オール電化マンションを借りる際の注意点

オール電化マンションを借りる際の注意点

オール電化の導入に伴う工事や製品の費用が下がりつつあるためか、賃貸物件でもオール電化を導入する物件が増えているようです。

オール電化には、火災に対するリスクも減らせるほか、建物自体にかかる火災保険料も減額になり、物件のグレードが上がることで貸主にとってメリットは大きいのでしょう。入居者にとってはどの程度オール電化のメリットを享受できるのでしょうか。オール電化マンションを借りる際の注意点です。

オール電化のメリットとデメリット

東京23区内の単身用のワンルームの物件でも、オール電化を導入している賃貸物件は40,000円台からあります。間取り図をよく見ると、キッチンの隣に「温」と言う文字が記載されていることに気づいた人もいるのではないでしょうか。それこそがまさしくオール電化住宅の設備である電気温水器の印です。

オール電化住宅とは

オール電化とは、冷暖房の空調、調理、給湯など、生活で必要とするエネルギーの全てを電気でまかなう住宅のことです。ガス湯沸かし器やガスコンロといったガス器具が一切なく、電気の力でお湯を沸かして入浴したり、IHクッキングヒーターで料理を作ったりします。

ガスを使用しないためガス会社と契約する必要がなく、月々のガスの基本使用料もかかりません。

給湯システムにより使い勝手が異なる

気をつけたいのは、同じオール電化住宅でも給湯システムには二通りある点です。その給湯システムとは、設置する電気温水器が「貯湯式」か「瞬間式」の違いです。

「貯湯式」は、保温のできる大きな湯沸かしポットのようなもので、電気料金が割安になる深夜の時間帯にお湯を沸かし、そのまま保温しておくものです。使うときは水と混ぜ合わせ適温にしてから給湯されます。

使いたい時にすぐお湯が出るのはメリットですが、使い切ってしまうとお湯を沸かすのにしばらく時間がかかるほか、沸かす時間帯によっては、日中の高い電気を使わなければならないことがあります。

一人暮らし程度ならふんだんにお湯を使わなければそうそう湯切れを起こすことはないでしょう。しかし、設置場所に十分な広さがないとかなり小型の物を置いてあるケースもあり、熱いお湯をふんだんに使うときはお湯切れになることも考えられます。

一方、「瞬間式」は、お湯を使いたいときに電気湯沸かし器のように、その都度お湯を温めることになります。必要な時に必要な分だけのお湯が使えることが、貯湯式とは異なります。この場合は湯切れを起こす心配がありません。電気温水器の中で大量にお湯を沸かしておく必要がないため、設置場所を選ばないコンパクトな作りになっています。

貯湯式のオール電化住宅では、日中よりも夜間帯に電気料金が安くなるプランで電気会社と契約することが多いでしょう。そのため、電気料金の安くなる夜間に、安い電気を使ってお湯を沸かし、電気温水器にお湯を貯蔵して、必要な時に水で薄め適温に調節してから給湯されます。

それぞれの機器に適した正しい使い方を

賃貸住宅では、アパートやマンション、戸建ての場合では、間取りによって電気温水器の大きさも異なります。屋内型か屋外型によってもシステムは異なることが考えられます。また、導入した年月が古ければ、製品も古いタイプのものが使用されているでしょう。

新しい製品の方が性能としては多機能ですが、新しいものでも賃貸専用の集合住宅には普及タイプの安価なものが揃えられる傾向があります。それぞれの機器の特徴をよく知り、節約になる使い方をしなければ本末転倒になってしまうことがあります。

設定次第では夜間帯の安い電気でお湯を沸かさず、誤って日中の割高な時間帯にどんどんとお湯を沸かしてしまうことも考えられます。そのため、オール電化住宅は電気代が馬鹿にならないと後悔している人も少なからずいるため、この辺は注意が必要です。

単身世帯用のアパートやマンションなどでは、プロパンガスが使われることも多く、そのガス料金が高額になる点がデメリットに感じる人も多いです。しかし、オール電化住宅ならガスの料金が一切かからず、年間トータルでの光熱費がずいぶん安くなったと感じる人も多いようです。

オール電化のメリット

まず、ガスを使わなくてすむということが挙げられます。鍋が吹きこぼれての不完全燃焼や空気を汚す心配がなく、火事のリスクも減らせることが大きいでしょう。IHクッキングヒーターなら、調理法もトッププレートをさっと拭くだけで汚れを落とすことができ、ガスコンロに見られる複雑なお手入れの必要はありません。

夏場の暑い時期にガスコンロの前で長時間火を使っての調理は辛いものがありますが、IHなら、それも安心です。

木造の賃貸物件は、入居時にかかる火災保険料が鉄骨や鉄筋の物件と比べて、火災のリスクがあるため保険料は高くなります。しかし、オール電化住宅なら火災のリスクが低いと見なされ、火災保険料にオール電化住宅割引を適用している損害保険会社もあります。大体通常の保険料から20%程度の割引率になるようです。

