20代、30代、40代の住宅ローン借り換えでの注意点

20代、30代、40代の住宅ローン借り換えでの注意点

超低金利時代の今、支払額を軽減しようと住宅ローン借り換えを検討している人は実に多いことでしょう。しかし、住宅ローン借り換えのメリットは支払額の軽減だけではありません。
住宅ローン借り換えには、年齢の適した返済計画を再検討できるという大きなメリットがあるのです。

住宅ローンは高額借入となるため、返済期間は他のローン商品と比較にならないほど長期に渡ります。よって返済とともに年齢も経過していき、家族構成など取り巻く生活環境にも大きな違いが出てきます。となれば当初は何ともなかった返済額が養育費や教育費の出費によって、厳しくなることも考えられるでしょう。

となれば住宅ローン借り換えは支払額の軽減だけでなく、再度、現状にあった返済計画を練り直す大きなチャンスとなってくるのです。そこで今回は年代別に分けて住宅ローン借り換えをする際に注意して欲しい点について解説していきます。

年代別の借り換えする際の注意点

それでは20代から50代まで、それぞれの年代における住宅ローン借り換えの注意点について説明します。年代によって気をつけなければならない注意点は大きく違ってきます。しっかりと理解するようにしましょう。

20代で借り換えする際の注意点

20代での住宅購入は30代や40代と比べて貯蓄額が大きくないこともあり、住宅ローンをフルローンで利用するケースは少なくありません。よって、トータルで支払う利息額も大きくなるため、低金利での住宅ローン借り換えは支払利息カットにより大きなメリットを生む可能性は高いと言えます。

その20代での借り換え時の注意点は、年齢的な早期ローンを組んだがゆえに被らなければならなかったデメリットがどれだけ解消できるかです。

考えれるデメリットは下記のものが挙げられます。

  • 借入額が大きいため支払総利息が大きくなる
  • 年収の増額問題
  • ダブルインカム問題
  • 将来設計に不確定要素が多い

支払総利息は低金利ローンに借り換えることで問題解決できます。20代の借り換えはローン残額が多いため、より低金利で借り換えることで大きな支払利息の軽減ができます。ですが残りは不確定要素が強いため、なかなか現実的な問題として明確化しづらい難点があります。しかし、これらは今後必ず返済に影響してくる事柄です。たとえ明確化できないとしても、必ず再考しておく必要があるでしょう。

年収の増額問題

20代で住宅ローンを組むと当初は年収の問題から、収入に対する返済額が占める割合(返済負担率)が高くなってしまいます。ですが独身または共働きの人が多いため、返済負担率が高くても家計を圧迫するほどではないのが実情です。

しかも年齢を追うとともに収入は増加するので、返済負担率はだんだんと低くなってくることを見越して、一時の辛抱と思っている人も多いでしょう。ですが考えなければならないのは収入が期待通りに増えていかなかった場合。

収入が増えていかなければ将来的に発生するであろう子供の養育費や教育費、そして予期せぬ様々な出費によって、毎月の住宅ローン返済が家計を圧迫することになってしまいます。収入の増加は毎年の昇給具合を見れば歴然です。

当初考えていたような収入の増加が見込めない場合、遠くない将来の出費が家計を圧迫することは明らかです。低金利による返済額の軽減は当然、返済期間を長くして毎月の返済額を軽減するなどの対応も必要となってきます。

ダブルインカム問題

20代で住宅ローンを組む人の中には共働き世帯も多く、配偶者との世帯年収で住宅ローンを組むケースも少なくありません。しかし、借り換え時には配偶者が働けなくなった下記のようなケースを見越した住宅ローンを検討する必要も出てきます。

  • 産休や産後のローン返済は大丈夫か?
  • 出産後の職場復帰は可能か?
  • 出産後に出産前と同様の収入が見込めるか?
  • 働くとして保育費用が捻出できる余裕があるか?

世帯年収で住宅ローンを組んでいなくても、配偶者の収入を当てにした返済額に設定しているケースは少なくありません。その場合にも配偶者の収入が得られなくなるケースを見越した返済計画を再検討する必要が出てくるでしょう。

将来設計に不確定要素が多い

20代は住宅ローンを組む世代の中で一番将来摂家に不覚的要素が多くなってくるため、下記のような将来設計を見据えた返済計画となっていないケースも少なくありません。

  • 家族構成の変化
  • 収入の増減
  • 転勤や転職

また、住宅購入の適正予算は購入時の状況に合わせたものであるため、借り換え時には下記出費に変化が生じていることも往々にしてあります。

  • 食費
  • 光熱費
  • 水道費
  • 通信費
  • 医療費
  • 保険支払額

購入当初は適正だと思った毎月の返済額が負担となっていることは少なくないのです。事実、負担とまではなっていないものの、懸念している人は少なくないでしょう。現状の出費にどう変化が起こっているのかを正確に把握し、今後の毎月返済が負担とならない返済計画を練るようにしましょう。

30代で借り換えする際の注意点

30代は20代とは違い将来設計が明確化してくる年代となってくるため不確定要素も少なくなり、20代よりも明確な返済計画を立てることができます。よって比較的明確な返済計画の練り直しができるでしょう。

そこでまずおすすめするのが20代の注意点で挙げた下記の2点。

  • 年収の増額問題
  • ダブルインカム問題

この点は20代同様に必ず再考してもらいたいポイントとなってきます。30代であれば上記問題も20代よりも明確化されており、不確定要素の少ない台所事情が分かるのではっきりとした返済計画を練り直すことができます。

