住宅ローンをり換えるタイミングや見直し時期は?

住宅ローンをり換えるタイミングや見直し時期は?

何か行動を起こす場合、タイミングというのは大変重要な要素です。せっかくいいことを思いつき、その行動から具体的なメリットが得られるにしても、実行のタイミングを間違えてしまうと、その効果が半減したり、場合によっては逆効果を生む場合もあります。

住宅ローンの借り換えの場合も同じです。住宅ローンの借り換えの場合、当事者は本人だけでなく、新旧の銀行や司法書士などの関係者も巻き込むので、交渉・申込から審査、実行まで含めてかなりの時間が掛かります。

さらに借り換えタイミングを間違ったり、借り換えの判断を引き延ばしていると、その間に金利水準や本人の属性など、借換審査に関係する色々な条件が大きく変わってしまうことさえあります。それだけに「いつ借り換えするか」のタイミングを考えることはとても重要なものと考えています。

そこで今回は、住宅ローンを借り換えようとする時の最適なタイミングや見直しの時期について解説します。

借り換えに最適なタイミングについて

借り換えとは、現在住んでいる居宅に利用している住宅ローンを、現在の金利からより低い金利の金融機関の住宅ローンに置き換えることで、毎月支払している返済額を減らす、あるいは返済額をそのままにして返済期間を短縮するなどのメリットを得るために行う行為をいいます。

ところが実際、借り換えを実行する人が多いかというと、必ずしもそうではなく、借り換えできる条件に当てはまっているにもかかわらず、借り換えの行動を起こさない人も多いのです。過去の体験による借り換えをしないその主な理由は以下の通りです。

  • 特に理由はない
  • 手続きが面倒
  • 手数料等諸費用が掛かる
  • 特に金利が高いと思わない

このうち、下の3つの理由は具体的なので分かるとしても、「特に理由はない」というのには正直驚かされますね。

ただ逆を言えば、それだけ人は新たに行動を起こすことが苦手ですし、まして住宅ローンの借り換えには手間と時間が必要なので、そもそも借り換えなどの面倒なことに関心を持とうとしない人が多くても無理はありません。

しかし、せっかくそこに借り換えのメリットが転がっているのに、多少の努力と時間をかけるだけで金銭的メリットが得られるのなら、ぜひ行動するのがおすすめです。一方で借り換えのタイミングだけは間違えるとせっかくの好機も逆効果になります。

そこで以下の章では、どのような条件の住宅ローンなら借り換えを考えたらいいか、その目安とか、借り換えのタイミングについて最適な時期はいつなのか、それらの観点からより詳しく説明します。

借り換えの目安

以前から長年、借り換えの目安は

  • 金利差が1%以上あること
  • ローン残高が1,000万円以上
  • 返済期間の残り年数10年以上

であると言われてきましたが、借り換えの手続にはそれなりの手間と時間がかかります。
借り換えの手間を考慮して、さらに納得できるだけの金銭的メリットがあると感じるかどうかが行動を起こすうえでのポイントとなります。

ただしこれは判断にかなり個人差があり、断定するのは難しいのですが、やはり最終的に借り換えで最低100万円ほどメリットがないと、なかなか人は行動を起こさないのではないかと考えています。

それでは次にローン利用者が借り換えをしようと判断した時、その実行のタイミングはいつが適切か、具体的な事例をいくつか挙げて検討してみましょう。

収入が下がりそうなケース

まずは収入が下がりそうな場合です。

収入が下がる原因としては、不況で勤めている勤務先の業況が悪くなり、給与やボーナスが減らされた、残業代も出なくなった、あるいは急に病気やケガで仕事ができなくなったなどがあります。

借り換えする時には、新規で借り入れした時と同様、金融機関で新たに審査が行われます。

審査の基本は新規借り入れ時とほぼ同じですが、最も重要な審査ポイントのひとつが収入です。その収入について、「借り換え専用住宅ローン」のあるいくつかの金融機関で必要とされる最低収入額をチェックしてみたら、200万円~400万円が相場となっていました。さらにこの収入は全て前年度の収入が基準となっているのも、借り換えのタイミングを考える上では大事です。

そこで収入に対する考え方としては、収入が下がってから借り換えしようとすると、それだけで審査で不利になるので、収入が下がる前に借り換えを実行するのが良いタイミングですし、さらに翌年、収入が下がることが確定しているなら、何としても今年中に借り換えを済ますことも大事なポイントと言えるでしょう。

逆に翌年に収入が上がることがほぼ確実なら、収入が上がってから借り換えを実行するほうがいいと思います。

転職する予定があるケース

次に借り換えのタイミングを転職と絡めて考えてみましょう。転職して何が起こるか想像してみると、

  • 大企業から中小企業への転職で収入が下がった
  • 正職員から契約社員・派遣社員・パート・アルバイト等に身分が変わってしまった
  • 会社員から個人事業主になり収入が不安定になった