正しい電気料金プランの契約と、正しい使用方法により、年間の光熱費がずいぶんと安くなったと感じる人もいる一方で、普段からあまりガスを使わなかった人にとっては、その効果があまり感じられないこともあります。全般的には、今までプロパンガスを使っていた生活をしていた人にとっては、ずいぶんと割安になったと感じる人が多いようです。

オール電化のデメリット

IHクッキングヒーターを使うときには、それまで使っていたガス用の調理器具は使えません。IH用の鍋やフライパンでないと熱が伝わらず、調理ができないからです。今まで使っていた物を今後の引っ越しのために取って置くのではスペースのムダが生じてしまいます。

かといって、新しくIH専用のものを購入してしまうと、次の引っ越しではオール電化住宅でないとそれらがムダになってしまいます。ここはとりあえず、IHでもガスでも使える兼用タイプのものに限定して購入すべきでしょう。調理好きな人で鍋の種類を用途別にたくさん揃えたい人は、最初にある程度の出費があることを覚悟しましょう。

また、調理好きな人は高火力の炎を使って中華の炒め物を鍋を振っての調理ができないことを不満に感じる人もいます。仕上がりもガスを使った料理の方が美味しいとの感想もちらほらと聞かれます。また、電気炊飯ジャーではなく、ガスの直火でお釜や土鍋でこだわりを持ってご飯を炊いていた人は、それができなくなります。

家族でお風呂に入るなら普通は浴槽にお湯をためて次々に入ることでしょう。しかし、一人暮らしなどで友達が泊まりに来た時などは、ユニットバスでその都度お湯を入れ替えたり、シャワーを次々に使ったりということになるでしょう。

一人暮らしの湯量を貯蔵できる温水器では、一時的に大量のお湯を使ってしまうと、途中で湯切れを起こしてしまうことが考えられます。予め気をつけて節約して使えばすむことですが。

電気温水器のお湯を沸かすタイマーの設定時刻が少しずれているだけで、高い電気料金帯の時間にせっせと高い電気を使って沸かすことになりかねないため、使用方法をよく理解して正しく使う必要があります。

オール電化とガス併用との違い

電気の良い面とガスの良い面、両方良いとこ取りをしたくて、またいざという時のために、オール電化住宅でもガスも併用している物件をわざわざ探す人もいます。その都度使い分ければメリットが多いのかと思いますが、実はこれにはデメリットも存在します。

ガス併用のメリット

ガス併用のメリットは、今まで使っていたガス専用器具をIHで利用可能のタイプのものに買い直す必要がなく、そのまま使い続けられる点です。魚を直火で焼きながら、土鍋を使ってお米を炊くこともできますし、中華鍋を空中に大きく振ってチャーハンを強火でパラパラに仕上げることもできます。

また、炎を見て火力調節ができるため火加減がわかりやすく、失敗も少ないです。今までの経験則から来る火加減や時間など、自分の調理パターンを変えたくない人にとってはガスのまま使い続けることがメリットになるでしょう。

また、冬の暖房がエアコンだけでは心もとない、というとき、ガス暖房の前で炎を前に手足を暖め急速に暖を取りたいことがあります。ガスならすぐに身体がポカポカとしてきます。

ガス併用のデメリット

結局はガスを使用しても使用しなくてもガス会社と契約している以上は基本料金がかかってきます。ガスを併用していることにより、火災保険料のオール電化割引の適用が受けられません。

そのため、オール電化にして光熱費が減った、節約になった、と言う実感が湧きづらいのではないでしょうか。逆に、今までよりも光熱費がかかってしまった、という人もいます。

ただ、どうしても料理にこだわりたい、ガス火で作ったいつもの味で家族に食べさせたいというこだわりがある人は、長年慣れ親しんできたガスでの調理が、もっとも腕を振るえることでしょう。

まとめ

とにかく安い部屋を探したいという人もいるでしょう。しかし、家賃は安くてもプロパンガスでなら、ガス料金が高額になってしまうこともあります。近くの築浅のオール電化の物件と月々の経費が同じぐらいと知ったら、モヤモヤとした気持ちが拭いきれませんよね。

まずは、自分が使う年間の電気料金、ガス料金などを知ることから始めてみませんか。どこが節約できるのか、オール電化が得なのか損なのか、見えてくるのではないでしょうか。


目次一覧

不動産会社、検索サイト一覧

地域別の不動産会社

安く借りるコツ

お部屋探しの注意点

物件タイプごとの特徴

賃貸契約の基礎知識

敷金返還トラブル

住みやすい街や地域

コラム、Q&A