅を測ることができます。クラックゲージはホームセンターで数百円で手に入ります。

Vカットにはディスクグラインダーという電動工具を使いますが、ディープなDIYオタクでなければ、その後に使うことはないので購入するのは不経済です。

そこで、1日数百円でレンタルできるホームセンターの電動グラインダーを利用しましょう。しかし、比較的高価なVカット用の丸刃は購入する必要があるため、0.5mm以上のクラックが目立つ場所に多数ある場合のみ検討してみてはいかがでしょうか。

外壁がサイディングなら、目地シーリングの打ち替えが必須です。業者の中には、既存のシーリングの上に新しいシーリングを施す「増し打ち」をするケースがありますが、DIYでは、そのような妥協はしたくありませんよね。

目地の左右にカッターを入れ、下から上へ走らせ、劣化した目地材をすべて取り去ります。目地の両脇をマスキングテープで覆い、剥がしやすいよう上端を折り返します。目地の中にプライマーを塗り、シーリングを打ちます。

目地シーリングには、変性シリコンとコーキング・ガンが必要です。どちらもホームセンターで安価で購入できます。

5. 養生

塗料で汚れぬよう、窓やドアをマスカーで養生します。マスカーとは、小さく折りたたんだビニールにテープが付いた資材です。必要な長さを窓枠に張り付け、ビニールを広げることで養生ができます。550mm、1100mmなどビニールの幅があり、使い分けるとよいでしょう。

6. 外壁塗装

下塗り、上塗りは、十分に乾燥した後で、次の工程に進んでください。失敗したからといって乾燥前に、塗り直しをすると、最初の塗料を剥がしてしまいます。

ローラーの扱いに慣れていないなら、目立たない北面の壁から塗り始めましょう。仕上げ1回目と2回目の色を少し変えると、塗り忘れを防ぐことができます。

7. 最終検査

塗り残しなどがないか、注意深く点検します。足場撤去後は手直しをする機会が失われるので、高い部位ほど丹念にチェックしましょう。

8. 足場撤去

足場を撤去し、完成です。

費用相場

DIY塗装で費用の大きな部分を占めるのは、塗料と足場です。仮に、かなり劣化した外壁200㎡をDIY塗装した場合を試算をしてみます。

  • 下塗り材(エラスティックフィラーⅢ/ロックペイント):16kg(\2,916)×4=\11,669(税込)
  • 上塗り材(クリーンマイルドシリコン/エスケー化研):15kg(\15,660)×8=\125,280(税込)

参考:通販塗料のペイントシティーコム(http://www.paint-city.com/

  • 足場代(ビケ足場):足場面積240㎡×\600~800=\144,000~192,000(税別)

ただし、この足場価格は一般の塗装見積の比較的良心的な価格をそのまま記載したもので、あくまでも目安です。

DIYの場合は、足場業者と取引実績がなく、架設期間が長期にわたるなど、多少事情が異なります。塗装計画の段階で、最寄りの鳶(とび)業者に問い合わせ、見積を依頼して下さい。
上記の他、副資材や消耗品などは、ホームセンターで調達することができます。5~10万円程度の予備費をみておくとよいでしょう。

自分で外壁塗装を行う際の注意点

プロの塗装業者は、素人には見えにくいさまざまなノウハウを持っています。その主なものを以下に紹介しますので、DIYに活かしてください。

塗装時期の選び方

業者に依頼する場合でも、塗装の時期は重要です。工期が長期にわたるDIY塗装では、天候リスクが大きくなるため、さらに慎重に選ばなければなりません。

猛暑時の慣れない作業は負担が大きく、寒冷時は朝霜の影響で作業が始められなかったり、塗料の乾燥も遅くなります。雨は養生のマスカーを脱落させます。

工期は、梅雨入り前の3か月間か、秋口からの3か月間が適当でしょう。

安全面と防犯対策

DIYで塗装をする場合、一番大切なことは、プロと同じく安全第一ということです。安全帯やヘルメットをはじめ、動きやすく足場に引っ掛かりにくい服装や靴の着用をおすすめします。

転落死亡事故の多くは、足場の高所でなく、むしろ気の緩みやすい低所で起きていることを覚えておいて下さい。

防犯面では、足場の架設が長期にわたるため、防犯上の注意が重要となります。留守にする時は、2階の雨戸やシャッターを閉め、施錠を心がけましょう。

作業をする際の注意点

作業をする際の注意点もいくつかあります。重要な部分のみ解説しますので、これらのことに注意して作業を行いましょう。

高圧洗浄時の注意点

家庭用高圧洗浄機を使用する場合、サッシ窓枠や玄関・勝手口ドア枠への直接噴射を避けます。外部建具は真横からの高圧水に対して水密性が悪く、必ず室内への水漏れが起こります。

エアコン室外機と給湯器の養生について

エアコン室外機や給湯器の養生は、マスカーを筒状にして垂らし、排気を塞がぬようにします。

強風時の養生メッシュの扱い

台風など、強風が予想される場合は、養生メッシュの留め紐を一部解いて、片側の垂直方向の単管に巻き寄せておきます。そうしないと、風をはらんだメッシュが足場を激しく揺らし、外壁を突き破ってしまうことがあるからです。

まとめ

DIYの中でも外壁塗装は、きわめて難易度が高い工種です。しかし、自分の手で塗り替える喜びは大きく、休日ごと、家族や友人と力を合わせて取り組むなら、最上のレジャーといえるでしょう。

塗装はひとつの工程が完了すれば、その後は乾燥を待つことになり、次の工程に進むことができません。それならば工程表に、作業後のバーベキュー・パーティなど家族や仲間との楽しい集まりを落とし込み、モチベーションを高めてみてはいかがでしょう。

DIY塗装をなしとげた後の達成感と、我が家への愛着は、おそらく格別なものであることは間違いありません。


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