販売予定マンションと建築済マンションの違い

販売予定マンションと建築済マンションの違い
間取りへのこだわりや、入居時期などの希望によって選び分ける

新築分譲マンションと言っても大きく2種類に分けることができます。マンション計画の段階で売り出されるのが「販売予定マンション」で、すでにマンションが建築済みで売りに出されているのが「建築済みマンション」となります。

同じ新築マンションでも、販売予定マンションと建築済みマンションでは、別物だと考えた方がいいでしょう。解りやすく説明するなら、販売予定マンションが戸建てで言うところの「注文住宅」で、建築済みマンションというのが「建売住宅」だと考えてください。

この2種類のマンションは、購入までのスケジュールなどがまったく異なります。それぞれにメリットやデメリットがありますので、今回はそこを詳しく紹介していきたいと思います。

販売予定マンションとは?

販売予定マンションとは、まだマンションの工事も何も始まってない段階で売りに出されているマンション物件のことをいいます。つまりマンションを建設する土地(場所)は正式に決まっているけど、間取りや販売価格など、詳しい内容までは公開されてない(決まってない)状態です。

一般的に新築分譲マンションの販売は、ほぼ全ての物件がこの「販売予定マンション」として販売がスタートします。このように計画の段階で売りに出されることを業界では「青田売り」と呼ばれてます。

※青田売りとは?

物件が完成する前に販売する方法。農家が稲を収穫する前に、おおよその収穫量を見越して先売りする意味から来ている

ですので、宣伝広告には「平成28年10月頃完成予定!」というように、約1年先くらいの完成計画しか記載されていません。販売をしながら、お客さんの反応や状況をみて、2LDKの部屋をもっと増やそうとか、販売価格をもっと下げようなど具体的な計画が決まっていくことも珍しいことではありません。

売りに出されているのに具体的な販売価格も決まってないの?と不思議に思うかもしれませんが、これが新築分譲マンションでは日常的なことなのです。そもそも販売予定マンションの場合、モデルルームが公開されると同時に販売をスタートしますが、「販売スタート=契約」とはなりません。

一般的には平等性を保つため、第一期募集や第二期募集というように、期限を切って販売をスタートします。つまり平成27年8月1日に販売がスタートしても、第一期募集の締め切りが平成27年9月30日となっている場合、その締め切り後に正式な売買契約となります。

そのため、同じ部屋を希望(申込み)する人が出てきてしまうのですが、このように希望が重複した場合は、抽選などによって決めるのが一般的です。ただし、最近では先着優先方式を取っている販売業者も増えてますので、まず先着優先方式なのか、抽選方式なのかを見極めておくことも重要になります。


販売予定マンションを選ぶメリット

現在新築のマンションを買おうと思ったら、この販売予定マンションが主流となってます。どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?簡単な解説を交えながら紹介していきます。

間取りや設備品の変更が可能

一番のメリットは間取りや設備品の変更が可能というケースが多いことです。まだ建設すら始まってない段階なので、3LDKを2LDKに変更して欲しいとか、バスルームを広くして欲しいなどの要望を聞いてもらえる可能性があります。ただし、構造の問題だったり、販売業者の考えによって変更できない箇所やケースもありますので、事前に相談してみると良いでしょう。

階数や角部屋など、希望の部屋を購入できる可能性が高い

一般的に○月○日受付スタートというような販売スタイルなので、角部屋だったり、希望の階数の部屋を購入できる確率が高くなります。当然角部屋だったり、高層階は人気が高いので、それだけ競争倍率は高くなります。

完成が先なので、買い替えなどに向いている

完成引渡しは1年後くらいの物件が多いため、今のマンションを売却して買い替えをする場合だと、余裕をもって現在の住まいを売却することができますし、明確な期限を切って販売活動をすることができますので、値下げなどのスケジュールも立てやすくなります。

人気の物件を購入できる

建築済みマンションの場合、販売予定の時点で売れなかった部屋が主流なのですが、この販売予定マンションであれば、好立地・ハイグレードなど、好条件の人気マンションを平等に購入できるチャンスをもらうことができます。