低金利による返済額の軽減だけでは間に合わないようなら、返済期間の延長も視野に入れた借り換えも必要になってくるでしょう。

また、30代は住宅ローンの借り入れ、借り換えともにベストタイミングとも言われています。
特に借り換えの場合は借り入れよりも審査基準が上がるため、一般的には借り入れと借り換えとでは下記のように借入条件が違ってくるとも言われています。

借り入れ 年収200万円以上 返済比率30~35%
借り換え 年収300万円以上 返済比率25%前後

近年は住宅ローン借り換えが取り沙汰されているため、簡単に借り換えできると考えている人もいるでしょうが、借り換えの審査は借り入れの時よりも厳しいのです。

しかし、30代は20代よりも収入が安定している上、働き盛りと言われるように健康上の心配もないため審査に通りやすい年代と言われています。30代の人は超低金利時代の今こそ、このメリットを活かした借り換えを是非とも検討するべきでしょう

40代で借り換えする際の注意点

40代は住宅ローン借り換えのラストチャンスとも言われています。また健康面でも問題が出始める年代であるため、団信保険に入れないような状態では借り換えは難しくなってくるでしょう。

団信保険は健康状態によって加入できないことも・・・

現在加入している団信保険は住宅ローンの借り換えによって終了するため、再度加入する必要が出てきます。しかし、借り換え時に持病を抱えているであるとか、通院歴があるなど健康面にリスクを抱えている状況では加入できない可能性が出てくるのです。

団信保険は生命保険の一種であり、契約者がローン返済中に死亡した場合、ローン債務を保証する生命保険と考えてもらえばいいでしょう。民間の住宅ローンはこの団信加入が義務付けられているところが多くを占め、これが原因となって借り換えができないケースも出てきます。

健康状態に自信のない人は団信加入が義務付けられていないフラット35等での借り換えとなりますが、もしもの時の備えがない事への心配は拭えません。借り換えを検討する時にはこの点をよく考慮するようにしましょう。

団信保険の内容見直しを!

しかし、借り換えが可能であるならば是非とも見直してもらいたいのが保険内容です。基本的な団信の保険内容は契約者の死亡や高度障害となった場合のローン債務の保証となりますが、今はそれ以外に下記のような保障範囲が広げられた特約付きの団信保険が登場しています。

  • ガン保障特約付き団信保険
  • 3大疾病特約付き団信保険
  • 8大疾病保証付き団信保険

それではこれら特約内容を簡単に説明しておきます。

ガン保障特約付き団信保険 

ガンと診断されればローン債務の保障が受けられますが、過去にガンになったことがある人は加入ができません。
また上皮内新生物や悪性黒色腫以外の皮膚がんは対象となるので、ガン全般を網羅した保障内容でないことには注意が必要です。

3大疾病特約付き団信保険 

ガン、脳卒中、急性心筋梗塞で働けなくたった際に一定期間の返済保障がされ、その期間が所定以上となるとローン債務全額の保障が受けられます。(ガンの場合は診断確定で債務の全額保障となる。)

8大疾病特約付き団信保険

3大疾病と高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎で働けなくたった際に一定期間の返済保障がされ、その期間が所定以上となるとローン債務全額の保障が受けられます。(ガンの場合は診断確定で債務の全額保障となる。)

厚生労働省が平成26年度に発表した患者調査では、3大疾病にかかる割合は40代から右肩上がりに急増していることが発表されていることからも、最低でも3大疾病特約を付けた団信保険には加入してもらいたいところです。

特約内容は借り換え先によって条件が大きく違ってきます。40代の借り換えの場合、まずは団信保険の内容が充実している金融機関をピックアップすることをおすすめします。

50代で借り換えする際の注意点

50代での住宅ローン借り換えは、これまで説明した年代の中で一番審査基準が厳しい年代です。また、年齢から借り換えを断られるケースも少なくないのが実情となっています。仮に申し込みしたとしても審査NGとなる確率は高いと考えておきましょう。

しかし、50代だからといって借り換え可能というわけではありません。事実、平成26年度のフラット35年代別利用者数を見てみると、50代で住宅ローンを組んだ割合は全体の10%ものシェアを占めています。となれば住宅ローン借り換えも不可能ではないのです。

ですが審査通過には厳しい審査基準が設けられているので、審査通過となるのは40代以前の年代とは比べ物にならにのが実情です。

そこでこの点を踏まえての借り換え注意点ですが、これも40代と同じように団信の保険内容となってきます。先程説明した特約の他に、下記のような高齢者を見据えた特約を用意している金融機関も存在します。

  • 介護特約付き団信保険
  • コントロール返済特約付き団信保険

介護付き特約は所定の要介護認定を受けた場合にローン債務の全額補償が受けられ、コントロール返済は繰り上げ返済しておけば、何かあった時にその短縮期間に応じて元金返済をストップでき一時的に返済を軽減することができます。

50代の借り換え時には先に説明した特約はもちろんのこと、上記のような加齢に伴うリスク増加に対応した特約を検討することを忘れないようにしましょう。

まとめ

住宅ローン支払いで一番重要なのは、毎月の返済が家計を圧迫しない額であることです。年代によって年収の大きさ、家族構成、必要出費など取り巻く要因が大きく違ってくるため、その適正額は各年代によって違ってきます。

また40代以降となれば、健康面を見据えた保険内容の再検討も必要になってきます。

借り換え年次にどのような点に気をつけなければならないのかをしっかりと理解し、自分の年齢に応じた理想的な借り換えとなるよう心がけるようにしましょう。


目次一覧

返済方法について

住宅ローンの基礎知識

審査について

住宅購入までの流れ

ローンの借り換え

住み替え・リフォーム

収益物件の購入

よくあるトラブル

住宅ローンの豆知識