いずれも収入が以前より下がるか不安定になってしまったケースです。

日本の場合、まだまだ雇用市場が硬直的なので、転職してもうまくいかず収入が減るケースが多くなります。そうなると借り換えをしようにも、収入が減った状態では金融機関も相手にしてくれません。そういう意味では、転職前でまだ元の会社で身分が保証され所得の証明書を取れる時が、借り換えを実行するのに最適なタイミングと言えます。

ただし転職後に会社内で身分が上がるケースは例外で、昇進と同時に給与も上がるケースが多く、その場合には借り換えに有利なので、転職前に無理して借り換えを急ぐ必要はありません。

さらに転職先が同じ業種の同種の仕事の場合、転職前のスキルがそのまま活かせるケースが多く、こちらの場合も給与は下がらないので、借り換えに不利とは言えません。

健康状態が悪化しそうなケース

健康状態が悪くなると、やはり借り換えには不利になります。民間金融機関の住宅ローンの場合、審査では新規・借り換えに関係なく、団体信用生命保険(略して団信)の加入が基本必須となっています。

団信に加入すると、利用者が返済途中で死亡・高度障害等で返済不能になっても、その保険からローン残金が返済されるので、残された家族は返済義務も負わず、かつそのまま住宅に住み続けることができます。また金融機関も団信からローン残金が回収できるため、貸出リスクもなく安心です。

ところが、仮に借り換え時に健康が悪化していて、保険会社が加入を認めてくれないような状態だと、住宅ローンの認可が得られることは極めて難しくなります。そのため少なくても借り換え時、健康状態を維持しておくことだけは最低限必要なことだと思います。

もちろん健康状態を維持するのは簡単でないし、現実的に病気の発生を予想するのも困難です。そのため健康の悪化に備えて、日頃から健康管理により病気の発生を予防するのも大事ですが、歳を取れば誰でも健康状態が悪くなるのは同じなので、借り換えはできるだけ若いうちに済ませておくのが良いタイミングとも言えるでしょう。

ただ既往症があっても、かかりつけの医者で「治療中だが現状特に問題ない」という健康診断書を取って保険会社に提出すれば、それをお墨付きとして団信が認められる場合もあるので、覚えておくといいかもしれません。いずれにしても健康状態が悪くなりそうなら、悪くなる前にできるだけ早めに借り換えをする、それが適切なタイミングだと考えています。

金利引き下げも検討してみよう

ところで、借り換えはやる気があれば何度でもできますが、諸費用も掛かるし、あらためて銀行の審査が必要なので時間も掛かります。さらに手続きや審査で手間取っていると、その間に肝心の金利が上がってしまうリスクもあります。したがってこれらの手間や時間を考えると、借り換えだけが毎月の返済額を減らす方法ではないということも知っておいてほしいと思います。

その返済額を減らす方法とは、住宅ローンを取引している金融機関に利用者が出向いて、直接金利を引き下げさせる方法です。その際「他行から住宅ローンの借り換え提案を受けている」「金利が高いので借り換えを検討している」などの動機を示せば、金融機関も危機感を覚えるので対応を考えざるを得なくなります。

もちろん交渉時点で収入が下がっていたり、毎月返済を延滞していてはダメです。当初から相手にしてもらえないし、かといって他の金融機関を借り換え相談で訪問しても、延滞の事実があれば、個人信用情報照会を通じてその事実を知られますので結果は同じです。身辺をきちんと整えたうえで、取引銀行に金利引き下げ交渉に出向くことが必要です。

さらに体験者として述べますが、借り換えした場合に比べて、同じ銀行での金利引き下げは十分には下らないことを知っておいて下さい。全てのローン利用者に安易に引き下げに応じていては、そもそも金融機関として経営的に成り立ちませんし、新規契約者に適用している優遇金利まで引き下げることも現実的に無理なのです。

しかしそれを分かった上で、金利引き下げ交渉に臨めば、借り換えのような手間と時間をかけることなく、金利を引き下げることができ、毎月返済額を一定額少なくできる効果が期待できます。

まとめ

「住宅ローンを借り換えるタイミングや最適な見直し時期は ? 」というテーマで色々なケースを説明してきましたがいかがでしたか。

結局借り換えのベストタイミングは誰にも分からないというのが正直な話です。借り換え後、一定期間が経過して、「あの時の判断は正しかった」と後から結果を見て確認できるのが現実でしょう。

ただし現在は依然として金利が低い状態が続いているので、対象者には借り換えのベストなタイミングだとも言えます。また借り換えに伴う諸費用で保証料の無料化・事務取扱手数料の優遇など、どんどん借り換えのための環境も良くなっています。

それだけに、当面この状態が続くのであれば、借り換えの目安以上の住宅ローン契約で返済している利用者にとって、一日借り換えのタイミングを伸ばせば伸ばすほど損をすることになります。ローン利用者にはこの際、ぜひ借り換えについて関心を持って頂き、必要ならできるだけ早めに対応することを願っています。


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