住宅ローンで収益物件を購入したのがバレたらどうなる?

住宅ローンで収益物件を購入して運用がバレたらどうなる?

近年は政府のマイナス金利政策の影響もあり、会社員の不動産投資家が増加傾向にあると言われています。その投資先として最も多く挙げられるのが不動産投資です。

しかし、いくら金利が安くなったからといって数千万円の融資を簡単に受けられるわけではなく、多くの投資家は資金繰りや、金利支払いに苦労しているのが実情で、どうにか有利な条件で融資を受けようといろいろ考えています。

そこで多くの人が利用しようとするのが住宅ローン。住宅ローン金利は現在底値とも言われるくらいの低金利で、この低金利に目をつけて住宅ローンを利用しようという投資家が出ているのです。

ですが投資目的の収益物件購入に住宅ローンを利用することはできません。欧米では住宅ローンと収益物件ローンの違いはないのですが、日本においては住宅ローンと収益物件ローンは全く違うものとして扱われているからです。

収益物件は住宅ローンで購入できない

収益物件購入はその名のとおり収益を求める投資が目的ですから、できるだけ収益を上げるためにも投資額はできるだけ抑えたいと考えるのは当然の話です。

住宅ローン金利と比べて収益物件ローンは割高となる上、審査も厳しくなるので住宅ローンを利用したいと考えるのは当然ことでしょう。

しかし、住宅ローンと収益物件ローンとでは全く性質の違うローンとなるため、収益物件に住宅ローンを利用することはできません。

収益物件に住宅ローンが利用できない理由

そもそも住宅購入と収入物件購入とでは購入目的が下記のように全く違ってきます。

  • 住宅購入:居住目的
  • 収益物件:収益目的

よって、金融機関で融資を受ける際には、この2つは審査基準が全く違ったものになってくるのです。

となれば住宅ローンとして審査したものを、収益物件に適用することはできるはずがないことは簡単に理解できますよね。

住宅ローンと収益物件のローンの違い

住宅ローンと収益物件ローンを比較すると、確実に住宅ローンの方が審査が緩いと断言できます。なぜ緩いと言えるのか、それは次のような理由があるからです。

住宅ローンには国の後押しがある

その理由のまず1つが住宅ローンには国の後押しがあることが大きく影響しています。国は住宅金融支援機構により民間金融機関での借り入れが困難となる方に対して融資支援を行っています。

よく聞くフラット35がそれにあたります。民間金融機関が住宅ローン融資を実行しやすいように、民間金融機関が融資実行したローンを住宅金融支援機構が債権を譲り受けるという形で申込者が資金調達できる住宅ローンです。

これによって民間金融機関は貸倒というリスク回避ができるため融資実行しやすくなり、銀行が直接行う融資よりも融資実行率は上がります。つまり銀行が単独で行う審査に比べると、審査内容が緩くなってくるわけです。

審査基準が違う

また住宅ローンが収益物件ローンよりも審査が緩いのには、その審査基準も大きく影響します。各ローンの審査は下記のポイントが重要視されます。

  • 住宅ローン:担保としての物件評価額、申込者の属性
  • 収益物件ローン:担保としての物件評価額、申込者の属性、購入物件の収益性

上記のように重要ポイントはともに同じなのですが、住宅ローンの場合には申込者の属性が特に重要視される傾向にあります。物件に収益性を求めていない分、返済原資は申込者の返済能力と信用度にかかってくるというわけです。

しかし、収益物件ローンの場合は話が違います。当然、申込者の属性も住宅ローン同様に重要となりますが、その上、返済原資の1つとして購入物件の収益性も重要視されることになるのです。収益物件による賃貸収入も返済原資の1つと考えられるため、収益性がないと判断されれば審査NGとなることも考えられます。

よって、収益物件ローンの審査は住宅ローンよりも審査は厳しくなってくるのです。

住宅ローンの場合には申込者の属性に問題がなければ審査通過となるケースが大半ですが、収益物件ローンの場合には申込者の属性に問題がなくても物件に収益性が認められなくては審査NGとなる可能性が高くなってきます。

貸倒率が違う

民間金融機関が販売するローン商品には様々なものがありますが、その中でも最も貸倒率が低いと言われているのが住宅ローンです。

高額ローンとなるため一見1番貸倒率が高そうに見えるのですが、マイホームは一度購入すると是が非でも死守しなければならないという心情が働きます。突然住むところがなくなってしまっては家族にとっても大問題となるので、住宅ローンは何としてでも返済し続けようとするため貸倒率は低いと言われています。

こうして審査内容を比べてみれば、この2つのローン審査は全く違った審査となることは理解してもらえると思います。となれば全く違った審査方法でローン目的の違う物件融資を受けるのは契約違反なのです。

収益物件のローンを住宅ローンで組んだら

違反だけども、金融機関にバレなければいいと思っている方もいると思います。実際ぶバレた場合にどうなるのか見ていきましょう。

どうやってバレる?

