入居者に人気の設備を参考に空室率対策を行おう

入居者に人気の設備を参考に空室率対策を行おう

空室率対策を効率的に行おうと思ったら、設備の改修や導入は必須です。しかし、設備の改修や導入には、当然コストが掛かります。

「お金を掛けて最新設備を入れたのに、全然空室が埋まらない・・・」

そんな事態だけは避けたいものです。

そこで今回は、全国賃貸住宅新聞が調査を行っている「入居者に人気の設備ランキング2016」を元に、どのような空室率対策を行うのがよいか考えてみましょう。

人気の設備ランキング

入居者に人気の設備を考える場合、単身者向けとファミリー向けを分けて考えておく必要があります。間取りだけでなく設備も、最初から分けて考えておくのです。

なぜこの2つを分けて考えるのか。単身者とファミリーでは家族構成によるライフスタイルの違いが、求める設備に色濃く反映されるからです。

実際、「入居者に人気の設備ランキング2016」でも、単身者向け物件、ファミリー向け物件と分けて調査を行っています。

また、かつては人気だった「TVモニター付きインターホン」や「ウォシュレット」はランクから姿を消しています。

それでは、単身者向け・ファミリー向けの人気設備ランキングをそれぞれ5位まで見てみましょう。

【単身者向け人気設備ランキング】

  1. インターネット無料
  2. エントランスのオートロック
  3. 浴室換気乾燥機
  4. ウォークインクローゼット
  5. 備え付け証明

【ファミリー向け人気設備ランキング】

  1. インターネット無料
  2. 追いだき機能
  3. エントランスのオートロック
  4. ホームセキュリティ
  5. システムキッチン

単身向け

単身者向けの人気設備の特徴を理解するには2つのポイントを抑えておきましょう。

  1. 利便性の向上
  2. 収納性の高い間取り

利便性の向上

利便性を向上させる設備として人気を集め、ランクインしているのが、浴室換気乾燥機・追いだき機能・宅配ボックス・24時間利用可能ゴミ置き場です。

日中、仕事で外出していて家を空けていることが多い単身者に取って、この4つの設備があれば「時間を選ばずに出来る」ことがポイントです。

洗濯をしても平日の昼間に干すことが出来ない、部屋干しは服が臭くなるという悩みを抱えた単身者にとって、浴室換気乾燥機があれば大変重宝します。

また、宅配の再配達の問題がニュースで度々クローズアップされますが、再配達の手間と面倒を感じているのは宅配業者だけではありません。受け取る側もそうです。

再配達の依頼の為の電話、再配達の予定範囲時刻の間はずっと家にいなければいけないなど。こういった双方の不便さを解消するのが宅配BOXです。

設置する為にはある程度のスペースの確保が必要になりますが、予算と空間の確保が可能ならば是非取り入れたい設備です。

予算はないが人気の設備を取り入れたいという人には、24時間利用可能ゴミ置き場の検討をお薦めします。夜は仕事で、昼間は寝ている。夜間にゴミを出せると助かるという飲食・サービス業などに従事している人達にとって、24時間利用可能なゴミ置き場は魅力的です。

管理の手間こそ増えますが、導入費用はゼロ円です。大家が24時間利用可能と決めるだけです。

収納性の高い間取り

具体的な設備としては、ウォークインクローゼットです。

ウォークインクローゼットと言えば、賃貸ではなく新築の分譲マンションや戸建て住宅に設置されているものだと思っている方が多いかもしれません。

ですが、最近は単身者の間でも収納性の高い間取りの物件が人気を集めていることから、ウォークインクローゼットへの注目度が高まっているのです。

ライフスタイルや価値観が多様化し、単身者でも趣味の持ち物などが増加傾向にあります。そういった個人の持ち物を効率的に収納する上で、ウォークインクローゼットの存在は非常に魅力的なのです。

新築でアパートや賃貸マンションを建てるなら計画段階から盛り込むことができますが、既存物件の場合はどうすればいいのか。

既存物件でもウォークインクローゼットを設置することは可能です。押し入れをリフォームして、ウォークインクローゼットに改修することが出来ます。

ファミリー向け

昨今の防犯意識の高まりやプライバシー重視の流れを受けて、人気設備ランキングの中にセキュリティー系設備のランクインが目立ちます。防犯カメラ、エントランスのオートロック、ホームセキュリティです。

