民泊経営(Airbnb)の将来性と今後の観光客数の予想

空き家や空き部屋を旅行者に有料で貸し出す「民泊」は、日本ではまだ認知度の高い宿泊サービスではありませんが、その利便性の高さは世界中で認められています。現在日本国内で問題となっている空き家を活用できる1つの手段としても、有効なものとなってくるでしょう。

しかし、民泊利用者の大半は外国人旅行者であることから、ビジネスとして成り立つのは一部観光地のみという問題もあり、民泊ホストが急増するという動きは見られませんでした。

ですが2020年の東京オリンピック開催に伴う宿泊施設不足問題や、なにより民泊ホストと利用者のマッチングサービスを提供する大手企業Airbnbの日本参入により、今では大きな注目を集めるビジネスとなっています。

そこで今回は民泊経営(Airbnb)の将来性はどうなのか、そしてヘビーユーザーとなる外国人観光客数の推移はどうなるかを予測していきます。

民泊経営の将来性と今後の観光客数の予想
  1. 民泊経営(Airbnb)の将来性
    1. 民泊に対する規制緩和の流れ
  2. 外国人観光客者数の推移は?
    1. 外国人旅行者数の推移
    2. 外国人旅行者数が増加している原因は?

民泊経営(Airbnb)の将来性

東京オリンピック開催による宿泊施設不足問題もさる事ながら、近年は外国人旅行者の急増により、観光地と呼ばれる地域では宿泊施設が不足しているのが実情です。その点に関しては民泊経営(Airbnb)の将来性は有望であると言えるでしょう。

しかし、いざ民泊経営(Airbnb)を始めるにしても法整備が整っていないのが実情ですから、国や自治体の動向も気になってくるところですし、現状の主な利用者である外国人旅行者数に対する推移予測も必要です。

民泊に対する規制緩和の流れ

日本にAirbnbが参入したことにより、民泊経営に対する注目度は確実に上がってきています。事実、Airbnbの民泊データ分析サービスであるBnB Insightが発表したデータによると、2015年3月時点の民泊ホスト数は4,266件なのに対して、2016年3月時点には13,322件と1年間で3倍以上の増加を見せており、11月には40,000件を突破しています。

しかも、これ以降も急増は拍車をかけ2017年10月には60,000件を突破し、現在もその数は増加し続けています。しかし、この急増に伴い各行政機関では、常に下記のような点が問題視され続けられていました。

  • 家や部屋を有料提供するのは旅館業法に抵触するのではないか
  • 旅館業法の再整備を行う必要があるのではないか
  • Airbnb専用の法律を作るべきではないか
  • Airbnbは宿泊施設においてどういう位置づけとするのか

民泊サービスは日本においては新しい宿泊サービスであり、そのサービスを規制する法整備が整っていないことから、合法的に民泊サービスを行うには厳しい規制をクリアする必要がありました。それは民泊サービスを合法的に始める方法が下記の2つしかなかった事からも明白です。

  • 旅館業の簡易宿所として許可を取得
  • 大阪府や東京都大田区等の特区民泊(民泊条例)を活用

上記方法で開業認可を取るにはフロント設置義務が課せられるなど、分譲マンションやアパート、一戸建てなどの一般住宅では難しい規制が多く課せられており、大阪府や東京都大田区等の特区民泊として認可された物件はごくわずかでした。

このような理由からも、民泊サービスへの規制緩和が求められていました。ですがこれも政府をはじめとする各行政機関による民泊解禁への積極的姿勢があり、大幅な規制緩和が行われることが決定しました。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行が決定!

2017年6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)によって、施行後は届出を行うことで民泊サービスを始めることができるようになり、下記のような規制はあるものの、インターネットの民泊制度運営システムから簡単に届出が行え、民泊サービスに対する大幅な規制緩和が実現しました。

  • 民泊の位置付けは住宅(住宅のため宿泊施設不認可地域でも営業可能となる)
  • 年間営業日数は最大180日以内
  • 民泊オーナーは都道府県知事への届出が義務化
  • 管理者は国土交通大臣への登録が義務化
  • 民泊サイト(Airbnb等)は観光庁長官への登録が義務化

また住宅宿泊事業法(民泊新法)では民泊オーナーは下記の2つに分類されています。

  • 家主居住型
  • 家主不在型

家主不在型の場合には行政(国土交通大臣)に登録した管理業者に管理を委託することが義務付けられています。住宅宿泊事業法(民泊新法)では営業日数が180日と設定されているので、民泊収益に上限がかかってきます。この点も踏まえて管理委託費の支出が賄った上で収入が出るのか、しっかりとした事業計画が必要になってくるでしょう。

特に物件購入したり賃貸物件を転貸しての民泊サービスを検討している際には、民泊以外の施設利用が収益確保の重要ポイントとなってきます。民泊経営は届出だけで開業可能ですが、営業日数に制限があるため大きく稼ぐという点においては期待薄なビジネスです。

この点も踏まえて民泊サービスすを始めるにしても、本当に住宅宿泊事業法(民泊新法)での開業で問題ないのかをじっくりと検討することをおすすめします。

外国人観光客者数の推移は?