近年は住宅ローンを利用した収益物件購入の投資を当たり前のように持ちかける業者もあるように、住宅ローンを利用して収益物件を購入しても必ずしもバレるわけではありません。

毎月の返済が滞ることでもなければ、銀行員が直接物件に訪問することもなく、実際に住んでいるかどうかの確認を取ることはないでしょう。

しかし、借入先銀行が地銀や信用金庫のように地域に密着しているケースはバレる確率は高くなってきます。これら金融機関は地域密着型であるため、毎日行員が決まったテリトリーを動き回っています。

よって、「ここ先日住宅ローン融資した住宅だ」と気にして見ているケースは少なくありません。実際に住んでいれば問題ないでしょうが、不在が多いとか、管理会社の看板が掛かっているとか、全く知らない家族が居住しているといった状況となれば、「これはおかしい」ということになり、契約者にすぐさま連絡が入ることになるわけです。

わざわざローン開始後に定期的な居住確認を入れることはありませんが、こうして融資実行に関わった行員が現場を見て気づくケースは少なくありません。

バレたらどうなる?

先程言ったように銀行はわざわざ定期的に居住確認を取ることはありません。仮に収益物件を住宅ローンで購入しても問題なく返済しているならば、敢えて何かしらの調査を行うことはないでしょう。

しかし、バレた時にはただでは済みません。収益物件を住宅ローンで購入することは契約違反となるからです。

住宅ローン契約時には金銭消費貸借約定書、つまり契約書と呼ばれるものを作成しますが、その中には必ず資金使途についての条項が記載されています。そしてこの条項には「住宅取得資金にて」と明確に記載されています。

よって、この資金使途が明記された契約書に自署して、住宅として購入した物件を収益物件として賃貸していたならば明らかな資金使途相違となり、約定違反、すなわち契約違反となってしまいます。

約定違反があった際には原則としてはローン継続することはできません。収益物件ローンへの切り替えを求められるか、最悪の場合は一括返済を求められることになります。

契約書に記載された約定違反事項に当たる場合は、その規約に従った処置がとられることになるので、契約通りに進めれば一括返済が請求されることになるのですが、この点に関しては金融機関の対応しだいなのが実情のようです。

一括返済を求められ、ほかの金融機関を走り回ってやっとこさ借り換え先を見つけたという人もいれば、同じところで収益物件ローンに切り替えて事なきを得たという人もいます。要はローンを組んでいる金融機関の考え方1つといったところでしょう。

事実、住宅ローンで物件購入し、転勤等で賃貸に回さざるを得ないというケースは少なくありません。この場合は住宅ローンをそのまま継続して、転勤先で新たに住宅ローンを組んで物件購入することも可能です。

つまり、銀行等の金融機関は住宅ローンでの融資物件が途中で使途が変われば、必ずしもローン継続しないというスタンスではないのです。バレた際にはまずは借入先との話し合いが結果を左右する決め手となってくるでしょう。

しかし、ここで注意しておかなければならないのが返済状況です。バレた時点で度重なる遅延があったり、延滞していたりと返済状況に問題がある場合には、金融機関は早めに手を引こうと考えるので一括返済の請求をしてくる可能性は高くなります。

そうなれば物件を手放すか、借り換えするかの2つしか方法はありません。そのような返済状況で有利な借り換えができるかといえば難しいとしか言えません。あったとしても今よりも高金利な収益物件ローンを組むハメとなるでしょう。

先に行ったように今は住宅ローンを利用した収益物件投資を行う人もいるようですが、収益物件を住宅ローンで購入することは契約違反です。バレた場合には何らかのペナルティがあるということはしっかりと理解しておきましょう。


目次一覧

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