住宅ローンの返済方法を変更する際の手続きと必要書類

住宅ローンの返済方法を変更する際の手続きと必要書類

近年は住宅ローンの低金利化を利用して、現状組んでいる住宅ローンから低金利への住宅ローン借り換えを行う人が急増しています。数年前に組んだローンでも数百万円ものローン減額も可能なケースもあるというのですから、一度検討してみるだけの価値はあるでしょう。

しかし、いくた低金利だといっても乗り換えるためには、また再度新規ローンの申し込みをし、その審査に通過する必要があります。よって、申し込んだすべての人が借り換えできるわけではありません。

以前申し込んだ時とは申込者の属性が変わっている可能性があり、審査に落ちることも考えられるのです。

ローン借り換えを検討するのは単に減額を狙ってのためだけではありません。下記のように必要に迫られた理由があって、負担となった毎月の返済額を軽減したいと考える人も少なくないのです。

  • 共働きでなくなったため、収入が激減した
  • ボーナスが当てにできなくなった
  • 給与が減った
  • 怪我や病気などで収入が激減した(一定期間の収入減)

となれば借り換えローンの審査に落ちた人はどうすればいいのでしょうか?現状の返済額が収入に見合ったものでない限り、最終的に待っているのは返済不能。そうならないためにも何らかの手を打たなければなりませんよね。

そんな時の選択肢としておすすめしたいのが住宅ローン返済の方法変更です。

住宅ローン返済の方法を変更する

先に説明したことが原因で返済が家計を苦しめる状況にある場合は早めの対応が必要です。少し我慢すれば以前の状態に戻れると言うならばまだしも、明るい材料がないならば、そのまま放っておいては返済不能となり、自宅を手放さなければならない状況にもなりかねません。

そこで検討して欲しいのが住宅ローンの返済条件変更です。金融機関が認める特別の理由があれば返済期間や返済条件の変更を認めてもらうことができます。

現状何らかの理由を抱え、住宅ローン支払いが家計を圧迫するような状況となっている場合には、その旨を借入先の金融機関に相談してみる必要があります。住宅ローンの条件変更対応は金融機関によって違ってきます。まずは現状を説明して担当者とどの方法をとるのがベストなのかを相談するようにしましょう。

しかし、1点だけよく理解しておいて欲しいのは返済が苦しくなる前に必ず相談しなければならないということです。返済が苦しくなり遅延や延滞を繰り返すようになってからでは返済期間や返済条件の変更を認めてもらうのは難しくなってきます。

遅延や返済により返済能力と信用度が落ちるため、金融機関もやすやすと契約者の希望を飲んではくれません。この点はしっかりと理解しておきましょう。それでは実際に変更希望の多い下記2つの返済の変更方法について、詳しく説明していきましょう。

  • 毎月の返済額を変更する
  • 返済日を変更する

毎月の返済額を変更する

毎月の返済額を変更するにはいくつかの方法がありますが、実際にどの方法に対応してくれるのかは借入先金融機関の対応によって違ってきます。しかし、主な返済額の変更方法は大きく分けると下記の3つに分類できます。

  • 返済期間の延長(最大15年)
  • 元金返済の休止(最大3年)
  • ボーナス払いの変更

それでは各変更方法について説明していきましょう。

返済期間の延長

毎月の返済額を減額するもっとも一般的な方法が返済期間の延長です。返済期間を延長して元金返済を減らすことで毎月の返済額を減額できます。

  • 借入額2,500万円(ボーナス払いなし)
  • 返済期間20年
  • 固定金利20年(1.150%)

この条件で借り入れした場合の毎月の返済額は約117,000円で総返済額は約2,800万円となりますが、返済期間を15年延長すると毎月の返済額は約72,000円と大幅に減額することができます。

毎月約4.5万円もの減額となるので、返済期間延長による減額効果は十分にあると言えます。しかし、総支払額は3,040万円となり約240万円もの返済額増となります。

毎月の支払額を減額することはできますが、総返済額が思った以上に増額するというデメリットがあることをよく理解しておきましょう。

元金返済の休止

会社の倒産やリストラ、子供の養育費の増額などで一時的に返済困難に陥ることもあるでしょう。この場合は一時的な状況を回避できさえすれば、元通り返済することもできます。

そんな時には契約全体を変えてしまう返済期間の変更よりも元金返済の休止がおすすめです。

  • 借入額2,500万円(ボーナス払いなし)
  • 返済期間25年
  • 変動金利10年(2.0%)

