築年数でわかる当時のマンション傾向

築年数でわかる当時のマンション傾向
各年代ごとのマンション傾向を知ることで、候補物件を絞りこむことができる

中古マンションの購入を検討しているのであれば、年代別にどのようなマンション傾向が強かったのか勉強しておくのも良い手段だと思います。マンションは当時の人気や流行りを強く反映させる傾向にあるので、そのマンションが建てられた年代により大きく特徴が異なるため、間取りや設備などにも大きく影響しています。

現在の新築分譲マンションの傾向を知っておこう

年代別のマンション傾向を知るまえに、現在の新築分譲マンションの傾向を軽く勉強しておきましょう。どのような設備が一般的になり、どのような対策が施されているのでしょうか?

現在の新築分譲マンションの特徴

2015年現在、新築分譲マンションでもっとも力を入れている部分が「災害対策」と「省エネ化」です。もちろんどちらも5年前や10年前からメインの対策として講じられてきましたが、どちらも年々進化していますので、5年前や10年前よりも安全面や省エネ面で大きく進歩しています。

例えば災害対策ですが、これまでは地震に対する建物強度などに比重を置いていたのが、近年では災害後の生活を中心に考える傾向になってきてます。例をあげるなら災害時の飲食を確保するために、マンション全体の備蓄倉庫を作ったり、シャルターのような避難所があるマンションも増えています。

これまでもマンションは貯水タンクを利用するので、断水などにも強いというイメージがありましたが、さらに自家発電や自家浄水装置の設置などにも目を向け、マンションの住人だけであれば数日~1週間くらいは生活できるだけの資源や電力を確保できるようになっています。

続いて省エネ面ですが、これも数年前から取り組まれている分野なのですが、ここ2年から3年で急激に進歩しています。マンション全体の機密性や断熱性をアップさせる構造を用いたり、共用部分の電力を太陽光発電で補うことで、居住者の管理費を下げる努力をしています。

これまでは難しいと言われていたマンションの世帯別太陽光発電ですが、それも小型化が進んでおり、ベランダに蓄電装置を設置したりするなど、日々進化しています。

その他にも、インターネットの普及に伴いネット整備を充実させたり、コスト面でハイグレードマンションにしか設置されてなかった生ゴミ処理に威力を発揮するディスポーザーの普及なども目立つようになりました。

築5年以内のマンションの特徴

東日本大震災の影響もあり、防災に対する考え方の見直しが行われるようになり、次第に建物の強度や対策から、防災後の備えに目を向ける物件が増えてきた。また震災の影響で建築資材や人材の確保が難しくなり、建設費がアップしたことで新築棟数が低下したと同時に中古マンションの需要が増えたことで、新築、中古共にマンション価格が値上がりしたと言われている。

良くも悪くも震災は、マンションに大きな影響を及ぼす結果となった。

部屋の特徴

部屋の特徴としては「アウトフレーム工法」が主流になり、邪魔だった柱や梁を外側に向けることで、居住スペースを広く使えるようになった。またセミオープンタイプの対面式キッチンからフルオープン型が増えたことで、LDKがより広く感じられる作りになっています。

さらにこれまでスラブ厚の平均が150mm~180mmだったのが、200mm以上が主流となったことで、より防音性能が向上したマンションが増えました。

スラブ厚とは?

マンションの床下部分に使われているコンクリートの厚みのことです。

それ以外で目立った変更点といえば、部屋内のドアが開き戸から引き戸タイプが増えたように思います。

ずっと以前は引き戸が主流だったのですが、最近は開き戸が主流となっていました。しかし開き戸のドアタイプよりも引き戸タイプの方がスペースを有効活用できるという点で、最近では洗面所やトイレのドアを引き戸にするタイプのマンションが再度増えたように思います。

建物の特徴

マンションの建物で大きな変更点はあまり無いように思いますが、これからの高齢社会に適応するため、ユニバーサルデザイン仕様のマンションが増えてきました。部屋内のバリアフリー化は何年も前から注目されており、それに対応したマンションも多かったのですが、ここ数年は部屋のバリアフリーだけではなく、マンション全体のユニバーサルデザインを考えている物件が増えてます。

ユニバーサルデザインとは?

老若男女、障害者、健常者、高齢者など、すべての人が公平に暮らせる建物や製品などを、世界基準でユニバーサルデザインと言います。つまり高齢者や障害者だけを特別扱いするのではなく、全ての人にとってベストの建物や製品を作ることという意味です。


築10年クラスのマンションの特徴

築10年から築15年くらいのマンションは、一番マンション業界の変動が大きい時期に建てられています。そのため、建築する側も何を売りにするのか焦点が定まってない物件が多く、マンションによってコンセプトが全然違う物件が目立ちます。

部屋の特徴

15年前の2000年に「住宅性能表示制度」がスタートしたことで、マンションの基本的な性能は飛躍的にアップしました。主に二重床や二重天井の普及が進み、防音性能やリフォームの簡易化がアップした。

さらに2003年の「建築基準法改正」により、シックハウス対策が義務化されました。このシックハウス対策で取り入れられたのが24時間換気システムの導入です。そして2006年には「バリアフリー新法」が施工されたことで、居室内のバリアフリーが標準仕様となります。