それでは民泊サービスを検討している方にとって、収益確保という重大な問題に大きく影響してくる外国人観光者数について見ていきます。今後、民泊サービスの認知度が高くなれば学生等の日本人利用者の増加が見込めますが、現状では外国人旅行者が利用者としての主なターゲットとなってくるので、この推移予測は民泊経営の成功を占う上でも重要なポイントであると言えるでしょう。

外国人旅行者数の推移

国土交通省の観光庁が発表した訪日外国人旅行者数の推移は下記のとおりです。

  • 2003年 521万人
  • 2004年 614万人
  • 2005年 673万人
  • 2006年 733万人
  • 2007年 835万人
  • 2008年 835万人
  • 2009年 679万人
  • 2010年 861万人
  • 2011年 622万人
  • 2012年 836万人
  • 2013年 1,036万人
  • 2014年 1,341万人
  • 2015年 1,974万人
  • 2016年 2,404万人

2013年に1,000万人を突破してからの外国人旅行者数は急激に増加しており、2016年度には10年前の約3倍となっています。この推移を見れば現状は外国人旅行者数は、今後も確実に伸びる傾向になることが予測できます。

また民泊経営(Airbnb)のメインターゲットとなる外国人旅行者の訪問先は下記のようになっており、訪問先の集中化は見られますが広範囲において訪問があることが伺えます。

  • 1位 東京都 18,009人
  • 2位 千葉県 15,123人
  • 3位 大阪府 14,274人
  • 4位 京都府 9,970人
  • 5位 福岡県 5,334人
  • 6位 神奈川県 3,423人
  • 7位 愛知県 2,836人
  • 8位 北海道 2,710人
  • 9位 沖縄県 2,561人
  • 10位 兵庫県 2,329人

※官公庁HP「訪日外国人消費動向調査」「平成28年の年間値の推計(暦年)」より参照

上記の数値を見れば関東近郊と大阪の大都市圏以外でも、民泊経営の可能性はあると推測できるでしょう。

外国人旅行者数が増加している原因は?

近年の外国人旅行者数の増加は民泊経営(Airbnb)にとって期待できる結果となっていますが、気になってくるのは増加している原因です。日本において民泊経営(Airbnb)の規模が大きくなるためにはどうしても日本人利用者の確保が必須となってきます。その時間確保のためにも現在のメインターゲットである外国人旅行者数の維持拡大は必要条件となってきます。

現状の外国人旅行者数の増加はまず第一に円安が挙げられますが、原因はそれだけではありません。そのほかにも下記のような原因が考えられます。

  • ビザ発行の緩和
  • 旅客機運賃の値下げ
  • アジア圏の所得増加

これら原因を見れば現在の外国人旅行者数の増加が、一時的でないものであると考えられる裏付けとなってくるでしょう。

ビザ取得の緩和

海外渡航する際にはパスポートともに、入国資格を証明するビザの発行が必要になります。ビザの発行は入国先の煩雑な手続きを踏む必要があるため、海外渡航の際には面倒事の1つとなってきます。

しかし、現在の日本では海外旅行者の獲得と国際的文化交流を狙って、このビザ取得に必要となる要件が緩和されたことでビザ発行が受けやすくなっています。これによって従来訪日できなかった人もできるようなり、訪日する外国人旅行者が増加しました。

旅客機運賃の値下げ

現在は原油の価格下落と格安な旅行運賃がウリのLCCの就航開始によって、格安な旅行運賃が実現されています。この格安運賃は外国人旅行者数の引き上げに一役買っていることは間違いありません。

また原油価格の下落は大手航空会社の運賃引き下げ効果も生み出しており、LCCだけでなく大手航空会社の運賃値下げもその原因の1つに挙げれるでしょう。

アジア圏の所得増加

また外国人旅行者の中でも近年増加しているのがアジア圏の訪日者です。これはひとえにアジア諸国の経済成長による所得増加がり橋していると考えられます。

事実、現在の国別支出額を見ると、下記のアジア諸国の支出額は先進国がうごめくヨーロッパ諸国とほぼ変わらない額になっています。

  • 中国
  • 台湾
  • マレーシア
  • シンガポール
  • ベトナム
  • タイ

この支出額は所得額が上がったことの表れで、この所得増加が日本への外国人旅行者数の増加に大きく影響していると考えられます。

まとめ

今回紹介したデータを見ればAirbnbを利用した民泊経営者が確実に増加していることは明白です。しかも、今まで厳しい規制の元に開業認可が下りていた点も、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行に伴い解消されることから今後の更なる増加も予測できます。

しかも、今のところ利用対象者である外国人旅行者の心配もないので、民泊経営(Airbnb)の将来性は現時点では明るいと期待できるでしょう。

特に届出だけで開業できる点は、民泊経営を始めるにおいて大きなメリットです。しかし、民泊経営は営業日数に規制があるため、通常のホテルや旅館のように大きな収益を見込めるビジネスではありません。

民泊経営は空き家や空き部屋を有効に利用してプラスαとしての利益を生むビジネスですが、過大な投資を回収できるビジネスではありません。将来性はあるビジネスですが、この点はよく理解しておようにしてください。

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