この条件では毎月の返済額は約106,000円となりますが、元金返済の休止によって元金返済を待ってもらい、毎月の返済額を利息払いのみにした場合、毎月の返済額は約42,000円となります。毎月約60,000円もの減額ができるのでこの方法も十分な減額効果を生み出します。

しかし、この返済方法の変更も先程と同じようにデメリットが存在します。休止期間が終わった後は期間中に減額した元金を契約の返済期間内に完済しなければなりません。よって休止期間終了後の毎月の返済額は以前よりも増額していしまいます。

どれくらいの増額となるのかをきちんと計算して、休止期間終了後の返済計画を立てておくことをおすすめします。

ボーナス払いの変更

近年は不況に伴うボーナスの減額は珍しい話ではありません。住宅ローンでボーナス払いの併用をしている人にとっては頭の痛いところでしょう。

そこでそんな人におすすめしたいのがボーナス払いの変更です。ボーナス払いの停止や減額、毎月の支払額への上乗せといった方法が取れ、ボーナス返済の内訳を変更することができます。

またこれと併用して返済期間の延長も利用できます。ボーナス払いを止めて毎月の返済額に上乗せして返済が厳しくなった際におすすめです。

しかし、先程説明したように返済期間の延長は総返済額の増額を招くことになります。この点をよく理解して、返済期間の延長はできるだけ短期に収めることをおすすめします。

毎月の返済日を変更する

返済方法や条件を変更する場合、毎月の返済額の変更が最も多いのですが、意外と希望者が多いのが返済日の変更です。

転職によって給料日が変更になった人によくあるケースで、前職の給料日に合わせて返済日を25日にしていたが、転職により給料日が27日となったという話は珍しくありません。

これでは給料日前に返済日がきてしまうので、返済に窮することは目に見えています。できるだけ早めの返済日変更を申請するようにしましょう。

返済日の変更は返済額の変更ほど難しいものではないので、時間もかからずスムーズに処理できます。しかし、ここで気をつけて欲しいのが返済状況です。

これまでの返済に遅延や延滞がある場合は変更が難しくなります。これは冒頭でも言ったことが原因です。そうなれば給料日前の支払いを強いられることとなり、さらに遅延や延滞を繰り返す羽目にもなりかねません。

そうならないためにも健康な返済を心がけ、遅延や延滞をする状況に追い込まれる前にさっさと変更をするようにしましょう。

手続きの流れと必要書類

返済条件を変更する場合には、各金融機関の決まりに沿った手続きが必要となります。この変更手続きは金融機関によって違ってくるので、まずは相談時にどのような手続きが必要になるのかを質問するようにしましょう。

返済条件は契約時の約定通りに進められるので、返済条件を変更する際には契約内容の変更が必要となってきます。よって、審査によって是非が決定されるので、申請には必要書類の提出が求められ、契約変更手数料も必要になってきます。

それでは簡単にその手続きの流れと必要書類について説明しておきましょう。

申し込む金融機関と変更内容によって若干の違いはありますが、大まかな手続きの流れは下記の通りとなります。

  1. 借入先の金融機関に相談
  2. 最適な返済方法の決定
  3. 返済方法変更の申請方法と必要書類についての説明
  4. 申請書に必要書類を添付して申請
  5. 金融機関による審査
  6. 審査合格となれば返済方法変更の契約締結

相談と申請はネットもしくは金融機関窓口で行えますが、申請時には「返済方法変更申請書」の提出が必要となります。また必要書類ですが基本的に必要なのは下記の通りで、前年度の収入証明書など収入の変化が分かるものが求められる場合もあります。

  • 通帳もしくはキャッシュカード
  • 返済用預金口座の届出印
  • 返済予定表

ほかにも変更する返済方法によって提出が求められる書類が違ってくるので、詳しくは担当者によく質問し、審査をスムーズに進めるためにも申請時に漏れのないようにしましょう。

そして忘れてはならにのが手数料。住宅金融支援機構のフラット35の場合は手数料は一切かかりませんが、民間金融機関は下記のように手数料が発生します。

  • 三菱東京UFJ銀行:5,400円~10,800円
  • みずほ銀行:5,400円~10,800円
  • 三井住友銀行:5,400円~16,200円
  • りそな銀行:5,400円

この他にも借入額に応じた印紙代や追加保証料など新たに必要となる諸費用が発生してきます。選択する返済方法によってその金額も違ってくるので、総額でいくらの諸費用となるのかは事前に確認しておく必要があるでしょう。


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