なによりも住宅性能表示制度のスタートは、青田売りが主流となっているマンション業界に大きな変革をもたらしました。これまで建物も何も無い時点で高額な買い物をすることに躊躇していた人たちが安心してマンションを購入できるようなったのです。

またオール電化住宅の普及もあり、IHクッキングヒーターなどを標準仕様で設置している物件が目立つようになりました。

建物の特徴

分譲マンションの大規模化が進んだのもこの時代です。100世帯を超えるような大規模マンションの建設が相次ぎ、スポーツジムやコミュニティルームなどの共用施設も充実して行きます。

そしてこの時代の売りのひとつにセキュリティ面を重視した物件が多いのも特徴だと思います。玄関部分に二重オートロックを採用したり、防犯カメラの設置台数やセキュリティ会社との提携物件が登場します。ディンプルキーなどを採用している物件は、防犯面にも配慮したマンションだと言えるでしょう。


築20年クラスのマンションの特徴

築20年くらいのマンションが現行のマンションの礎になっていると言っても良いでしょう。それまでのマンションと比べると、かなり現行のマンションに近い機能や設備などを配するようになっています。

部屋の特徴

玄関を入ると廊下があり、その一番奥にLDKを配置するような現行型の間取りが採用されはじめたのが、この頃の特徴です。さらにこれまで居室とDKを別々に配置していたのが、LDK型に変更され、それに伴いリビングのフローリング化が進みました。ほぼ現行のマンションと遜色ない間取りや設備になっています。

ただし間取り図ではLDKとなっていても、独立型のキッチンや対面式のセミオープンキッチンが主流ですので、今のようなLDKとは少しイメージが違うかもしれません。そのためこの時期の中古マンションを購入する人の多くが、リノベーションで開放的なLDKを希望されます。

しかし居室内のいたるところに段差があり、バリアフリーなどの意識はまだまだ低い時代です。
そして二重床などの物件も少ないので、配管などの問題で間取りやキッチンの変更が不可の物件も多く、リノベーションを考えているのであれば、それらに注意して購入しなければなりません。

建物の特徴

1993年の建築基準法改正によりマンション全体の耐火性能が大幅にアップ。と言ってもやっとオートロックなどが登場し始めたように、防犯やセキュリティの面では現行のマンションには遠く及びません。

さらに築20年を超えると、改修工事や補修工事も増えてくるので、修繕積立金などの問題が発生している物件も多くあるので中古マンションを購入するときは注意しなければなりません。この頃のマンションは今よりも将来的な補修や改修の計画がずさんなマンションも多く、改修工事や補修工事が必要なのに、その資金がないため放置している物件も少なくありません。

バブルの崩壊で一時期低迷していた新築分譲マンション戸数も増え始め、それに伴い高級志向のマンションからの脱却を図り、一般向けの分譲マンション戸数が急激に増加しました。


築30年クラスのマンションの特徴

築30年といえば1985年なので、バブル期の高級志向のマンションも多く、都心部などでは億ションなどと呼ばれる1億円超えの物件も数多くありました。また1981年の建築基準法改正により「新耐震基準」がスタートしたことで、現在も中古マンションでは1981年以降に建設された物件を購入するのが常識となっている。

部屋の特徴

リビングとDKが別々に作られている物件がほとんで、広々したLDKタイプは滅多にありません。また洋室もフローリングではなく、カーペット敷きというのが一般的でした。トイレの温水式便座も無く、キッチンやお風呂の蛇口も混合式のシングルレバーではなく、温水と冷水の蛇口をそれぞれ回して温度を調節するタイプが主流です。

またお風呂の給湯器も16号など、容量が小さいサイズが主流でしたが、15年程度の耐用年数が経過したことで、容量の大きいサイズに変更されている物件も多いようです。それと追い炊きなどの機能も、まず望めません。このように部屋の作りや水周りの設備の差が現在のマンションと比べてしまうと、雲泥の差があります。

さらにチェックしたいポイントとして断熱性能があります。今のようにペアガラスもほとんどなく、樹脂サッシなどは皆無と言えるでしょう。そのためシングルガラスの窓が主流ですので、断熱性能などの面で大きく劣ってしまいます。

建物の特徴

1981年の新耐震基準が中古物件選びのひとつの基準になります。1981年前に建設されているマンションでは、大きな地震があったときに倒壊などのリスクが高くなります。マンションによっては、耐震補強などによって耐震性能を高めているマンションもありますので、専門家に耐震性能の調査をしてもらうことが必須となります。

この時期に建設されているマンションの多くが構造や仕様などの問題で、水周りのリフォームなどが難しくなっています。給排水管の劣化なども進行している年数なので、すでに大規模なリフォームや改修工事を済ませている物件に的を絞って中古マンション探しをするのが理想です。


目次一覧

新築マンション購入までの流れ

新築マンションで特に気をつけたいポイント

新築マンションに関するよくある質問

中古マンション購入までの流れ

中古マンションで特に気をつけたいポイント

中古マンションに関するよくある質問

予算、間取りに関するアドバイス

耐震・セキュリティについて

女性のマンション選びアドバイス