不動産投資の指標となるIRRの目安とは

不動産投資の指標となるIRRの目安とは

最近目にすることが増えた不動産投資関係の用語の中にIRRと言うものがあります。このIRRは「internal rate of return」の頭文字を採ったものであり、日本語に訳すると「内部収益率」と表現されます。

ではこのIRRは、具体的にどのように不動産投資の活用していくものなのか、また不動産投資を行うに辺りIRRの数値がどの程度必要なのかをお伝えしていきます。

IRR(内部収益率)とは

IRRとは不動産を購入し、所有している期間で得られる平均的な利回りを表す数字となっています。最初に不動産を購入した価格、そして毎年得られる利回り、さらに最後に売却をして得られる売却価格を勘案して、総合的に算出する数字になっています。

なぜこのような考え方をしなければいけないのかというと、不動産は長期保有を前提として以上、毎年得られるキャッシュフローがどの程度の期間保有できるものかで大きく価値が違ってくるからです。

例えば利回りが15%の物件を購入し、10年間保有すれば得られる利回りは合計で150%になります。単純に利回りと保有年数にだけ着目をしていたら、こういった分析しかできません。

しかし同じ150%の利回りでも、初年度に全てのリターンが戻ってくれば、150%の利回りを全て他の投資に回すことも可能になります。

普通に10年間所有していただけでは、年間に活用できる利回りは15%ずつだけなので、あとから得られる収益ほど、実際に活用できる年数は少なくなり、その分投資効率からいえば価値が低くなってしまうのです。

また不動産投資においては、インカムゲインだけではなく、キャピタルロス(キャピタルゲイン)、売却時の価格の収益性も重要になってきます。すべての収入と支出を勘案し、本当に効率よく投資できる物件を見抜いていくのが、IRRという指標なのです。

IRRの計算方法

では具体的にIRRはどのように計算をしていくのでしょうか。言葉で表していくと

投資額={1年目のキャッシュフロー ÷(1+IRR)}+{2年目のキャッシュフロー÷(1+IRR)の数字の二乗}+…+{X年目のキャッシュフロー÷(1+IRR)のX乗}

というようになります。ExcelにはIRR関数という機能が搭載されているので、その機能を使って計算を行っても良いでしょう。

この計算式を見るとわかってくるのは、1年目の数字に翌年は乗算した大きな数字で割っていくので、1年目に所有できるキャッシュフローほど、その価値が高く算出されるということです。

イメージしやすくするために、数字を入れてみると、1000万円の投資をして、年間100万円のキャッシュフローが得られるとします。計算式は、

1000=100÷(1+IRR)+100(1+IRR)2+100(1+IRR)3…

と続いていきます。仮に10年間の投資を行ったら利益は総額で1000万円です。さらに10年後に購入時と同額の1000万円で売却できるものと仮定します。

その計算例で、1年目に1000万円すべてが手に入れば、IRRの数値は19.75%になります。これは非常に高いといえる数値であり、高くなる理由は、収益を初年度からキャッシュフローとして活用できるからです。

一方で毎年100万円ずつ収入があった場合のIRRは10%になります。普通に見れば十分高利回りですが、初年度に1000万円入った場合と比較をすれば、IRRの数値は約半分になってしまいます。

IRRの目安

IRRの計算式がわかったところで、投資家として目指していきたいIRRの数値はどの程度なのでしょうか。もちろん所有する物件によって、その値は変わってきますし、長期保有を前提とするような、駅前の業務用賃貸物件などは低くなる傾向にあります。

しかしアパートやマンションなど個人投資家として、確保しておきたい数字は5%が目安になるでしょう。5%ということは、10年間所有し、売却を行った時点で50%の利益が得られる、ということになります。

具体的な例を想定してみると、3000万円で購入した物件で初年度の利回りが8%で収益が240万円。それから毎年4%ずつ収益性が下がっていき、10年後に2500万円で売却。このシミュレーションでIRRは約5.2%になります。また毎年5%ずつ家賃が減少すると考えれば、IRRは4.91%になります。

実際には不動産取得税や登録免許税、ローン融資の保証料や手数料なども入ってくるので、そういった数字も入れて考えなければ詳しい数字を出すことはできません。もう少し1年目の収益性が高い物件を実際には探さないといけないでしょう。

さらにアパートは老朽化も木造構造の為速いという弱点もあります。その逆に築浅マンションならば、10年後の値下がりは木造物件ほど大きな数字になりませんし、都心の駅前などの立地次第では、キャピタルゲインが得られることも考えられます。

まずは目先の利回りだけを考えず、出口戦略も含めた収益性を考えるために、IRRが必要になってくるのです。

IRRを見定めるには

一方で、想定利回りは周辺の家賃相場などや取引事例を見ていけばある程度想像ができるのですが、10年、20年後の売却価格というのは想像するのは難しいものです。建物の耐久年数による目減り、人口の動態などから想像していくしかありませんが、それも信頼性の高い数字とは言いにくいものもあります。

しかし最近ではフィンテック技術の工場によって、いわゆる「不動産テック」と呼ばれる技術の発展も進んでいます。AIを活用し、個人では収集や分析が到底不可能な過去の取引データを収集し、人工知能が分析して、将来的な売却価格や、現在の利回りを出してくれるというサービスも増加傾向に有ります。

どれも未発達で、確実性が高いサービスがどれかという見極めが難しいところもありますが、将来的には個人でもこういったサービスを気軽に使うことができ、不動産取引業者のような、経験や知識がなくても、本当に収益性の高い物件を購入できる日も来るでしょう。

ただしIRRに関しても幾つかの注意点があります。まずIRRの場合は出口戦略として、一定期間の所有のあとの売却を前提としています。手放す気がない新築の物件などはIRRで数字を出しても、実体とかけ離れたものになることもあります。

また空室リスクに関しては、自分で想定をしていかないといけないので、表面利回りと同じように、IRRの数字が高いからと行って、そのまま信じ込むのは危険です。

さらに表面利回りや実質利回り、収益還元法などより普及している指標ではないので、この数字を業者に聞こうとしても、思ったような回答が得られないこともまだ多いのです。

まとめ

不動産投資の初心者が陥りがちな罠の一つに、目先の利回りだけを重視し、実際にそれだけの利回りがどれほど続いていくのか、またいざという時に売却をすることができるのかを考えずに、購入してしまうというものがあります。

逆に都心の物件などは利回りが低いものが多いものの、将来的な物件価格の推移を見ればまだまだ上昇していく余地があります。

もちろんIRRはキャッシュを所有している期間が長ければ長いほど、良い数字になるので、とにかく利回りの良い物件を格安で購入し、自分でリフォーム。5年ほどで投資資金を回収し、同程度の価格で売るといったサイクルで投資を行う人もいます。

重要なのは数字の保つ意味を理解し、自分のスタンスをどこに置くかをしっかりと見定めることです。その意味で同程度のIRRを持つ物件でも、利回りが良いもの、売却価格が落ちにくいものなどに分かれますので、一つ一つじっくりと物件を見ていくときの審査眼が、最後には物を言うといえます。

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