物件の申込をキャンセルしたら仮押さえ金は戻ってくる?

賃貸物件の申込をキャンセルしたら仮押さえ金は戻ってくる?

賃貸物件を申し込むとき、ほとんどの業者で「仮押さえ金」というものが必要になります。仮押さえとは、申し込みから契約完了までの期間、その物件が他の人に取られてしまわないように一時的に予約状態にするシステムのことです。

賃貸借契約には申し込みから契約完了までの間に、入居審査や契約書の記入など時間がかかってしまう場合があります。その間に物件が他の人に取られてしまったら、契約は成り立ちません。そこで仮押さえ金を預かって、一時的に物件を押さえておくことで、確実な契約を結ぶことができるようになるという事です。

でも、もし契約に至らなかった場合、仮押さえ金はきちんと返してもらえるのでしょうか。仮押さえ金を支払う時、そんな疑問が頭をよぎる人も多いでしょう。実際、仮押さえ金の返金を巡ってトラブルになってしまうというケースも少なくありません。

そこで仮押さえ金についての正しい知識を身に付け、トラブル回避に勤めましょう。

申込時の仮押さえ金について

仮押さえ金は、物件の申し込み時に請求される予約金のようなものです。仮押さえ金という名目ではなく、予約金、申込金、内金、預り金などと呼ばれるときもありますが、意味は全て同じです。では仮押さえ金について詳しく見ていきましょう。

仮押さえ=申し込み

まず必ず頭に入れておいて欲しいのは「仮押さえ=申し込み」という事実です。不動産会社によっては、仮押さえというのを「とりあえず押さえておく」という軽いニュアンスで説明するところもありますが、実は仮押さえをするという事は申し込みをするという事。とりあえず押さえるなんて軽いものではありません。

そもそも賃貸物件は、借りるかどうかもわからないのに押さえておくなんてことはできません。申し込みをして確実に借りる意思がある場合にのみ、仮押さえが成立するのです。

とりあえず気になるから取っておこうなんて軽い気持ちで申込書に記入をして、仮押さえ金を支払ってしまったら、そのまま契約まで一気に進んでしまう恐れもあるので要注意です。

仮押さえ金を払う意味

仮押さえ金がなぜ必要になるのでしょうか。業者には確実にその物件を確保するためのお金と説明されますが、実は仮押さえ金は支払い義務のないお金です。法律上、賃貸借契約の前に仮押さえ金を支払わなければならないという決まりはなく、支払う支払わないは個人の自由とされています。

ただし、仮押さえ金を支払うという事は、借りる人の意思を強く表すことに繋がります。一時的とはいえ、お金を支払うという事は、とても大変なことです。その大変な思いをしてまで物件を押さえたいという意思がある人は、確実に契約を結んでくれるという一つの指針になります。

契約を結ぶことに積極的であるという事を仮押さえ金で示すことによって、業者の対応も良くなり、さらに家主の心証も良くなるというメリットがあります。

さらに業者側には、少しでもお金を支払わせることで、顧客を確保するというメリットがあります。たとえその契約がキャンセルになったとしても、返金するという名目で再び顧客に足を運ばせる口実にもなるのです。

仮押さえ金の料金相場と期間

仮押さえ金の料金相場は、家賃の1か月未満という設定がなされています。ただし実際に家賃の1か月分を請求してくる業者は少なく、1万円程度が一般的です。中には現在財布に入っている分だけでも良いという業者もあり、1,000円2,000円で了承してくれるケースもあります。

仮押さえできる期間は、業者や物件によっても違いますが、一般的には2~3週間程度とされています。業者や家主としては、できるだけ早く契約を決めてもらいたいので、短く設定しているところも多くあります。特に人気物件の場合では、1週間も仮押さえできないと言われるケースもあるほどです。

キャンセルしたら戻ってくるのか?

仮押さえ金は、契約が成立した場合には、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃など、初期費用に充填されます。ではキャンセルした場合はどこに行ってしまうのでしょうか。

実は仮押さえ金は、キャンセル時には返金しなければならないと法律で定められています。そのためほとんどの業者で、「仮押さえ金はキャンセル時にはお返しします」との説明を行っているはずです。

でも中にはキャンセル時になって、仮押さえ金を返金してもらえないというトラブルが発生しています。理由は様々ですが、何かしら理由をつけて返金を拒否されてしまいます。

この場合は、明らかに業者側の不正という事になるので、都道府県庁の担当部課などに問い合わせて、仮押さえ金が返金されない旨を伝えて解決してもらいましょう。

ただし一つ注意が必要なのは、契約書を交わした後のキャンセルについてです。仮押さえ金が返金されるのは、正式な契約書が交わされる前の段階でのキャンセルのみ。すでに契約書を交わしてしまった場合は返金されません。

仮押さえ金と手付金は違う!

仮押さえ金は、予約金、申込金、預り金、内金など色々な名前で呼ばれることがありますが、もしも手付金と言われた場合には注意が必要です。

仮押さえ金はキャンセル時に返金義務のあるお金です。これは法律で定められていて、予約金や申込金、預り金、内金という名目でも変わりません。

ところが手付金だけは話が別です。手付金というのはキャンセル時に返金しなくても良いお金という意味。そのため手付金として徴収されてしまった場合には、キャンセル時にお金が戻ってこないという事になってしまいます。

現在、賃貸借契約において手付金を請求することは法律で禁じられています。でも中にはいまだに手付金を請求してくる悪徳な業者もあるので、注意しておきましょう。

預かり証を発行してもらう

仮押さえ金はキャンセル時に返金されなければならないお金と決まっていますが、中にはもらっていないとしらを切る悪徳な業者もいます。

確かに仮押さえ金は強制的に支払わなくてはならないお金ではありませんし、金額も決まっておらず、払うも払わないも個人の自由です。そのため手渡しでお金を払って、さらに預かり証を発行してもらっていないとなれば、払っていないとしらを切るのも簡単です。

こういったトラブルを未然に防ぐために、お金を払う際は必ず預かり証を発行してもらいましょう。良心的な業者では言わなくてもきちんと発行してくれますが、言わないと発行してくれない業者や、発行を拒否する業者まで様々です。発行を拒否する業者は問題外なので、すぐにお金を返してもらってお店を後にしましょう。

まとめ

仮押さえ金は、賃貸物件を押さえておくのに必要なお金ですが、支払うも支払わないも個人の自由という事は、世間ではあまり知られていません。でも支払っておく方が契約がスムーズに進むのであれば、さらにキャンセル時はきちんと返金されるとなれば、支払いを拒否する理由もありませんね。

  • 手付金という名目なら支払わない
  • 預かり証を発行してももらう

この2つのポイントさえ押さえておけば、仮押さえ金に不信感を抱く必要はなさそうです。


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