建築時や完成時のチェックができる

建築候補地の段階から調査することも可能ですし、建築経過や完成検査のときも入念にチェックすることができます。建ってしまってからでは見ることが出来ない構造部分までチェックできるのは、販売予定マンションの大きなメリットです。

他の世帯も同時期の入居なので、近所付き合いが楽になる

完成引渡しが同時期なので、ほぼ全ての入居者が同じタイミングで引っ越してくることになります。そのため近所付き合いやコミュニティが作り易いというメリットがあります。学校に例えるなら、二学期から転校してくるよりも、新学期からの方が友達が作りやすいのと同じですね。

余裕をもって引越しまでのスケジュールが組める

どんなに短くても引越しは半年以上先になるので、仕事や学校など、引越しまでのスケジュールをゆっくり考えることができるのは大きなメリットとなります。


販売予定マンションのデメリット

販売予定ならでわのデメリットもありますので、そちらも紹介しておきます。

実物のマンションや部屋を見ることができない

これがやはり一番のデメリットだと思いますが、実際のマンションやお部屋を見て購入することができません。もちろんモデルルームなどが用意されていますが、あくまでもモデルルームなので、実際の間取りと異なることもあれば、日照や風通、それに眺望などはまったくわかりません。

入居までの期間が長い

契約してから入居できるまでの期間が長いのも良し悪しだと思います。それをメリットと捉えることもできますが、デメリットと考える人もいるでしょう。平均すると契約から入居までの期間は1年弱くらいです。長い物件だと2年を超えるケースもあります。

契約後、他に良い条件の物件が売り出されることも

契約から入居までの期間が長いため、契約後にさらに良い条件の物件が売りに出されることもあります。もしそちらの物件に乗り換えるのであれば、手付金を放棄して契約解除しなければなりません。

モデルルームなどのコストが販売価格に反映されている

販売予定マンションの場合、お部屋のイメージをわかってもらうために、モデルルームが必ず建設されます。当然そのモデルルームは販売終了と同時に取り壊されることになるのですが、それらの費用もマンションの販売コストに反映されているのは言うまでもありません。

最悪の場合、販売業者が完成前に倒産するリスクがある

これは本当に最悪のケースなのですが、契約後に販売業者が倒産してしまうというリスクがあります。現にそういう事例は過去に何度も起こってます。


なぜ完成前に販売をするのか?

新築分譲マンションの多くが販売予定として建築前の物件を販売するのか?その理由は基本的に販売業者の都合にあります。マンションの建設となれば、莫大な建設費が必要になります。当然それらの建設費は銀行などから融資を受けるようになるのですが、仮に10億円掛かったとしましょう。

この10億円を借り入れた場合、金利1.2%で計算すると、毎月の利息だけで100万となります。それを建設が終了するまで毎月払い続けるのであれば、利息だけでも数千万円という金額になってしまうのです。そのため販売業者は借入れ期間を最小限に抑えるため、マンションの先行販売をする必要があるのです。

理由はこれだけではありません。例えばマンションの建設を計画した段階より地価が下がってしまうことも考えられます。そうなると、その損失は販売業者が被らなければならないので、そのリスクを軽減する狙いもあります。


建築済みマンションとは?

すでにマンションの建物が完成している段階で販売されている新築分譲マンションのことを「建築済みマンション」や「完成済みマンション」という言い方をします。ただし、マンションが完成してから一斉に販売が開始されるというケースは滅多にありません。

一般的に建築済みマンションとは、先行販売の時点で買い手がつかなった部屋ということになります。つまりすごく悪い言い方をするなら「売れ残りの部屋」という印象が強くあります。

しかし、売れ残りといってバカにはできません。ある機関の調査では、販売予定マンションよりも、建築済みマンションを購入した人の方が、物件に対する満足度で上回っているという結果になりました。これはやはり実際に完成したマンションやお部屋を見て購入できるので、それが満足度や期待値などに直結している結果だと思います。

また建築済みマンションの場合、ある一定の期間を過ぎると新築分譲マンションとして売れないという決まりがあり、それらの物件は新築未入居物件などとして、中古同様の扱いで売られることもあり、掘り出し物件がみつかることもあります。

売れ残り物件というイメージばかりが先行している「建築済みマンション」ですが、探しようでは掘り出し物件に遭遇できる大きなチャンスでもありますので、候補としては外せません。