防犯設備のランクインはファミリーだけでなく、単身者のランキングでも上位に食い込んでいます。ですが、昼間に家族が家にいるファミリー層にとって、不審者の来訪や悪質な勧誘などから身を守る為にも、防犯設備はより重要だと言えます。

防犯設備で注目すべきポイントは、エントランスのオートロックだけでなくホームセキュリティに対するニーズが高まっていることです。

ホームセキュリティ設置で付加価値向上

ホームセキュリティは人気が高いのに、実際に備え付けられている物件はまだまだ少ないからです。

その為、もしホームセキュリティを付けることが出来れば、物件の付加価値を大きく高めることができ、周辺相場よりも高い家賃設定が狙える可能性が出てきます。設備投資をするなら、まさに狙い目の設備だと言えるでしょう。

ホームセキュリティは導入にやや敷居が高いイメージがありますが、実際にはそんな事はありません。各社ともに様々な料金プランが用意されており、取り付け機器についても買取りとレンタルする方法があります。

取り付け機械は小型のシンプルなもので、浴室乾燥機のコントローラーのような感じです。建物にネット回線が引き込まれていなくても、機器に搭載された3G回線で通信が可能など、様々な状況に柔軟に対応できます。

同じ防犯設備でも、エントランスのオートロックを取りつけようとすると費用は高額になりがちで、エントランスの形状によっては取り付け不可の建物も出てきます。

そういった点でも、ホームセキュリティは検討しやすい設備なのが魅力的です。

設備別の人気の理由

単身者とファミリーの家族構成やライフスタイルの違いによる人気設備の傾向を理解したところで、個別の設備そのものにスポットを当ててより深く理解していきましょう。

ここでは単身者、ファミリーの両方で1位となったインターネット無料と、単身者で2位、ファミリーでは3位と両方で上位に食い込んだエントランスのオートロックを取り上げます。

インターネット無料

インターネット無料の物件は、単身者とファミリー層のどちらにも人気があります。入居者が自分でネット回線を引く工事を行うと、コストを自分で支払う必要があるからです。

具体的には、回線の引込工事費用と毎月の回線利用料の2つが掛かります。インターネット無料の物件であれば、入居者はこの2つのコストを負担することがなくなります。

その結果、お得な物件として人気が集まるのです。

実際のところ、月々のネット回線利用料を家賃・共益費に含めた賃料設定を行うので、結局は入居者が支払っていることになります。

ですが、無料で自分が支払う必要が無いという「見え方」がとても重要になり、お得感が高まるのです。インターネット無料の物件は、毎月の支払いに余裕のない学生の間で特に人気があります。

また、宅内にネット回線を引き込む際に、Wi-Fiルーターを設置しておけば物件の付加価値を更に高めることが出来ます。

スマホの普及が急速に進んで、スマホでネットに接続する人が増えているからです。

携帯キャリアの4G回線でもネットに接続することは出来ます。しかし、通信速度が遅くて容量制限にもすぐに引っ掛ってしまいます。特にネットで動画視聴を行うのには向いていません。

その為、宅内にWi-Fi回線が飛んでいると、大変便利なのです。

エントランスのオートロック

オートロックには2つのメリットがあります。

一つは防犯上の安全性と安心感の向上。もう一つは、エントランスがオートロックになるだけで賃貸住宅そのもののグレード感がアップすることです。

エントランスにオートロックが設置されていれば、不審者の侵入や訪問セールスマンを共用部入口でシャットアウトすることができます。

特に単身の女性や昼間は一人で家にいる主婦にとって、知らない人が簡単に入ってこられないオートロックが備わった物件は、高い家賃を払うだけの価値があると感じるのです。

賃貸住宅の人気設備のキーワードは、利便性と防犯の2つです。今回、単身者とファミリー、そして注目の設備についてまとめました。

ターゲットの属性とライフスタイルの特徴、人気の設備とこれからのトレンドの流れを読み解きながら、限られた予算を効率的に使って空室率対策を行って下さい。


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