建築済みマンションを選ぶメリット

人気という面では販売予定マンションに劣ってますが、建築済みマンションならでわのメリットやデメリットがありますので、簡単な解説を交えながら紹介していきます。

実際の部屋を自分の目で確認することができる

建築済みマンションの最大のメリットは、実際の建物だったり、お部屋を自分の目で確認できることです。部屋をその目で確認することができるので、より新生活をイメージしやすくなります。なにより実際に動線を確認できるのはマイホーム選びでは最重要だとされているので、これができるのは建築済みマンションの最大の強みだと思います。

眺望や周辺の環境を実際に確認できる

実際の眺望もその目で確認できますし、風通しや日照具合を知ることもできます。また建物周辺の環境も知ることが出来るので、マンション周りに無断駐車している車が多くないか?だったり、駐車場への出入りは容易であるか?なども実際に体験することができます。

契約から入居までの期間が短い

販売予定マンションが契約から入居まで平均1年程度なのに比べ、こちらの建築済みマンションであれば、契約から入居まで1ヶ月以内で実行できることも珍しくありません。ただ、住宅ローンの状況なども関係してきますので、事前準備が必要です。

格安の掘り出し物件を発見できる可能性がある

販売予定の段階で契約にいたらなかった部屋が多いこともあり、様々なオプションや特典が付帯していることも珍しくありません。当初の販売価格よりも下がっている物件もあれば、エアコンや食器棚など、生活備品をサービスでプレゼントしてくれる物件もあります。

住宅ローンの変動リスクが低い

契約から入居までの期間が短いので、住宅ローン金利が大幅に変動する可能性が低いです。今は住宅ローンも最低金利時代だと言われていますので、いつ上昇に転じるか不明瞭でもあり、せっかく一番低い金利で契約しても、融資実行時には大幅に金利が上昇している可能性があります。ですので、なるべく契約から実行までの期間を短くすることで金利上昇のリスクを軽減できます。

すでに入居している人もいるので、隣近所の状況を知ることができる

建築済みマンションの場合、すでに入居者がいる物件も珍しくありません。しかし、すでに入居者がいるということは、裏を返せば、どのような人が隣人であるか知ることもできます。マンションでは思っている以上に近隣トラブルで悩んでいる人も多いので、購入前に隣人を知ることができるのは大きなメリットのひとつです。


建築済みマンションのデメリット

建築済みマンションならでわのデメリットもありますので、そちらも紹介しておきます。

間取りや設備品の変更ができない

すでに建物も内装も完成しているので、間取りの変更だったり、設備品の変更には応じてもらえないのが一般的です。これを一番のデメリットだと感じる人も多いのではないでしょうか。

条件の良い部屋は契約済みの可能性が高い

分譲マンションの多くが、建築までに販売スタートしますので、人気の部屋はすでに売り切れている可能性が高いです。角部屋だったり、高層階で眺望の良い部屋などは既に完売済みであることを覚悟しておきましょう。

駐車場が確保できない場合も多い

都心部では、部屋数分の駐車スペースを確保できない分譲マンションも珍しくありません。このように部屋数よりも駐車スペースが少ない物件の場合、建築前販売の時点で駐車場が全部埋まってしまっている可能性が高いです。駐車場が敷地内に確保できないと、近隣で高額な月極め駐車場を借りなければならなくなります。


まとめポイント

このように「販売予定マンション」と「建築済みマンション」では、まったくの別物マンションを買うつもりで考えておかなければなりません。現時点では「販売予定マンション」を購入する人が圧倒的に多いのが現実ですが、人それぞれ事情や好みが違いますので、自分たちに合った販売スタイルのマンションを選べば良いと思います。

それぞれの販売スタイルに応じてメリット、デメリットがありますので、そこを把握しておくことで、おのずと自分たちに見合うマンションがどちらなのか見えてくるはずです。


目次一覧

新築マンション購入までの流れ

新築マンションで特に気をつけたいポイント

新築マンションに関するよくある質問

中古マンション購入までの流れ

中古マンションで特に気をつけたいポイント

中古マンションに関するよくある質問

予算、間取りに関するアドバイス

耐震・セキュリティについて

女性のマンション選びアドバイス